井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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無限と有限の組合せで何が生まれるか? ー 「ChaoticWalker」公開

多様で複雑なカタチを生成できるソフトウェア「ChaoticWalker」を公開し始めました。ぜひ、ダウンロードして、遊んでみてください!

http://www.chaoticwalk.org/
このページから、簡単な登録後、実行ファイル(jarファイル)をダウンロードできます。Javaで書かれているので、基本的にはどのOSでもいけるはずです。

このソフトウェアで体験できることは、次のことです。

「無限」を生み出すカオスは、そのままでは不規則でかたちは生成できないのですが、それに数値の桁数を区切るという「有限性」の枠をはめることで、カタチが立ち現れる!

こういう非常に興味深い現象を考察するためのツールなのです。

とはいえ、まずは、難しいことは考えずに、実行してみて、いろんなかたちを生成してみてください。


ChaoticWalker 0.80
ChaoticWalker080_Screen420.jpg


ChaoticWalker Lite 0.80
ChaoticWalkerLite080_Screen420.jpg



このソフトウェアは、2009年に僕がボストンにいるときにゼロから開発したものです。久しぶりに本格的にプログラミングをしました。そして、僕自身実際にこのツールを使って、研究をしました。

パターン生成の可視化メカニズムは、2007年に井庭研の学生だった下西風澄くんが、廣瀬隼也くんとの議論のなかで考え出したものです。そしてそれを「カオスの足あと」と名づけ、探索的な分析が始まりました。その後、ふとしたことから、有効桁数がカタチに影響を与えていることに気づき、僕が「無限の可能性を生むカオスで有限性をコントロールする」ことに意義を見出し、それについての研究も始まりました。

この研究は、非線形科学の学会で発表しただけでなく、コンピュータグラフィックスの世界最大のカンファレンス SIGGRAPHでも発表しました。下西くんの興味が、アートとサイエンスをつなぐということだったのも大きく影響しているでしょう。このようなコラボレーションによって、このソフトゥエアの背後にある可視化手法がつくられ、探究されてきました。

実際に探索してみるとわかりますが、そこにはとても魅力的な世界が広がっています。ぜひ、いろいろ値を変えて、カタチを生成してみてください。有効な桁数 digitを5〜9くらいに、コントロール・パラメータ a を約3.7 〜 4.0にすると(カオスの領域)、面白いカタチが生成されやすいでしょう。


このツールをつかって生成した画像は、下記の論文でも多数取り上げています。興味があれば、こちらもみてみてください。とてもワクワクしますよ!

Iba, T. & Shimonishi, K. (2011), "The Origin of Diversity: Thinking with Chaotic Walk," in Unifying Themes in Complex Systems Volume VIII: Proceedings of the Eighth International Conference on Complex Systems, New England Complex Systems Institute Series on Complexity (Sayama, H., Minai, A. A., Braha, D. and Bar-Yam, Y. eds., NECSI Knowledge Press, 2011), pp.447-461.
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井庭研 夏の特別研究プロジェクト2011 シラバス

下記の通り、夏の「特別研究プロジェクト」(井庭)を開催します。これは、夏休み中の正規の授業として開講されます(2単位)。参加希望の人は、メールにて連絡をください。

「 新しいシステム理論にもとづく社会研究【特別編】」(井庭 崇)

 本特別研究プロジェクトでは、社会学者ニクラス・ルーマンの「社会システム理論」(Social Systems Theory)の理解を深めるため、『社会の芸術』を読み込みます。ルーマンの社会システム理論では、社会を「コミュニケーション」という出来事の生成・連鎖の視点で捉えます。そして、本来は生起しにくい社会的秩序が、いかにして生じ得るのかを考察します。この理論は、政治、経済、法、科学、教育、芸術、宗教、マスメディア、社会運動、組織、愛など、様々な社会現象の理解に用いられています。
 本プロジェクトでは、『社会の芸術』の日本語訳と英語訳の両方を読み、理論の内容理解だけでなく、社会システム理論にもとづく社会研究を英語で書くための力も身につけます。

『社会の芸術』(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2004)
第1章 知覚とコミュニケーション―形式の再生産について
第2章 ファースト・オーダーの観察とセカンド・オーダーの観察
第3章 メディアと形式
第4章 芸術の機能と芸術システムの分出
第5章 自己組織化―コード化とプログラム化
第6章 進化
第7章 自己記述

『Art as a Social System』(N. Luhmann, Stanford University Press, 2000)
Chapter 1. Perception and communication: the reproduction of forms
Chapter 2. Observation of the first and of the second order
Chapter 3. Medium and form
Chapter 4. The function of art and the differentiation of the art system
Chapter 5. Self-organization: coding and programming
Chapter 6. Evolution
Chapter 7. Self-description


【実施期間】
2011年 9月1日~3日、5日、13日、14日

【実施場所】
SFC

【参加条件】
「社会システム理論」の授業を履修済み、もしくは、プロジェクト開始前までに、SFC-GCで「社会システム理論」の映像を見て自習していること。

【評価方法】
文献読解・議論における積極性・貢献度、文献読解のまとめのレポート、および研究関連の諸活動から総合的に評価します。

【問い合わせ・連絡先】
ilab-entry2011 [at] sfc.keio.ac.jp

【参考文献】
・『社会システム理論』〈上〉 〈下〉(ニクラス・ルーマン, 恒星社厚生閣, 1995)
・『Social Systems』(N. Luhmann, Stanford University Press, 1996)
・『社会の社会』〈1〉 〈2〉(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2009)
・『システム理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈1〉』(ニクラス ルーマン, 新泉社, 2007)
・『社会理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈2〉』(ニクラス ルーマン, 新泉社, 2009)

Ilab2_2011s.jpg
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