井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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井庭研B2(社会システム理論)は、どういう人に来てほしいのか

前回の井庭研B1に引き続き、井庭研B2にどのような人に来てほしいのかについて書きたい。


井庭研B2「新しいシステム理論にもとづく社会研究」
(コミュニケーションの連鎖の分析とメディア構築)

この研究会では、ニクラス・ルーマンの社会システム理論をみんなで学びながら、各人の問題意識にもとづく個人研究を行なう。

この井庭研B2では、各人がもっている問題意識がとても大切だ。この問題意識から始まる個人研究を育てるのが、この研究会の場である。ここが、まず、前回の井庭研B1とは大きく異なる点だ。

だから、現実世界の何かに対して具体的な問題意識をもっていない人は、この研究会には向かない。「研究への情熱」をもてるテーマを持っていなければ、これから始まる大変で苦しい研究活動をやりきることなどできないからだ。

「これはおかしい、なんとかしたい」というような現状に対する強烈な怒り、あるいは「これをなんとかして、もっともっとうまくいくようにしたい」という対象への強い愛がなければだめだなのだ。「コミュニケーションに興味がある」とか「ルーマンの理論を勉強したい」とかいうような動機では、乗り切れない。

だから、最も大切なのは、具体的な問題意識=研究会で取り組みたいテーマがあるかどうかなのである。エントリーではそこを見るし、春学期の最初から(あるいは春休み中から)そのテーマで勉強・研究を始めてもらうことになる。


この各人のテーマを研究しながら、井庭研2では、共通フレームとして「社会システム理論」の理解を深める。

各人の問題意識にもとづいて個人研究を進める際、どうやって考えればいいのかという「型」が必要になるだろう。考えるための「方法」や「枠組み」といってもいい。しかも、これまでの研究でやられてきたものとは異なるアプローチがしたい。そのような新しい発想の型として、ニクラス・ルーマンの社会システム理論を学ぶ。

ニクラス・ルーマンの社会システム理論については、僕が毎年春学期に「社会システム理論」という授業で解説している。この授業を取ったことがある人は、さらにその知識を深めるということになる。もしまだ履修していないのであれば、来学期、同時並行で履修してもらう。

あらかじめ言っておくが、ルーマンの理論は、とても難解だ。「これまでに出会ったことがないような難しさ」と聞いてイメージするものの10倍以上難しい。現実の複雑さの原理を捉えるために、理論そのものの複雑さが従来の理論よりも劇的に増しているからだ。しかも、そのシステム理論が、想像力をフルに求められるような、新しいシステム理論にもとづいている。だから、生半可な努力では、理解することができない。

このような超難解な理論であるからこそ、逆にその発想を身につけてしまえば、他の人とは異なる見方で物事を見ることができるという旨味もある。このような超難解な理論にめげずにアタックし続けるためにも、上に書いたような「研究への情熱」が持てるような問題意識が不可欠なのだ。


このように、井庭研2では、個人研究の遂行と、ルーマン理論の理解という二兎を追う。二兎を追うわけだから、それだけの覚悟が必要だ。SFCらしい新しいアプローチで研究を始めたい人も、他の研究会で取り組んできたアプローチに限界を感じている人も歓迎だ。ぜひ、知的なことにハングリーで、ガッツのある人に来てほしい。

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