2013.04.17 Wednesday
13:03 | posted by
井庭 崇
2013年度春学期開講の
「起業と経営」(竹中平蔵、井庭崇)の第1回に、佐野陽光さんから「1週間以内に、何でもよいので、ひとつ問題解決をする」という課題が出されました。
先週から今週にかけて履修申告の時期ということもあるので、初回授業から1週間ではなく、2週間とり、4月25日(木)23:00までに、その結果を報告してもらうことにしたいと思います。
初回からの2週間の間に、自分が「何の問題」を「どのように解決」したのか、そして「その結果どうなったのか」を書いたレポートを提出してください。
ここでいう「解決」というのは、単に「解決策を考えた」ということではなく、実践し、その問題が実際に解決された・解消されたということを意味しています。
単に「○○するということを提案する」「○○というアイデアを考えた」ということでは、解決ではありません。
短い期間で解決できる
小さな問題で構いませんので、考えた解決策の実践までを含めてコンプリートしてください。
それでは、報告、楽しみにしています。
提出先:SFC-SFS
期限:2013年4月25日(木)23:00
形式:A4用紙1枚
ファイル:doc、docx、pdf
レポートタイトル:※解決した問題を書いてください。
情報:学部、学年、学籍番号、名前を明記してください。
2013.04.17 Wednesday
12:57 | posted by
井庭 崇
2013年度春学期開講の
「起業と経営」(竹中平蔵、井庭崇)は、「グローバルセキュリティ研究所設置科目」になります。
そのため、履修申告の際には、通常のSFC科目とは異なる見つけ方をしなければなりません。
設置学部で「グローバルセキュリティ研究所」を選び、「[B欄:21] 他学部等設置科目」として履修申告してください。
履修申告のメイン画面にて、上部「設置学部(研究科)・諸研究所・学科(専攻):」の欄で、「グローバルセキュリティ研究所」を選択し、金曜日で検索をかけてみてください。5限に「起業と経営」が表示されるはずです。
また、他学部設置科目としての履修になるので、分野の欄を変更する必要があります。
そのときの履修申告に関する注意が
http://www.gakuji.keio.ac.jp/sfc/3946mc00000286sv.html にも掲載されていますので、併せて確認したうえで、履修申告をしてください。
2013.04.16 Tuesday
16:53 | posted by
井庭 崇
いま私たちが感じている閉塞感がどこから来るのかを辿っていくと、その根本には、現在の社会が「応急処置的な社会」であるという点に行き着くように思う。
日々目新しい商品やサービス、情報が生まれてはいるものの、根本的なところで新しいものを「つくる」こと、そして既存のものを「つくり直す」ということが回避される。そのための議論もいつのまにか封じ込められ、とりあえず問題を大きくしないためのパッチを当てて、やり過ごされる。
この傾向は社会全体に言えるだけでなく、組織やコミュニティにおいても同様である。状況が変わり、新しい問題が生じていても、私たちは依然として過去の仕組みや考え方にしがみつき、そこから離れることがますます難しくなっている。
これは、個々人の意識・意欲の衰弱であるとともに、そのような逸脱を引き戻す社会・組織的な引力によるものだと考えることができる。応急処置的な社会・組織では、いくつかの理由によって、「つくる」こと、「つくり直す」ことが回避・封印される。
第一に、「過去の成功」によるものが、まだそれなりに機能しているという理由である。「これはこれで、なかなかうまくできている。歴史的にも実証されてきた。新しいものがよりよいとは限らないよ。」というわけである。
第二に、変革には「コスト」が膨大にかかるという理由である。「すでに今あるのだから、よいではないか。これを捨てて新しいものをつくるのは、とてもコストがかかって大変だよ。お金も、時間も、労力もかかる。」ということになる。
第三に、どのようにつくるのかという「方法の忘却」という理由もある。「あのころは必死だったから、無我夢中でつくったものだ。でもね、もうああいうのは、おすすめできない。そもそもどうやってつくったのか、思い出せないよ。とにかく、ああいうのはあのときだけでいい。」と言われてしまい、それ以上話が続かない。
このような理由で、新しいものを「つくる」ことや、既存のものを「つくり直す」ことへの道が封じられることになる。抜本的な改革は先送りされ、応急処置的にパッチを当てて、なんとかその場をしのぐということになる。
個々人にとっても、心のどこかで、「まあ、たしかに現存のものでも、まだなんとかなる」という気持ちがあり、何か大きなアクションに移そうという気も起きない。こうして、不満や違和感を感じながらも、時間だけが過ぎていく。
このまま行くと、私たちの未来はどうなってしまうのだろうか。
当然、古い制度・仕組みにがんじがらめになったまま、そこから抜け出せないという未来が見えてくる。しかも、現在の仕組みをつくった世代が引退すれば、当然後に残るのは、自分たちの社会・組織を「つくったことがない世代」である。こうして、社会・組織から「つくる能力・経験」の喪失が起きてしまうと、そこから抜け出すことはより一層難しくなる。
なんとか低空飛行を続けることができるかもしれないが、社会的破綻へと至る可能性も否定できない。
私たちは、そのようなシナリオとは別の未来を生きることはできないのだろうか?
こういうとき、いつも私の頭をよぎるのは、アラン・ケイの次の言葉である。
「未来を予測する最善の方法は、自ら未来をつくるということである」
(The best way to predict the future is to invent it.)
この言葉に象徴されるように、現在の延長線上の未来を見て、それをただただ傍観者として眺めているのではなく、自ら積極的に未来にコミットしていくという姿勢が大切だろう。
自分がコミットするのであれば、どのような未来がよいだろうか?
ここでは、そのポジティブな未来シナリオを描いてみることにしたい。
まだ漠然としていて、具体性に欠けるシナリオではある。しかし、そういうことを語り始めることこそが、今まさに必要なことなのだと思う。
そのポジティブな未来とは、「自己革新的で創造的な社会」である。
自分たちで自分たちの仕組みをつくり、つくり直していく社会 ——— このような社会を「創造社会」(Creative Society)と呼ぶことにしたい。
創造社会では、多くの人が、自分たちで自分たちのモノ、認識、仕組みをつくる。現在、誰もが生活や仕事のなかでコミュニケーションを行なっているように、創造社会では誰もがクリエイションをごく当たり前のこととして行なうようになる。
これまで、何かを消費し、コミュニケーションをすることが生活・人生の豊かさであったのと同じように、何かをつくるということが、生活や人生の豊かさを象徴するようになる。
このような創造社会では、つくるための「道具」が整備されていく。誰でも自分の思い描いたものをつくり出すことができる道具を手に入れるようになる。
そして、それを複数人でコラボレーションしながらつくるための「場」も用意される。これにはリアルな場もあれば、ヴァーチャルなプラットフォームの場合もある。
さらに、「つくる能力の共有・継承」も行なわれるようになる。どのようなつくればよいのかというノウハウがマニュアルやレシピとして共有されるだけでなく、良質なものを生み出すためにどのような発想・視点・感覚でつくればよいのかというコツも共有・継承されることになる。
このような未来に向かうような準備・仕込みをすることで、現在の延長である暗い道からテイクオフすることができるのではないだろうか。
上述のなかで最も難しいのが、一番最後に挙げた「良質なものを生み出すための発想・視点・感覚の共有・継承」である。
マニュアルがあるだけでは、必ずしも「うまく」実践することはできない。レシピがあるだけでは、つくることはできたとしても、「感動的な」ものをつくることができるようになるわけではない。「良質なものを生み出すための発想・視点・感覚の共有・継承」が必要なのだ。しかし、そのような方法論は整備されていない。そのためのイノベーションが、今まさに求められているのである。
私は、この「良質なものを生み出すための発想・視点・感覚の共有・継承」のために、「パターン・ランゲージ」という方法が役に立つと見ている。
パターン・ランゲージとは、いきいきとした良質なものを生みだすための生成的な言語である。
もともとは「いきいきとした質をもつ街や住まい」のつくり方の記述方法として考案されたものだが、その後、ソフトウェアや人間行為のデザインに応用された方法である。
パターン・ランゲージでは、個々の創造領域において「質がよいとはどういうことか」、そして「それをどのようにつくることができるのか」ということが記述される。その実践的な力やセンスを、生成的(generative)な側面に着目して取り出し、共有・継承していく ——— それがパターン・ランゲージが目指すところである。
生成的な側面に着目するというのは、生み出された「結果」に見られる共通点を抽出するのではなく、良質な結果を生み出す「プロセス」における共通点を抽出するということを意味している。それゆえ、「パターン・ラゲージ」の「パターン」とは、結果(生み出されたもの)におけるパターンではなく、生成におけるパターンのことを指しているのである。パターン・ランゲージでは、生成のパターンを記述・共有することによって、生成の実践が支援されるのである。
このような生成的な側面に着目して「過去の成功」を読み解き、パターンという小さな単位にまとめ、それを踏まえて「つくる」「つくり直す」ことができるようになれば、ゼロから始めるのとは異なり、成功確率の面でもコストの面でも実行可能性への期待が持てるようになる。また、その時代その時代の方法が明示化され、共有・継承されていくことによって、社会・組織における「つくる」「つくり直す」能力の再生産が可能になる。
以上のような考えのもと、パターン・ランゲージというメディアによって、現在の「応急処置的な社会」を脱し、「自己革新的で創造的な社会」へと向かうことの後押しができるのではないか ——— そのような思いで、私(たち)は、日々、パターン・ランゲージの研究に取り組んでいる。
2013.04.07 Sunday
20:17 | posted by
井庭 崇
2013年度春学期の
「起業と経営」の授業では、初回授業より前に提出してもらうものがあります。
第1回 に向けて:佐野陽光さんへの質問
「起業と経営」の授業第1回のゲストである佐野陽光さん(クックパッド株式会社 Founder & 取締役)のことを簡単にリサーチした上で、佐野さんへの質問を提出してください。
(この質問にもとづいて、第1回目の講演をしていただきます。)
〆切:2013年4月9日(火)23:59
提出先:SFC-SFS上の授業ページの課題提出コーナー
※ My時間割にこの科目を登録してください。
※ 他学部からの履修でSFC-SFSにアクセスできない人は、 entre-staff[at]sfc.keio.ac.jp (授業SA)までメールで提出してください(アドレスの[at]を@に換えてください。)
なお、リサーチしたものをレポート等に書いて提出する必要は
ありません。提出してほしいのは、佐野さんへの質問文のみです。
2013.04.02 Tuesday
15:07 | posted by
井庭 崇
今年の「起業と経営」(Entrepreneuship and Management)の授業では、SFCの卒業生たちの話を聞きながら、自分が「心からやりたいこと」を見つけることに取り組みます。
「起業と経営」(SFC設置の諸研究所科目)
2013年度 春学期 金曜日5時限(2単位)
担当教員 竹中 平蔵, 井庭 崇
【主題と目標/授業の手法など】
この講座を通じて考えてほしいのは、「心からやりたいこと」をやり抜く人生、そして「心からやりたいこと」を実現する手段としての「起業」ということについてです。そして皆さんには、この講座を受けているあいだに、自分が「心からやりたいこと」を見つけてほしいと思います。
この目的のために、本講座では、自分の事業を起業して第一線で活躍しているSFC の卒業生を、毎週ゲストとしてお迎えします。自分たちと同じ環境で学び、人生を切り拓いていった先輩たちの話を聞くことで、自分自身のことを考えるきっかけにしてください。
授業では、いわゆる講演のスタイルはとりません。履修者は、毎週必ず次回のゲストについてリサーチをして、事前に質問を提出してもらいます。ゲストスピーカーの方には、当日、その質問に答えるかたちでお話をしていただきます。単に、受動的に話を聞くのではなく、自らの生き方をデザインするために必要な考えを集めるつもりで参加してほしいと思います。
先輩たちの話を受け、自分が「心からやりたいこと」を見つけることが、この講座で学ぶ側の責任です。
自分が「心からやりたいこと」は何でしょうか? そして、それを実現するためには、どうしたらよいのでしょうか?仲間と一緒に考えていきましょう。
(本講座は、今年度が開講最終年度となります。)
【授業計画】
第1回 オリエンテーション+ 佐野 陽光さんの挑戦
ゲスト:佐野 陽光さん(クックパッド株式会社 Founder & 取締役)
担当:竹中 平蔵, 井庭 崇
第2回 「心からやりたいこと」をみつけるということ
担当:竹中 平蔵, 井庭 崇
第3回 対話ワークショップ
起業に関するパターン・ランゲージを用いた対話ワークショップを行います。
担当:井庭 崇
第4回 宮治 勇輔さんの挑戦
ゲスト:宮治 勇輔さん(株式会社みやじ豚 代表取締役社長、NPO法人農家のこせがれネットワーク 代表理事CEO)
担当:竹中 平蔵, 井庭 崇
第5回 山田 貴子さんの挑戦
ゲスト:山田 貴子さん(株式会社ワクワーク・イングリッシュ 代表取締役)
担当:井庭崇
第6回 今村 久美さんの挑戦
ゲスト:今村 久美さん(NPO カタリバ代表理事)
担当:井庭 崇
第7回 青柳 直樹さんの挑戦
ゲスト:青柳 直樹さん(グリー株式会社 取締役執行役員常務北米事業本部長)
担当:井庭 崇
第8回 山口 絵理子さん・山崎 大祐さんの挑戦
ゲスト:山口 絵理子さん(株式会社マザーハウス 代表取締役 兼 デザイナー) & 山崎 大祐さん(株式会社マザーハウス 取締役副社長)
担当:井庭 崇
第9回 佐藤 輝英さんの挑戦
ゲスト:佐藤 輝英さん(株式会社ネットプライス・ドットコム 代表取締役社長 兼 グループCEO)
担当:井庭 崇
第10回 対話ワークショップ
自らの「心からやりたいこと」について語り合います。
担当:竹中 平蔵、井庭 崇
第11回 柳澤 大輔さんの挑戦
ゲスト:柳澤 大輔さん(株式会社カヤック 代表取締役CEO)
担当:井庭 崇
第12回 小林 正忠さんの挑戦
ゲスト:小林 正忠さん(楽天株式会社 取締役常務執行役員)
担当:井庭 崇
第13回 対話ワークショップ
自らの「心からやりたいこと」について語り合います。
担当:竹中 平蔵
第14回 総括
授業を振り返り、総括します。
担当:竹中 平蔵, 井庭 崇
第15回 質疑応答
授業に関する質問や相談を受けます。
担当:井庭 崇
【教材・参考文献】
『湘南の風に吹かれて豚を売る』(宮治 勇輔, かんき出版, 2009)
『「カタリバ」という授業:社会起業家と学生が生み出す“つながりづくり” の場としくみ』(上阪 徹, 英治出版, 2010)
『裸でも生きる:25歳女性起業家の号泣戦記』(山口 絵理子, 講談社, 2007)
『裸でも生きる2:私は歩き続ける』(山口 絵理子, 講談社, 2009)
『自分思考』(山口 絵理子, 講談社, 2011)
『面白法人カヤック会社案内』(柳澤 大輔, プレジデント社, 2008)
『この「社則」、効果あり。』(柳澤 大輔, 祥伝社, 2008)
『アイデアは考えるな。』(柳澤 大輔, 日経BP 社, 2009)
『空飛ぶ思考法』(柳澤 大輔, サンマーク出版, 2010)
『600 万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス』(上阪 徹, 角川SS コミュニケーションズ, 2009)
『未来を創る大学:慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)挑戦の軌跡』(孫福 弘, 小島 朋之, 熊坂 賢次編著, 慶應義塾大学出版会, 2004)
【履修上の注意】
●毎週、期日までに次回のゲストについてのリサーチをして、質問を提出してもらいます。
●学期中に、自分が「心からやりたいこと」を見つけてもらいます。
【提出課題・試験・成績評価の方法など】
出席状況、宿題(ゲストへの質問等)、授業への貢献、期末レポート
【履修者制限】
履修人数を制限する。受入学生数(予定):約 370 人
初回授業において志望理由・決意表明を書いてもらいます。