先週の金曜日の昼過ぎ、研究所の同僚の一人が、「今度はロシアと戦争かな」とぼそっと言った。私は論文のデータ処理をずっとやっていたので何のことかよく分からなかったが、ロシアとグルジアに関する報道が始まっていた。アフガニスタンとイラクを抱えていてアメリカがすぐ参戦するとは考えられないが、今のうちからそういう可能性を考えておくのが東部エスタブリッシュメントの頭の中なのだろう。グルジアとアメリカは近年関係が密になっているので、戦争の可能性が全くないわけではない。
ちょうどその晩、オリンピックの開会式の録画がNBCで放送された。アメリカ時間だと金曜日の朝に行われたことになるが、朝のニュースではスタジアムの中は見せず、録画を午後7時半から夜12時まで流した。インターネット時代に録画放送はないだろうと思ったが、視聴率を稼ぐためには仕方ないのかな。
マスゲームを見ていたアナウンサーが驚いて「あごが落ちちゃう(jaw dropping)」と言っていたのには笑った。中国に秩序があるところを見せたかった中国の気持ちも分かるけど、アメリカ人は多様な個性を称賛するから、アメリカ人はたぶん違う受け止め方をしてしまったと思う。その辺の感覚のずれを感じるなあ。
この日、小島朋之先生の最後の著書が届いた。国分良成先生の巻頭言を読み、小島先生の圧倒的執筆量に改めて驚く。きっとオリンピックもごらんになりたかっただろうな。先月末の偲ぶ会に出席したかったが、諸事情あって東京には戻れなかった。今書いている論文が終わったらこの本を読もう。
小島朋之『和諧をめざす中国』(芦書房、2008年)。
ケンブリッジ(ボストン)は雨ばかり。気温も上がらず、このまま秋になってしまいそうだ。今日は冷房も止まり、薄手のコートを着ている人もいた。暑そうな北京とはずいぶんなちがいだ。