北極のガバナンスについて、初めてまじめに話を聞いたのは5月の日加安保シンポジウム@オタワの席だった。日本側のスピーカーは石原敬浩海上自衛隊幹部学校教官だった。ほとんど何も知らなかったので、へええと勉強になった。
私が北極に興味を持っているのは、北極海海底ケーブルが通るかもしれないからだ。いくつかのプロジェクトが動いている。太平洋に光ファイバーの海底ケーブルを敷設したことで有名な新納康彦さんもArctic Fibreに参加されている。
先週、日本国際問題研究所の「グローバル・コモンズ(サイバー空間、宇宙、北極海)における日米同盟の新しい課題」というプロジェクトでもう一度、石原教官の話を聞く機会があった。コメンテーターは早稲田の池島大策先生。
お二人の話をうかがって、この半年の間にもかなり動きがあったことを知る。なかなか興味深い。11月には米国防総省が北極圏戦略を発表したそうだ。北極の沿岸国、特にカナダやロシアが権益がために入る一方で、日本や中国がArctic Councilのオブザーバーになったり、はたまた貿易航路の変更で大きく打撃を受けそうなシンガポールまで入ってきたりしているそうだ。特に中国は、カナダ沿岸でもロシア沿岸でもなく、北極海の真ん中を通ろうとしているとか。ロシアは北極の極点の海底に旗を立てたり、オホーツク海は俺の海だと出張ってきたり。いやあ、すごいつばぜり合いだ。
いろいろ文献も出ている。いずれ、授業でも取り上げないと。
- 兵頭慎治「ロシアの北極政策」
- 池島大策「北極圏ガバナンスの課題」『外交』22号、2013年、46〜53頁。
- 池島大策「グローバルコモンズとしての北極海と安全保障:国際法の視点から」
- 石原敬浩「極北のパワーゲーム 対立と協調の構図」『外交』22号、2013年、27〜31頁。
- 石原敬浩「北極海と安全保障」『国際問題』627号、2013年12月、49〜59頁。
- 石原敬浩「北極海の戦略的意義と中国の関与」『海幹校戦略研究』第1巻1号、2011年5月、49〜74頁。
- 日本国際問題研究所『北極のガバナンスと日本の外交戦略』2013年3月。