井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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ヴァーチャル世界「セカンドライフ」

secondlife-title.jpg 「Second Life」(セカンドライフ)という言葉を聞いたことがあるだろうか。Second Lifeとは、米国リンデンラボ社が提供する3Dヴァーチャル世界のこと。そのヴァーチャル世界では、ユーザーは自分で好きなように「生活」することができる。この世界では、いわゆるオンラインRPG (Role Playing Game)とは違って、敵を倒したり目的を達成するというようなゲーム設定は存在しない。いうなれば、ただヴァーチャルな場が提供されているにすぎない。しかし、海外ではかなりのユーザーが参加していて、いろいろ面白いことが起こっている。そして、日本でも徐々に話題になり始めたところだ。
 このSecond Life上で、僕も最近、井庭研のメンバーといろいろ遊んでいる。そこでの面白い話がいろいろあるのだけど、まずはSecond Lifeがどんな世界なのかを紹介することにしたい。
 僕が思うに、Second Lifeには、「自由度の高さ」、「新しい経済圏の創出」、「モノづくりと世界構築」という特徴がある。

Second Lifeの特徴(1) 自由度の高さ
 Second Lifeの世界では、すでにいろいろな企業や個人が魅力的な島を作っているので、その場所に遊びに行くことができる。そこで、近くにいる人と話す(チャットする)ことができ、また、いろいろなジェスチャで感情を表現することもできる。友達リストに登録してあれば、場所が離れていてもインスタントメッセンジャーでコミュニケーションもできる。経済活動をして儲けることもできるし、モノをつくることもできる。このように、Second Lifeの世界では、行動の自由度がかなり高い。本当に人それぞれのLife=人生/生活を送ることができるというわけだ。

Second Lifeの特徴(2) 新しい経済圏の創出
 Second Lifeの世界では、経済取引ができる。ここでの通貨は、「リンデンドル」(L$)という単位。物を売ったり、物を買ったりできるだけでなく、Second Life内でアルバイトをすることもできる。例えば、ラーメン屋で働いたり、用意された洋服を着て立っているモデルのバイトや、集客を気にするサイトでただ座っているだけのバイトというのもある。もちろん、実際に何かのモノや建物を作ることができればそれを売ることも出来る。
 これまでにも、オンラインRPGなどで経済取引が行われていたが、Second Lifeがユニークなのは、このヴァーチャル通貨であるリンデンドルが現実世界のアメリカドルと換金できるということだ。つまり、外国為替のように、アメリカドルを払って、リンデンドルを買うことが出来るし、逆にリンデンドルでアメリカドルを買うことも出来るのだ。なので、このSecond Life上で儲けるということが、ユーザーにも可能だということになる。すでにアメリカでは、1億円稼いだという人もいるらしい。なんとも、すごいことだ。

Second Lifeの特徴(3) モノづくりと世界構築
 Second Lifeの世界では、権限がある人(土地を所有する人 or 土地の所有者から許可された人)であれば、オブジェクト(モノ)をつくることができる。作り方は、いわゆる3Dモデリングをしていく。「プリム」(プリミティブの略)といわれる基本的な形を変形させたり組み合わせたりしながら、つくりたいオブジェクトをつくっていくのだ。
 このオブジェクト生成は、Second Lifeの世界の中で行うというのもユニークだ。外部のモデリングツールでモノを作ってからそれを世界に配置するというのではなく、その世界のなかで、モノをつくっていく。なので、あるアバターがオブジェクトをつくっているところを、他のアバターが見ることができる。これによって、チャットで相談しながら、一緒につくるということが可能になるわけだ。

secondlife-world1.jpg 興味深いのは、Second Lifeを提供しているリンデンラボ社はその世界にほとんど何もつくっていないということ。彼らが提供しているのは、基本的には何もない土地だ。そこに魅力的な建物を作っているのは、ユーザーたち(企業も含む)なのだ。それはとてもWeb2.0的な出来事だといえるだろう。
 リンデンラボ社は、サーバービジネスのようなものなので、何らかのリソースを使うようなことをするには、お金がかかる仕組みになっている。例えば、土地を所有したり、画像(テクスチャ)をアップロードするなどだ。自分で土地を所有しない一般ユーザーであれば、無料で十分楽しむことができる。

secondlife-world2.jpg そもそも、目的のない仮想世界なんて、そんなに面白いのかな? と初めは思うかもしれないけれど、意外とハマる、というのが僕の実感。いろいろな場所を旅しながら写真を撮っておくことができるのだけど、それが現実世界での経験と同様に、とても思い出深い写真に思えてくるのが、なんとも不思議だ。自分でモノをつくったりすると、世界に対する愛着はますます強まる。
 まずは騙されたと思って、この世界に足を踏み入れてみてはどうだろうか? でも、ファーストライフに戻ってこれなくならないように、ご注意を!(笑)

■Second Lifeホームページ
http://www.secondlife.com/
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