井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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仏教へのプラグマティックな関心と「創造におけるマインドフルネス」

最近、よく仏教の本を読み、それについて書いているので、「井庭さん、最近スピリチュアルな感じだ」とか、「病気して、信仰深くなったかな」と見えるかもしれないので(それ自体は悪いことだと思っているわけではないが、僕の意図とは異なるので)、どういう関心でどう読んでいるかを書いておきたいと思う。結論から言うと、宗教的な救いや信仰というよりも、実践の教えと世界の捉え方として関心がある(いまのところ)。僕はやはり、プラグマティストでシステム論者であるということだ。

まず、仏教の本への具体的な入口とステップになったのは、山下良道さんらの『アップデートする仏教』などの本と、そこからつながったティク・ナット・ハン師への本である。

それらの本を読むとき、僕は、呼吸からいまここの身体に気づくという話としてではなく、創造の話に読み替えて、その同型性にワクワクしている。つまり、そこで語られているマインドフルネスの話が、僕が創造性について考える大きな参照点になっているのである。いわゆるマインドフルネスのための瞑想では、呼吸に意識を向けることで身体に「気づき」、いま・ここを生きるということにつながるが、そこから僕がアナロジーで見るのは、創造のマインドフルネスで、創造における発見の連鎖を向けることで、その創造における生成に「気づく」。創造の最中に感じる喜びや満たされている感じ、世界・宇宙の本質に触れている感覚は、瞑想におけるマインドフルネスに近いのではないかと思っている。僕はそういう読み方をしている。どちらもシンキングマインドを落として、世界に気づくことである。身体のみならず、創造における生成も、世界・宇宙とつながっているそれらの一部である。

僕が創造が、思考の話ではなく、発見の連鎖に委ねることだと考え出したのは、カオスの研究をしていたとき。そのとき、僕らは、カオスのシステムのなかに複雑で美しい秩序が潜んでいることを、それまでとは異なる視点で発見した。inventかdiscoveryかという二項対立がよくあるが、僕はどちらもである、と感じた。そのカオスの秩序は、光の当て方という意味ではinventだが、その秩序はもともと潜んでいたという意味でdiscoveryである、スティーブンキングが、物語は、化石のように掘り起こされるのを待っていて、作家は注意深くそれを掘り起こすんだと言っているが、それは同様のことを言っているように思う。つまり、科学的発見も創作的発見も、機能的には同じであるという捉え方が得られ、それが僕の「創造システム理論」のベースになっている。

さて、プラグマティストであるということはどういうことか。命題を、そのままでそれが真か偽かを判定できないという考え方をする。それを「もしこうしたら、こうなる」というかたちに変換してそれで検証する、すなわち効果があることで、その命題を真と言えるという立場である。そういう視点から、ティク・ナット・ハン師の本などを読んでいる。

つまり、どの宗教でも「よい行い」を勧めるときには、「ブッダはこう言った」というように、その言われの元に根拠を置いて説明・説得する。それゆえ、ブッダを信じるかどうか、ということになり、信仰となる。

僕はプラグマティズムで考えるので、「よい行い」がどのようなよい結果を生むかで、その行いを評価する。つまり、その行いが誰によって言われた・実践されたかではなく、その行いそのものと、その結果に注目する。これが、パターンランゲージ3.0をつくることで僕らがやっていることでもある。ある分野の実践において、どういう状況でどうすることが推奨され、それはどんな問題を回避してどういうよい結果(質)を生むのか、というかたちで取り出して記述する。行いそのものの効果を見るので、もはやブッダやイエスやアラーを「信じる」必要はない。パターンがあることとそれが機能するということを信じられればよい。

このことを、ルーマンの社会システム理論的に言うならば、僕の依拠しているのは、「誰々だから」という人格信頼ではなく、「それが機能する」というシステム信頼であると言える。僕が仏教の本を読むとき、行いと結果の話に線を引き、「ブッダは」という部分は背景に退かせて読んでいる(そこは、ふむふむと読むが、言説の論拠として重要と感じない)。

僕にとっては、科学も宗教も芸術もも、すべて、現実・現象の背後に潜む原理・原則に迫り明らかにするという点で、機能的等価なのである。それらが、世界観・認識フレームを提供し、僕らが生きていくための思考や実践を支える(影響する)。誰が言ったからとは関係なく、そのことがよい効果をうむということがわかると、それが認識に作用し、思考・行動が変わる世界の仕組みをどう見るか、というところに興味がある。
神話や宗教的言い方でしか言えなかった、よい結果を生む行い・実践について、以前は「ブッダいわく」としか説明できなかったが、いまなら、違うかたちで説明・お勧めすることができる。パターンというかたちやその連鎖の体系のシステムとして。

仏教も、人類の長い歴史なかで、語り継がれなくならなかったくらいには、よい結果を生み出すのに興味したがゆえに残ってきただろう(そうでなければ、進化的な意味で途絶えただろう)から、その意味での大いなるリスペクトというか、学ぶべきことを含んでいると思っている。特に「生きること」や「よりよく生きる」ということに真摯に正面切って取り組んできた人類の知的営みが宗教だと思う。その意味で、僕は宗教がもつ世界観やおすすめされている実践について興味がある。

そして、それが創造性について考えるための参考・参照点となっている。僕の関心はそういうところにある。
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めずらしく小説を読んでいる

小説を無性に読みたくなる時期というのがある。

ほとんど小説を読まない僕にとって、かなりめずらしい感覚だ。

それは突然訪れ、いきなり終る。



ふだんから僕は本をよく読む方だが、それは科学書や思想書などの類の本。

小説に描かれた世界を味わおうという気持ちは、これっぽっちも生まれてこない。

でも不思議なことに、この時期には、逆に科学書などを読む気が失せてしまう。



実は半月ほど前から、その波がやってきている。おそらく、7、8年ぶり。

今回も、それは何の理由もなく始まった。

そんなわけで、めずらしく小説を読んでいる。



僕の印象では、小説には、「生」と「性」について書かれているものが多い。

「生」は「死」との関係において、「性」は「愛」・「苦悩」との関係について。

そういったテーマで、具体的なストーリーが、出来事や会話が、描かれる。



僕が小説を好きになれなかったのは、「死」と「苦悩」が過剰すぎるからだ。

人はよく死ぬし、愛(ときには歪んだ)や葛藤・苦悩で満ちあふれている。

おそらく、人生にはそういうものが必要なときがあって、それを読むことが考えることになったり、救いになったり癒しになったりするのだろう。

(僕の場合、そういうものは思想や科学の知識で埋めようとしていたようだ。)



今回は、少しいつもと違う感覚を味わえている。

「そういうことあるよね」とか「こういうの素敵だな」という気持ち。

そして、「こういう時期って確かにあるね」という懐かしさ。

「もう僕は経験できないけど、そういう人生もあり得るね」という想像。



大人になったというか、思春期からだいぶ離れた年齢になったこともあるだろう。

(まあ、こんなふうに僕は、いろんなことに気づくのが、ふつうの人よりもかなり遅いのである。)

しばらく、楽しめそうだ。
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「Blue Man Gourp: Tubes」

ニューヨークで行われている、僕のお気に入りのショーを紹介しよう。それは、「Blue Man Group: Tubes」というものだ。

BlueMan
 ニューヨークと言えばブロードウェイのミュージカルが有名だけど、これはオフ・ブロードウェイいわれる類のもの。オフ・ブロードウェイというのは、ブロードウェイの劇場に比べて小さい劇場で行われているショーのことだ。日本でいうならば、下北沢にあるようなサイズの劇場のイメージといっていいかもしれない。実験的なユニークな作品が上演されることが多く、ここで絶賛されてブロードウェイに進出するものもある(例えば『シカゴ』や『レント』など)。
 Blue Manは、まさにそんな実験的な雰囲気が漂う、ビジュアル&リズムパフォーマンスだ。全身が真っ青の宇宙人らしき3人が、まったくしゃべらずに、いろいろなパフォーマンスを見せてくれる。かっこいいし、かなり笑えるのだ。一時期、3M社のCMに出ていたので、見たことがある人もいるかもしれない。
 で、僕は、ニューヨークに行くたびに、一緒に行った人をいつも連れていってしまう。たぶんもう5、6回は見たと思う。いつも笑えるし刺激もうける。最近は、旅行ガイドブックにも載っているようなので、うれしいような悲しいような……。

    「Blue Man Group: Tubes」
    @アスター・プレイス劇場 (Astor Place Theatre) 434 Lafayette St.
    「Blue Man Group」Webサイト
    ネット上でもチケット予約ができる。人気のショーなので、早めに予約しておくとよい。
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