井庭研 2010年度秋学期シラバス
井庭研究会の2010年度秋学期のシラバスを作成・公開しました。公式サイトは学内限定公開なので、ここにも掲載しておきます。(2010年6月30日現在における最新版)
井庭崇 研究会(A型)2010年度秋学期シラバス
「Creative Systems Lab:創造メディアの構築 × 動きの地図をつくる × 英語力強化法のイノベーション」
(火曜日5時限, 木曜日5時限)
■ 重要な日程
研究会説明会:7月8日(木) 5限@ε12、7月13日(火) 5限@κ12
エントリー〆切:7月19日(月)
面接予定日:7月26日(月)・27日(火)
■ 目的・内容
井庭研究会では、最先端のシステム理論(複雑系/オートポイエーシス)や方法論(ネットワーク分析/パターン・ランゲージ/シミュレーション等)を踏まえて、「新しい方法をつくる」ことに取り組んでいます。2010年秋学期は、次の3つのプロジェクトを行う予定です。
1. 創造メディアの構築 — "Creative Media" Project
2. 動きの地図をつくる — "Mapping the Dynamics" Project
3. 英語力強化法のイノベーション — "The Way of Generative Communication" Project
自分の興味・関心にもとづき、いずれかのプロジェクトに参加するか、本研究会に関連するテーマの個人研究に取り組みます。
1. 創造メディアの構築 — "Creative Media" Project
(「創造」 × パターン・ランゲージ → メディア・デザイン)
このプロジェクトでは、「創造」を支援する「新しい方法」を探究します。現在、注目しているのは、「パターン・ランゲージ」(pattern languages)の手法です。井庭研ではこれまで、人間活動に関するいくつかのパターン・ランゲージを作成してきました。代表的なものには、SFCらしい学びのコツをまとめた「学習パターン」(Learning Patterns)があります。これらのパターン・ランゲージが「創造」をいかに支援するのか、また、それらをよりよく活用するための仕組みは何かを考え、つくります。
2. 動きの地図をつくる — "Mapping the Dynamics" Project
(「時空間」 × ネットワーク分析 → ヴィジュアライゼーション)
このプロジェクトでは、ダイナミックに変化するシステム/出来事を捉えるための「新しい方法」を探究します。現在取り組んでいるのは、「関係性」を分析するために用いられてきた「ネットワーク分析」(network analysis)の手法を、動き/変化を捉えるために用いるということです。実際にデータ分析を行いながら、変化を捉える新しい方法論の構築を目指します。
3. 英語力強化法のイノベーション — "The Way of Generative Communication" Project
(「生成」 × 表現のパターン分析 → オーラリティ)
このプロジェクトでは、英語でのコミュニケーション力を強化する「新しい方法」を探究します。目指すのは、これまで学校教育で行われてきた「リテラシー」(読み書き能力)の向上や、語学学校を中心に行われてきた会話の練習ではない、新しいメソッドの確立です。参考にするのは、文字が登場する前の「口承文学」の語り部たちの方法です。彼らは、小さな基本パターンをたくさんもち、それを即興的に組み合わせて物語を語りました。そのような生成的な「オーラリティ」(orality)の能力を向上させるという観点から、新しい英語力強化法を編み出したいと考えています。
井庭研の基本的な考え方や、上記プロジェクトに関する詳細については、本シラバスの 参考文献【井庭研 関連文献】に挙げてある文献を参照してください。
■ 参考文献
【輪読予定文献】
Orality and Literacy (Walter J. Ong, Routledge, 1988)
The Nature of Order, Book 1: The Phenomenon of Life (C. Alexander, Center for Environmental Structure, 2001)
The Nature of Order, Book 2: The Process of Creating Life (C. Alexander, Center for Environmental Structure, 2003)
【重要関連文献】
Social Systems (N. Luhmann, Stanford University Press, 1984)
The Timeless Way of Building (C. Alexander, Oxford University Press, 1979)
A Pattern Language: Town Building, Consruction (C. Alexander, et. al., Oxford University Press, 1977)
The Tacit Dimension (M. Polanyi, Reissue ed., University Of Chicago Press, 2009)
Maps of The Imagination: The Writer as Cartographer (P. Turchi, Trinity University Press)
Three Roads to Quantum Gravity (L. Smolin, Basic Books,2001)
Networks: An Introduction (M.E.J. Newman, Oxford University Press, 2010)
The Origin of Species: By Means of Natural Selection or The Preservation of Favored Races in The Struggle for Life (C. Darwin, The Modern Library, 2009)
The Blind Watchmaker: Why the Evidence of Evolution Reveals A Universe without Design (R. Dawkins, W.W.Norton & Company, 1987)
Reinventing The Sacred: A New View of Science, Reason, and Religion (S. A. Kauffman,2008)
Ubiquity: Why Catastrophes Happen (Mark Buchanan, Three Rivers Press, 2001)
【井庭研 関連文献】
『Concept Book』(井庭研究会 編著, 2008)
『新しいシステム観にもとづく思考と実践』(井庭崇, 『Mobile Society Review 未来心理』, 9号, 2007)
「自生的秩序の形成のための《メディア》デザイン──パターン・ランゲージは何をどのように支援するのか?」(井庭 崇, 『10+1 web site』, 2009年9月号)
「創造システム理論の構想」(井庭 崇, 進化経済学会第14回大会, 2010)
"An Autopoietic Systems Theory for Creativity" (Takashi Iba, COINs, 2010)
「『コラボレーション』による学び」の場づくり ー実践知の言語化による活動と学びの支援ー」(井庭 崇, 人工知能学会誌, 24巻1号, 2009)
「マスコラボレーションにおけるコンテンツ形成プロセスの分析」(伊藤諭志, 伊藤貴一, 熊坂賢次, 井庭崇, 人工知能学会 第20回セマンティックウェブとオントロジー研究会, 2009)
「書籍・CD・DVDの販売データの解析:市場の隠れた法則性を探る」
(井庭崇,西田亮介,伊藤諭志,北山雄樹,吉田真理子, 楽天研究開発シンポジウム2008, 2008)
"Analyzing the Creative Editing Behavior of Wikipedia Editors: Through Dynamic Social Network Analysis" (Takashi Iba, Keiichi Nemoto, Bernd Peters & Peter A. Gloor, COINs, 2010)
「座談会:未来を作るキャンパスの役割」(森 靖孝, 小林 正忠, 今村 久美, 井庭 崇, 村井 純, 『三田評論』2010年6月号, 慶應義塾大学出版会, 2010)
『Learning Patterns: A Pattern Language for Active Learners at SFC 2009』(学習パターンプロジェクト, 慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学学部, 2009)※ http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/ よりPDFをダウンロードできる。
『ised:情報社会の倫理と設計:設計篇』(東浩紀, 濱野智史 編, 河出書房新社, 2010)
『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』(井庭崇, 福原義久, NTT出版, 1998)
■ 履修条件
1. プロジェクトにおいて、自発的に研究・活動ができること。
2. 「答え」を教えてもらうのではなく、自ら考え抜くことができること。
3. 英語で(ある程度)読み書きができること。もしくは、チャレンジする意志があること。
■ その他の留意点
1. 研究会は、ふつうの授業(講義)とは異なり、「アウトプット志向」を常に意識して行動してほしいと思います。自ら主体的に考え、他の人と議論し刺激し合いながら先へ先へと進んでいける人を期待します。
2. 英語での読み書きや話す機会を日常的につくるので、積極的に臨んでください。
3. 輪読文献は、購入してもらいます(印をつけながら読むため)。
4. ゼミの時間は、延長することがあります。また、ゼミ後に交流会が開催されることもあります。火曜日と木曜日のゼミ直後には、原則として予定を入れないようにしてください。
5. 井庭が担当する次の科目は、研究会の内容に深く関係しているため、まだ履修していないものについては同時履修してください。(秋学期:パターンランゲージ、複雑系の数理)
6. 研究会メンバーには、各人の興味・関心と能力に応じて、複雑系研究や社会分析等の最先端の学術研究プロジェクトへの参加を呼びかけます。よい成果が出せたものは、大学院生/学部生を問わず、国内外の学会で発表していきたいと思います。
■ 授業スケジュール
毎週のゼミは、「輪読」(火曜5限)と「研究進捗報告」(木曜5限)という構成で進める予定です。
■評価方法
毎週の輪読/プロジェクトへの参加・貢献(もしくは個人研究の成果)、学期末の振り返りのレポート、および研究会にまつわる研究活動から総合的に評価します。
■ 予定受け入れ人数
15人
■ エントリー課題
履修希望者は、7月19日(月)までに、以下のエントリー情報(A4用紙で2、3枚程度)をメールで担当教員 井庭 崇(iba [atmark] sfc.keio.ac.jp)宛に送ってください。何らかの理由で正規履修ではなく聴講となる場合でも、その理由を明記し、同様にエントリーしてください。
1. 名前(+ふりがな)
2. メールアドレス
3. 学部・学年
4. これまでに参加した研究会と、来学期並行して参加予定の研究会(あれば)
5. これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
6. スキル(英語を含む外国語、プログラミング言語、映像・画像処理等いろいろ)
7. なぜ井庭研究会を志望するのか(志望理由)
8. どのプロジェクトに参加したいのかと、その理由・「思い」。あるいは、取り組みたい個人研究のテーマについての説明
9. 井庭研(という知的コミュニティ)に対して、自分はどのような貢献ができるか
10. 自己紹介&アピール
■ 来期の研究プロジェクトのテーマ予定
Creative Systems Lab.
■ 関連プロジェクト
大学院プロジェクト「インターリアリティ」, 大学院プロジェクト「生活実践知」
■ 関連科目
30080:社会システム理論
14310:複雑系の数理
12020:パターンランゲージ
14160:シミュレーションデザイン
■ 研究会ホームページ
http://ilab.sfc.keio.ac.jp/index_j.html
■ 連絡先
iba [atmark] sfc.keio.ac.jp
井庭崇 研究会(A型)2010年度秋学期シラバス
「Creative Systems Lab:創造メディアの構築 × 動きの地図をつくる × 英語力強化法のイノベーション」
(火曜日5時限, 木曜日5時限)
■ 重要な日程
研究会説明会:7月8日(木) 5限@ε12、7月13日(火) 5限@κ12
エントリー〆切:7月19日(月)
面接予定日:7月26日(月)・27日(火)
■ 目的・内容
井庭研究会では、最先端のシステム理論(複雑系/オートポイエーシス)や方法論(ネットワーク分析/パターン・ランゲージ/シミュレーション等)を踏まえて、「新しい方法をつくる」ことに取り組んでいます。2010年秋学期は、次の3つのプロジェクトを行う予定です。
1. 創造メディアの構築 — "Creative Media" Project
2. 動きの地図をつくる — "Mapping the Dynamics" Project
3. 英語力強化法のイノベーション — "The Way of Generative Communication" Project
自分の興味・関心にもとづき、いずれかのプロジェクトに参加するか、本研究会に関連するテーマの個人研究に取り組みます。
1. 創造メディアの構築 — "Creative Media" Project
(「創造」 × パターン・ランゲージ → メディア・デザイン)
このプロジェクトでは、「創造」を支援する「新しい方法」を探究します。現在、注目しているのは、「パターン・ランゲージ」(pattern languages)の手法です。井庭研ではこれまで、人間活動に関するいくつかのパターン・ランゲージを作成してきました。代表的なものには、SFCらしい学びのコツをまとめた「学習パターン」(Learning Patterns)があります。これらのパターン・ランゲージが「創造」をいかに支援するのか、また、それらをよりよく活用するための仕組みは何かを考え、つくります。
2. 動きの地図をつくる — "Mapping the Dynamics" Project
(「時空間」 × ネットワーク分析 → ヴィジュアライゼーション)
このプロジェクトでは、ダイナミックに変化するシステム/出来事を捉えるための「新しい方法」を探究します。現在取り組んでいるのは、「関係性」を分析するために用いられてきた「ネットワーク分析」(network analysis)の手法を、動き/変化を捉えるために用いるということです。実際にデータ分析を行いながら、変化を捉える新しい方法論の構築を目指します。
3. 英語力強化法のイノベーション — "The Way of Generative Communication" Project
(「生成」 × 表現のパターン分析 → オーラリティ)
このプロジェクトでは、英語でのコミュニケーション力を強化する「新しい方法」を探究します。目指すのは、これまで学校教育で行われてきた「リテラシー」(読み書き能力)の向上や、語学学校を中心に行われてきた会話の練習ではない、新しいメソッドの確立です。参考にするのは、文字が登場する前の「口承文学」の語り部たちの方法です。彼らは、小さな基本パターンをたくさんもち、それを即興的に組み合わせて物語を語りました。そのような生成的な「オーラリティ」(orality)の能力を向上させるという観点から、新しい英語力強化法を編み出したいと考えています。
井庭研の基本的な考え方や、上記プロジェクトに関する詳細については、本シラバスの 参考文献【井庭研 関連文献】に挙げてある文献を参照してください。
■ 参考文献
【輪読予定文献】
【重要関連文献】
【井庭研 関連文献】
(井庭崇,西田亮介,伊藤諭志,北山雄樹,吉田真理子, 楽天研究開発シンポジウム2008, 2008)
■ 履修条件
1. プロジェクトにおいて、自発的に研究・活動ができること。
2. 「答え」を教えてもらうのではなく、自ら考え抜くことができること。
3. 英語で(ある程度)読み書きができること。もしくは、チャレンジする意志があること。
■ その他の留意点
1. 研究会は、ふつうの授業(講義)とは異なり、「アウトプット志向」を常に意識して行動してほしいと思います。自ら主体的に考え、他の人と議論し刺激し合いながら先へ先へと進んでいける人を期待します。
2. 英語での読み書きや話す機会を日常的につくるので、積極的に臨んでください。
3. 輪読文献は、購入してもらいます(印をつけながら読むため)。
4. ゼミの時間は、延長することがあります。また、ゼミ後に交流会が開催されることもあります。火曜日と木曜日のゼミ直後には、原則として予定を入れないようにしてください。
5. 井庭が担当する次の科目は、研究会の内容に深く関係しているため、まだ履修していないものについては同時履修してください。(秋学期:パターンランゲージ、複雑系の数理)
6. 研究会メンバーには、各人の興味・関心と能力に応じて、複雑系研究や社会分析等の最先端の学術研究プロジェクトへの参加を呼びかけます。よい成果が出せたものは、大学院生/学部生を問わず、国内外の学会で発表していきたいと思います。
■ 授業スケジュール
毎週のゼミは、「輪読」(火曜5限)と「研究進捗報告」(木曜5限)という構成で進める予定です。
■評価方法
毎週の輪読/プロジェクトへの参加・貢献(もしくは個人研究の成果)、学期末の振り返りのレポート、および研究会にまつわる研究活動から総合的に評価します。
■ 予定受け入れ人数
15人
■ エントリー課題
履修希望者は、7月19日(月)までに、以下のエントリー情報(A4用紙で2、3枚程度)をメールで担当教員 井庭 崇(iba [atmark] sfc.keio.ac.jp)宛に送ってください。何らかの理由で正規履修ではなく聴講となる場合でも、その理由を明記し、同様にエントリーしてください。
1. 名前(+ふりがな)
2. メールアドレス
3. 学部・学年
4. これまでに参加した研究会と、来学期並行して参加予定の研究会(あれば)
5. これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
6. スキル(英語を含む外国語、プログラミング言語、映像・画像処理等いろいろ)
7. なぜ井庭研究会を志望するのか(志望理由)
8. どのプロジェクトに参加したいのかと、その理由・「思い」。あるいは、取り組みたい個人研究のテーマについての説明
9. 井庭研(という知的コミュニティ)に対して、自分はどのような貢献ができるか
10. 自己紹介&アピール
■ 来期の研究プロジェクトのテーマ予定
Creative Systems Lab.
■ 関連プロジェクト
大学院プロジェクト「インターリアリティ」, 大学院プロジェクト「生活実践知」
■ 関連科目
30080:社会システム理論
14310:複雑系の数理
12020:パターンランゲージ
14160:シミュレーションデザイン
■ 研究会ホームページ
http://ilab.sfc.keio.ac.jp/index_j.html
■ 連絡先
iba [atmark] sfc.keio.ac.jp
井庭研だより | - | -