井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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パターン・ランゲージのつくり方:部分展開と全体構築の2つのアプローチ

僕の経験からすると、パターン・ランゲージのつくり方には、大きく分けて二つのアプローチがある。ひとつは、いくつかのパターンから書き始めるというもの(部分展開アプローチ)。もうひとつは、全体像を明らかにしてから個々のパターンを書くというもの(全体構築アプローチ)である。

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いくつかのパターンから書き始める部分展開アプローチのメリットは、1つのパターンを書くことからでも始められること。つまり、それほど時間がかからずに、少数のパターンができあがるので、それを利用することもできるようになる。

部分展開アプローチのデメリットは、各パターンが「全体」のなかでどの位置を占めるのかがわからないまま、パターンを書かなければならなくなる点。全体像が見えていないので、どのような粒度や抽象度で書けばよいのかが定かではなく、最終的に一貫性や整合性がとれなくなる可能性もでてくる。

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全体像を明らかにしてから個々のパターンを書く全体構築アプローチのメリットは、全体像がつかめるので、個々のパターンの役割や関係性を意識して書くことができるようになる。また、他のパターンと粒度や抽象度を合わせることができるので、全体として一貫性や整合性のとれたランゲージになる。

全体構築アプローチのデメリットは、かなり大掛かりなプロジェクトになるということ。パターンを書く前に、ブレインストーミングやKJ法など、全体像をつくるためにかなりの時間を費やすことになる。また、パターンの候補も一気に数十個(僕らの経験則だと50個前後)が得られるので、書くのも大変になる。

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このように、部分展開アプローチにも全体構築アプローチにも、メリットとデメリットがある。そのため、パターン・ランゲージをつくるときには、自分の目的やスケジュール、リソースなどを考えて、アプローチを選ぶとよい。

例えば、そのコミュニティ内で、すぐに使えるように、実践知(視点/発想/こだわり)を「共有」したいということであれば、部分展開アプローチがよいだろう。なぜなら、体系立っていることよりも、共有できることの方が大切だからである。

これに対して、ある分野での実践において、多くの人がうまくいかず悩んでいる状況から抜け出すことを支援したいということであれば、苦労をしてでも全体構築アプローチで、しっかりとつくり込むことには意味があるだろう。なぜかというと、そのような状況を抜け出すためには、数個のtipsを知るだけではどうにもならず、ランゲージ全体によって考えることを支援しなければ効果がでないからである。


このような考えから、井庭研ではこれまで、全体構築アプローチによって「ラーニング・パターン」と「プレゼンテーション・パターン」をつくってきた。「コラボレーション・パターン」もこのアプローチでつくっている(パターン・マイニングの活動映像:Brain Storming 編 / Visual Mapping 編)。

他方、クリエイティブ・ラーニングのための教授法パターンや、第二言語によるライティング・パターン、パターン・ランゲージ制作にまつわるパターンなどは、部分展開アプローチでつくっている。少しでも早くその実践知を共有したいと考えているからである。

しかも、実際問題として、同じチーム内で全体構築アプローチのプロジェクトを、複数同時並行で進めることは難しい。ひとつひとつが、かなりの時間と労力と気合いを必要とするからだ。


いま井庭研では、二つの全体構築アプローチのプロジェクトが並行して進んでいる(Collaboration Patterns Project と Generative Beauty Project)。それぞれ10〜15人のメンバーで構成され、メンバーの8割が重なっている。工夫している点としては、時期をずらして始めていること。片方のプロジェクトの後半と、もう一方のプロジェクトの前半が重なるように。

Collaboration Patterns Project
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Generative Beauty Project
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こうすれば、KJ法ばかりやっているとか、パターン・ライティングばかりやっているということを避けることができる。二つのプロジェクトを進めていても、KJ法とパターン・ライティングはまったく違うアクティビティであり、違う頭の使い方をするので、なんとかなっている。

そうすると、もうこれ以上は、全体構築アプローチのプロジェクトをまわすことはできない。なので、そういう現実的な制約からも、残りのパターン・ランゲージ制作プロジェクトは、部分展開アプローチで進めることになる。


以上が、パターン・ランゲージ制作について、制作するパターンとそれがつくる全体の関係に注目したアプローチについてのまとめである。
パターン・ランゲージ | - | -

コラボレーション・パターン プロジェクト活動映像#2

創造的なコラボレーションのパターン・ランゲージである「コラボレーション・パターン」(Collaboration Patterns)の制作活動映像の第二弾をつくった。

第一弾のパターン・マイニングのためのブレイン・ストーミングに引き続き、今回はブレインストーミングで出た「コラボレーション」のコツ/こだわりを、KJ法で体系化した。4日間で計20時間の活動を、映像では1000倍速で一気に駆け抜けます。

短い時間で一気に見るからこそ捉えられるものがあります。ぜひご覧ください!

Visual Mapping for Making a New Pattern Language for Creative Collaborations (Collaboration Patterns Project #2)
Recorded by Collaboration Patterns Project, Edited by Takashi Iba.
http://vimeo.com/42780071

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コラボレーション・パターン | - | -

コラボレーション・パターン プロジェクト活動映像#1

現在、井庭研では、創造的なコラボレーションのパターン・ランゲージ「コラボレーション・パターン」(Collaboration Patterns)を制作しています(→ 井庭研B1シラバス)。

そのパターン・ランゲージ制作の活動風景を、映像としてまとめて、公開していきます。

第一弾は、パターン・マイニングのためのブレイン・ストーミングの回。
コラボレーションにおける重要なこだわりについて、とにかくたくさん挙げていきます。テーブルの上が徐々に埋まっていく感じを、映像で追体験してみてください。


Vimeo "Brain Storming for Making a New Pattern Language for Creative Collaborations (Collaboration Patterns Project #1)"
Recorded by Collaboration Patterns Project, Edited by Takashi Iba.
http://vimeo.com/41613781

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これまで、井庭研でのパターン・ランゲージ制作は、事後的に講演・ブログ等で紹介してきましたが、今回は、制作途中の段階からどんどん紹介していきます。

また、これまでは、写真で活動の紹介をしていましたが、今回は動画です。とてもよく雰囲気がでていると思うので、ぜひ、ご覧ください。
コラボレーション・パターン | - | -

【予告】HCD講演「パターン・ランゲージによる経験のマイニングと共有」

2012年5月19日(土)に、HCD(Human-Centered Design:人間中心設計)のHCD-Netフォーラムで招待講演を行います。この講演のなかで、ラーニング・パターンとプレゼンテーション・パターンを用いた対話ワークショップも行います。


「パターン・ランゲージによる経験のマイニングと共有」
井庭 崇(慶應義塾大学 総合政策学部 准教授)

各人がもつ暗黙的な実践知を、いかにして共有することができるのか? この問いに実践的に答えようとしているのが、「パターン・ランゲージ」による知識記述の研究です。パターン・ランゲージでは、どのような状況(Context)のときに、どのような問題(Problem)が生じやすく、それをどのように解決すればよいのか(Solution)の「パターン」が記述されます。ここで記述されるのは、単なるノウハウではなく、物事を見る視点と発想です。

ここで目指されているのは、暗黙的で実践知を完全に「ことば」で記述し尽くすことではありません。そんなことは到底不可能です。このことは、物や振る舞いを表す「ことば」が、物や振る舞い「そのもの」ではないのと同様です。パターン・ランゲージも実践知そのものではなく、それを指し示すためのインデックスにすぎません。それでも、パターン・ランゲージとして実践知を指し示す「ことば」をつくり共有することで、不可視の実践知をイメージしやすくし、他者と共有する道がひらけるのです。

パターン・ランゲージは、これまで「ユーザー参加型のデザイン」や「熟達者の視点・発想を学ぶ」ためのメディアとして用いられてきましたが、本講演では「多様な経験を掘り起こし、コミュニケーションの俎上に載せる」ためのメディアとして捉え直します。そして、そのメディアを活かした取り組みや、パターン・ランゲージの制作プロセスにも言及します。

本講演では実際に、「ラーニング・パターン」(創造的な学びのパターン・ランゲージ)と「プレゼンテーション・パターン」(創造的なプレゼンテーションのパターン・ランゲージ)を用いた対話ワークショップを体験していただきます(事前準備等は必要ありません。当日ペンなど筆記用具をお持ちください)。 お楽しみに!

●「ラーニング・パターン」 http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/
●「プレゼンテーション・パターン」 http://presentpatterns.sfc.keio.ac.jp/



2012年度 HCD-Netフォーラム「HCD・UXの学びと人材」
■日 時:2012年5月19日(土)13時~17時30分
■場 所:東海大学 高輪校舎
■主 催:NPO法人 人間中心設計推進機構
詳細は、http://www.hcdnet.org/
を参照してください。
イベント・出版の告知と報告 | - | -

「パターンランゲージ 3.0:新しい対象×新しい使い方×新しい作り方」(1)

「パターンランゲージ 3.0: 新しい対象 × 新しい使い方 × 新しい作り方」

井庭 崇(慶應義塾大学総合政策学部)

1. はじめに

パターンランゲージは,ある領域に潜む《デザインの知》を記述した言語である.ここでいう《デザインの知》とは,「問題発見+問題解決の知」のことである.つまり,どのような「状況」でどのような「問題」が生じ,それをどう「解決」すればよいのかという知見・発想を記述したものが,パターンランゲージということになる.

このようなデザイン=問題発見・問題解決の知を記述した「言語」を作ることを考案したのは,Christopher Alexanderという1人の建築家である.彼は,住人が自分の住む家のまちをデザインするプロセスに参加するにはどうしたらよいかを考え,その支援方法としてパターンランゲージを考案した.そして,同僚とともに253のパターンをまとめ,本として出版した [1].1970年代後半のことである.

それから十年後の80年代後半に,彼の考えと方法はソフトウェアデザインの領域に輸入され,90年代に本格的に普及していった(この輸入・展開の経緯と背後にある思想については,江渡浩一郎氏の『パターン,Wiki,XP —時を超えた創造の原則—』[2]が詳しい).このような状況において,私は「人間行為」のパターンランゲージという,これまでにない新しい領域のパターンランゲージの記述・制作に携わってきた.その一連の取り組みを通じて,「パターンランゲージとは何か」という本質的な問いや,「パターンランゲージをどのように作ればよいのか」という実践的な問題に対して,自らの考えを洗練させる機会を得た.本稿では,その一端を紹介するとともに,今後の議論の枠組みとなるような捉え方を提示することにしたい.

2. パターンランゲージの進化

パターンランゲージの進化をわかりやすく捉えるために,本稿ではその進化を3つの段階に分けることを提案する.Alexanderによってパターンランゲージの考えと方法が提案された段階を「パターンランゲージ 1.0」,その後ソフトウェアの領域に輸入・展開された段階を「パターンランゲージ 2.0」,そして,現在,私たちが取り組んでいる新しい段階を「パターンランゲージ 3.0」と呼ぶことにする.この1.0から3.0という段階は,断絶的な移行を意味するのではなく,段階が進むごとに新しい特徴が加わっていく加算的な発展だと考えてほしい(図-1).


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図-1 パターンランゲージの進化


本稿では,パターンランゲージの進化の各段階の特徴を捉えるために,3つの視点から考察する.その3つの視点とは,「パターンランゲージが支援するデザインの対象」,「パターンランゲージの使い方」,「パターンランゲージの作り方」である.パターンランゲージの進化の3段階と3つの視点による特徴をまとめると,図-2のようになる.以下では,この表の内容に沿って,パターンランゲージ3.0における「新しい対象」,「新しい使い方」,「新しい作り方」を論ずることにしたい(なお,この表の各セル(特徴)は同じ段階の他のセルと結びつくことでその特徴をフルに発揮するが,斜め上下の組合せでも用いることもできる).


PatternEvolutionMatrix_JP_New_New420.jpg
図-2 パターンランゲージの進化とその特徴(↑クリックで拡大)


(つづく)


[1] Alexander, C., Ishikawa, S., Silverstein, M., Jacobson, M., Fiksdahl-King, I. and Angel, S.: A Pattern Language: Towns, Buildings, Construction, Oxford University Press (1977). (翻訳:パタン・ランゲージ —環境設計の手引, 鹿島出版会, 1984)
[2] 江渡 浩一郎:パターン,Wiki,XP —時を超えた創造の原則—, 技術評論社, 2009


※ 井庭 崇, 「パターンランゲージ 3.0:新しい対象 × 新しい使い方 × 新しい作り方」, 情報処理, Vol.52 No.9, 2011 より
パターン・ランゲージ | - | -

授業「パターンランゲージ」のグループワークで制作したパターンを冊子化

今年度秋学期に慶應義塾大学SFCで開講していた授業「パターンランゲージ」のグループワークの成果集が出来上がった。

この授業では、パターン・ランゲージの考え方とつくり方を教える一方、自分たちの興味があるパターン・ランゲージをつくるというグループワークに取り組んできた。

そのテーマは、ソーシャル・イノベーション、まちおこし、外国語習得、異文化理解、子どもの学び、文章を書く、ヴィジュアライゼーション、情報デザイン。

各チーム6パターンつくったので、11チームで計66個のパターンをつくった。

それらの成果をまとめた冊子(パターン・カタログ)を作成し、授業最終回で配布した。

冊子は、井庭研で作成した「ラーニング・パターン」「プレゼンテーション・パターン」と同じスタイルになるように、Adobe InDesignで同じように編集・作成した。

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なぜ、授業なのにここまでやったのかというと、履修者のみんなに、パターン・ランゲージがカタチになったときのうれしさを味わってほしかったからだ。僕らも、自分たちがつくったパターン・ランゲージが冊子になって初めて、その実感をもつようになる。なので、単にファイルで提出というので終らせずに、冊子にして返してあげたかったのだ。

授業最終回では、この自分たちでつくったパターン・ランゲージをつかって、対話のワークショップも行った。これで、すべて、パターン・ランゲージのマイニングからライティング、ブラッシュアップ、カタログ化、ワークショップまでを経験したことになる。

この冊子は、以下のリンクからPDFをダウンロードできる。興味がある方は見てみてほしい。

『SFC Pattern Languages 2011:SFC「パターンランゲージ」グループワーク成果集』(PDF, 2.7M)

SFC Pattern Languages 2011 
SFC「パターンランゲージ」グループワーク成果集


1 Social Innovation pattern language
2 まちおこしパターン
3 Re-Town Patterns
4 Learning Foreign Language Patterns
5 外国語習得のパターン・ランゲージ
6 異文化理解のパターン・ランゲージ
7 子どもの学びのパターン・ランゲージ
8 子どもの学びのパターン・ランゲージ
9 WRITING PATTERNS
10 ヴィジュアライゼーションのパターンランゲージ
11 情報デザインのパターンランゲージ


本冊子は、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス) 総合政策学部・環境情報学部にて2011 年度秋学期に行われた授業「パターンランゲージ」(担当教員:井庭 崇)のグループワークの成果をまとめたものです。

 この授業では、パターンランゲージの考え方や作り方を学びながら、それぞれの興味・関心がある領域の実践知をパターンランゲージとして書くというグループワークを行いました。

 2011 年度のグループワークで取り組んだテーマは、ソーシャルイノベーション、まちおこし、外国語習得、異文化理解、子どもの学び、文章を書く、ヴィジュアライゼーション、情報デザインです。

 各チームの成果をご覧いただき、気に入ったパターンがあれば、ぜひみなさんの生活・活動に活かしてみてください。
授業関連 | - | -

2011年度に僕が行った対談・鼎談の公開映像一覧

今年もたくさんの対談・鼎談を行いました(おつきあいいただいたみなさん、ありがとうございました!)。

その対談・鼎談のうち、SFC Global Campus(SFC-GC)のサイトで映像が公開されているものをリストアップしました。どなたでも無料でご覧になれますので、興味がある回があれば、ぜひどうぞ。リンクをクリックすると、ブラウザ上で映像再生が開始します。

■「“自分”から始まる学びの場のデザイン」
(市川 力さん × 今村 久美さん × 井庭 崇 鼎談, 2011年5月21日, 3時間)
→ 鼎談映像 《前半》《後半》

■「学びと創造の場づくり」
(中原 淳さん × 井庭 崇 対談, 2011年7月9日, 3時間)
→ 対談映像 《前半》《後半》

■「カオスの生成力」
(合原 一幸先生 × 木本 圭子さん × 井庭崇 鼎談, 2011年11月5日, 3時間)
→ 鼎談映像 《前半》《後半》

■「社会を変える仕組みをつくる」
(井上 英之さん × 中室 牧子さん × 井庭 崇 鼎談, 2011年11月12日, 3時間)
→ 鼎談映像 《前半》《後半》

■「内からのことばを生み出す」
(山田 ズーニーさん × 井庭崇 対談, 2011年11月28日, 1時間半)
対談映像

■「ユーザーエクスペリエンスデザイン」
(長谷川 敦士 さん × 井庭崇 対談, 2011年12月12日, 1時間半)
対談映像

■「デジタル・ファブリケーション、パターン・ランゲージ、複雑系」
(田中 浩也 さん × 井庭崇 対談, 2011年12月13日&20日, 計3時間)
→ 対談映像 《前半》《後半》
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プレゼンテーション・パターン プロジェクト

「プレゼンテーション・パターン」を制作した、プレゼンテーション・パターン プロジェクト(Presentation Patterns Project)を紹介したいと思います。

プレゼンテーション・パターンは、井庭 崇(慶應義塾大学 総合政策学部准教授)をリーダーとして、総合政策学部・環境情報学部に所属する学部1~4年生、坂本 麻美、松村 佳奈、荒尾 林子、柳尾 庸介、濱田 正大、村松 大輝、松本 彩、下向 依梨、中野 えみり、仁科 里志、野村 愛、安浦 沙絢、原澤 香織、山口 祐加によって制作されました。プレゼンテーション・パターンは、SFC井庭研の学部生14人と僕でつくりました。

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このプロジェクトは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の井庭崇研究室のプロジェクトとして、2011年5月より始まりました(2011年度春学期 研究会シラバス 参照)。春からのメンバーは、坂本麻美、松村佳奈、荒尾林子、柳尾庸介、濱田正大、村松大輝、松本彩と僕の計8人です。この段階で、プレゼンテーション・パターンの種ができています。

秋(2011年度秋学期 研究会シラバス 参照)からは、春からのメンバーに加え、下向依梨、中野えみり、仁科里志、野村愛、安浦沙絢、原澤香織、山口祐加も加わりました。継続メンバーと新規メンバーで力をあわせ、パターンの内容と記述の洗練を重ね、今回のバージョンが完成しました。

冊子のイラストも編集も、すべてプロジェクトメンバーが行っています。

イラストは、井庭 崇、原澤 香織、荒尾 林子が担当し、手描きから始めて、最後にはAdobe Illustratorで清書しています。

冊子の編集は、中野 えみり、門谷 めぐみ、濱田 正大、井庭 崇が担当しました(門谷は、井庭研の別プロジェクトのメンバーですが、冊子の編集に参加しました)。冊子は、Adobe InDesignで制作しています。Presentation Patternsのロゴは、村松 大輝が作成し、井庭 崇が表紙デザインをしています。

このプロジェクトが井庭研の学部生で構成されているという話はすでにしましたが、学年構成は、1年生2人、2年生6人、3年生4人、4年生2人となっています(SFCでは学部1年生から研究会(研究室、ゼミ)に所属できるので1、2年生もメンバーにいるのです)。

プレゼンテーション・パターンの感想やコメントを、ぜひプロジェクト・メンバーにいただければと思います。メールにて、 presentpatterns [at] sfc.keio.ac.jp までお願いいたします。

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プレゼンテーション・パターン(Presentation Patterns)の紹介

あらゆる分野・領域でイノベーションが求められている現在、自分の考えや新しいアイデアについてプレゼンテーションすることが、ますます重要になっています。そこで求められているプレゼンテーションというのは、単なる「伝達」ではなく、そのこと自体が新しい「創造」であるような「創造的プレゼンテーション」(Creative Presentations)ではないでしょうか。

創造的プレゼンテーションは、聞き手が自身の経験・知識を混ぜ合わせた新しい認識や発見をつくることを誘発し、次なる行動を生み出すことで、未来をつくリ出します。そのような創造的プレゼンテーションは、一体どのように実現できるのでしょうか?

img359_PresentationPatterns230.jpg井庭研プレゼンテーションパターン プロジェクトでは、創造的プレゼンテーションのデザインの秘訣を「プレゼンテーション・パターン」というかたちにまとめました。ここには、プレゼンテーション・デザインの視点や方法が34個収録されています。

ホームページでは冊子のPDFを公開しているほか、twitterでもプレゼンテーション・パターンを発信しています。ぜひ、プレゼンテーション・パターンをみなさんのプレゼンテーション・デザインに活かしてみませんか。


■ プレゼンテーション・パターンの全体像

冊子『Presentation Patterns』には、プレゼンテーション・パターンが全部で34個収録されています。

中心には「創造的プレゼンテーション」(No.0) があり、それに続いて、創造的プレゼンテーションの本質である「メインメッセージ」(No.1)、「心に響くプレゼント」(No.2)、「成功のイメージ」(No.3)が続きます。

その後のパターンは、大きく分けて3 つのまとまりに分かれています。第一のまとまりは No.4 からNo.12 までの「内容・表現」に関するパターン、第二のまとまりはNo.13 からNo.21 までの「魅せ方」に関するパターン、第三のまとまりは No.22 からNo.30 までの「振る舞い」に関するパターンです。
 
そして最後に、「独自性の追求」(No.31)、「魅せ方の美学」(No.32)、「生き方の創造」(No.33) という3 パターンで締めくくられます。
 
これらのパターンが相互に関係し合うことで、創造的プレゼンテーションのデザインを支えます。

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↑プレゼンテーション・パターンの全体像(クリックで拡大)



■ プレゼンテーション・パターンの読み方

個々のプレゼンテーション・パターンは、ある一定の形式で記述されています。ここでは、パターンがどのような形式で記述されているのかについて説明しておくことにします。

各パターンの左ページには、そのパターンの内容をつかむための概要が書かれています。上から順にみていくと、「パターン番号」、「パターン名(日本語)」、「パターン名(英語)」、「導入文」、「イラスト」、「引用文」となります。

まずページの左上に書いてあるのが、各パターンにつけられた「パターン番号」(Pattern Number)です。それに続くのが、日本語と英語の「パターン名」(Pattern Name) です。パターン名は、パターンの内容を適切に表し、かつ魅力的で覚えやすいようにつけられています。

その次に来る「導入文」(Introductory Sentence)、「イラスト」(Illustration)、および「引用文」(Quotes) は、そのパターンの内容を生き生きとイメージできるようにするためのものです。

PresentPatternsFormLeft420.jpg


各パターンの右ページには、そのパターンの詳細、つまり学びのコツの詳細が書かれています。上から順にみていくと、「状況」、「問題」、「フォース」、「解決」、「アクション」、「結果」となります。

まず最初に、そのパターンをどのようなときに使うのかという「状況」(Context)が書かれています。

区切りを示す「▼ その状況において」の後、その状況において生じやすい「問題」(Problem)が、太字で書かれています。その下には、その問題の解決を困難にしている原因が「フォース」(Forces)として示されています。フォースとは、物事や人間についての変えることができない力や法則性のことです。問題の解決が困難なのは、これらの諸力をすべて解決しなければならないからです。

そして、区切りを示す「▼ そこで」の後、その問題に対する「解決」(Solution)の考え方が、太字で書かれています。「解決」は抽象的に書かれており、それを具体的なレベルに落とすとどうなるかが、「アクション」(Actions)の部分に書かれています。

再び区切りを示す「▼ その結果」が来た後、このパターンを適用したときの予想される「結果」(Consequences) が書かれています。

PresentPatternsFormRight420.jpg


ぜひ、「プレゼンテーション・パターン」ホームページから冊子のPDFをダウンロードし、実際に内容をみてみてください。詳しくはこちら。→ 「プレゼンテーション・パターンのホームページ&twitter bot」
プレゼンテーション・パターン | - | -

「プレゼンテーション・パターン」のホームページ&twitter bot

「プレゼンテーション・パターン」(Presentation Patterns;通称「プレパタ」)※ のホームページとtwitterアカウントをつくりました。


■「プレゼンテーション・パターン」ホームページ

このサイトから、プレゼンテーション・パターンの冊子PDFがダウンロードできます。A4用紙への印刷に適したバージョンと、iPad、kindleなどでの表示に適したバージョンがあります。媒体・目的に合わせてダウンロードし、ご覧ください。

http://presentpatterns.sfc.keio.ac.jp/

PresentationPatternsHP.jpg



■ 「プレゼンテーション・パターン」twitter bot

PresentPatterns100.jpgプレゼンテーション・パターンを定期的につぶやいてくれるtwitter botを用意しました。感想やRT、大歓迎です!

http://twitter.com/presentpatterns



プレゼンテーション・デザインに取り組むときに参照したり、他の人とプレゼンテーションについて話すときの語彙として、ぜひご活用ください。
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