中尾克彦「米国における安全保障情報等に関する人的保全制度(1)—セキュリティクリアランス制度を中心として—」『警察学論集』第60巻4号、2007年、104〜143ページ。
詳しいのはいいが、とにかく長い。
中尾克彦「米国における安全保障情報等に関する人的保全制度(1)—セキュリティクリアランス制度を中心として—」『警察学論集』第60巻4号、2007年、104〜143ページ。
詳しいのはいいが、とにかく長い。
エズラ・F・ヴォーゲル(広中和歌子、木本彰子訳)『Japan as No.1—アメリカへの教訓—』ティービーエス・ブリタニカ、1979年。
第1章 アメリカの「鏡」(19〜25ページ)
第2章 日本の奇跡(26〜43ページ)
これも明日の大学院の授業の課題文献。今回は第2章まで。
ずっと前に読んだはずなのに、全然覚えていない。読んでないのかなあ。
こんな時代もあったんだねえと思うと同時に、今の中国とも重なる部分がある。
また、日本や韓国がアメリカと経済摩擦でさんざんやり合った後に出てきた中国は、いちいちアメリカとそうした交渉をしなくて済んでいるというのも感じる。特定の品目について米中経済交渉が行われて、中国側が輸出自主規制をしたなんて話は聞かない。中国は日韓の遺産をうまく使っているな。
2008年〜09年にボストンに滞在したとき、ヴォーゲル先生は「ヴォーゲル塾」というのを主宰していて、日本の若手官僚たちを鍛えておられた。私は参加できなかったけど、一度ご自宅にお邪魔してお話をうかがうことができた。しかし、その日はずっと面会の予定が続いていて、相変わらず精力的に活動されているのに驚いた。
また、中国語を勉強されていて、中国語で講演されていたのも印象的だった。
日本の大学の先生は年取ると新しいことに挑戦するのをやめてしまう人が多いし、退職したら何もしなくなってしまうこともあるけど、本当に終身のテニュアを持っている先生たちは、いつまでも元気にやっている。
松本清張「内閣調査室論」『松本清張全集31』文藝春秋、1973年、483〜498ページ。
明日の授業の課題文献の一つ。毎年読むたびにいろいろ考える。現代まで尾を引きずる日本のインテリジェンスの問題。
A Naval Officer Specializing in Information Ops, “Stuxnet: It’s a Real Threat, but Not Something We Should Shovel Money at,” Foreign Policy <http://ricks.foreignpolicy.com/posts/2011/04/25/stuxnet_its_a_real_threat_but_not_something_we_should_shovel_money_at> April 25, 2011.
論文と呼べるような内容と分量ではないけれど。
著者は「米海軍で情報戦に携わるオフィサー」ということになっている。
近年のサイバーセキュリティの盛り上がりはメディアと防衛産業が人工的に作り出しているものだという。
この手の話はアメリカで話しているとたまに聞く。例として出されているのは元国家情報長官(DNI)のマイケル・マッコネルで、今はブーズ・アレン・アンド・ハミルトンの副社長をしている。ブーズ・アレン・アンド・ハミルトンは防衛系のコンサルティング会社として知られていて、サイバーセキュリティのハイプ(誇大広告)で大もうけしているといわれている。
スタックスネットなどの重要インフラに対する攻撃は実際の脅威だが、それ以外はちょっと頭を冷やせというのが論旨。
10月7日に情報セキュリティ政策会議が開かれた。「何を今頃」という声が聞かれたし、新聞の報道でも情報セキュリティ政策会議やその事務局に当たる内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)の対応は不十分だという指摘もあった。
私も当事者の一人(情報セキュリティ政策会議の構成員)だし、二つの新聞の取材を受けた側でもあるので、責任の一端を担っている。確かに、取材では、政策会議やNISCに問題ないと言ったわけではない。
しかし、私が指摘したのは以下の三点。
(1)自民党時代と比べて民主党政権はこの問題にあまり関心を持っていない。少なくとも政策会議の開催頻度や時間設定は減ってしまっている。私が参加するようになってからは、政策会議が開かれるたびに議長である官房長官が代わっており、毎回議論をやり直さないといけない。
(2)総理大臣決定だけで設置されているNISCは他の官庁と比べて基盤がどうしても弱くなり、人材も生え抜きではなく出向組でできているので、強力なリーダーシップを発揮できるわけではない。
(3)各国のサイバーセキュリティ対策は、インテリジェンス機関(諜報機関、情報機関)が主導している。日本ではインテリジェンス活動が広く認知されているわけでもなく、政府・民間に覆い被さるセキュリティ・クリアランス(保秘制度)も整っていない。そのため、海外の政府との情報交換・共有がしにくい。
この三点が組み合わさると、どうしても政策会議とNISCにできることは限られてくる。特に、(3)について取り上げてくれた報道はたぶんなかったと思う。
それでも、2005年からこれまで二十数回開催されてきている分けだし、政策会議とNISCは粛々とやるべきことをやってきている。三菱重工の報道があって慌てて対策を打ち出したわけではない。来るべきものが来たというだけだ。その三菱重工への攻撃も、これまでのものと特別違っているわけではなく、いろいろな企業に行われてきているものの一部に過ぎない。例えば、経済産業省が7月にとりまとめた「サイバーセキュリティと経済」研究会の中間とりまとめにはそれなりに詳しく書かれている。
ジャーナリズムの機能は権力のチェックであるから、政府のやることにそれなりに厳しくなるのは分かる。しかし、これまでやってきたことに対する公平な評価があったかどうかという点ではやや不満だ。特に、クルクルと代わる政権側の陣容と、2年ごとのサイクルで代わる官僚側に比べて、政策会議の民間構成員はそれほど入れ替わりが激しくなく、安定している。そこがある程度の継続性を担保している。
ともあれ、情報セキュリティ政策会議とNISCの認知が高まったことは良かったとしよう。これから何をするかが問われることになるだろう。
梅棹忠夫「情報産業論」梅棹忠夫『情報の文明学』中央公論新社、1988年、27〜52ページ。
もともとは『放送朝日』および『中央公論』の載せられた先駆的論文。
御本人によれば授業はひどいものだったらしいが、文章は分かりやすい。
松尾守之「情報が歴史を変える 第118回望星講座」『無限』1993年1月25日。
7月に東海大学の望星講座で講演させていただいた。その際、東海大学創設者である松前重義が海底ケーブルに大きく貢献したという話になり、何か資料はないかと聞いてみたところ、松尾守之東海大学工学部教授が講演されたときの講演録があるはずということで、わざわざ探して送ってくださった。
松前は無装荷ケーブルを発明し、1932年に吉田正および篠原登と共著で「長距離電話回線として無装荷ケーブルを用ひたる実験」という論文を発表しているそうだ。1939年に実用化され、東京〜奉天間の3000キロに無装荷ケーブルの長距離電話が開通、ヨーロッパまで延長することを構想していたが、第二次世界大戦で実現しなかったようだ。
Daniel Miller, “Secret army of 200 homegrown suicide bombers ‘plotting to attack Britain,'” Mail Online, October 9, 2011, available at <http://www.dailymail.co.uk/news/article-2047069/200-suicide-bombers-planning-attacks-living-Britain-intelligence-chiefs-warn.html> (access October 13, 2011).
ロンドン・オリンピックを狙って英国内に2000人の過激派がいて、200人の国産自爆テロリストがいるというのだが、本当かいな。狙われるのはスポーツ・イベント会場ではなく、地下鉄駅などだという。
大庭三枝、山影進「アジア・太平洋地域主義における重層的構造の形成と変容」『国際問題』第415号、1994年10月、2〜29ページ。
こうしてみると、アジア・太平洋地域にもさまざまな国際機関・機構があるものだ。
岡久慶「英国の対国際テロリズム戦略:CONTEST」『外国の立法』第241号、2009年9月、198〜226ページ。
英国の対テロ戦略についての解説。戦略的コミュニケーションという点でも興味深い。これは2009年版のCONTESTの解説だが、サイバーテロはまだ脅威ではないと書いてあるのもおもしろい。その後大きく転換している。
田村浩一「法規命令と行政命令」大阪市立大学法学会編『法学雑誌』第11巻3・4号、1965年、116〜143ページ。
かなり古い、日本国憲法下における行政命令を法規命令と対置させて論じている。
大統領制の下で発せられる米国の行政命令とは位置づけが違うようだ。
Takehisa Iwakoshi, Fumio Futami, and Osamu Hirota, “Quantitative Analysis of Quantum Noise Masking in Quantum Stream Cipher by Intensity Modulation Operating at G bit/sec Data Rate,” SPIE, September 19, 2011.
先月のジム・ルイス講演会の際に、聴衆の方からいただいた論文。いただいたのはおそらく会議提出版で、まだジャーナル等にはパブリッシュされていないのだと思う。
その内容については私は評価できる能力にないが、一緒にいただいた玉川大学量子情報科学研究所のプレスリリースを併せて見ると、クラウド・コンピューティングでデータを分散させても、通信中に読み取られては意味がないから、そこを暗号化できるようにしたということらしい。
暗号通信の利用の拡大が必要という問題意識はずっと持っていて、10月7日に開かれた情報セキュリティ政策会議でも言おうと思っていた。結局、限られた時間(ひとり2分!)の中では言い切れないので別の話をしたが、この点は非公式な場ではずっと言っている。
暗号通信の開発・利用はこれからも論点の一つとして持っておこう。
佐賀健二「e-APEC Strategy—APEC(アジア太平洋経済協力)の共同IT戦略—」『海外電気通信』2002年9月号、7〜26ページ。
デジタル・デバイドについてはデジタル・ディビデンド(デジタルの配当)に転換するという議論があったそうだ。
APECだと枠組みとしては大きすぎるかなあという印象。
横大道聡「国家の安全と市民の自由—G・W・ブッシュ大統領の大統領命令による軍事委員会の憲法上の問題を中心に—」『法学政治学論究』第66号、2005年9月、355〜388ページ。
久しぶりに大統領令(大統領命令、行政命令)についての論文。
慶應の法学研究科の大学院生のための紀要である『法学政治学論究』。私も昔書いたことがある。
ここで取り上げられている大統領令(DETENTION, TREATMENT, AND TRIAL OF CERTAIN NON-CITIZENS IN THE WAR AGAINST TERRORISM)は、なぜか番号が振られていないようだ(普通はEO12345というような番号が振られる)。
http://www.fas.org/irp/offdocs/eo/index.html
(2001年11月13日のところを参照)
なぜなんだろう。
大統領令よりも軍事委員会のほうに力点があるようなので、後半は流し読み。
佐賀健二「アジアにおけるICTを利用した人材育成」『海外電気通信』2006年7月号、7〜50ページ。
人材育成という視点からアジア太平洋島嶼国における国際機関や各国政府の政策を紹介。
太平洋島嶼国関連では、フィジーの南太平洋大学の取り組みが紹介されている。
佐賀健二「アジア開発途上国のICTインフラ整備の課題と展望—アジア・ブロードバンド計画実施に向けての提言—」『海外電気通信』2005年1月号、7〜33ページ。
太平洋島嶼国も含めたアジアにどうやってブロードバンド・ハイウェーを作るか。
カンボジャ、バングラデシュのように海に面していながらどの光海底ケーブルも陸揚げされていない国や、太平洋島嶼国のように数ある太平洋横断海底ケーブルが、フィジーを除いて全てバイパスし、約20カ国・地域がブロードバンドの幹線網を構成する国際光海底ケーブルを利用できない状況にあり、ブロードバンド接続のボトルネックとなっている。
パラオについても書いてある。
パラオからヤップを経てグアムに至る光海底ケーブルの敷設提案が提出されているが、建設コストと運用コストが高くパラオの電気通信事業者は敷設に踏み切れない状況にある。
誰が提案したのだろう。
パラオでは、現在、全ての国際通信回線をインテルサット衛星にアクセスする1基の地球局のみに依存している。
人工衛星を使った日本のWINDS(Wiredeband InterNetworking engineering test and Demonstration Satellite)への期待も書かれている。
U.S. Department of State, “Defining Internet Freedom,” eJournal, vol. 15, no. 6, June 2010.
ある研究会の準備用に読み始めて、数ページでいろいろ思いついて作業してしまい、結局読み終わらなかった。
大川恵子「SOI-ASIA Project—インターネットによるアジア諸国の高等教育推進プロジェクト—」『海外電気通信』2006年7月号、51〜60ページ。
SFCにいるとSOI(School on the Internet Project)の話はしょっちゅう出てくるんだけど、その仕組みはよく知らなかった。
衛星回線は、周囲のインフラ整備レベルに左右されず、比較的短期間で場所を選ばず回線を構築できるという特徴を有したインフラである。衛星回線を利用することにより、地上線の有無に関わらず、島嶼や山間部でもインターネット環境を構築することができ、学生はどのような地域にいても、広帯域なインターネット環境を利用して授業を受けることが可能となる。
確かに、衛星がすでに打ち上がっていて使えればそれに越したことはない。SOIは衛星を受信のみで使うようにしていて、アジア各国のパートナー校からの発信は128kbps以上の既存のインターネット回線を使うようにしている。例えば、コンテンツをダウンロードしようとするとき、IETFで標準化しているUDLR(UniDirectional Link Routing)を使って、有線でリクエストを出し、衛星経由でコンテンツが落ちてくるようにできる。
しかし、そもそも有線アクセスのない島嶼国ではやはりこのシステムも難しいのだろうか。
Motohiro Tsuchiya, “Defense against Cyber Terrorism: Head War and Body War,” Transformacje, Special Issue 2010, pp. 259-267.
2009年2月にニューヨークのISAで発表した際、ポーランドの先生に原稿をくれと言われ、発表原稿をそのまま送ったところ、校正も何も無く、忘れた頃に送られてきた。先生が各所から集めたと思われる多様な論文が収録されていて、けっこう分厚い。
土屋大洋「第10章 日本とサイバー安全保障」簑原俊洋編『ゼロ年代 日本の重大論点—外交・安全保障で読み解く—』柏書房、2011年、214〜230ページ。
こちらも出ました。こちらは夏に原稿締切だったので、比較的早かったですね。