井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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生きのびるための「生きた言語」をつくる — 防災のパターン・ランゲージ

大きな地震や津波が起きる日本において、生きのびるための「生きた言語」をつくる。そのことに「未来への使命感」をひしひしと感じている。

生きのびるための「生きた言語」は、防災のパターン・ランゲージであり、新しい防災のためのメディアである。「サバイバル・パターン」(survival patterns)とでも言おうか。

サバイバル・パターンでは、地震や津波にどのように備えたらいいのか、地震が起きた瞬間に何をすべきか、発生から数日何をすべきか、を覚えやすく思い出しやすいかたちで言語化する。「生きた言語」としてコミュニティの共通言語になるようにつくる。

パターン・ランゲージは、外から大きな枠をはめるのではなく、今の自分のやり方をベースに拡張することを支援する。防災の支援でも、こうすべきという手引きをつくるよりも、そういう方が適用しやすいはずだ。みんな状況は多様だし、いっぺんにたくさん言われても、行動や習慣は一気には変えられないからだ。

しかも、パターン・ランゲージでは、その小さな知恵に名前をつけ、頭に残り、「ことば」として使うことができるようにする。コミュニケーションに乗れば、また意識においてもリマインドされる。生きのびるための「生きた言語」をつくる。

そして、パターン・ランゲージは、デザイン(問題発見・解決)を支援する。つまり、これをやりなさいと言われたことをするのではなく、自ら考えることを支援する。サバイバル・パターンがあれば、防災訓練も変わるはず。表面的な行為の練習ではなく、デザイン(問題発見・解決)の実践になることが予想される。

このように、拡張支援の小さな単位と、デザイン(問題発見・解決)の支援、生きた言語をつくる、という3点において、防災のパターン・ランゲージは、従来の「防災の手引き」とは違う効果をもつというのが僕の仮説だ。

仮説だから、やってみないとわからない。だから、研究としてやるしかない。僕がサバイバル・パターンを大学という立場から取り組むのは、そういう理由。

これからも地震が起き続ける日本とそこに住む人のために、僕らの専門性から貢献できることがあるとしたら、それだと思っている。

なので、このサバイバル・パターンづくりのヴィジョンに共感し参加してくれる人とは、いろんなかたちで連携してやっていければと考えている。
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