松島泰勝「太平洋覇権を狙う中国」

松島泰勝「太平洋覇権を狙う中国」『Voice』2001年9月号、158〜165ページ。

 中国が太平洋に出て行く元気を持っているのは当然のことだと思うけど、ここに描かれていることが本当だとすると、複雑な気持ちになる。

 日本が太平洋島嶼フォーラム(PIF)や太平洋共同体(PC)の正式メンバーになれという著者の提言はおもしろい。

小柏葉子「太平洋島嶼諸国の紛争と地域協力」

小柏葉子「太平洋島嶼諸国の紛争と地域協力—グッド・ガバナンス構築に向けての試み—」『広島平和科学』第30号、2008年、49〜70ページ。

 手元にある最後の小柏論文。

 「グッド・ガバナンス」をキーワードに、太平洋島嶼フォーラム(PIF)がどう変わってきたかを分析。外来の「グッド・ガバナンス」を上からと下から普及させようという試みがあった。

 「グッド・ガバナンス」は1989年に世界銀行が初めて唱えたが、PIFの中では、説明責任(accountability)、透明性(transparency)、政策決定過程へのすべての層の参加の三つの要素からなる。

 「紛争の多発するメラネシアでは、世界の言語の約4分の1にあたる約1200の言語が話されていると言われている」(52ページ)というのは驚きだ。

 アジア太平洋島嶼地域のデジタル・デバイドというのが私の関心事で、一連の小柏論文はその点については全く触れていないが、この地域の背景を知る上では有用だった。

小柏葉子「太平洋島嶼フォーラムの対ASEAN外交」

小柏葉子「太平洋島嶼フォーラムの対ASEAN外交」『広島平和科学』第27号、2005年、1〜22ページ。

 さらに続く小柏論文。

 太平洋島嶼フォーラム(PIF)が経済関係を求めてASEANにアプローチするも、「人種的・文化的」違いからASEANに拒否されてしまう。しかし、2000年頃から政治・安全保障的な文脈からの関係再構築が行われる。パプアニューギニアと「人種的・文化的」に同じ「パプア特別州」がインドネシアにあり、独立運動が盛んなこともPIFとASEANの関係を難しくしている。

 いや、本当に太平洋島嶼国もいろいろあるもんだなと妙に感心。

小柏葉子「太平洋島嶼フォーラムの変化と連続性」

小柏葉子「太平洋島嶼フォーラムの変化と連続性—オセアニアにおける多国間主義の現段階—」『国際政治』第133号、2003年、93〜107ページ。

 さらに小柏論文。

 前半はこれまでの論文の集大成のような感じ。

 後半になって、南太平洋フォーラム(SPF)が太平洋島嶼フォーラム(PIF)へ移行する過程で、地域機構としてのまとまりを強めていく様子を描いている。それには、フィジーとソロモン諸島におけるクーデターが大きく影響しており、PIFはそれまで消極的だった地域内の問題への介入を決意していく。

 それにしても、フィジーというのは政治的にはけっこう不安定なんだなあ。南の島というと平和なイメージがあるが、しっかり見ていくと、それぞれ血なまぐさい歴史を持っている。

小柏葉子「南太平洋地域の核問題と日本」

小柏葉子「南太平洋地域の核問題と日本」広島大学平和科学研究センター編『ポスト冷戦時代の核問題と日本』IPSHU研究報告シリーズ第27号、2001年、21〜38ページ。

 引き続き、小柏論文。

 南太平洋島嶼フォーラムは1971年に結成されたが、その後、1980年代に活動を活発化させたのは、日本による放射性廃棄物の海洋投棄計画、その後の海上輸送がもたらした問題だったことを指摘している。前者はすったもんだの挙げ句、中曽根政権によって事実上中止される。

 原発問題が厳しい今から見ると、日本の原子力政策は総合的な視野を欠いていたのではないかと思ってしまう。

駒村圭吾「国家なき立憲主義は可能か」

駒村圭吾「国家なき立憲主義は可能か」『ジュリスト』第1422号、2011年5月1日〜15日、21〜28ページ。

 慶應法学部の駒村先生。かつてSFCでも授業をしてくださっていたことがあって面識があるが、こんなことをお考えだったのかとちょっと驚く。ホッブズからサンデルまでいろいろな論者を引用しながら、国家の境界について議論されている。

構成的共同体の形成を批判的に査定しうる理論を用意することが必要である。ひとつの可能性は情報論であろう。互酬性の関係を担保するのは情報の相互交換のスケールである。だとすれば、愛着や安心を確保するために適切な情報を相互に提供できる範囲に構成的共同体は限定されるはずであり、それを超えて構想される構成的共同体は「想像の共同体」に等しく、抽象化された友敵関係の輪に転化する危険性をはらむことになる(28ページ)。

 ソーシャル・メディアが実証的にそれをやっているともいえる。

友敵関係の境界線を相対化するには、国家の境界そのものの消去ではなく、それを前提とした上で多様な境界線を張り巡らすことによってなされるべきであろう。かかる重層的なネットワークが、共同体の実存的な要求を回収し、それに居場所を提供することになる(28ページ)。

 ある共同研究のプロポーザルの参考にしようと思って読んだが、予想以上に刺激を受けた。

小柏葉子「太平洋統一機構構想と南太平洋フォーラムの地域協力」

小柏葉子「太平洋統一機構構想と南太平洋フォーラムの地域協力」『アジア経済』第34巻1号、1993年1月、23〜35ページ。

 引き続き、小柏論文。

 アフリカ統一機構(OAU)にならってアジア太平洋統一機構(OPU)を作ろうというパプアニューギニアの構想がなぜ挫折したのかについて分析。パプアニューギニアとフィジーとの間の主導権争いや、アンザス条約との関係がおもしろい。あまり知られていないと思うが、アジア太平洋島嶼地域にも統一機構をめぐる政治的な駆け引きがあったことが分かった。

 アンザス(ANZUS)条約(Australia、New Zealand、USの頭文字をとったもの)は米国の核戦力を基盤としていた。結局のところ、冷戦時代のこの地域は、米国の核なくして語れないということか。

小柏葉子「形成期SPFの性格と機能」

小柏葉子「形成期SPFの性格と機能」『広島平和科学』第15号、1992年、53〜73ページ。

 南太平洋フォーラム(SPF)初期の様子を考察している。

 パラオが独立したのは1994年で、この論文が書かれたのは1992年。パラオはまだSPFに参加していないので、やはり記述がない。

 SPF成立には、フランスの南太平洋での核実験や漁業問題があることが分かった。

小柏葉子「南太平洋フォーラム諸国の地域協力—南太平洋非核地帯条約成立をめぐって—」

小柏葉子「南太平洋フォーラム諸国の地域協力—南太平洋非核地帯条約成立をめぐって—」『国際法外交雑誌』第89巻5号、1990年、473〜499ページ。

 パラオについて原稿を書かなくてはいけない一環で、南太平洋関連の論文を集めたうちの一本。著者は広島大学の先生(この論文を書いたときは津田塾大学助手)。

 アメリカが核を太平洋島嶼国に持ち込むことがさまざまなところで問題になっていたことが分かった。オーストラリアとニュージーランドがそれに対してぶれた対応をしたことが島嶼国を困らせた。

 しかし、パラオについてはひと言も書かれていなかった。残念。

 フィジーの二大エスニック・グループがフィジー人とインド人というのは驚いた。

透明性革命

 チュニジアから始まった動乱が中東諸国に広がっています。ソーシャル・メディアが政治体制に影響を与えることは、すでにいろいろなところで議論されています。クレイ・シャーキーがフォーリン・アフェアーズに「ソーシャル・メディアの政治的パワー」という文章を書いていますし、ヒラリー・クリントン長官が昨年に続き、今年もインターネットの自由に関する演説を行いました。私の『ネットワーク・ヘゲモニー』にも中国の反日デモを題材に書いてあります。

 『ネットワーク・ヘゲモニー』にはウィキリークスやフェイスブックのことはほとんど書けなかったのですが、脱稿後にいろいろ読んでみて、一連の動きは「透明性革命」といえるだろうと思い始めました。「透明な革命」ではありません。「社会の透明性を求める革命」という意味です。

 デビッド・カークパトリック『フェイスブック 若き天才の野望』(日経BP、2011年)には以下のような言葉があります(290ページ)。

自分が誰であるかを隠すことなく、どの友だちに対しても一貫性をもって行動すれば、健全な社会づくりに貢献できる。もっとオープンで透明な世界では、人々が社会的規範を尊重し、責任ある行動をするようになる。

 だからこそ、フェイスブックCEOのザッカーバーグが実名主義にこだわっているのは納得がいきます。

 また、デヴィッド・リー&ルーク・ハーディング『ウィキリークス アサンジの戦争』(講談社、2011年)には、大量の米国の公電をウィキリークスのジュリアン・アサンジに渡したブラッドリー・マニング技術兵の言葉として、以下の引用があります(31ページ)。

情報は自由でなければならない。情報は社会全体のものだ。オープンになれば……公共の利益になるはずだ……人々に真実を知ってほしい……それが誰であっても……情報がなければ、公衆として情報にもとづいた決断など下せないのだから

「情報は自由でなければならない(information wants to be free)」というスチュアート・ブランドの言葉は誤解されている言葉で、もともと「フリー」は「無料」という意味で使われましたが、ハッカー倫理の一つとして「自由」という意味も与えられるようになりました(http://www.asahi.com/tech/sj/long_n/03.html)。

 インターネットでは、一度流れた情報は取り消すことができなくなります。さまざまなところに記録され、残ってしまいます。それはプライバシー侵害などのリスクと背中合わせなのですが、政府や社会の不正と戦おうという人々にとっては、強力なツールとなります。ザッカーバーグやマニング、そしてアサンジといった人たちは、そのことを強く意識しているのでしょう。

 そして、そのツールの強さに気づいた人々が中東の国々に現れ、大きなうねりとなっています。私の博士論文(とそれを書き直した出版した『情報とグローバル・ガバナンス』)は、国家と情報の関係を論じ、政府が情報を独占しようとする国があるということを指摘しました。しかし、情報は『ネットワーク・ヘゲモニー』で論じたように、国家や組織や制度が作り出す壁を突き抜けていく力を持っています(この点、後輩の山本達也君が良い引用とレビューをしてくれていますhttp://www.tatsuyayamamoto.com/tyblog/2011/02/post-160.html)。情報通信技術は、壁の向こうにあった秘密を暴き出し、透明性をもたらします。

 しかし、この透明性革命が多くの人命を奪っている現実は、受け入れがたいものがあります。そして、情報通信技術が作り出す創発的なデモは、時に大きな力になりますが、権力の空白を埋めることはできません。ザッカーバーグが求めるような「責任ある行動」につなげていく局面が今後必要になるでしょう。それができなければ、混乱が長期化してしまいます。透明性が高まった社会で、責任ある政治ができる指導者が出てくるかどうかが鍵になります。

台湾の学会に参加

土屋大洋「日本のサイバーセキュリティ対策とインテリジェンス活動―東アジアにおいて高まる脅威への対応―」第一回現代日本研究学会年次大会、国立師範大学、台北、2010年11月25日。

 だいぶ昔の話になってしまいましたが、久しぶりに台湾に行き、学会発表をしてきました。台湾は何度も行っていますが、楽しいところです。学部の時の友人とも会って旧交を温め、いつもの李製餅家のパイナップルケーキも買い込みました。

 まずは台湾国立師範大学での日本研究センターの開所式典。台湾の外務大臣にあたる外交部長などVIPがたくさんいらしてびっくり。なぜだか分かりませんが、台湾では日本研究ブームが起きていて、アメリカでの冷え切った日本研究との温度差を感じました。

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 開所式典の後、現代日本研究学会が開かれました。60本以上の研究発表があり、会場の多くの人が日本語を話せるのに驚きです。基調講演はわれらが常任理事。

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 仕掛け人はこの人です。

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 会場の様子。

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 途中で少し抜け出して、台湾国立師範大学のキャンパスのカフェでお茶。11月末だけど暖かい台湾。

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 学会終了後に街歩きをしながらSOGOの本屋に入ったらジュンク堂でした。日本の雑誌や書籍のほうが売り場面積が大きくて、これまた驚きました。

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 こんな看板も出ていました。日本語が街中で普通に使われています。

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 今回、一番気に入ったのは、シジミの醤油漬け(鹹蜆仔?)。また近いうちに行きたいものです。

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ネットワーク・ヘゲモニー—「帝国」の情報戦略—

 約3年半ぶりに単著の新著が出ました。今朝印刷所から出てきて、早速昼過ぎに受け取りました。

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土屋大洋『ネットワーク・ヘゲモニー—「帝国」の情報戦略—』NTT出版、2011年2月17日、本体3400円+税、ISBN978-4-7571-0303-0

 ちょっと値段は高めですが、200ページ未満ですから、それほど苦もなく読めると思います。

 アメリカのMITにいる間に出したかったのですが、想定外の出来事が続いて間に合わず、帰国後もいろいろなことに忙殺されて遅れてしまいました。ともかくも出すことができて、MIT行きを支援してくださったみなさんに恩返しができました。ありがとうございました。まずは、アメリカ行きを押してくださった小島朋之先生のお墓参りに行ってこようと思います。

日本国際政治学会

 最近、学会発表ばかり。昨日は札幌で開かれた日本国際政治学会2010年度研究大会で発表。

土屋大洋「米国におけるサイバーセキュリティ 対策の進展とその背景」日本国際政治学会2010年度研究大会、札幌コンベンションセンター、2010年10月30日。

 なぜか発表者は私一人で、コメンテーター二人というさびしいセッションだったが、フロアも含めてたくさんコメントと質問をいただけた。感謝。これを次に活かして論文にする。

 久しぶりにお会いする先生方とお話しできたのも良かった。

 29日夕方の中国政治のセッションも聞いていておもしろかった。だんだん中国政治の専門家たちの言葉遣いが分かるようになってきた。

 帰路は台風とぶつかって飛行機が飛ばないのではと焦ったが、実際はたいしたことなく変えることができた。

アジア政経学会

 今日の午前中はアジア政経学会の2010年度全国大会へ。同僚の加茂さんとともに発表。

加茂具樹、土屋大洋「現代中国地方政治における人民代表大会:政治的『つながり』の可視化の試み」アジア政経学会の2010年度全国大会、東京大学駒場キャンパス、2010年10月24日。

発表は全部加茂さんがやってくれて、私は質疑応答だけ。先日の台湾での発表と同じ内容。

質問を聞きながら、新しい手法を使うことの難しさを再確認したが、やって良かった。

同じセッションで発表されたのは大阪大学の坂井田夕起子先生の「文化冷戦と中国仏教:第二回世界仏教徒会議東京大会をめぐって」というもので、仏教外交というテーマにびっくりした。おもしろかった。

人民代表大會代表的作用

加茂具樹、土屋大洋「人民代表大會代表的作用:將代表的政治性"關係"可視化」(當代中國大陸問題研討會:台灣與日本學者的對話、國立政治大學國際關係研究中心國際會議廳、2010年9月18日)。

私はほとんど何もしていないのだけど、同僚の加茂具樹さんと一緒に書いた(といってもほとんど全部加茂さんが書いた)論文を、加茂さんが台湾で発表してきてくれた(私は行けなかった)。私の書いたものが中国語になったのは初めてなのでうれしい。

この共著論文の元々のアイデアは、『国際政治』に書いたアメリカ議会上院のネットワーク分析の論文で出したもので、それを加茂さんが中国の揚州市の人民代表大会のケースに応用してくれた。

中国研究へのネットワーク分析の応用は斬新らしく、好評だったとのこと。良かった、良かった。

日本公共政策学会

 6月5日と6日の週末は、浜松で日本公共政策学会(http://www.ppsa.jp/)の2010年度研究大会に行き、6日の午前中にセッションの司会をしてきた。自分の発表がないので気楽なものである。

 5日の夜は仲間と繰り出し、老舗で鰻を食べた後、浜松餃子なるものをいただく。いくつか知られた店があるそうだが、「むつぎく」という飲み屋街にあるお店に行くと、閉店間際にかかわらず行列している。味もおいしくて、鰻でお腹がいっぱいなのでぺろっと食べてしまった。

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 翌日、セッションの後で関係者と昼食。また鰻。これもおいしかった。

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 発表者二人の話(エネルギー技術の話と宇宙技術の話)は学ぶところが大きかった。行って良かった。

中国は広大なコモンズ

 週末に大学院生たちと合宿。課題論文のうちの一つは中国政治について扱ったものだった。議論の中で、中国の土地はいまだに国有になっている話に及ぶ。まるで私有地のように家は建ち、工場が並んでいるが、原則として利用権を得て利用しているだけだという。無論、先祖代々そこに住んでいるという例もあるのだろうけど、いざとなれば政府は立ち退かせることができる。

 これは電波の世界で議論しているコモンズの話に他ならない。

 電波帯域は技術によってある程度「広がる」可能性があるが、一般的には土地のように限られた資源である。誰がどの周波数帯を使うかは、土地をめぐる争いと似ている。日本では電波を使うには免許を取らなくてはいけないが、いったん免許をもらうと実質的に居座ることができた。地デジ化は特定の電波帯域からの立ち退きを迫るという点で画期的なことだ。

 そう考えると、中国の国土利用はすごい可能性を持っていることが分かる。3月に同僚の加茂具樹さんと揚州市というところに行き、畑の真ん中に政府が一気に道路を敷いている様子を見てきた。国土という広大なコモンズを中国政府はいざとなれば自由に使えるのだ。成田空港や普天間基地のような問題は起きない。すごいなあ。

日本公共政策学会

 6月5日と6日に浜松で開かれる日本公共政策学会に参加します。今年は発表はしませんが、6日の朝のセッション「技術と国際関係」で司会をします。宇宙とエネルギーについての発表があります。会員の方はどうぞお越し下さい。

戦略研究学会をのぞく

 初めて世田谷線に乗った。江ノ電や荒川線のような雰囲気で楽しかった。

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 行った先は世田谷線世田谷駅が最寄りの国士舘大学。これがけっこう良い校舎で、負けたと思った。しかし、国際シンポジウムもできるという講堂に電源プラグが見当たらないので、ちょっと勝ったと思った。SFCならどこでも電源と無線LANにアクセスできる。

 国士舘大学で何をやっていたかというと戦略研究学会。会員じゃないのだけど、加藤朗先生の基調講演と、博士課程(&防研)の福島君の発表があるので午前中だけ参加した。

 加藤先生には2002年に日本国際問題研究所の研究会でお世話になった。久しぶりにお会いするが元気そう。最近は紛争地の現場を見ることにしているそうで、『紛争地の歩き方』という本を書きたいという。すげえなあ。実際、アフガニスタンのカブールに滞在中、数百メートルのところで爆破テロがあったそうで、リアリティのあるお話を聞く。福島君は、司会の先生が紹介を始めたときに部屋の中にいなくて大丈夫かと思ったが、そつなくこなして一安心。

 会場の外で販売していた本も、普段目にしないものが多くて新鮮だった。原書房では、リデル・ハートの『戦略論』を新訳で出していた。まだ上巻だけだが、来月には下巻も揃うという。すばらしい。