ジョージ・F・ケナン(近藤晋一、飯田藤次、有賀貞訳)『アメリカ外交50年』岩波書店、1991年。
一度読んだ本はめったに読み返さないのだが、せっかくアメリカに来たのだからと思って読み返す。1898年の米西戦争から第二次世界大戦後までの話なので、今に直接つながる話ではないが、本書の後半に収録されている「X論文」でのソ連分析は今でもなるほどなと思わせる。
また、前半に出てくる以下のところが興味深い。
これらの地域から日本を駆逐した結果は、まさに賢明にして現実的な人びとが、終始われわれに警告したとおりのこととなった。今日われわれは、ほとんど半世紀にわたって朝鮮および満州方面で日本が直面しかつ担ってきた問題と責任とを引き継いだのである。 (83ページ)
今さらながら、アメリカは日本との戦争に勝ってしまったがために、東アジアの安全保障に責任を持たなくてはいけなくなってしまったことを思い起こさせる。ケナンの分析からさらに50年経っても(原著の出版は1951年)、アメリカは東アジアから手を引くことができない(あるいは引きたくない)。
アメリカがイラクから手を引けるのはいつになるのだろう。