井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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【予告】講演「時間発展のネットワーク分析:Wikipedia, Music & Chaos」

2012年5月18日(金)に、電子情報通信学会 第3回情報ネットワーク科学研究会で招待講演を行います。


「時間発展のネットワーク分析:Wikipedia, Music & Chaos」
井庭 崇(慶應義塾大学 総合政策学部 准教授)

Wikipediaのコラボレーションのネットワーク分析や、音楽の分析、カオスの状態遷移ネットワークの研究などを事例に、時間発展の特徴を捉えるネットワーク分析のアプローチについてお話しします。



電子情報通信学会 第3回情報ネットワーク科学研究会
2012年5月18日(金) 13:30 ~ 17:30
開催場所: 首都大学東京(秋葉原キャンパス(ダイビル))
電子情報通信学会 第3回情報ネットワーク科学研究会
詳細は、 http://www.ieice.org/~netsci/?p=889 を参照してください。
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2011年度に僕が行った対談・鼎談の公開映像一覧

今年もたくさんの対談・鼎談を行いました(おつきあいいただいたみなさん、ありがとうございました!)。

その対談・鼎談のうち、SFC Global Campus(SFC-GC)のサイトで映像が公開されているものをリストアップしました。どなたでも無料でご覧になれますので、興味がある回があれば、ぜひどうぞ。リンクをクリックすると、ブラウザ上で映像再生が開始します。

■「“自分”から始まる学びの場のデザイン」
(市川 力さん × 今村 久美さん × 井庭 崇 鼎談, 2011年5月21日, 3時間)
→ 鼎談映像 《前半》《後半》

■「学びと創造の場づくり」
(中原 淳さん × 井庭 崇 対談, 2011年7月9日, 3時間)
→ 対談映像 《前半》《後半》

■「カオスの生成力」
(合原 一幸先生 × 木本 圭子さん × 井庭崇 鼎談, 2011年11月5日, 3時間)
→ 鼎談映像 《前半》《後半》

■「社会を変える仕組みをつくる」
(井上 英之さん × 中室 牧子さん × 井庭 崇 鼎談, 2011年11月12日, 3時間)
→ 鼎談映像 《前半》《後半》

■「内からのことばを生み出す」
(山田 ズーニーさん × 井庭崇 対談, 2011年11月28日, 1時間半)
対談映像

■「ユーザーエクスペリエンスデザイン」
(長谷川 敦士 さん × 井庭崇 対談, 2011年12月12日, 1時間半)
対談映像

■「デジタル・ファブリケーション、パターン・ランゲージ、複雑系」
(田中 浩也 さん × 井庭崇 対談, 2011年12月13日&20日, 計3時間)
→ 対談映像 《前半》《後半》
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ORF2011 井庭研ブースで配布する論文集

PapersCollectionCover210.jpg
2011年11月22日(火)・23日(水・祝) に六本木ミッドタウンで開催される ORF2011 の井庭研の展示ブース(B12 および B13)では、以下の論文が収録された『井庭研究会 学会発表論文集 2011』を配布します。


展示B12
インターリアリティプロジェクト

展示B13
井庭崇研究会


『Iba Lab. Papers Collection ̶ 井庭研究会 学会発表論文集 2011』

【パターン・ランゲージ】
  • 「パターンランゲージ 3.0:新しい対象 × 新しい使い方 × 新しい作り方」(井庭 崇, 情報処理, Vol.52 No.9, 2011)
  • "How to Write Tacit Knowledge as a Pattern Language: Media Design for Spontaneous and Collaborative Communities" (Takashi Iba, Mami Sakamoto, & Toko Miyake, 2nd Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs2010), 2010)
  • "Collaborative Mining and Writing of Design Knowledge" (Mami Sakamoto & Takashi Iba, 3rd Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs2011), 2011)
  • 「『コラボレーションによる学び』の場づくり:実践知の言語化による活動と学びの支援」(井庭 崇, 人工知能学会誌 24(1), 70-77, 2009)
  • "Learning Patterns III: A Pattern Language for Creative Learning" (Takashi Iba & Mami Sakamoto, 18th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP11), 2011)
  • "Pedagogical Patterns for Creative Learning" (Takashi Iba, Chikara Ichikawa, Mami Sakamoto, & Tomohito Yamazaki, 18th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP11), 2011)
  • 「A Pattern Language for Child Rearing:育児のパターン・ランゲージ」(中條 紀子 & 井庭 崇, 2nd Asian Conference on Pattern Languages of Programs (Asian PLoP2011), 2011)

【創造システム理論】
  • 「自生的秩序の形成のための《メディア》デザイン:パターン・ランゲージは何をどのように支援するのか?」(井庭 崇, 10+1 web site, INAX Publishing, 2009 年9 月号)
  • "An Autopoietic Systems Theory for Creativity" (Takashi Iba, Procedia - Social and Behavioral Sciences, Vol.2, Issue 4, 2010, pp.6610-6625)
  • "Autopoietic Systems Diagram for Describing Creative Processes" (Takashi Iba, 2nd Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs2010), 2010)

【複雑系/カオス/ネットワーク】
  • "The Origin of Diversity: Thinking with Chaotic Walk" (Takashi Iba & Kazeto Shimonishi, Unifying Themes in Complex Systems Volume VIII: Proceedings of the Eighth International Conference on Complex Systems, Sayama, H., Minai, A. A., Braha, D. and Bar-Yam, Y. eds., NECSI Knowledge Press, 2011, pp.447-461.)
  • "Hidden Order in Chaos: The Network-Analysis Approach To Dynamical Systems"
    (Takashi Iba & Kazeto Shimonishi, Unifying Themes in Complex Systems Volume VIII: Proceedings of the Eighth International Conference on Complex Systems, Sayama, H., Minai, A. A., Braha, D. and Bar-Yam, Y. eds., NECSI Knowledge Press, 2011, pp.769-783)
  • "Analyzing the Creative Editing Behavior of Wikipedia Editors Through Dynamic Social Network Analysis" (Takashi Iba, Keiichi Nemoto, Bernd Peters, & Peter A. Gloor, Procedia - Social and Behavioral Sciences, Vol.2, Issue 4, 2010, pp.6441-6456)
  • 「Wikipedia におけるコラボレーションネットワークの成長」(四元 菜つみ & 井庭 崇, 情報処理学会 第7 回ネットワーク生態学シンポジウム, 2011)
  • 「書籍販売における定常的パターンの形成原理」(北山 雄樹 & 井庭 崇, 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Notes 2011-MPS-82(20), 2011)

【エッセイ】
  • 「モバイル時代の英語力強化法:日本にいながらの環境構築」(井庭 崇, 人工知能学会誌 25(5), 2010, pp.710-714
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告知「カオスの生成力」(合原一幸先生 × 木本圭子さん × 井庭崇 鼎談)

今週末11月5日(土)に、東京大学教授の合原一幸先生と、アーティストの木本圭子さんをお呼びし、「カオスがもつ生成力」についての鼎談を行ないます。興味がある方は、ぜひお越し下さい(この鼎談は、授業「複雑系の数理」の一環で行なわれますが、履修者以外の聴講も歓迎します。)。

「カオスの生成力」
(合原 一幸先生 × 木本 圭子さん × 井庭崇 鼎談)
2011年11月5日(土)3・4限(13:00〜16:15)
慶應義塾大学SFC大学院棟 τ11教室にて


Poster_AiharaKimotoIba.jpg


合原 一幸先生
東京大学情報理工学系研究科、および生産技術研究所教授。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了後、東京電機大学工学部や東京大学大学院工学系研究科、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授等を経て、現職。脳の数理や、カオス工学、複雑数理モデルに関する研究に従事。著書に、編著書に、『ニューラルコンピュータ:脳と神経に学ぶ』、『カオス:カオス理論の基礎と応用』、『脳はここまで解明された』、『カオス学入門』、『複雑系がひらく世界:科学・技術・社会へのインパクト』等。

木本 圭子さん
非線形/カオスを用いたプログラムによる映像制作を手がけるアーティスト。現在、JST FIRST 合原最先端数理モデルプロジェクト技術員、および、武蔵野美術大学非常勤講師。多摩美術大学テキスタイルデザイン科卒業。著書に、『Imaginary Numbers』、『談 no.87』(津田一郎×木本圭子 対談「自然の内側にあるもの。なぜ人は時間に魅了されるのか」)等。文化庁メディア芸術祭 アート部門 大賞受賞(2006年)。

井庭 崇
慶應義塾大学総合政策学部准教授。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、同 大学院 政策・メディア研究科博士課程修了。博士(政策・メディア)。総合政策学部専任講師、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院 Center for Collective Intelligence 客員研究員等を経て現職。著書に、『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』(共著)、『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法(リアリティ・プラス)』(編著)等。
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無限と有限の組合せで何が生まれるか? ー 「ChaoticWalker」公開

多様で複雑なカタチを生成できるソフトウェア「ChaoticWalker」を公開し始めました。ぜひ、ダウンロードして、遊んでみてください!

http://www.chaoticwalk.org/
このページから、簡単な登録後、実行ファイル(jarファイル)をダウンロードできます。Javaで書かれているので、基本的にはどのOSでもいけるはずです。

このソフトウェアで体験できることは、次のことです。

「無限」を生み出すカオスは、そのままでは不規則でかたちは生成できないのですが、それに数値の桁数を区切るという「有限性」の枠をはめることで、カタチが立ち現れる!

こういう非常に興味深い現象を考察するためのツールなのです。

とはいえ、まずは、難しいことは考えずに、実行してみて、いろんなかたちを生成してみてください。


ChaoticWalker 0.80
ChaoticWalker080_Screen420.jpg


ChaoticWalker Lite 0.80
ChaoticWalkerLite080_Screen420.jpg



このソフトウェアは、2009年に僕がボストンにいるときにゼロから開発したものです。久しぶりに本格的にプログラミングをしました。そして、僕自身実際にこのツールを使って、研究をしました。

パターン生成の可視化メカニズムは、2007年に井庭研の学生だった下西風澄くんが、廣瀬隼也くんとの議論のなかで考え出したものです。そしてそれを「カオスの足あと」と名づけ、探索的な分析が始まりました。その後、ふとしたことから、有効桁数がカタチに影響を与えていることに気づき、僕が「無限の可能性を生むカオスで有限性をコントロールする」ことに意義を見出し、それについての研究も始まりました。

この研究は、非線形科学の学会で発表しただけでなく、コンピュータグラフィックスの世界最大のカンファレンス SIGGRAPHでも発表しました。下西くんの興味が、アートとサイエンスをつなぐということだったのも大きく影響しているでしょう。このようなコラボレーションによって、このソフトゥエアの背後にある可視化手法がつくられ、探究されてきました。

実際に探索してみるとわかりますが、そこにはとても魅力的な世界が広がっています。ぜひ、いろいろ値を変えて、カタチを生成してみてください。有効な桁数 digitを5〜9くらいに、コントロール・パラメータ a を約3.7 〜 4.0にすると(カオスの領域)、面白いカタチが生成されやすいでしょう。


このツールをつかって生成した画像は、下記の論文でも多数取り上げています。興味があれば、こちらもみてみてください。とてもワクワクしますよ!

Iba, T. & Shimonishi, K. (2011), "The Origin of Diversity: Thinking with Chaotic Walk," in Unifying Themes in Complex Systems Volume VIII: Proceedings of the Eighth International Conference on Complex Systems, New England Complex Systems Institute Series on Complexity (Sayama, H., Minai, A. A., Braha, D. and Bar-Yam, Y. eds., NECSI Knowledge Press, 2011), pp.447-461.
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地震の規模と頻度の法則から、大地震の発生可能性について考える(1)

東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。そして、現在も被災地において、あるいは避難先において、不自由な生活を余儀なくされている方々に、心よりお見舞い申し上げます。


2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、大地震の被害のみならず、そこから派生した大津波や原発の問題などによって、大きな被害・不安が続いている。このような状況のなかで、僕はなかなか仕事が手につかなかったのだが、少しずつ動き始めたいと思う。そこでまずは、研究者としての専門を活かしながら、地震について見つめ直すことから始めたい。


ここでは、地震の規模と頻度の法則と、近年の日本の実データから、大地震の発生可能性について考えることにしたい。

地震の規模と頻度に関しては、「グーテンベルク・リヒター則」(Gutenberg-Richter Law)という法則が知られている。この法則によれば、地震の規模 M と発生頻度(あるいは発生数) N の関係は、次の式で表される。


ここで、ab は定数であり、地域によって異なる値をとる(なお、厳密に言うと、「頻度」はその規模の地震の発生回数を全事象数で割ることで求めるのだが、ここでは直感的なわかりやすさのために、「頻度(回数)」としてまとめて表記することにする)。

この式をグラフにすると、次のような感じになる。横軸が規模、縦軸が頻度(回数)なので、規模が大きくなるほど、発生する頻度(回数)は、ぐっと小さくなっていく、ということがわかる。

GR_LinearPlot.jpg
図1:グーテンベルク・リヒター則の式のかたち[線形グラフ](a=1, b=1


まったく同じものを、別のグラフ表現で表すと、この法則がもつ特徴がより明確に示される。次のグラフは、縦軸の頻度(回数)の軸を対数軸(log)にしたものである。対数軸なので、縦軸は1目盛り進むごとに10倍になっている。このような軸の取り方でプロットすると、グーテンベルク・リヒター則の式は、直線のかたちになる。

GR_LogPlot.jpg
図2:グーテンベルク・リヒター則の式のかたち[対数グラフ](a=1, b=1


複雑系科学やネットワーク科学の知識がある人ならば、どこかで見覚えのあるグラフだろう。そう、この地震の規模と頻度は、まさに「べき乗則」(power law)に従っているのである。地震の規模を表すマグニチュードは、地震のエネルギーの対数で計算されるので、グラフの横軸にエネルギーEをとれば、横軸も対数軸となる。このように、グーテンベルク・リヒター則は、べき乗則を示す現象の古典的な例として知られている。


さて、グーテンベルク・リヒター則を直感的に理解するために、具体的な数字を用いて説明をすることにしよう。

地震の規模と頻度の関係は、マグニチュードが 1 小さいと発生頻度が約10倍になる―――大雑把にいうと、こういうことだ。例えば、日本では、マグニチュード7クラスの地震が年に1回くらいの頻度で発生しているので、マグニチュード6クラスの地震は年に約10回、マグニチュード5クラスの地震は年に100回、マグニチュード4クラスの地震は年に1000回という計算になる。

逆に言えば、マグニチュードが1大きい地震は約10分の1の頻度で起きるということも意味している。例えば、マグニチュード8クラスの地震は年に約0.1回の頻度で発生する、つまり10年に1回くらい起きるという計算になる。さらに、マグニチュード9クラスの地震は年に約0.01回、つまり100年に1回という計算になる(もちろん、ここで言っているのは確率の話なので、100年に必ずぴったり1回しか起きないということではない。100年に2回来ることもあるし、来ないこともある。あくまでも確率的な傾向の話である点に注意)。

ここで注目に値するのは、マグニチュードが大きくなっても、(理論上は)確率は完全に0にはならないという点である。つまり、かなり大きな地震はごく稀にしか起きないが、起きないことはない、ということである。わずかでも起こる可能性はある。大地震は忘れたころにやってくる、と言われるが、まさに、この「起きにくさ」が防災の意識や対策・準備を怠りがちな理由であろう。かなり大きな地震も、ごく稀にだが起きる ――― この点は、決して忘れてはならない。

(つづく)

※公開当初は、独自のデータ分析の結果も掲載していましたが、データに不備があったため、続きは、後日再度アップします。すみません。


Refenreces
●『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』(井庭 崇, 福原 義久, NTT出版, 1998)
以前この本で、グーテンベルク・リヒター則とべき乗則の簡単な説明をした。

●『歴史は「べき乗則」で動く:種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学』(マーク・ブキャナン, ハヤカワ文庫NF, 早川書房, 2009)[Mark Buchanan, Ubiquity: Why Catastrophes Happen, 200/2002]
地震の事例も含め、べき乗則をめぐる研究者たちの探究を紹介している。べき乗則になる地震モデルについての紹介もある。

●『地震予知の最新科学』(佃 為成, サイエンスアイ新書, ソフトバンククリエイティブ, 2007)
地震が発生する仕組みや、規模と頻度の関係などについての解説がある。
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イベント告知「建築の計算(不)可能性」(松川昌平 × 井庭崇)

来週の1月13日(木)2限の「複雑系の数理」の授業では、松川昌平さんを遠隔ゲストにお迎えして、対談を行います。

松川 昌平 × 井庭 崇 「建築の計算(不)可能性」
日時:2011年1月13日(木)2限(11:10~12:40)
会場:慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC) ε 11教室

松川 昌平さんは、複雑系の考え方を取り入れながら、コンピュテーショナル・デザイン(アルゴリズミック・デザイン)の最先端で、独自のアプローチを探究している建築家です。松川さんのアプローチは、単にアルゴリズムを用いて「形」を生成するというのではなく、機能も含めた構造の可能性を探索するためにコンピュータを用いている点に特徴があります。複雑系の考え方が、どのように新しい建築設計の方法に結びつくのか? コンピュテーションは、物理的空間の設計をどう変えるのか? その可能性と不可能性について、『複雑系入門』著者の井庭 崇と語り合います。

松川 昌平
建築家。1974年生まれ。1998年、東京理科大学工学部建築学科卒業。1999年、000studio/ゼロスタジオ設立。2010年現在文化庁派遣芸術家在外研修員および客員研究員としてハーヴァード大学GSD在籍。アルゴリズミック・デザインの研究、実践を行なう。共訳書=コスタス・テルジディス『アルゴリズミック・アーキテクチュア』
(彰国社、2010)。

※ 松川さんは現在米国在住のため、インターネット経由の遠隔参加となります。

この対談イベントは、授業の一環として行われますが、履修者以外の聴講も歓迎しますので、興味がある方はぜひお越し下さい。なお、この対談は、映像配信の予定はありません。

ComplexSystemsMatsukawaPoster.jpg
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これから数ヶ月、ゲスト講演・対談が目白押し!

これから数ヶ月の間、僕の授業ではゲスト講演・対談が目白押し。知的な刺激をたくさん、どうぞ! (どれも授業の一環として開催しますが、履修者以外の聴講も歓迎です。)

以下に、その予定をまとめておきます。

■ 竹中 平蔵 × 井庭 崇 「政策のパターンランゲージに向けて」
日時:2010年11月27日(土)3・4限(13:00~16:15)
会場:慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC) 大学院棟 τ(タウ)12教室
※SFC「パターンランゲージ」の一環。当日の映像はSFC-GCで後日公開予定。

■ 江渡 浩一郎 × 井庭 崇 「創造と想像のメディア」
日時:2010年12月9日(木)4限(14:45~16:15)
会場:慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC) 大学院棟 τ(タウ)11教室
※SFC「パターンランゲージ」の一環。当日の映像はSFC-GCで後日公開予定。

■ 池上 高志 × 井庭 崇 「動きを捉える。動きをつくる。」
日時:2010年12月11日(土)3・4限(13:00~16:15)
会場:慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC) 大学院棟 τ(タウ)11教室
※SFC「複雑系の数理」の一環。

■ 松川 昌平 × 井庭 崇 「計算可能性/不可能性とデザイン」(遠隔対談)
日時:2011年1月13日(木)2限(11:10~12:40)
会場:慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC) ε11教室
※SFC「複雑系の数理」の一環。
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“つくる数学” と “つくる授業”

今年度から担当することになったSFCの科目「複雑系の数理」も、授業のやり方について新しい試みをしている。

この科目では、複雑系の科学で行われている「つくることで理解する」(構成的理解)を実際に体験しながら、カオスなどの概念・理論を理解することが目指されている。

「つくることで理解する」ことを目指すからには、単に与えられた課題をこなすのではなく、自分たちで「つくりながら」学ぶことが望ましい。できあがった理論をただ暗記するのではなく、研究者が日頃行っているような試行錯誤をしながら前に進んでいく感覚を味わってほしい。


そこで、履修者たちが自ら授業を「つくる」という方式にすることにした。いうなれば、「つくる数学」を学ぶための「つくる授業」。

ふつう、大学の授業というのは、教員が概念を説明し、演習用プログラムも配布し、質問にも答えるというかたちをとる。しかし、このやり方で一番「学び」が多いのは、実は、授業準備をする教員であって、その話を聞く学生はその一部しか得ることができないことが多い。

そんなのはあまりにも学びたい学生に対して失礼ではないか!ということで、この科目ではまったく違うアプローチをとることにした。履修者に一番学びが多くなるような授業設計だ。具体的にいうと、履修者自身が事前に概念・理論を調べ、勉強し、他の履修者に説明する。演習用プログラムも用意し、質問にも答える。

Complex1.jpg

実際どのように進めていくのかというと、履修者は3人でチームを組み、各チームはテーマ候補から、1つを選択してもらう。あとは、自分たちの担当の回までに授業準備をし、当日、他の履修者(と僕)に向かって授業をする。

1回の授業あたり2チームが割り当たっていて、概念・理論の説明だけでなく、演習プログラムの準備、演習の進行、そして、その他のファシリテーションもすべて任されている。僕がやるのは、説明が間違っているときに指摘をしたり、必要なときに補足したり、最後にまとめの解説を行うだけ。

このように、自分たちが参加する授業を自分たちでつくる。これがこの授業のコンセプトである(ということを履修前に告知してあるので、それを了承した学生だけが履修している)。

先生が黒板に書いた数式をノートにひたすら写すのでもなく、与えられた課題を解くのでもなく、自分たちが中心となって授業を構成する。「つくる数学」を「つくる」こと無しに学ぶのではなく、「つくる数学」の授業を「つくりながら」理解する。体験としての学びではなく、行為としての学びと言ってもいいかもしれない。

MathematicaScreen.jpg

初回のテーマは、ロジスティック写像におけるカオスで、ひとつのチームがCobweb Plotについて、もうひとつのチームが初期値の鋭敏性について担当した。初回ということで、多少の混乱があったものの(自分たちの担当範囲の勘違いや、概念の理解の間違い)、おおむねうまくいったと思う。

僕の予想を超える出来事もあった。授業の演習で簡単なグループディスカッションをし、それをみんなに発表させ、面白かったグループに、賞状を授与するというチームがあったのだ。そんなこんなで、数理系の授業としては、かつてないほど盛り上がったのではないだろうか。今後も楽しみである。

Complex2.jpg
授業関連 | - | -

もうひとつ、新しいブログ『カオスの想像力』

もうひとつ、カオスの研究に関するブログも立ち上げることにしました。井庭研メンバーの下西風澄君と一緒に書きます。彼とはここ数年、カオスについてのとびきり面白い研究を一緒にやってきました。ここからさらに、想像力をはばたかせたいと思います。

"カオスの想像力 — UNBOUNDED IMAGINATION FOR CHAOS"
http://uichaos.blogspot.com/

UIChaos



僕らの最近のオリジナルな研究成果も紹介していきます。
そして、文体も、いつもとは少し違うタッチで書きたいと思います。

こちらのブログも、ぜひよろしく!
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