幻のバンド !? リアル・ライフ・ファクトリー (その2)
僕が大学院生のときに組んだ即席バンド「リアル・ライフ・ファクトリー」で体験した「作詞」について書きたいと思う。そして、そのときの歌をあと2曲だけ紹介することしよう。
僕らは「曲先」(曲をつくった後、歌詞をあてる順番)で歌をつくっていった。まず植野がギターを引きながら、曲をつくる。ときに、僕らに相談したりしながら、少しずつつくっていく。そして、それをMDに吹き込む。僕は、そんな「できたて」の曲を、MDウォークマン(時代的にまだiPodではない)で何度も聴きながら、歌詞をあてていく。
実際にやってみると、歌詞をつくるのって難しいな、と痛感する。まだギターパートとメロディラインしかできていない曲を聴きながら、どういう世界観の歌詞が合うのかを考える(感じる)ことから始める。そして、そのメロディラインに言葉をのせていく。言葉選びのときは、イメージが合うかだけでなく、文字数も合っていないといけない。このときはまだ、歌いやすさを考える余裕はなかったが、本当はそういうことも考えないといけない。歌詞は、最終的には「音」として表現されるから、音としての響きは重要だ。
しかも、歌詞には2番があって、1番とトーンを統一するが、違う内容を歌わなければならない。これが難しい。とても難しい。あまりに難しいので、このころからJ-POPの歌詞を分析し始めた。ふだん僕らが聴いている歌の歌詞が、どのような構造・表現になっているのか、ということを分析してみるのだ。それでわかったことは、歌詞がうまい人たちは、本当にうまいということ。具体的な話はまた今度紹介したいと思うが、実に巧みにつくられていることがわかってくる。(ちなみに、このときわかったことを、僕は「コラボレーション技法ワークショップ」の授業で教えている。この授業には「J-POPの歌詞分析」の回があり、「共感」の仕組みについて考えるきっかけにしている。)
さて、今日紹介するのは、「Rail Way」。この歌は、僕が生まれて初めて作詞した歌だ。曲がとても素敵で、当時、こんな素敵な曲に歌詞をつけたり歌ったりできるなんて、なんて僕は幸せなんだ、と真剣に思った。それと同時に、これを作曲した植野は本当にすごい!と心から尊敬したものだ。(そして、この曲をライブでやったときの、おっちーのアドリブのギターもかっこいい。)
「Rail Way」の音源も、前回同様、1999年の学園祭ライブで収録したもの。曲の最初の部分にノイズあり。後半演奏を間違ったりしているし、ボーカルの声の伸びも足りなかったりするけれども、そこは大目にみてね。
「Rail Way」(MP3音源: The Real Life Factory, 1999)
この曲、すごくいい曲だと思うし、僕もいまだにすごく好きな曲だ。ちなみに、上の写真はアメリカで撮影したもの。大学院生らしく(笑)、学会発表に行ったときに、一緒に行ったバンドメンバーの島くんと撮影した。
当時、この歌詞を書くときに気にしていたのは、自分のことを歌うのではなく、聴き手のための歌を書くということだった。聴き手として考えたのは、僕と同じ年代の人たち。学部卒業後2、3年たって、だいぶ仕事にも慣れ、徐々に今後の人生のレールが見え始めた、そんな時期の僕らの世代に向けて書いたのだ。
「このまま定年までずっとこのレールに乗っているのかな?」「そういう安定は必要だけれど、もうずっと先まで決まっているというのも、少しさみしいな。」という声を、しばしば友達から聞いたりした。でも、「まだ勤めて2、3年だから、まだしばらくはこのレールの上をひたすら走るぞ」、そういう穏やかな決意も心に秘めているようだった。そんなことを、通勤ラッシュの電車のなかで思い出し、この「Rail Way」の歌詞が生まれたのだ。
そんなわけで、この曲は、僕から同世代のみんなへの応援歌なのである。
僕らは「曲先」(曲をつくった後、歌詞をあてる順番)で歌をつくっていった。まず植野がギターを引きながら、曲をつくる。ときに、僕らに相談したりしながら、少しずつつくっていく。そして、それをMDに吹き込む。僕は、そんな「できたて」の曲を、MDウォークマン(時代的にまだiPodではない)で何度も聴きながら、歌詞をあてていく。
実際にやってみると、歌詞をつくるのって難しいな、と痛感する。まだギターパートとメロディラインしかできていない曲を聴きながら、どういう世界観の歌詞が合うのかを考える(感じる)ことから始める。そして、そのメロディラインに言葉をのせていく。言葉選びのときは、イメージが合うかだけでなく、文字数も合っていないといけない。このときはまだ、歌いやすさを考える余裕はなかったが、本当はそういうことも考えないといけない。歌詞は、最終的には「音」として表現されるから、音としての響きは重要だ。
しかも、歌詞には2番があって、1番とトーンを統一するが、違う内容を歌わなければならない。これが難しい。とても難しい。あまりに難しいので、このころからJ-POPの歌詞を分析し始めた。ふだん僕らが聴いている歌の歌詞が、どのような構造・表現になっているのか、ということを分析してみるのだ。それでわかったことは、歌詞がうまい人たちは、本当にうまいということ。具体的な話はまた今度紹介したいと思うが、実に巧みにつくられていることがわかってくる。(ちなみに、このときわかったことを、僕は「コラボレーション技法ワークショップ」の授業で教えている。この授業には「J-POPの歌詞分析」の回があり、「共感」の仕組みについて考えるきっかけにしている。)
さて、今日紹介するのは、「Rail Way」。この歌は、僕が生まれて初めて作詞した歌だ。曲がとても素敵で、当時、こんな素敵な曲に歌詞をつけたり歌ったりできるなんて、なんて僕は幸せなんだ、と真剣に思った。それと同時に、これを作曲した植野は本当にすごい!と心から尊敬したものだ。(そして、この曲をライブでやったときの、おっちーのアドリブのギターもかっこいい。)
Rail Way
music by Ken UENO
words by Takashi IBA
[1]
つめこまれた一本遅れの電車の中
奇妙な形で立ってる僕がいる
誰かの電話のベルで 夢から醒めては
背中の温かいものを 避けて向きを変える
僕もいつか 降りてみたいと思ってるんだ
すてきな場所(ところ) 光の射す世界
† だけど
このままどこまで 僕は行けるんだろう?
厳しい世界を 寝ぼけたままで
でも今は もう少しだけ on the railway
[2]
あなたの言うことわかんない いつも言われる
君の言うこともわかんない そんなもんかな
誰かの軽い冗談で 意味に気づいては
左の温もりを抱いて 日々が過ぎていく
僕もいつか 見てみたいと思ってるんだ
君の奥に 広がる世界
†' だけど
これからいつまで 僕らは行けるんだろう?
壊れそうな世界を 抱えたままで
でも今は もう少しだけ on the railway
†'' このままどこまで 僕らは行けるんだろう?
新しい世界を 夢見たままで
そして もう少しだけ on the railway
Copyright(C) 1999, The Real Life Factory
「Rail Way」の音源も、前回同様、1999年の学園祭ライブで収録したもの。曲の最初の部分にノイズあり。後半演奏を間違ったりしているし、ボーカルの声の伸びも足りなかったりするけれども、そこは大目にみてね。
「Rail Way」(MP3音源: The Real Life Factory, 1999)
この曲、すごくいい曲だと思うし、僕もいまだにすごく好きな曲だ。ちなみに、上の写真はアメリカで撮影したもの。大学院生らしく(笑)、学会発表に行ったときに、一緒に行ったバンドメンバーの島くんと撮影した。
当時、この歌詞を書くときに気にしていたのは、自分のことを歌うのではなく、聴き手のための歌を書くということだった。聴き手として考えたのは、僕と同じ年代の人たち。学部卒業後2、3年たって、だいぶ仕事にも慣れ、徐々に今後の人生のレールが見え始めた、そんな時期の僕らの世代に向けて書いたのだ。
「このまま定年までずっとこのレールに乗っているのかな?」「そういう安定は必要だけれど、もうずっと先まで決まっているというのも、少しさみしいな。」という声を、しばしば友達から聞いたりした。でも、「まだ勤めて2、3年だから、まだしばらくはこのレールの上をひたすら走るぞ」、そういう穏やかな決意も心に秘めているようだった。そんなことを、通勤ラッシュの電車のなかで思い出し、この「Rail Way」の歌詞が生まれたのだ。
そんなわけで、この曲は、僕から同世代のみんなへの応援歌なのである。
ちょっと昔の話 | - | -