井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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【論文公開】多様なあり方・取り組み方を言語化するスタイル・ランゲージ

2018年3月1・2日に早稲田大学で開催される国際学会AsianPLoP2018 (7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs)で発表する(ライターズ・ワークショップにかける)論文の3つ目は、「多様なあり方・取り組み方を言語化するスタイル・ランゲージ」です。

昨年井庭研で生み出した新しい創造実践支援の言語形式「スタイル・ランゲージ」(Style Language)の考え方についての論文です。「スタイル・ランゲージ」は、ある特定のテーマ・分野における多様なあり方・取り組み方のスタイルを言語化し、自分らしいスタイルを育てていくことを支援するものです。花王さんとの共同研究で制作した「家族を育むスタイル・ランゲージ」と、クックパッドさんとの共同研究で制作した「料理教室のスタイル・ランゲージ」の事例も載っています。僕はいま、スタイル・ランゲージのいろいろな分野での適用可能性を感じてワクワクしているので、ぜひその一端をご覧いただければと思います。


「多様なあり方・取り組み方を言語化するスタイル・ランゲージ」
(井庭 崇, 野崎 琴未, 下田 裕介, 宗像 このみ)

Abstract:
本論文では、ある特定のテーマ・分野における多様なあり方・取り組み方のスタイルを言語化し、自分らしいスタイルを育てていく方法として「スタイル・ランゲージ」(Style Language)を提案する。「スタイル・ランゲージ」では、対象に置ける物事のあり方・取り組み方における個々のスタイル(様式)の要素を、それがどのようなものであるかを記述し、それに名前(スタイル・ワード)をつける。そのようなスタイルを数多く言語化することで、そのスタイルについて語りやすくなったり、その発想がなかった人がその発想を持てるようになったりすることを支援する。このように、スタイル・ランゲージは、パターン・ランゲージと同様に、創造実践を支援するための語彙・構成要素として用いることができるが、大きな違いもある。まず、パターン・ランゲージが質を高めるよりよい方法の方向性を示し、創造実践の質を高める支援をするのに対して、スタイル・ランゲージは、創造実践の具体的実現方法についての多様な可能性があると認識することを支援する。その意味で、スタイル・ランゲージは、それだけでも用いることができるが、パターン・ランゲージと併用することで、創造実践の強力な支援ツールとなるものである。本論文では、スタイル・ランゲージの具体的な事例として、「家族を育むスタイル・ランゲージ」と、「料理教室のスタイル・ランゲージ」を紹介する。そして、スタイル・ランゲージの活かし方として、それぞれのスタイルに関する実践・経験について語り合うことで「ピアに学び合う」という活用方法と、提供されているスタイルと自分の好みのスタイルのマッチングに用いるという活用方法を取り上げる。

パターン・ランゲージは、いきいきとした質(名づけ得ぬ質:quality without a name)の実現を支援し、スタイル・ランゲージは、多様な可能性へと発想を広げることを支援する
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スタイル・ランゲージの各スタイルには、名前(スタイル・ワード)がつけられる。
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家族を育むスタイル・ランゲージ
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料理教室のスタイル・ランゲージ
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井庭 崇, 野崎 琴未, 下田 裕介, 宗像 このみ, 「多様なあり方・取り組み方を言語化するスタイル・ランゲージ
, 7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs(AsianPLoP2018) , 2018

論文PDF: http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/papers/AsianPLoP18_StyleLanguage_WWS.pdf

この論文に興味を持っていただいた方は、ぜひ、3月1・2日に早稲田大学で開催される国際学会AsianPLoP 2018 (7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs)にお越しください。そこでライターズ・ワークショップという場が設けられ、この論文について語り合う時間があります。ぜひ、事前登録の上、ご参加ください。
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「創造性」の探究 | - | -

【論文公開】「無我の創造」(Egoless Creation)とパターン・ランゲージ

2018年3月1・2日に早稲田大学で開催される国際学会AsianPLoP2018 (7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs)でいくつか論文(日本語)を発表する(ライターズ・ワークショップにかける)のですが、その論文、これまでにないかなり面白いものが書けたと思っています。そこで、ここでも紹介したいと思います。(このブログでは、僕がファーストオーサーの論文3本だけ紹介しますが、この他にも、創造的読書のパターン・ランゲージやパターン・アプリなど、井庭研の成果の論文も発表されます。)

最初の論文は、「パターン・ランゲージによる無我の創造のメカニズム:オートポイエーシスのシステム理論による理解」です。ここ数年僕が興味をもってきたテーマを扱った本格的な論文です。「無我の創造」(egoless creation)とは、自分の身体や感覚を総動員して全身全霊で取り組むが、「こうしてやろう」という作為を生む自我を抜く創造のことです。この論文は、パターン・ランゲージが無我の創造を可能とするためのメディアとしてどのように機能するのかをシステム理論的に明らかにするという論文なのですが、その説明の過程で、作家が「登場人物が勝手に動き出す」と言っているはどういうことかという話や、仏教のマインドフルネスの話なども交えるという"すごい"論文です(しかも32ページの大作!)。ぜひお楽しみください!

「パターン・ランゲージによる無我の創造のメカニズム:オートポイエーシスのシステム理論による理解」
(井庭 崇)

Abstract:
本論文では、パターン・ランゲージの思想のなかでも最も重要であるが、見過ごされがちであり胡散臭いものだと片付けられてしまいがちな、自我を入れない創造のプロセスについて論じる。アレグザンダーは、デザイナー個人の能力ではなく、個々人のレベルを超えた生成的なメカニズムを見据え、それにもとづく創造を重視した。本論文では、アレグザンダーが主張していることは、物語作家たちが「物語をつくるときには、自分がつくっているというよりも、登場人物が自律的に動き、物語自身が展開していく」と語っていることに共通点があるとして、それを「無我の創造」(egoless creation)という概念で捉える。ここでいう「無我の創造」とは、自分の身体や感覚を総動員して全身全霊で取り組むが、「こうしてやろう」という作為を生む自我を抜く創造のことである。そして、その無我の創造では何が起きているのかを、オートポイエーシスのシステム理論である社会システム理論と創造システム理論から考察する。その結果、無我の創造とは、創造システムでの発見の生成・連鎖の結果を、心的システムが「体験」しているということだと捉えることができる。このとき、仏教の瞑想におけるマインドフルネスの状態と類似した状態になっていると考えられる。そのような無我の創造を可能とするのが、パターン・ランゲージである。再び、システム理論の概念で考えるならば、パターン・ランゲージのパターンは、創造システムにおける発見の選択を支援するための発見メディアであるとともに、言語として心的システムと社会システムを構造的カップリングさせる機能をもつ。本論文では、このように、近代的思考の感覚からすると理解しがたい「無我の創造」について、システム理論で捉え直すという新しい道を拓いた。


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井庭 崇, 「パターン・ランゲージによる無我の創造のメカニズム:オートポイエーシスのシステム理論による理解」, 7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs(AsianPLoP2018) , 2018

論文PDF: http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/papers/AsianPLoP2018_EgolessCreationWWS.pdf

この論文に興味を持っていただいた方は、ぜひ、3月1・2日に早稲田大学で開催される国際学会AsianPLoP 2018 (7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs)にお越しください。そこでライターズ・ワークショップという場が設けられ、この論文について語り合う時間があります。ぜひ、事前登録の上、ご参加ください。
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コラボレーション・パターン プロジェクト活動映像#2

創造的なコラボレーションのパターン・ランゲージである「コラボレーション・パターン」(Collaboration Patterns)の制作活動映像の第二弾をつくった。

第一弾のパターン・マイニングのためのブレイン・ストーミングに引き続き、今回はブレインストーミングで出た「コラボレーション」のコツ/こだわりを、KJ法で体系化した。4日間で計20時間の活動を、映像では1000倍速で一気に駆け抜けます。

短い時間で一気に見るからこそ捉えられるものがあります。ぜひご覧ください!

Visual Mapping for Making a New Pattern Language for Creative Collaborations (Collaboration Patterns Project #2)
Recorded by Collaboration Patterns Project, Edited by Takashi Iba.
http://vimeo.com/42780071

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コラボレーション・パターン | - | -

KJ法のコツ(パターン・マイニングのための収束思考)

井庭研では、パターン・ランゲージをつくる際に、自分たちのこだわりをブレインストーミングによってたくさん出したあと、KJ法によってまとめていく。そのときのコツがあるので、以下に書き出してみたい。

KJ法では、まず、大きなテーブルの上に、模造紙敷き詰める。複数枚の模造紙をテープでつなげて広い平面をつくる。この紙面の広さが、思考の可能性の広さだと考えた方がよい。なので、なるべく広くとりたい。

そして、その上に、アイデア(パターン・マイニングの場合には、取り組んでいるテーマに対するこだわり・コツ)を付箋に書いたものをランダムに貼っていく。この付箋は、その前の段階のブレインストーミングで書かれたものである。

模造紙の上に、貼ってみて、適度に空白のスペースがある方がよい。(ただし、実際問題として、かなり多くの付箋がある場合には、空白がつくりにくい場合もある。次のコラボレーション・パターン プロジェクトでの写真のように。)

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僕らはKJ法は、いつも、立って行っている。座ってしまうと、遠くの付箋が見えない上に、気持ちが落ち着いてしまって、取り組みの姿勢がスタティックになってしまう。立っていれば、テーブルの違う位置に移動して、違う角度から見たりすることもしやすい。

あとは、話し合いや思考を促すような、音楽をかける。音楽に思考を占領されないように、ノリがよくてあまりみんなが知らない曲の方がよい。


KJ法では、付箋に書かれた意味を考え、その意味が近い付箋同士を近づけて再配置する。ぺたぺたと付箋を張り替えるのである。

複数人でKJ法をやる場合には、他の人に、どの付箋とどの付箋がどういう意味で近いと思うのか、を表明し、話し合う。このことで、付箋の意味の再確認ができ、かつ、全員が付箋間の距離についてのイメージが、少しずつわかってくるようになる。

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パターン・マイニングのKJ法では、ひとつの付箋にはひとつのこだわりが書かれているので、付箋間の距離はこだわり間の距離ということになる。だから、付箋と付箋を近づけるというのは、こだわりとこだわりが近いということを確認するということ。

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KJ法をやるときに、一番気をつけなければならないのは、既存の枠組みに当てはめて配置するのではだめだということ。つい、「○○系」とか「○○的」と言って近づけたくなるのだけど、この言葉が出たら危険。当てはめる枠組みを想定して、そこれに所属させようとしている証拠。

KJ法の最初の段階(最初と言ってもここが一番ながい)では、まとまりは見ず、あくまでも二つの付箋の近さという観点で考える。すでに近づけたAとBにCを近づけるときには、Cと「AとBのまとまり」との距離を考えるのではなく、「CとA」の距離と「CとB」の距離を考える。

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この「二者間の距離を積み上げていく」意識はとても重要。これを強く意識してやらないと、あっという間に、形成しつつあるまとまりに、他の付箋を吸着する作業になってしまう。これでは、真に「付箋(こだわり)間の距離」を考えることにはならず、KJ法としては失敗となる。

そして、KJ法では、一度近づいたものもまた離れたり、一度まとまったものもまたばらけたりすることが頻繁に起こる、ということを十分理解することも大切。そうしないと一度考えたことにずっと囚われることになってしまう。すべてが一時的で流動的でありながら、徐々に組織化がなされていく。

なので、中盤でまとまりが認識できるようになってきたとき、早くペンや鉛筆で囲ってしまいたくなる衝動にかられるのだが、そこはぐっと堪えたいところ。まとまりを丸で囲ってしまうと、心理的に安心してしまって、もうそこは不動のものとなってしまう。この安心感も、KJ法の敵である。

まだ場所が定まっていない付箋を、一度場外に出してもよいか、という質問も受ける(場が複雑で読み取りにくいという理由)。僕の答えはNO。すべての付箋は、その空間上に置くべき。変なところに置いてあるのであれば、それが違和感や気持ち(居心地)の悪さを生み、早く動かそうという気持ちを生む。

この「混沌」とした状態からはじめ、「混沌」としたものと徹底的につきあうというのが大切だと思っている。それが川喜田二郎さんの言う「その混沌のなかから、“何とかしなければならない”という意思が生まれてくる」ということだと思っている。

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もうひとつ、付箋を場外に出してはいけない理由は、まだ誰とも近づいていない付箋同士が近づく可能性もあるからだ。場外に出してしまうと、場外に出したものをなかのまとまりに吸着させていく、という作業になりやすい。これは、先ほど書いたようにまずい。

KJ法を進めていくと、すべての付箋はそれが置かれている位置との関係が、ほのかに記憶に残っているもの。トランプの「神経衰弱」やカルタの場合と同様。だから、「あ、似たようなのが、あっちにあった!」というようなことになる。なので、他の人に黙って、勝手に付箋の場所を変えてはならない。

井庭研でやっているなかで、定番となったのは、いろんな色の付箋を使うということ。そうすると、大量の付箋のなかから探すときに、「黄色の付箋だった」というように、色をキーにして探しやすくなる。実際、みんな、言われなくても、自然と色を覚えている。

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あとは、実際に探すときのキーになっているのは、字の特徴や書かれた雰囲気。「○○の書いた汚い字のやつ」とか「大きく○○と強調されている付箋」というように、そういう情報も、ほのかな記憶として、KJ法の作業を後押ししてくれる。

パターン・マイニングの中盤以降は、まとまりを囲っていく。そうすることで、落ち着かせる。その段階にいくまでは、妥協せず、とことん話し合いながら、配置換えを繰り返す。ここを急いではいけない。井庭研のコラボレーション・パターン プロジェクトでは、ここまでに11時間かけた。

次回は、この囲ったまとまりを、その台紙になってる模造紙ごと切って、まとまりの浮遊物をつくり、今度は、それらのまとまり間の距離について考えていく。普通なら、そういう関係性も付箋を貼り直してやるのだけれども、数百枚の付箋があると、実際問題としてかなり難しい。そこで、そうすることに。

パターン・マイニングのKJ法の目的は、一つには、ローカルな距離の考察からボトムアップで全体を組織化していくということがあるが、もう一つ重要な目的がある。それは、パターンの粒度をあわせるということ。このKJ法が終わると、小さなまとまりを1つの「パターンの種」として捉える。

こだわりを出していったブレインストーミングでは、具体的なものもあれば抽象的なものもあり、細かい話もあれば大きな話もある。それをそのままパターンにすると、バラバラなレベルのものができてしまう。なので、KJ法で、それらの粒度や抽象度をあわせる、ということを行っている。

なので、パターン・マイニングのKJ法では、徐々に全体像をつくりながらも、部分の粒度や抽象度を合わせていく、という二兎を追っていることになる。ここがまた時間のかかるところであり、後半戦が大変な理由でもある。

以上が、パターン・マイニングにおけるKJ法で重要なことである。
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コラボレーション・パターン プロジェクト活動映像#1

現在、井庭研では、創造的なコラボレーションのパターン・ランゲージ「コラボレーション・パターン」(Collaboration Patterns)を制作しています(→ 井庭研B1シラバス)。

そのパターン・ランゲージ制作の活動風景を、映像としてまとめて、公開していきます。

第一弾は、パターン・マイニングのためのブレイン・ストーミングの回。
コラボレーションにおける重要なこだわりについて、とにかくたくさん挙げていきます。テーブルの上が徐々に埋まっていく感じを、映像で追体験してみてください。


Vimeo "Brain Storming for Making a New Pattern Language for Creative Collaborations (Collaboration Patterns Project #1)"
Recorded by Collaboration Patterns Project, Edited by Takashi Iba.
http://vimeo.com/41613781

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これまで、井庭研でのパターン・ランゲージ制作は、事後的に講演・ブログ等で紹介してきましたが、今回は、制作途中の段階からどんどん紹介していきます。

また、これまでは、写真で活動の紹介をしていましたが、今回は動画です。とてもよく雰囲気がでていると思うので、ぜひ、ご覧ください。
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「創造」とはどういうことか?

先日の井庭研 2011年度最終発表会での僕の講演「創造社会の思想と方法」のスライドをアップしました。

この講演では、「創造」とはどういうことかについて、作家の言葉を紹介しながら迫っていきました。

僕のメインメッセージは、次の通り。

本格的な「創造」とは、自分と創造物との間の主客の境界があいまいになるなかで、意識の外にある必然的な流れをつかまえるということである。


講演では、このことに関係する発言をしている作家の言葉をたくさん取り上げました。取り上げたのは、宮崎 駿 氏、久石 譲 氏、ミヒャエル・エンデ 氏、村上 春樹 氏、スティーヴン・キング 氏、森 博嗣 氏、小川 洋子 氏、谷川 俊太郎 氏と、川喜田 二郎氏。

これらの作家たちの言葉を次のようなまとまりで束ねて、「創造」とはどういうことかについて語りました。

  • つくっているのではなく、つくらされているという感覚
  • つくるというのは、冒険である。
  • 必然的な流れ
  • 創造に求められるタフネス
  • 創造の“ふるさと”

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2011年度に僕が行った対談・鼎談の公開映像一覧

今年もたくさんの対談・鼎談を行いました(おつきあいいただいたみなさん、ありがとうございました!)。

その対談・鼎談のうち、SFC Global Campus(SFC-GC)のサイトで映像が公開されているものをリストアップしました。どなたでも無料でご覧になれますので、興味がある回があれば、ぜひどうぞ。リンクをクリックすると、ブラウザ上で映像再生が開始します。

■「“自分”から始まる学びの場のデザイン」
(市川 力さん × 今村 久美さん × 井庭 崇 鼎談, 2011年5月21日, 3時間)
→ 鼎談映像 《前半》《後半》

■「学びと創造の場づくり」
(中原 淳さん × 井庭 崇 対談, 2011年7月9日, 3時間)
→ 対談映像 《前半》《後半》

■「カオスの生成力」
(合原 一幸先生 × 木本 圭子さん × 井庭崇 鼎談, 2011年11月5日, 3時間)
→ 鼎談映像 《前半》《後半》

■「社会を変える仕組みをつくる」
(井上 英之さん × 中室 牧子さん × 井庭 崇 鼎談, 2011年11月12日, 3時間)
→ 鼎談映像 《前半》《後半》

■「内からのことばを生み出す」
(山田 ズーニーさん × 井庭崇 対談, 2011年11月28日, 1時間半)
対談映像

■「ユーザーエクスペリエンスデザイン」
(長谷川 敦士 さん × 井庭崇 対談, 2011年12月12日, 1時間半)
対談映像

■「デジタル・ファブリケーション、パターン・ランゲージ、複雑系」
(田中 浩也 さん × 井庭崇 対談, 2011年12月13日&20日, 計3時間)
→ 対談映像 《前半》《後半》
イベント・出版の告知と報告 | - | -

ORF2011 井庭研ブースで配布する論文集

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2011年11月22日(火)・23日(水・祝) に六本木ミッドタウンで開催される ORF2011 の井庭研の展示ブース(B12 および B13)では、以下の論文が収録された『井庭研究会 学会発表論文集 2011』を配布します。


展示B12
インターリアリティプロジェクト

展示B13
井庭崇研究会


『Iba Lab. Papers Collection ̶ 井庭研究会 学会発表論文集 2011』

【パターン・ランゲージ】
  • 「パターンランゲージ 3.0:新しい対象 × 新しい使い方 × 新しい作り方」(井庭 崇, 情報処理, Vol.52 No.9, 2011)
  • "How to Write Tacit Knowledge as a Pattern Language: Media Design for Spontaneous and Collaborative Communities" (Takashi Iba, Mami Sakamoto, & Toko Miyake, 2nd Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs2010), 2010)
  • "Collaborative Mining and Writing of Design Knowledge" (Mami Sakamoto & Takashi Iba, 3rd Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs2011), 2011)
  • 「『コラボレーションによる学び』の場づくり:実践知の言語化による活動と学びの支援」(井庭 崇, 人工知能学会誌 24(1), 70-77, 2009)
  • "Learning Patterns III: A Pattern Language for Creative Learning" (Takashi Iba & Mami Sakamoto, 18th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP11), 2011)
  • "Pedagogical Patterns for Creative Learning" (Takashi Iba, Chikara Ichikawa, Mami Sakamoto, & Tomohito Yamazaki, 18th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP11), 2011)
  • 「A Pattern Language for Child Rearing:育児のパターン・ランゲージ」(中條 紀子 & 井庭 崇, 2nd Asian Conference on Pattern Languages of Programs (Asian PLoP2011), 2011)

【創造システム理論】
  • 「自生的秩序の形成のための《メディア》デザイン:パターン・ランゲージは何をどのように支援するのか?」(井庭 崇, 10+1 web site, INAX Publishing, 2009 年9 月号)
  • "An Autopoietic Systems Theory for Creativity" (Takashi Iba, Procedia - Social and Behavioral Sciences, Vol.2, Issue 4, 2010, pp.6610-6625)
  • "Autopoietic Systems Diagram for Describing Creative Processes" (Takashi Iba, 2nd Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs2010), 2010)

【複雑系/カオス/ネットワーク】
  • "The Origin of Diversity: Thinking with Chaotic Walk" (Takashi Iba & Kazeto Shimonishi, Unifying Themes in Complex Systems Volume VIII: Proceedings of the Eighth International Conference on Complex Systems, Sayama, H., Minai, A. A., Braha, D. and Bar-Yam, Y. eds., NECSI Knowledge Press, 2011, pp.447-461.)
  • "Hidden Order in Chaos: The Network-Analysis Approach To Dynamical Systems"
    (Takashi Iba & Kazeto Shimonishi, Unifying Themes in Complex Systems Volume VIII: Proceedings of the Eighth International Conference on Complex Systems, Sayama, H., Minai, A. A., Braha, D. and Bar-Yam, Y. eds., NECSI Knowledge Press, 2011, pp.769-783)
  • "Analyzing the Creative Editing Behavior of Wikipedia Editors Through Dynamic Social Network Analysis" (Takashi Iba, Keiichi Nemoto, Bernd Peters, & Peter A. Gloor, Procedia - Social and Behavioral Sciences, Vol.2, Issue 4, 2010, pp.6441-6456)
  • 「Wikipedia におけるコラボレーションネットワークの成長」(四元 菜つみ & 井庭 崇, 情報処理学会 第7 回ネットワーク生態学シンポジウム, 2011)
  • 「書籍販売における定常的パターンの形成原理」(北山 雄樹 & 井庭 崇, 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Notes 2011-MPS-82(20), 2011)

【エッセイ】
  • 「モバイル時代の英語力強化法:日本にいながらの環境構築」(井庭 崇, 人工知能学会誌 25(5), 2010, pp.710-714
このブログについて/近況 | - | -

「創造の知」の言語化 − なぜ僕はパターン・ランゲージをつくるのか?

僕は、個人・組織・社会の創造性(クリエイティビティ)に興味がある。創造的なプロセスと言ってもいい。そこで、創造性や創造的プロセスについてあれこれ考えたところ、創造という事態は、円環的なシステムとしてしか描けない、という結論に至る。こうして、オートポイエーシスのシステム概念を用いた 創造システム理論(Creative Systems Theory)を提唱することになる。心理学でも組織論でもない、創造性についてのまったく新しい捉え方である。

その理論の核心は、創造とは《発見》の生成・連鎖である、という点だ。生成した途端に消滅してしまう出来事としての《発見》。しかも、物理的世界とは異なり、《発見》はコンティンジェント(偶有的)な存在であり、別様でもあり得た可能性が絶えず伴っている。決定論的な因果関係で決められるのではなく、コンティンジェントな選択として、《発見》は生起するということだ。因果法則的でもなく、しかしでたらめでもないような事態 −−− このような事態を、我々はどのように “理論” 化することができるのだろうか?

この問いに対するひとつの答えとして、僕は、パターン・ランゲージによる記述に挑戦している。パターン・ランゲージには、ある状況においてどのような問題が生じるのか(と認識されているのか)と、それをどう解決するのか(とよいと考えられているのか)が記述される。これは、熟達者がそのドメインにおいて、どのように世界を見て、どのように思考・行動しているのか、ということを記述することに他ならない。

僕のみるところ、コンティンジェントな《発見》の生成には、それを下支えする「型」のようなものがある。しかも、型はひとつではなく、数多く存在する。ただし、それらがどの順番で生起するのかについては、かなり自由度が高く、それは生成の状況に委ねられている。それゆえ、法則としてきっちり示すことはできなくても、ゆるやかにつながり、ダイナミックに結合できるパターンとしてなら、記述することができるかもしれない。その可能性に賭けているのである。

そして、パターン・ランゲージで記述するメリットとしては、それが言語であることから、それを思考やコミュニケーションの手段として用いることで、他者と共有することができる点である。つくった “理論”(と呼びうるかは微妙だが)が、そのまま利用可能だということである。


もちろん、パターン・ランゲージの形式で、すべての《発見》の型が記述できるとは考えてはいない。というのは、すべての《発見》が、問題発見・問題解決型でなされるわけではないからだ。思考の癖やレトリック、思考スタイルの影響をうけながらの“自由”な想像によって《発見》に至ることもある。そうなると、問題発見・問題解決型のパターン・ランゲージ以外のランゲージも考えられそうである。

こうして僕は最近、パターン・ランゲージも含むより上位の概念として、「創造言語」(Creation Language)というレイヤーを考えるようになった。パターン・ランゲージは、《発見》の連鎖を促す創造言語の一種だが、創造言語には、パターン・ランゲージ以外の言語もあるというイメージだ(現在はまだ、その言語に適切な名前を見出せていない)。

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いずれにしても、いろいろなドメイン(の熟達者の心/身体、そして道具/制度/文化)に埋もれている「創造の知」(knowledge of creation)を、次々と言語化していく −−− これが、僕が中長期的に取り組む活動・テーマになりそうだ。

社会システム理論を提唱したニクラス・ルーマンが、経済、政治、法、学術、教育、宗教、家族、愛など、様々な社会領域について一つの理論で記述していったように、僕も、芸術、科学、工学、経営、政策、教育、建築、自然など、様々な創造領域の創造の知を言語化していくことになるだろう。学習パターン政策言語探究型学習のためのパターンの作成というのは、その一環であるといえる。

また、FAB Lab のニール・ガーシェンフェルドが、「How to Make (Almost) Anything」という授業を展開しているように、僕も、いわば「How to Share the Knowledge of Creation in (Almost) Any Domains」というような授業を展開することになるだろう(僕の場合は特殊な機械は必要ない、いたってローテクなアプローチではあるが)。このような展開を見据えて、「パターンランゲージ」の授業を現在、開講・担当している。

今回は、今僕がみている方向性について、ざっくりと書いてみた。このような方向性に興味がある方、一緒に取り組みたいという方は、連絡をいただければと思う。具体的な活動は未定だが、ネットワークづくりは徐々に始めていきたいと思う。
「創造性」の探究 | - | -

『決断力』(羽生善治)に羽生さんの創造性を見る

将棋棋士の羽生善治さんの『決断力』を読んだ。

非常に示唆に富んだ本で、大変興味深く読ませてもらった。
 
羽生さんがどういう人なのかがわかるとともに、将棋の世界がどういうものなのかも垣間見ることができた。そして、将棋を指すということについて、僕は何もわかっていなかったと思わざるを得なかった。将棋は無限の世界であるという羽生さんが、その世界にいかに向き合っているのか。その世界観が大変興味深い。また、コンピュータの登場が将棋の世界をどのように変えているのかについても面白かった。

しかしながら、より興味深いのは、将棋を通じて育まれた彼の考え方が、将棋の世界のみならず、多くの物事に通じる普遍性をもっているということだ。まさに、個を突き詰めたゆえの普遍性だ。彼は将棋とスポーツには共通点があると語り、またビジネスや研究にも通ずるものがあるという。僕は、この羽生さんが語る「エクスパティーズ」(熟練)の本質に、ただただ頷くばかりであった。

その普遍性を羽生さんも十分承知していて、それぞれの話題の後に必ず「将棋にかぎらず…」として、読者の携わる世界でも同様であることに言及している。このことが、本書が将棋好き以外の読者にも広く読まれてきた理由なのだろう。


「棋士は指し手に自分を表現する。音楽家が音を通じ、画家が線や色彩によって自己を表現するのと同じだ。小説家が文章を書くのにも似ている。二十枚の駒を自分の手足のように使い、自分のイメージする理想の将棋を創りあげていく。ただ、将棋は二人で指すものなので、相手との駆け引きのなかで自分を表現していく。その意味では、相手は敵であると同時に作品の共同制作者であり、自分の個性を引き出してくれる人ともいえる。」(p.67)


この部分で、将棋における「創造性」についてのイメージがぐっと広がった。

これまで、僕のなかには、将棋は有限の配置の組合せのなかでの勝負だというイメージがあったが、その見方は将棋の本質を矮小化した見方であるということがわかった。その有限性はたしかに「神」の視点からは正しいかもしれないが、人間は神の位置にいるわけではない。あくまでも広大に広がる展開の一節点に立っているにすぎない。

将棋が有限の局面の集合でしかないという見方は、まるで小説や詩が有限の文字の組合せに過ぎないと看做すようなものなのである。それでは、創造性という存在は無化されてしまう。もし小説や詩に創造性を見いだすならば、将棋にも創造性を見いだすことができるはずだ。僕はこの立場をとっているし、とりたいと思う。

羽生さんのこの本には、そういった将棋の創造性についての彼の考え方が書かれているように、僕には思えた。これは僕の過剰な読み込みかもしれない。しかし、僕にとっては、この本はその点において、大変示唆に富む本であったことは間違いない。

『決断力』(羽生善治, 角川oneテーマ21, 角川書店, 2005)
最近読んだ本・面白そうな本 | - | -
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