井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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井庭研B2シラバス(2023秋)「Natural & Creative Living Lab:研究プロジェクト実践」

井庭研B2シラバス(2023年度秋学期)
「Natural & Creative Living Lab:研究プロジェクト実践」(一部プロジェクトで引き続き新規メンバー募集中)



■ 重要な情報

井庭研B2は、井庭研B1に追加で履修する仕組みになっています。そのため、必ず、井庭研B1シラバス(2023年度秋学期)「Natural & Creative Living Lab:ナチュラルにクリエイティブに生きることを支援する創造実践学研究」もよく読んで、エントリーするようにしてください。

エントリーの方法は、B1シラバスに記載があるので、それに従ってください。

一部のプロジェクトで、引き続き、新規メンバーの募集をしています。第二期の募集は、9月下旬までとします。エントリーがあった人から面接をしていき、プロジェクトの定員に達したら募集終了となるので、早めにエントリーすることをおすすめします

● 食をつくることを通してより豊かになる循環にする「サーキュラー・ファーミング」のパターン・ランゲージ作成研究(募集中!)
● ともに本質を探究していく「哲学対話」実践のパターン・ランゲージ作成(募集中!)
● 少年マンガに学ぶ、「自らの弱さや葛藤を乗り越えて前に進み続ける」ためのパターン・ランゲージ作成研究(募集中!)
● パターン・ランゲージがもたらす「よさ」を記述する「バリュー・ランゲージ」の開発(若干名)
● 「ジェネレーター」のパターン・ランゲージ作成研究(若干名)


■ Natural & Creative Living Lab(井庭研)とそのなかでのB2プロジェクトの位置付け

井庭研では、新しい発想の学術研究を通じて、新たな視点、概念、方法、メディアを開発し、人々がいきいきと生きる未来の実現に貢献することに取り組んでいます。目指しているのは、ナチュラルにクリエイティブに生きる喜びのある「創造社会」であり、そのために、素晴らしい質の実践に潜む原理の解明と、その発見にもとづく実践支援の研究を行なっています。

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井庭研では、土台となるB1(Foundation)に加えて、B2プロジェクトとして水曜日の午後(3〜6限)に集まって、研究プロジェクト実践を行います(時間割上は水曜6限となっていますが、B2プロジェクトに参加する人は、3限から夜まで授業や他の予定を入れないようにしてください)。みんなで、まとまった時間を取って、どっぷりとプロジェクト活動に浸ります。

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■ そもそも「研究」とは

「研究」とは、「知のフロンティア」を開拓する営みのことです。人類全体で見たとき、これまでの歴史のなかで、誰かが調べたり試したりした結果、「既知の領域」が広く広がっています。しかし、それでもまだ人類にとって、その周辺に「未知の領域」が広がっています。

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この状況で、学術的な「研究」は、その「知のフロンティア」を少しでも掘り進み、押し広げていく知識創造活動を行います。それは、多くの場合、苦労の多い作業となります。道なき道を、自ら道をつくりながら進んでいくことになるからです。しかし、そうすることで、ようやく人類で初めてその領域を開拓し、他の人たちに広く共有することができるようになります。このように、研究はとても創造的な活動です。まだ誰も知らない・実践したことのない、意義と付加価値のある成果を生み出すという創造実践なのです。

僕らが考える「よい研究」のひとつの基準は、その研究を行う人が、そのテーマに関心を持ち、思いと情熱を込めて取り組むことに加え、それが学術的意義と社会的価値につながるものであるということです。学術的意義があるというのは、これまでの学術研究・学問に新たな知見を積み上げるということであり、社会的価値とは、現在や未来の社会・他者に何らかの付加価値をもたらすものであるということです。これらの、「個人的関心」と「学術的意義」と「社会的価値」が重なるということが、よい研究のひとつの条件だと思います。このことを逆に言うと、「自分が興味がある」という個人的関心だけでは、「よい研究」にはならないということです(このことが個人研究の難しさにつながっています)。

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■ 学年ミックスの複数人で組む研究プロジェクトの素晴らしさ

今見てきたような苦労の多い難しい「研究」を、一人で行うのは困難です。そこで井庭研では、複数人でチームを組み、プロジェクトとして行う、ということを中心にしています。そうすれば、それぞれの得意を持ち寄り、一人では越えることができない高さを、仲間とともに超えることができるようになるからです。これは、プロジェクト制の最大のメリットです。孤独に悩むことなく、仲間とともに話し合いながら、前へ前へと進んでいくことができます。ともに取り組んでいる仲間がいることは、とても心強いものです。

また、井庭研のプロジェクトは、学部1年生から大学院生までの「学年ミックス」で構成されることも特徴的です。経験が多い上級生はプロジェクトを引っ張り、経験が浅いメンバーは、そこで教わり学びながら成長していきます。プロジェクトは、単に「研究のユニット」であるばかりでなく、「学びの場」でもあるのです。

もちろん、低学年だからといって活躍の機会がないわけではありません。プロジェクトにはいろいろな貢献の領域があり、得意の持ち寄りによって高まるものなので、絵を描くのが好きであるとか、外国語が得意であるとか、文章を書くのがうまいなど、研究経験とは異なるスキルや得意が活きることがたくさんあります。

もしかしたら、授業のグループワークなどの経験から、誰かと組むことにネガティブな印象をもっている人もいるかもしれません。負担が偏ったり、途中でいなくなったり、いなくなったと思ったら最後の発表だけ現れてずっといたようなふりをする人がいたり、と、「それなら、自分一人でやったほうがよかった」と思った経験は、誰でも多かれ少なかれあるでしょう。しかし、井庭研ではそのようなことは起きません。みんな、研究プロジェクトに本気で取り組んでいるし、とても楽しんでいるからです。井庭研ほど、最高のグループワークが経験できる場はなかなかない、と言っても過言ではありません。

そのようなわけで、研究をプロジェクトで行うのはとてもよいので、新規メンバーには、「個人研究」ではなく、「プロジェクト」に入ることを強く勧めています。個人研究は、自分一人でやるので、たしかに自由度が高く、他の人との時間調整ややりとりなどの手間も省けてやりやすそうに見えるかもしれません。しかし、研究とはどういうもので、どう研究するのかなどに慣れるまでは、なかなか研究にならず、相当苦しむ人がほとんどというのが実際のところです。その点、プロジェクトであれば、1、2年間プロジェクトで研究経験を積むなかで、研究の基本を学ぶことができます。それから、自分の個人的な関心にもとづく個人研究を始めたり、大学院生になって自分のテーマのプロジェクトを立ち上げてリーダーになったりするだけの知識とスキルを身につけることができるのです。

井庭研には、多様なテーマのプロジェクトがあります。まずは、そのなかから最も自分の興味に近いプロジェクトを選んで、その場で活動しながら、成長していくとよいでしょう。プロジェクトは、居心地のよいサイズの、とても活発な創造の場なのです。

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■ パターン・ランゲージの作成プロセス

井庭研では、ワークショップや新しい方法・道具などをつくる研究、創造的なコミュニティの研究など、いろいろなアプローチの研究を行っていますが、多くのプロジェクトでは、パターン・ランゲージの作成に取り組んでいます。国内外にパターン・ランゲージの研究者・実務家はたくさんいるのですが、世界で最もパターン・ランゲージをつくり、集中して研究しているのはSFCの井庭研であり、その先端性と経験を活かして研究することができるためです。

井庭研ではこれまで15年間パターン・ランゲージの作成プロセスを開発・洗練させてきました。その作成プロセスは、以下の通りです。

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まず最初に行うのは、パターンの要素となる情報を得て、それをとりまとめる「パターン・マイニング」です。「マイニング」(mining)というのは「掘り起こす」ということで、ここで掘り起こすのはパターンを作成するための「パターンの素材」です。パターンの素材は、実践者との対話を通じて掘り下げ、語りから掘り起こしていきます。この掘り起こしのための対話を「マイニング・ダイアローグ」と言います。実践者に、その実践においてよい結果を生むために「何をすることが大切か」(what)や、それは「具体的にはどうやるとよいのか」(how)、「それはなぜ大切なのか」(why)について聞いていきます。

パターン・マイニングでは、たいてい15〜20人くらいの実践者に話を聞き、数百のパターンの素材を得ることになります。これらの素材は、種類もサイズもばらばらな寄せ集めになっています。そこで、一つひとつの素材の中にある本質的な意味をつかみながら、似ているものを寄り分けて、似たもの同士のグループ分けをしていきます。これを、「クラスタリング」と言います。クラスタリングの結果、だいたい数十から百程度の「パターンの成分」にまとまります。

次に、ランゲージ全体の体系を編み上げます。クラスタリングで得られた「パターンの成分」を眺めて、どのようなものがあるのかを概観したのちに、視点を変え、全体から分化させるように全体像を捉えていきます。これを「体系化」と言います。体系化が終わるときに、だいたい30から40程度の数にまとまるようにします。この段階のものを「パターンの種(たね)」と呼んでいます。

そこから、「パターン・ライティング」の段階に入り、「パターンの種」を育てていくことになります。最初にやることとしては、それぞれの「パターンの種」について、「どういう状況(Context)で、どういう問題(Problem)が生じやすく、そうならないためにどうするとよいのか(解決: Solution)」という形式でその本質を捉えて記述することです。この文章を、Context、Problem、Solutionの頭文字を取って、「CPS」文と呼んでいます。CPS文は、そのパターンの幹にあたります。CPS文は、プロジェクトのメンバーで何度も確かめ合いの対話を行い、みんなで確認し、納得がいく記述になるまで、必要な修正を行っていきます。

その後、CPS文の幹に枝葉をつけていきます。「その問題が生じるのは、背後にどのような諸力(フォース:Forces)が働いているからか」や、「その解決は、具体的には例えばどうやるとよいのか(アクション:Actions)」、また、「それをするとどういう結果(Consequences)になるのか」を明らかにし、記述していくのです。

これらの記述も、何度も何度もプロジェクトメンバーで確かめ合いの対話を行い、本質が記述できているか、わかりやすい誤解のない表現になっているかなどを検討して、洗練させていきます。そして、書き上がりつつある段階で、実践者にそれを見せて「内容が合っているか」や、「表現が実際の感覚に近いかどうか」などを確かめ、記述を確かなものにしていきます。

このパターン・ライティングの後半から並行して走らせるのが、「パターン・シンボライジング」です。パターンの内容のイメージをつかみやすく、かつ魅力的に伝わる象徴的に表現をしていくのです。具体的には、パターンの名前(パターン名)をつけるのと、そのパターンの内容のイメージを伝えるイラストを描いたり、パターンの記述を読みたくなるキャッチコピーのような導入文を書いたりします。

パターン・シンボライジングでは、魅力的に象徴的に表現するということで、木々に花を咲かせるということにあたると言えます。一つひとつの異なる木に異なる花を咲かせていくのです。それらには統一感はありますが、個々には個性があるような花を咲かせていきます。人々は、その花の魅力に惹かれて、一つひとつの木に近づいてくれることになるわけです。

それから最終段階として、パターンの文章と名前とイラストなどをより調和がとれたものにするとともに、ランゲージ全体の整合性や調和の微調整、物語性の質感を宿らせるなどの仕上げをしていきます。こうして、1〜2年で数百時間の時間と労力をかけて、一つのパターン・ランゲージが完成します。

パターンの種だったものが、幹と枝葉がついた一本の樹木となり、それらがたくさん集まり、森になるのです。パターン・ランゲージの読者は、その森とともに生き、それぞれの実践の成果(fruit = 果実、収穫)を得ることになるわけです。

以上のようなプロセスの進行やそれぞれのステップでの具体的なやり方をマスターする必要があるので、いきなり個人研究ではなく、プロジェクトに入ることをおすすめしているという理由がよくわかるのではないかと思います。

しかも、井庭研では、パターン・ランゲージの作成は、一人でつくることを避けた方がよいと考えています。一人よがりなものになってしまうリスクがあるからです。プロジェクトで、本質はこれでよいだろうかとみんなで確かめ合い、どうしたらよりよい表現になるだろうかと話し合う ------- そういうことを繰り返していくなかで、パターン・ランゲージは、多くの人に受け入れられる普遍性を持つものに近づいていきます。

そして、こうして仲間とともに作品をつくり上げることの喜びは、とてつもなく大きく、素晴らしい体験になります。井庭研のプロジェクトのこの創造の深い喜び・面白さを、ぜひみんなにも味わってほしいと思っています。


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■ プロジェクトの紹介

以下の通り、井庭研のプロジェクトには、多様なテーマがあります(各プロジェクトは、井庭や大学院生がリーダーをします)。自分の興味・関心に近いプロジェクトを探してみてください。

(1) 食をつくることを通してより豊かになる循環にする「サーキュラー・ファーミング」のパターン・ランゲージ作成研究(新規メンバー募集中)
本プロジェクトでは、食をつくることを通してリジェネラティブな生態系の循環をデザインするためには、人間は環境にどのような働きかけをすることが必要かを明らかにし、パターン・ランゲージでまとめていきます。本プロジェクトで目指すリジェネラティブな循環とは、循環の一部として環境によい働きかけをしていけばいくほど、よりその環境も育まれ、豊かになっていく状態です。春学期は、食をつくる中での生態系を因果関係で捉えていく「因果ネットワーク図」を作成し、良い方向にループが生じるための実践として大切なことを、実践者へのインタビューや文献調査から得られたコツを元にしていくつかパターンを作成しました。秋学期では、引き続き多くの文献を読み知識を深めながら、因果ネットワーク図の解像度を高めていきます。そして、同時に、実践者から抽出したコツをクラスタリングし、パターン・ランゲージを作成していきます。秋学期の終わりまでには、これらの成果をまとめて冊子にする予定しており、それに向かってガツガツ進めていくので、水曜日以外にも活動できることが望ましいです。自然と人間が調和し、ともに豊かになる未来をつくっていきたい人、是非一緒に研究していきましょう!新規メンバーを3〜4人程度募集します。[リーダー:林 聖夏]

(2)ともに本質を探究していく「哲学対話」実践のパターン・ランゲージ作成(新規メンバー募集中)
このプロジェクトでは、物事の本質について皆で一緒に考えを深め、問い直す「哲学対話」の場のつくりかたを研究していきます。
哲学と聞くと、むずかしく専門的で、立ち入りづらいと感じることがあるのではないでしょうか。しかし哲学は、「私たちがよりよく生きていくために、物事の本質を探究する」という、とても大切な営みだと言えます。それは、人が自然体に、自分らしく生きることを支える営みでもあるでしょう。根底は、私たちがどう生きていくか、人の本質の探求に繋がります。
「哲学対話」では、「〇〇とは何か」というテーマを設定し、本質を見つけ出そうとする営みを対話によって行います。それによって、それぞれの考え・信念の違いで対立するのではなく、ともに共通了解をつくり出していけるようになることを目指していきます。
特にこのプロジェクトでは、「よさ」を問うことで、「どちらが正しいか」を決めるのではなく、ともに普遍的な価値を探っていけるようになる話し合いの場をつくれるように研究していきます。「よい教育とは何か」「よい社会とは何か」…辿り着いた価値、答えが本質的であるほど、実生活にも役立つものになるでしょう。
その場づくりにおいて大切なことを実践者から学び、実験し、パターン・ランゲージを作成します。
メンバーは、最初の1ヶ月半(11月中旬)まで「本質観取」のパターン・ランゲージ作成プロジェクトに参加します。その後に「哲学対話」のパターン・ランゲージを作成し、来年以降は、実際に成果物を用いて哲学対話の場を開き、社会や人生に関わる様々なテーマを扱いながら、その実施を研究していきます。
皆で一緒に考え、本質を探究していくことに関心のある方、ぜひ一緒に研究していきましょう!お待ちしています。[リーダー:木村 遥]

(3) 少年マンガに学ぶ、「自らの弱さや葛藤を乗り越えて前に進み続ける」ためのパターン・ランゲージ作成研究(新規メンバー募集中)
自分が価値あると思うものを達成したり実現したりする過程には、様々な葛藤や壁にぶち当たり、挫けそうになったり足を止めたくなってしまうときがあるかもしれません。そんなとき、どんな時も諦めずに逆境に立ち向かい続ける少年マンガのキャラクターたちに勇気をもらい、また一歩踏み出す力をもらうことはありませんか。
本プロジェクトでは、少年マンガの登場人物たちの実践に着目しながら、内面的葛藤や恐怖、壁を乗り越える際に重要な思考や行為をパターン・ランゲージの手法を用いて明らかにしていきます。最終的には作成したパターンに現実世界における経験や実感をインタビューを元に当てていき、実際に内発的な支援を行うことを目的とします。フィクションの世界を生きる登場人物たちが、いかに現実世界の私たちに学びと勇気を与えてくれるのか、一緒に研究する仲間を募ります。[リーダー:太田 深月]

(4) 「フィリピンの若者がやりたい仕事をして自立的に暮らしていく」ためのパターン・ランゲージを用いたワークショップの実践研究(募集終了)
フィリピンには、今もなお十分に教育を受けられていない子どもたちや、その影響で安定した収入を得られる仕事に就けていない若者が多くいます。そのような社会状況のなかでも、家庭環境や経済的な困難を背景に持ちながらも、経済的な自立と仕事の継続を実現している人もいます。そのような人たちがどのような行動や思考を経て自立的に生きていけるようになったのか、その実践のコツを明らかにし、パターン・ランゲージを作成しました。今学期は、そのパターン・ランゲージを活用したワークショップを実施し、フィリピンの若者のエンパワメントを試みます。研究のフェーズによっては、現地に赴きインタビューやワークショップを実施したり、フィリピンの方とオンラインでミーティングを行ったりすることがあり、その際は英語でやりとりします。現地の人たちの暮らしや生き方を支え、道しるべになるような研究・実践をおこなっていくことに興味がある人を歓迎します。新規メンバーを2~3人程度募集します。[リーダー:金井 貴佳子]

(5) パターン・ランゲージがもたらす「よさ」を記述する「バリュー・ランゲージ」の開発(新規メンバー若干名募集中)
本プロジェクトでは、ある対象がもたらす「よさ」を「バリュー・ランゲージ」というかたちで言語化することを目指します。あるものを使ったときや、ある経験をしたとき、「すごくいい!」という感覚を覚えたことはありませんか。バリュー・ランゲージは、そのような「よさ」を抽象化し、単語(バリュー名)と説明文でまとめたものです。これをつくることによって、経験のある人しか感じられない「よさ」を、他の人にも共有可能になり、「その対象を使ってみたい!」「その経験をしてみたい!」と思ってもらうことができると考えています。今期は、パターン・ランゲージの「よさ」を感じている人にインタビューをし、それをもとに「パターン・ランゲージのバリュー・ランゲージ(仮称)」を作成します。「よさ」を言語化するというまったく新しい試みを、楽しみながら真剣に取り組んでくれるメンバーを募集しています。[リーダー:井上 絵里加]

(6) 創造社会におけるマーケティングの担い手育成手法の研究:パターン・ランゲージを用いた気仙沼市の地域イメージ更新の実践を通して(募集終了)
本プロジェクトでは、パターン・ランゲージを活用して、宮城県気仙沼市の市役所・子育て支援団体のコンソーシアムと協働して、まち全体のイメージを3.11の被災地から一新することを目指します。これまで私たちは、マーケティングのパターン・ランゲージを作成し、月1回現地入りして市民とパターンを活用したマーケティング戦略を構想してきました。2023年度秋学期前半は、「気仙沼=被災地」から「気仙沼=誰もがここで生きていることを幸せだと言えるまち」へとイメージを更新する戦略を立案・政策実装すると共に、市民自らが自立してマーケティング戦略を考え続ける仕組みづくりを支援していきます。秋学期後半には過去2年間の活動一体を分析して、他地域にも応用可能な理論化(ジャーナル投稿)を目指します。
秋学期から新規メンバーを2〜3人募集します。フィールドで実践することは思った通りいかないこととも向き合うことになりますが、そんな時こそ、現場のたゆまぬ努力を真摯に受け止め、子どもたちの可愛い姿をたくさん感じ取り、まち全体で良い成果を生み出せることにワクワクしながらともに取り組んでいきましょう。[リーダー:田中 惇敏]

(7) 「コミュニティを愛でる」実践方法の研究(募集終了)
本プロジェクトでは、所属するコミュニティのよさを味わい、仲間と分かち合うために、そのコミュニティを「愛でる」ということの実践方法を探究しています。過去にいたコミュニティについて語り合いながら、その思い出に浸るようなことはあっても、今も所属しているコミュニティを愛でるというような機会は少ないのではないでしょうか。しかし、実際にやってみると、それは本当に味わい深い体験で、気づきも多く、喜び溢れるものです。秋学期の活動は、「語り愛ワークショップ」(コミュニティでの経験を語り合いながらコミュニティのよさを愛でるワークショップ)の開発と実践を通して、コミュニティを愛でるための実践方法を明らかにし、それらをパターン・ランゲージの形式でまとめます。今回の新規メンバーの募集は、若干名(要相談)とするため、本プロジェクトへのジョインを希望する方は、できるだけ、その旨をilab-entry@sfc.keio.ac.jp まで事前に連絡するか、研究会見学の際にプロジェクトリーダーの柴田に声をかけるなどして、エントリー前にお話しする機会を設けられるようにしてください。[リーダー:柴田 爽水]


(8) 「ジェネレーター」のパターン・ランゲージ作成研究(新規メンバー若干名募集中)
ある「世界」に心から熱狂し、その魅力や未来の可能性について周りに熱く語っている人に出会うと、その心から楽しんでいる姿を通して、その人の語る「世界」に惹き込まれるといった経験をしたことはないでしょうか。同時に、そのように振る舞っている人に触発されて、自分だけでは見えてこなかったようなワクワクする新たな発見が生まれてくるといった経験をしたことはないでしょうか。このような、ある場が生成(=ジェネレート)され、その生成の渦に新たな生成を加えていく側へと周りを巻き込み、ワクワクする未来を生み出していく現象の中心にいる存在を、私たちはジェネレーターと名づけて、その実践がどのように行われているのか、研究を進めてきました。2022年春よりスタートし、これまでに、さまざまな分野でジェネレーターとしての生き方を体現している人たちにインタビューを実施して、パターン・ランゲージの制作に取り組んできました。今期は、制作したパターン・ランゲージを基に、改めて、さまざまな領域でジェネレーターの人たちにインタビューを実施して、魅力的なエピソードを集め、パターンをさらにブラッシュアップしていきます。完成したパターンは論文に収録し、国際学会で発表する予定です。今がこのプロジェクトに関われる最後のチャンスなので興味がある方は是非応募してください。なお、今期は、新規メンバーを主に1年生、2年生限定で若干名募集しております。[リーダー:塩田 開都]

(9) 競技力の向上と人間的な成長を目指したダブルゴール・コーチングのパターン・ランゲージの作成研究(募集終了)
学生期のスポーツ選手の育成に携わる際、コーチは選手の競技力を高めるとともに、スポーツを通して人間的な成長を支援することが求められています。本プロジェクトでは、学生期の選手の育成に長年携わっているテニスコーチが、何を考え、どのような実践を行い、選手の競技力の向上と人間的な成長を支援しているのかを、パターン・ランゲージの作成を通して明らかにしていきます。本プロジェクトは、2023年度春学期からの継続プロジェクトであり、春学期にはインタビュー調査とパターンの抽出・体系化を行いました。秋学期からは、パターンの記述と象徴表現(パターンの名づけ・イラスト描写)を行う予定です。秋学期から参加を希望するメンバーは、秋学期の活動が開始するまでに春学期に行った内容(約10時間のインタビュー内容の確認・それらとパターンの対応関係)をキャッチアップする必要があること、また水曜日の活動時間外にパターン執筆の時間を取る必要があることの2点を把握しておいてください。スポーツや教育に関して興味がある人を歓迎しています。[リーダー:日置 和暉]

(10) 物事の本質をつかむ「本質観取」実践のパターン・ランゲージ作成(募集終了)
本プロジェクトでは、物事の「本質をつかむ」ということについて、現象学における「本質観取」(seeing of essence)の実践のコツをパターン・ランゲージの形式でまとめます。パターン・ランゲージの作成では、これまでに哲学者の竹田青嗣さん、西研さん、苫野一徳さん、稲垣みどりさん、そして井庭崇へのマイニング・インタビューを行い、本質観取の実践における大切なことを抽出してきました。その後、クラスタリングと体系化を経て、パターン・ランゲージの全体像ができ、その個々のパターンの内容を把握するところまでを、2023年度春学期に行いました。秋学期はこの続きで、パターンの文章の仕上げやイラストの作成などを行い、11月の完成を目指します。このプロジェクトは、井庭が直接リーダーとなりプロジェクトを率いるので、最も厳しくじっくりと地道な創造の道を進みます。しっかりついてきて学び、力をつけながら活躍してください。「本質をつかむ」ことや、本格的な「パターン・ランゲージの作成」に興味がある人を歓迎します。新規メンバーを若干名募集します。[リーダー:井庭 崇]


■ 現役メンバーから見た井庭研のプロジェクトについて

井庭研のプロジェクトがどういうものか、現役メンバーたちに書いてもらいました。17人の計3,600字をテキスト解析し、ワードクラウドで表現してみたところ、以下のようになりました(”井庭研”と”プロジェクト”のワードは抜いて可視化)。井庭研のプロジェクトの感じがよく表れていると思います。

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ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析


各人が書いてくれたものも、いくつかピックアップして載せておきます。

  • 「プロジェクト活動では、自分たちで実際に手を動かして、井庭研が大切にしている「本質を捉える」ということをたくさん経験することができます。プロジェクトに入ったばかりの時は経験のある先輩方と同じように取り組むことはとても大変で、つらいと感じることもありますが、それ以上に自分を成長させてくれる貴重な時間です。井庭研でたくさんの時間を共有しながら一緒につくりあげていくプロジェクトは、他では経験することのできないものだと思います。」(1年)

  • 「私は今年度の春学期に井庭研に入り、一からパターン・ランゲージをつくっています。プロジェクトメンバーの妥協しない姿勢や本質を掴む考え方、伝えたいことを発見的に・魅力的に書く力を見て、本当に学ぶことばかりの日々です。長い時間をかけて徹底的にこだわって「つくる」経験をしていることで、春と比べると自分がひと回りもふた回りも成長したのを感じています。自分たちのつくった言葉や道具が、誰かの支えになり、誰かの創造実践を応援しているなんて、幸せで尊いなと思います。」(2年)

  • 「井庭研のプロジェクト活動では、目指す成果に向かって、最後の一人の違和感が無くなるまで、どこまでもじっくり考えて全員の納得のいくものを作ります。その一方で、期日までに成果物をつくり上げたり論文を書き上げるために、研究会の授業時間の他にも集まれる時間を作ってどんどん進めていきます。時にはタフに感じることもありますが、自分の力だけでは絶対に到達できなかった成果が出せると「あぁ、やって良かった」と思うことができます。」(3年)

  • 「井庭研のプロジェクト活動では、プロジェクトメンバー1人1人が、多くの時間とエネルギーを注ぎ、決して誰かが欠けるとつくり得ないような本気の創造を経験できます。お互い求め合い、手を取り合い、混沌とした状態を乗り越えて成果が見えた時は言葉には表せない嬉しい気持ちになります。このような本気で学びをともにする仲間はかけがえのないものです。ぜひ、このような経験をしたい人は私たちと一緒に研究をしましょう!」(4年)

  • 「プロジェクト活動と聞くと、自分の興味にぴったり合っていないと...と思うこともあるかもしれませんが、興味がなんとなく近そうなところでどっぷりやってみると、自分の興味分野が深まったり、自分が知らなかった世界に触れて自分の視点を広げることができます。私も今4年生ですが、研究自体についても、それ以外に誰かと協働したりコミュニケーションを取ったりすることも、誰かと一緒に研究するからこそ学べることがたくさんあると実感しています!」(4年)

  • 「井庭研のプロジェクト活動で必要となってくるのが、本気のコラボレーションです。授業のちょっとしたグループワークとは次元が違います。もちろん人と一緒に何かをするということは大変なこともありますが、一緒にたくさんの時間をともに過ごし、苦楽を共にするなかで、一人ではたどりつけない世界を知り、素晴らしいものをつくりあげていく経験は、すごく貴重で、ワクワクするものです。ぜひ、どっぷりつかって、最高のコラボレーションを存分に味わってみてください。」(修士1年)


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    ■ 履修上の注意・留意事項

  • 1年生・2年生のうちからの参加を強く推奨します。長く一緒に研究・活動して経験を積み重ねることで、理解が深まり力がつくので、その後、より活躍できるようになります。そのため、井庭研では早い時期からの履修・参加を強く推奨しています。

  • 3年生後半や4年生からの受け入れは、原則として行っていません(卒業プロジェクトの段階になって焦って研究会に入ろうとすることのないように、しっかりと計画的に考えて、早い段階から入るようにしてください)。

  • GIGA生や海外経験のある人、留学生を歓迎しています。井庭研では、日本語での成果をつくるとともに、英語で論文を書いて国際学会で発表したり、海外の大学やカンファレンスでワークショップを実施したりしています。日本語以外の言語を扱えることは、活躍・貢献のチャンスが大きく高まります。ぜひ、力を貸してください。

  • 井庭研メンバーは、原則として全員B1を履修する方針ですが、他の研究会(A型)に所属しながら井庭研B2のプロジェクトに参加・履修したい場合など、特殊な事情がある場合には、事前に相談するようにしてください(説明会の際、もしくは、ilab-entry@sfc.keio.ac.jpまでメールにて)。


    ■ 評価の方法
    研究会の成績評価は、日頃の研究・実践活動への貢献度や成長の観点から総合的に評価します。


    ■ エントリー方法

    新規エントリーも継続エントリーも、井庭研B1シラバス(2023年度秋学期)「Natural & Creative Living Lab:ナチュラルにクリエイティブに生きることを支援する創造実践学研究」の「エントリー方法」をよく読み、それに従い、エントリーしてください。

    ・7月20日(木)6限に井庭研説明会を行います(ι12 - イオタ12 教室)。ぜひ参加してください。

    ・新規エントリー〆切:第一期募集のエントリーは 7月23日(日)までとします(B1とB2のシラバスをよく読んでエントリーしてください)。7月25日(火)もしくは27日(木)に面接を行います。この段階で、定員になり次第、募集は終了となります。もし第一期募集で定員になっていないプロジェクトがある場合は、第二期として夏休み中もエントリーを受け付ける予定です(最新情報はこのB2シラバス(ブログ版)を見てください)。

    第二期の募集は、9月下旬までとします。エントリーがあった人から面接を設定していき、プロジェクトの定員に達したら募集終了となるので、早めにエントリーすることをおすすめします。


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    IbaLabLogo.jpg井庭研B1シラバス(2023年度秋学期)「Natural & Creative Living Lab:ナチュラルにクリエイティブに生きることを支援する創造実践学研究」に戻る
  • 井庭研だより | - | -

    井庭研B1シラバス(2023秋)「Natural & Creative Living Lab:ナチュラルにクリエイティブに生きることを支援する創造実践学研究」

    IbaLabLogo.jpg井庭研B1シラバス(2023年度秋学期)
    「Natural & Creative Living Lab:ナチュラルにクリエイティブに生きることを支援する創造実践学研究」


    ■ 重要な情報

    ・井庭研は、B型研究会×2の体制で連動して運営しています。そのため、このB1シラバスだけでなく、B2シラバス「Natural & Creative Living Lab:研究プロジェクト実践」にも必ず目を通し、全体像を理解するようにしてください。

    一部プロジェクトで、引き続き新規メンバーの募集を受け付けています。第二期の募集は、9月下旬までとします。エントリーがあった人から面接を設定していき、プロジェクトの定員に達したら募集終了となるので、早めにエントリーすることをおすすめします。どのプロジェクトが募集しているかの最新情報はB2シラバス(ブログ版)を見てください。

    ・井庭研とプロジェクトのことについて説明している井庭研説明会の映像を見たい人は、ilab-entry@sfc.keio.ac.jpまでメールで連絡をもらえれば、映像のアドレスを共有します。sfc.keio.ac.jpかkeio.jpのメールアドレスから送ってください。

    ・夏休み期間中に、特別研究プロジェクト「パターン・ランゲージの作成方法論研究」を実施します
    (8/24、8/31、9/07、9/12、9/13、9/22)。井庭研の研究の方法についてとても勉強になる貴重な機会なので、可能ならぜひ参加してください。詳しくは、特別研究プロジェクトのシラバスを見てください。


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    ■ Purpose - 新しい発想の学術研究を通じて、新たな視点、概念、方法、メディアを生み出し、人々がいきいきと生きる未来の実現に貢献する

    井庭研では、「新しい発想の学術研究を通じて、新たな視点、概念、方法、メディアを開発し、人々がいきいきと生きる未来の実現に貢献する」ことを自らのPurpose(存在意義)としています。僕らは、既存の学問分野の枠や常識にとらわれない、新しい発想で学術研究を行い、現状の問題を解決し、これからの未来をよりよくする新たな視点、概念、方法、メディアを開発します。そして、多様なアクターと組みながら、それらの成果を広く世の中に普及させ、人々がいきいきと生きる未来の実現に貢献していきます。


    ■ Vision - ナチュラルにクリエイティブに生きる喜びのある「創造社会」

    井庭研のVision(目指している未来)は、「ナチュラルにクリエイティブに生きる喜びのある『創造社会』」です。

    僕(井庭)は、ここ100年の変化を、「消費社会」から「情報社会」、そして「創造社会」(Creative Society)という流れで見ることを提唱してきました。消費社会においては、人々は家電や車など、物やサービスを購入し享受することが生活・人生の豊かさだとされていました。情報社会に入って、コミュニケーションに関心の重心がシフトし、よいコミュニケーションや関係性を持つことが生活・人生の豊かさを象徴するようになりました。そして、現在すでに一部で始まりつつある創造社会では、人々が自分たちで自分たちの使う物や考え、方法、仕組み、社会、あり方・生き方をつくり、どのくらい自分たちで「つくる」ことに関わっているのかが生活・人生の豊かさになっていくと考えられます。

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    そのような「つくる」時代に思いを馳せるとき、テクノロジーでがんじがらめになった人工的な未来ではなく、より自然と共生し、それぞれの人が人間らしく自然に生きている未来に僕は魅力を感じます。井庭研では、そのような「ナチュラルにクリエイティブに生きる」未来を目指し、「Natural」(自然な)と「Creative」(創造的)、そして、「Joyful」(喜びのある)が重なり合うような暮らし・人生を実現することの支援の実践研究に取り組んでいます。

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    ■ Mission - 素晴らしい質の実践に潜む原理の解明と、その発見にもとづく実践支援

    井庭研のMission(使命)は、「素晴らしい質の実践に潜む原理の解明と、その発見にもとづく実践支援」です。

    「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことは、どうしたら実現できるでしょうか? その問いに答えるには、暮らしや社会的な活動のそれぞれの実践領域ごとに考える必要があります。そこで、井庭研では、学び、仕事、子育て、介護、人生設計などのそれぞれの実践において、「ナチュラルにクリエイティブに生きる」ことの内実を明らかにし、それを主に「パターン・ランゲージ」というかたちで表現し、実践したい人たちに届け支援するという研究に取り組んでいます。

    パターン・ランゲージは、実践における「コツ」を言語化します。コツというのは、語源的には「骨」と書きます。つまり、実践を内側から支える軸のようなものが、コツなのです。パターン・ランゲージが言語化するものは、次のようなコツです。

      ①その実践における「基本の型」
      ②例外的に成功している人(「ポジティブ・デビアンス」)たちのやり方
      ③工夫や試行錯誤によって得た「グッド・プラクティス」

    これらのコツを共有できれば、今うまくできずに困っている人たちや、もっとよりよく実践したいと思う人たちの手助けをすることができます。「手助けをする」といっても、一人ひとりに現場で直接的に助けるというのではありません。コツを言語化したパターン・ランゲージを届けることで、その人が自分でできるようになるのを支援するのです。

    その人の内側から作用するメディアを共有することで、「支援する人/される人」という関係を超えた、「ともに生きる」ということが可能になります。実際にそのように機能するパターン・ランゲージをつくるのは至難の業ですが、だからこそ井庭研では徹底的に時間と手間をかけて、つくり込んでいくのです。

    様々な実践領域でパターン・ランゲージをつくり、またパターン・ランゲージをつくる人を支援することで、ありとあらゆる領域でパターン・ランゲージが実践を支援する状態をつくっていきます。そのように整備されたパターン・ランゲージは、創造社会における「ソフトな社会インフラ」となるでしょう。人々は、そのような「ソフトな社会インフラ」の支えの上で、創造的な実践を始めることの自由度が高まります。これが、井庭研の研究で行うことです。

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    これまでに井庭研でつくったパターン・ランゲージのうち、書籍として出版されているものに、次のものがあります。実際に手にとって、読んでみてください。


    井庭研では、創造実践の支援の方法として主にパターン・ランゲージの作成に取り組んでいますが、他にもワークショップや新しい方法・道具などをつくる研究、創造的なコミュニティの研究なども行っています。


    ■ Values - Goodを超えてGreatを目指し実現する / つくる力をしっかり身につける / 自分たちのコミュニティを自分たちで育てる

    【Goodを超えてGreatを目指し実現する】

    井庭研では、成果のクオリティにおいても、取り組みの度合いにおいても、「いいね」というGoodにとどまらず、「素晴らしい!」というGreatなレベルになるように本気の活動をしています。そこでは、日々、①人の気持ちを心から感じ、手を差し伸べる②本質を追究し、徹底的につくり込む③新しい方法で取り組み、可能性を広げるということを大切にしています。

    まず、僕たちが取り組む研究で最も基盤となるのは、①人の気持ちを心から感じ、手を差し伸べる感受性と優しさです。困っている人、助けを求めている人、呼びかけ応答を求めている人に対して眼差しを向け、寄り添い、自分を差し出して尽くす ------ そういう気持ちと行動が不可欠です。井庭研で行われているパターン・ランゲージの作成は、困っている人たちやもっとよりよく生きたいと願う人たちを支援するために行われています。そのため、自己実現や自分の満足・快適を優先・中心に考える人は、井庭研には合わないということを強調しておきたいと思います。

    次に、②本質を追究し、徹底的につくり込むための明晰さと粘り強さが大切になります。物事の本質は、簡単には見えません。いくつもの事例を見ながら、そこに共通する特徴をつかみ、その本質を突き詰めて考えていくことが求められます(現象学の哲学では、これを「本質観取」と言い、井庭研ではそのことについても研究しています)。そして、その本質を表す表現を磨いていき、本質を見事に表す魅力的な表現になるようにつくり込んでいきます。そのとき、一人よがりな視点に陥らないために、複数人で何度も何度も話し合い、確かめ合います。本格的な創造ではいつもそうですが、井庭研で取り組む創造も、地道でつらく面倒な作業の連続です(しかし、楽しさや喜びも混じっているので、単なる苦行ではありません)。そうやってつくり込んだものだけが、人々の心に響き、実際に機能する素晴らしい(Greatな)作品になるのです。

    そして、③新しい方法で取り組み、可能性を広げるということも、井庭研で大切にしていることのひとつです。これまでに広く採用されてきた方法は、すでに多くの人々によって実行されてきたはずです。その結果、現在の課題や困難が残っているのですから、同じようなアプローチで取り組んでも、問題は解決・解消しないでしょう。そのような状況では、これまでにない新しいアプローチで取り組むことが重要になります。井庭研では、パターン・ランゲージをはじめ、従来とは異なる新しい方法で取り組むことで、問題を解決する道を切り拓くとともに、これまでにない選択肢の可能性を広げ、その面でも世の中に貢献しています。

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    【つくる力をしっかり身につける】

    井庭研では、新しい発想の学術研究を通じて、新たな視点、概念、方法、メディアを生み出していくための力を、各自がしっかり身につけることを大切にしています。そのために、④感じたことを捉え、そう感じた根拠を明らかにする⑤本をたくさん読み、思考と創造の土壌を豊かにする⑥日々パターン・ランゲージを活かし、実践を高め続けるようにしています。

    まず、何かを考えるときやつくるときには、自分の心で ④感じたことを捉え、そう感じた根拠を明らかにするようにしています。これは、まず、頭で意識的に考える前に内で感じること・直観としてつかんでいることが大切であることを意味しています。しかし、それをただ主張するのでは、単なる印象論や主観的な誤りに陥る可能性があります。そこで、感じたことを踏まえて、「そう感じたのはなぜか」「何がそれを確からしいと自分に感じさせたのか」の根拠を解明し、それを言葉で説明できるようになることが大切です。例えば、パターンのイラストを考えているときに、A案の方がB案より良いと感じたのであれば、それはどの部分がどうよいからなのかの理由を突きとめ、他の人も「確かにそうだ」と納得し得るロジックとして明示する必要があります。このような(受動的に)感じたことの本質(構造)を観取する(把握する)ということは、現象学の哲学的方法であり、また、パターン・ランゲージの考案者である建築家クリストファー・アレグザンダーの考えと方法にも通じるものです。まず感じて、それから考える --- Feel First, Then Think(FFTT)。これは、井庭研のあらゆる活動において重視されています。

    そして、井庭研では、⑤本をたくさん読み、思考と創造の土壌を豊かにすることを心がけ、日々実践しています。人は何かを考えるとき、素手でゼロから考えているのではなく、自分がすでに持っている概念装置(考え方のフレームワークや理論体系など)を駆使して考えています。そのため、よい概念装置をいろいろ持ち、それを使いこなせるようになることが重要となります。また、創造(creation)を可能にする想像力(imagination)は、さまざまな経験や知識が自分の無意識の「土壌」のなかに沈み、分解・熟成することで豊かになります。思想・哲学的な本や実践領域に関する本、創造的な人たちの暮らしや生き方にまつわる本などを読むことは、そのような自分の「土壌」を豊かにすることに直結します。このように、思考の面でも創造の面でも、読書のもたらす効用は絶大であり、それを活かさない手はありません。井庭研では、各自が自分でどんどん本を読んでいくことを強く推奨しています。

    さらに、井庭研では、⑥日々パターン・ランゲージを活かし、実践を高め続けることも推奨されています。僕らはこれまで20年間で、いろいろな実践領域の3,000以上のパターンを書いてきました。それらは、もともとは誰かのためにつくられたものなのですが、その本質的な普遍性から、僕ら一人ひとりにももちろん有効なものたちです。学び、プレゼン、コラボレーション、対話、読書、マネジメント、ケア、教え方、スタートアップ、暮らし、生き方などなど、井庭研のメンバーも、それらのパターン・ランゲージを自分の実践に活かすとともに、それを共通言語として語り合い、高め合うことにフル活用しています。

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    【自分たちのコミュニティを自分たちで育てる】

    井庭研では、自分たちのコミュニティを自分たちで育てるということを大切にしています。担当教員の名前がついた「井庭研」ですので、担当教員(井庭)はもちろん一つの中心的な役割を担うわけですが、だからといって、他のメンバーが従属的にぶら下がるような構造では、創造的な場としては素晴らしい場になるはずはありません。一人ひとりが、自分のいるコミュニティを育てていく努力をし、命を吹き込むからこそ、そこはいきいきとした創造的な場になるのです。そのため、まずはそのコミュニティにある⑦機会・環境に感謝し、最大限に活かすこと、また、⑧先生・先輩からどんどん学び、小まめに助け返すこと、そして、⑨仲間とともに挑戦し、喜びを分かち合うことをし続けることが大切になります。

    井庭研では、⑦機会・環境に感謝し、最大限に活かすことを、忘れずにいることを重視しています。今ある機会や環境は、誰も何もせずに当たり前に「ただある」ものではありません。それは、担当教員や過去の先輩たち、そして今いるメンバーの努力や貢献によって生み出され、「あるようになった」ものたちです。「当たり前」だと思ってしまうと、有り難さ(そこにあることの難しさ・希少さ)は感じられず、自分には関係ないもの・適度に流してよいものになってしまうでしょう。そうではなく、そのような機会や環境をもたらしてくれた人たちに感謝することを忘れず、それを最大限活かして自分たちの力に変えることが大切です。

    井庭研では、⑧先生・先輩からどんどん学び、小まめに助け返すことも大切にしています。人は経験を積むこと・知識を得ることで、できることが増えていき、その水準も高度になっていきます。そんな熟達した”すごい”人たちも、最初からそうだったわけではありません。ここで日々活動を続けるうちに、また個人的な努力の末に、できるようになったのです。先生や先輩がこれまで何を(どのような努力・経験を)してきて、今何をしているのか(実践・習慣)を聞き、自分の成長に活かすということは、自分を大きく高める契機となります。そして、先生や先輩が高いレベルで挑戦していることを手伝い、応援することで、いまの自分のレベルでは体験できないような、より高度なレベルでの実践経験を垣間見て体験できるようになります。そこで、経験や力の差のある先生や先輩たちから一方的に学びを得るだけでなく、その人たちを「助け返す」ことも、双方にとって重要な意味を持ちます。一気に大きく貢献というのは難しいので、日頃から、「小まめに助け返す」ことがポイントです。

    井庭研では、日頃から、⑨仲間とともに挑戦し、喜びを分かち合うことを大切にし、味わっています。一人で行う挑戦では、自分の限界が活動の限界になってしまい、なかなか大きく飛ぶことはできません。そこで、研究会のメンバーや学内外の関係者の仲間とともに、得意を持ち寄り、励まし合い、高め合いながら、普通では実現不可能なレベルまで飛躍します。そして、地道で苦しく忍耐のいる作業の末、Greatな高みに到達したときの大きな喜びを、仲間とともに分かち合います。ナチュラルにクリエイティブに生きる喜びのある人生とはそのようなものであると考え、まさにそれを井庭研のなかでも実践・実現しているのです。

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    ■ 「創造実践学」という新しい学問領域での実践研究

    井庭研で取り組んでいる研究は、既存の学問分野には収まらないものです。僕は、自分たちが取り組んでいる新しい学問にはまだ名前がないので、それを「創造実践学」(Studies on Creative Practice)と名づけました。創造(creation)の実践について、そして創造的(creative)な実践について研究する学問分野、それが「創造実践学」です。

    創造実践学の主力となる方法が、パターン・ランゲージです。それぞれの領域での創造的なよい実践を研究し、それを言語化します。そして、それを用いて、人々の支援をしていきます。このように、創造実践学は、現在の問題や課題を解決する実学的な学問なのです。しかし、それだけにとどまりません。パターン・ランゲージをつくるということは、これからの社会の「ソフトな社会インフラ」を築くことだと言えるので、未来をつくる未来志向の営みでもあるのです。

    井庭研では、なるべく長い期間どっぷりと浸かって、しっかり学び・研究することを大切にしてします。そのため、なるべく低学年のうちから参加し、経験を重ねていくことを強く推奨しています。そして、自分の研究のなかで創造実践学の思想と方法の感覚を「マスター」する修士課程(master course)や、それぞれの関心領域の専門家として「社会を治癒するドクター」になる博士課程(doctor course)に進学し、高度な技術とマインドを育んでいくことを推奨しており、実際に多くの人がその道に進み、日々がんばっています。

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    ■ 開かれた物語としてのパターン・ランゲージ

    国内外でいろいろな分野の人たちによってつくられているパターン・ランゲージのなかでも、井庭研のパターン・ランゲージに特に特徴的な点があります。それは、僕たちが、パターン・ランゲージを、一つの「物語」のようにつくり込んでいるということです。もう少し限定して言うと、主人公を特定しない「開かれた物語」としてつくっているのです。

    僕らがパターン・ランゲージをつくるときには、個別具体的な人物としては設定しませんが、「その実践をする人」という匿名の主人公を想像し、その人がある状況において問題に直面したり解決の行動をしたりするという「物語」を立ち上げます。そうすることで、読み手は、ひとつの物語のようにそれを読むことができるとともに、自分の物語として読むことができるようになります。

    つまり、パターン・ランゲージを、単に現象を説明する説明的記述ではなく、読み手が「自分の状況に当てはまる」と思うこと、そして、そこで推奨されていることを魅力的だと思い、実際にやってみようと思うものになるような表現としてつくり込んでいるのです。

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    僕は、これは、J-POPのようなポピュラー音楽の歌詞をつくることに似ていると思っています。聴き手が「自分の状況に当てはまる」と思い、そこで歌われていることを魅力的だと思い、自分の歌として口ずさんだり、カラオケで歌ったり ------- そういう歌の歌詞のようなものだと思うのです。

    実際、作詞を手掛けている人たちが、歌づくりで語っていることは、パターン・ランゲージの作成と共通すると感じることが多々あります。AメロやBメロでその状況における悩みや迷いが歌われ、そして、サビでは。その状況を受け止め、乗り越えていくためのポジティブなメッセージが提示されます。聴き手は、その歌を聴き、歌詞を受け取るなかで、元気をもらったり、勇気づけられたり、世界をポジティブに捉えることができるようになります。

    パターン・ランゲージも、ある状況における問題から始まり、それを乗り越えていく方法が示されます。それは、読み手が実感をともなって内側から「自分のことだ」「自分の近未来だ」と思えるように書かれるのです。パターン・ランゲージは、歌の場合とは異なり、音楽が持つ力を借りることはできません。しかしながら、うまくつくれば、読み手のペースで読み、自分のものとして内側からその人を温めるようなものになります。

    実際、僕らがつくったパターン・ランゲージの読み手から、しばしば、「背中を押してくれました」「元気をもらっています」「心の支えになっています」「お守りのような存在です」「これがあったから、なんとかやってこれました」という声をもらいます。そういう声を聴くたびに、まるで心から共感する大好きな「歌」のような存在だな、と思うのです。僕らのつくった、開かれた物語としてのパターン・ランゲージが、誰かの人生をあたためる。そんな素敵な営みだなぁと、僕はいつも感じています。


    ■井庭研の全体像と仕組み

    井庭研は、B型研究会×2というかたちで実施されています。

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    B1研究会は、井庭研のすべての土台(Foundation)になるもので、全員が参加するものです。木曜5限に開講されます(必要に応じて延長して行います)。これは、全体ミーティングであり、文献輪読や運営上の話し合いなどを行います。また、各自が取り組んでいる研究の発表やそれに対する議論なども行います。

    井庭研に所属するメンバーは、その学期に実施される「プロジェクト」のどれか一つに参加して研究を行うか、「個人研究」を行います。「プロジェクト」と「個人研究」の両方を行うことも可能です。

    「プロジェクト」では、井庭研での研究経験を積んだメンバー(大学院生等)がリーダーとなり、研究方法や知識の伝授をしながら、プロジェクトで掲げているテーマの研究に複数人で取り組みます。プロジェクトに参加する場合は、全員、水曜日の午後(3〜6限)に集まり、まとまった時間を確保して、しっかり活動します(水曜日のプロジェクト活動は井庭研B2として行うので、そちらも履修するようにしてください。時間割上は水曜6限扱いとなっています)。

    これに対し、「個人研究」では、各自の問題意識に基づき、自分で研究テーマも方法も考えて、取り組んでいきます。すべてが本人に委ねられているので自由度は高いですが、その分、自分で主体的に調べ、考え、研究として成り立たせる必要があります。その意味で、井庭研でのプロジェクト経験や、他の研究会での研究経験がなければ、実際問題として難しいでしょう。

    新規メンバーは、まずはプロジェクトに入ることを強く推奨します。いきなり一人で個人研究をするよりも、プロジェクトに入る方が、研究の進め方や具体的なやり方を教えてもらえるとともに、活動のなかで学び合ったり、刺激し合ったり、喜びを分かち合ったりできるからです。まずは、B2シラバスにあるプロジェクトのラインナップを見て、自分の興味に合うプロジェクトを探してみてください。

    4年生の卒業プロジェクト(卒プロ)は、4年生のときに参加しているプロジェクトを卒プロとして扱います。プロジェクトをしっかり行うことを徹底した上で、さらに個人的にやりたいことがある場合には、プロジェクトに上乗せして、個人研究を卒プロとして扱うこともあります。

    井庭研では、全員が論文を執筆を行います。内容は、プロジェクトもしくは個人研究の成果です。学期半ばから研究と並行して執筆を行い、学期末には全員分をまとめて、論文集をつくります。井庭研B1の時間には、論文の書き方について学ぶ機会も設けます。


    ■ 履修上の注意・留意事項

  • 1年生か2年生の早めの参加を強く推奨します。長く一緒に研究・活動して経験を積み重ねることで、理解が深まり力がつくので、その後、より活躍できるようになります。そのため、井庭研では早い時期からの履修・参加を強く推奨しています。

  • 3年生後半や4年生からの受け入れは、原則として行っていません卒業プロジェクトの段階になって焦って研究会に入ろうとすることのないように、しっかりと計画的に考えて、早い段階から入るようにしてください)。

  • GIGA生や海外経験のある人、留学生を歓迎しています。井庭研では、日本語での成果をつくるとともに、英語で論文を書いて国際学会で発表したり、海外の大学やカンファレンスでワークショップを実施したりしています。日本語以外の言語を扱えることは、活躍・貢献のチャンスが大きく高まります。ぜひ、力を貸してください。

  • 井庭研メンバーは、原則として全員B1を履修する方針ですが、他の研究会(A型)に所属しながら井庭研B2のプロジェクトに参加・履修したい場合など、特殊な事情がある場合には、事前に相談するようにしてください(説明会の際、もしくは、ilab-entry@sfc.keio.ac.jpまでメールにて)。


    ■ 研究会の時間の計画

    #1 イントロダクション(10/5)
    研究会の進め方やスケジュールを確認し、研究会のPurpose、Vision、Mission、Valuesについて語り合います。

    #2 研究計画発表1(10/12)
    それぞれのプロジェクトや個人研究の研究計画を発表し、よりよくなるための議論をします。

    #3 研究計画発表2(10/19)
    それぞれのプロジェクトや個人研究の研究計画を発表し、よりよくなるための議論をします。

    #4 重要文献読解(10/26)
    井庭研の研究における重要文献を読んできて、その内容について話し合います(国際カンファレンスPLoP期間中)。

    #5 対外研究発表に向けての話し合い・準備1(11/2)
    11月下旬にある対外的な研究発表の機会(SFC万学博覧会)に向けての話し合い・準備をします。

    #6 対外研究発表に向けての話し合い・準備2(11/9)
    11月下旬にある対外的な研究発表の機会(SFC万学博覧会)に向けての話し合い・準備をします。

    #7 対外研究発表に向けての話し合い・準備3(11/16)
    11月下旬にある対外的な研究発表の機会(SFC万学博覧会)に向けての話し合い・準備をします。

    #8 対外研究発表のふりかえり(11/30)
    対外的な研究発表の機会(SFC万学博覧会)についてのふりかえりをします。

    #9 研究中間共有会(12/7)
    小さなグループに分かれ、それぞれのプロジェクトや個人研究の中間段階での進捗状況・成果について語り、お互いにアドバイスをし合います。

    #10 ライターズ・セミナー1(論文執筆における大切なこと)(12/14)
    論文誌筆のコツをまとめたアカデミック・ライティング・パターンに紐づけて、論文執筆に関する本の重要箇所を確認します。

    #11 ライターズ・セミナー2(各自の論文についての相談)(12/21)
    各自書いてきた論文をチームで読み合い、アカデミック・ライティング・パターンも活用して改善に向けた話し合いをします。

    #12 ライターズ・セミナー3(ライターズ・ワークショップ)(1/11)
    ライターズ・ワークショップのスタイルで、論文がよりよくなるための話し合いをします。

    #13 論文集の編集(1/18)
    論文の最終調整を行い、論文集を仕上げます。

    #14 研究成果発表会の準備(1/25)
    研究成果発表会の準備を行います。

    #15 研究成果発表
    それぞれのプロジェクトや個人研究の最終成果を発表します。


    ■ 評価の方法

    研究会の成績評価は、日頃の研究・実践活動、発表、論文、議論・話し合いでの貢献、成長の観点等から総合的に評価します。


    ■ エントリー方法

    【新規エントリー】

    井庭研に新規でエントリーする人は、このシラバスをよく読んだ上で、期日までに、[1] 新規エントリーシート[2] 文献課題を、それぞれ別々のPDFファイルで用意し提出してください(ファイル名に自分の名前を入れるようにしてください)。新規メンバーはプロジェクトに入ることを強く推奨しますが、すでに別の研究会に入っている/これまでに研究経験があるなど、個人研究の遂行能力がありそれを希望する場合には、[3] 研究計画も提出してください。

    第二期募集:一部プロジェクトで、引き続き新規メンバーの募集を受け付けています。第二期の募集は、9月下旬までとします。エントリーがあった人から面接を設定していき、プロジェクトの定員に達したら募集終了となるので、早めにエントリーすることをおすすめします。どのプロジェクトが募集しているかの最新情報はB2シラバス(ブログ版)を見てください。


    提出先: https://forms.gle/w7bQmoTcAze7q9W38 (井庭研 2023年秋学期 新規エントリーフォーム)

    このフォームに登録後、メールで ilab-entry@sfc.keio.ac.jp に、フォーム提出したということを連絡してください。

    [1] 新規エントリーシート

    井庭研(2023秋)新規エントリー

    1. 名前(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名, 顔写真 (写真はスナップ写真等で構いません)
    2. 自己紹介と日頃の興味・関心(イメージしやすいように、適宜、写真などを入れてください)
    3. 井庭研への志望理由、および、この研究会シラバスを読んで、強く惹かれたところや共感・共鳴したところと、その理由・考えたこと
    4. 履修:「B1とB2」か「B1のみ」か
    5. 参加したいプロジェクト(複数ある場合で、第一希望など順番がある場合は明示してください)
    個人研究を希望する場合には、研究タイトルを書いてください。
    6. 持っているスキル/得意なこと(グラフィックス・デザイン, 映像編集, 外国語, プログラミング, 音楽, その他)
    7. これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
    8. これまでに履修した授業のなかでお気に入りのもの、所属した研究会など(複数可)
    9. 並行して所属する予定の研究会(あれば)
    10. 補足(その他、何か連絡・相談があれば)


    [2] 文献課題

    まず、『総合政策学の方法論的展開』 (清水唯一朗, 桑原武夫 編, 慶應義塾大学出版会, 2023)の第2章 「新しい方法、新しい学問、そして、未来をつくる:創造実践学の創造」(井庭崇)を読んでください。これが井庭研で行っていることの概要になります。

    これに加えて、以下のいずれかを(1つ以上)読んでください(授業の文献宿題で読んだ人も、改めてざっと読み直してみてください)。



    読んだ本・論文のなかで、自分にとって面白いと感じた内容について、それがどこの何の話なのかということと、それを自分がどのように面白いと感じたのかを書いてください(A4で1〜3ページ程度)。


    [3] 研究計画(最初の学期から個人研究を行いたい場合のみ)
    個人研究として、どのようなテーマの研究をどのように行うのかの研究計画を書いてください(A4で2〜5ページ程度)。以下の要素を含めてください。

  • 研究タイトル(その研究を端的に象徴的に表す主題・副題)
  • 研究概要(その研究のエッセンスを数行でまとめるアブストラクト)
  • 研究背景(その研究が重要である背景や研究等の歴史、自分が取り組む個人的な経緯など)
  • 研究方法(どのような方法で研究に取り組むのか)
  • 遂行スケジュール(研究の進行、また、具体的に何月に何をする予定か)
  • 期待される成果(成果のイメージと、その学術的意義と社会的価値)
  • 参考文献(研究に関係する書籍・論文等のリスト)


  • なお、井庭研の新規面接は、担当教員だけでなく現役メンバーも一緒に参加して実施するため、エントリー時の提出物はメンバーも閲覧します。その点、あらかじめお知らせしておきます。


    ■ 重要文献

    井庭研の研究の背景や基本知識を知るために重要な本には、以下のものがあります。



    • 『時を超えた建設の道』 (クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993)/ Christopher Alexander, The Timeless Way of Building, Oxford University Press, 1979
    • 『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1984) / Christopher Alexander, Sara Ishikawa, and Murray Silverstein, A Pattern Language: Towns, Buildings, Construction, Oxford University Press, 1977
    • 『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー:建築の美学と世界の本質 ― 生命の現象』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 2013)/ Christopher Alexander, The Nature of Order, BOOK ONE: The Phenomenon of Life, The Center for Environmental Structure, 2002
    • 『パタン・ランゲージによる住宅の生産』(クリストファー・アレグザンダー他, 鹿島出版会, 2013)/ Christopher Alexander with Howard Davis, Julio Martinez, Don Corner, The Production of Houses, Oxford University Press, 1985
    • 『オレゴン大学の実験』(クリストファー・アレグザンダー他, 鹿島出版会, 1977)/ Christopher Alexander, Murray Silverstein, Shlomo Angel, Sara Ishikawa, Denny Abrams, The Oregon Experiment, Oxford University Press, 1975
    • 『Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン』(Mary Lynn Manns, Linda Rising, 丸善出版, 2014)/ Mary Lynn Manns, Linda Rising, Fearless Change: Patterns for Introducing New Ideas, Addison-Wesley, 2004


    • 『創造的論文の書き方』 (伊丹敬之, 有斐閣, 2001)
    • 『基礎からわかる 論文の書き方』(小熊英二, 講談社, 2022)
    • 『考える技術・書く技術:問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(バーバラ・ミント, ダイヤモンド社, 1999)/ Barbara Minto, The Pyramid Principle: Logic in Writing and Thinking, third edition, Pearson Education Limited, 2021


    B2シラバス「Natural & Creative Living Lab:研究プロジェクト実践」につづく
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