井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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【論文公開】多様なあり方・取り組み方を言語化するスタイル・ランゲージ

2018年3月1・2日に早稲田大学で開催される国際学会AsianPLoP2018 (7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs)で発表する(ライターズ・ワークショップにかける)論文の3つ目は、「多様なあり方・取り組み方を言語化するスタイル・ランゲージ」です。

昨年井庭研で生み出した新しい創造実践支援の言語形式「スタイル・ランゲージ」(Style Language)の考え方についての論文です。「スタイル・ランゲージ」は、ある特定のテーマ・分野における多様なあり方・取り組み方のスタイルを言語化し、自分らしいスタイルを育てていくことを支援するものです。花王さんとの共同研究で制作した「家族を育むスタイル・ランゲージ」と、クックパッドさんとの共同研究で制作した「料理教室のスタイル・ランゲージ」の事例も載っています。僕はいま、スタイル・ランゲージのいろいろな分野での適用可能性を感じてワクワクしているので、ぜひその一端をご覧いただければと思います。


「多様なあり方・取り組み方を言語化するスタイル・ランゲージ」
(井庭 崇, 野崎 琴未, 下田 裕介, 宗像 このみ)

Abstract:
本論文では、ある特定のテーマ・分野における多様なあり方・取り組み方のスタイルを言語化し、自分らしいスタイルを育てていく方法として「スタイル・ランゲージ」(Style Language)を提案する。「スタイル・ランゲージ」では、対象に置ける物事のあり方・取り組み方における個々のスタイル(様式)の要素を、それがどのようなものであるかを記述し、それに名前(スタイル・ワード)をつける。そのようなスタイルを数多く言語化することで、そのスタイルについて語りやすくなったり、その発想がなかった人がその発想を持てるようになったりすることを支援する。このように、スタイル・ランゲージは、パターン・ランゲージと同様に、創造実践を支援するための語彙・構成要素として用いることができるが、大きな違いもある。まず、パターン・ランゲージが質を高めるよりよい方法の方向性を示し、創造実践の質を高める支援をするのに対して、スタイル・ランゲージは、創造実践の具体的実現方法についての多様な可能性があると認識することを支援する。その意味で、スタイル・ランゲージは、それだけでも用いることができるが、パターン・ランゲージと併用することで、創造実践の強力な支援ツールとなるものである。本論文では、スタイル・ランゲージの具体的な事例として、「家族を育むスタイル・ランゲージ」と、「料理教室のスタイル・ランゲージ」を紹介する。そして、スタイル・ランゲージの活かし方として、それぞれのスタイルに関する実践・経験について語り合うことで「ピアに学び合う」という活用方法と、提供されているスタイルと自分の好みのスタイルのマッチングに用いるという活用方法を取り上げる。

パターン・ランゲージは、いきいきとした質(名づけ得ぬ質:quality without a name)の実現を支援し、スタイル・ランゲージは、多様な可能性へと発想を広げることを支援する
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スタイル・ランゲージの各スタイルには、名前(スタイル・ワード)がつけられる。
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家族を育むスタイル・ランゲージ
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料理教室のスタイル・ランゲージ
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井庭 崇, 野崎 琴未, 下田 裕介, 宗像 このみ, 「多様なあり方・取り組み方を言語化するスタイル・ランゲージ
, 7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs(AsianPLoP2018) , 2018

論文PDF: http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/papers/AsianPLoP18_StyleLanguage_WWS.pdf

この論文に興味を持っていただいた方は、ぜひ、3月1・2日に早稲田大学で開催される国際学会AsianPLoP 2018 (7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs)にお越しください。そこでライターズ・ワークショップという場が設けられ、この論文について語り合う時間があります。ぜひ、事前登録の上、ご参加ください。
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「創造性」の探究 | - | -

【論文公開】「全体性のたまご」によるワークショップデザイン技法

2018年3月1・2日に早稲田大学で開催される国際学会AsianPLoP2018 (7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs)で発表する(ライターズ・ワークショップにかける)論文の2つ目は、「『全体性のたまご』によるデザイン技法:全体から分化させるワークショップとプレゼンテーションのつくりかた」です。僕や井庭研が日々実践し、授業「ワークショップデザイン」で教えている、ワークショップ(そして、創造的なプレゼンテーション)のつくりかたです。

「『全体性のたまご』によるデザイン技法:全体から分化させるワークショップとプレゼンテーションのつくりかた」
(井庭 崇, 宗像 このみ)

Abstract:
本論文では、ワークショップやプレゼンテーションなど、参加者(聴き手)の創造的な学びを促す活動のデザイン(設計)において、「全体性」を重視したデザインを可能にするための方法論を提案する。このデザイン技法は、建築家であり、パターン・ランゲージの提唱者であるクリストファー・アレグザンダー(Christopher Alexander)の『時を超えた建設の道(1979)』や『The Nature or Order』の考え方にもとづき、全体から部分へと分化させ、「15の幾何学的特性」が生じるようにつくり込むことで、いきいきとした活動をデザインすることを支援するものである。本論文では、アレグザンダーの理論とこの手法との関係を明らかにした上で、対話ワークショップのデザインを具体的に例示し、さらに、教育現場における活用例について紹介する。

全体から分化させてデザインしていく
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ラーニング・パターンを用いた対話ワークショップの「全体性のたまご」
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井庭研メンバーは、実際に日々描いています。これは昨年オーストリアで行ったワークショップをつくっているところ。
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井庭 崇, 宗像 このみ, 「『全体性のたまご』によるデザイン技法:全体から分化させるワークショップとプレゼンテーションのつくりかた」, 7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs(AsianPLoP2018) , 2018

論文PDF: http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/papers/AsianPLoP18_WholenessEgg_WWS.pdf

この論文に興味を持っていただいた方は、ぜひ、3月1・2日に早稲田大学で開催される国際学会AsianPLoP 2018 (7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs)にお越しください。そこでライターズ・ワークショップという場が設けられ、この論文について語り合う時間があります。ぜひ、事前登録の上、ご参加ください。
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The Nature of Order | - | -

【論文公開】「無我の創造」(Egoless Creation)とパターン・ランゲージ

2018年3月1・2日に早稲田大学で開催される国際学会AsianPLoP2018 (7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs)でいくつか論文(日本語)を発表する(ライターズ・ワークショップにかける)のですが、その論文、これまでにないかなり面白いものが書けたと思っています。そこで、ここでも紹介したいと思います。(このブログでは、僕がファーストオーサーの論文3本だけ紹介しますが、この他にも、創造的読書のパターン・ランゲージやパターン・アプリなど、井庭研の成果の論文も発表されます。)

最初の論文は、「パターン・ランゲージによる無我の創造のメカニズム:オートポイエーシスのシステム理論による理解」です。ここ数年僕が興味をもってきたテーマを扱った本格的な論文です。「無我の創造」(egoless creation)とは、自分の身体や感覚を総動員して全身全霊で取り組むが、「こうしてやろう」という作為を生む自我を抜く創造のことです。この論文は、パターン・ランゲージが無我の創造を可能とするためのメディアとしてどのように機能するのかをシステム理論的に明らかにするという論文なのですが、その説明の過程で、作家が「登場人物が勝手に動き出す」と言っているはどういうことかという話や、仏教のマインドフルネスの話なども交えるという"すごい"論文です(しかも32ページの大作!)。ぜひお楽しみください!

「パターン・ランゲージによる無我の創造のメカニズム:オートポイエーシスのシステム理論による理解」
(井庭 崇)

Abstract:
本論文では、パターン・ランゲージの思想のなかでも最も重要であるが、見過ごされがちであり胡散臭いものだと片付けられてしまいがちな、自我を入れない創造のプロセスについて論じる。アレグザンダーは、デザイナー個人の能力ではなく、個々人のレベルを超えた生成的なメカニズムを見据え、それにもとづく創造を重視した。本論文では、アレグザンダーが主張していることは、物語作家たちが「物語をつくるときには、自分がつくっているというよりも、登場人物が自律的に動き、物語自身が展開していく」と語っていることに共通点があるとして、それを「無我の創造」(egoless creation)という概念で捉える。ここでいう「無我の創造」とは、自分の身体や感覚を総動員して全身全霊で取り組むが、「こうしてやろう」という作為を生む自我を抜く創造のことである。そして、その無我の創造では何が起きているのかを、オートポイエーシスのシステム理論である社会システム理論と創造システム理論から考察する。その結果、無我の創造とは、創造システムでの発見の生成・連鎖の結果を、心的システムが「体験」しているということだと捉えることができる。このとき、仏教の瞑想におけるマインドフルネスの状態と類似した状態になっていると考えられる。そのような無我の創造を可能とするのが、パターン・ランゲージである。再び、システム理論の概念で考えるならば、パターン・ランゲージのパターンは、創造システムにおける発見の選択を支援するための発見メディアであるとともに、言語として心的システムと社会システムを構造的カップリングさせる機能をもつ。本論文では、このように、近代的思考の感覚からすると理解しがたい「無我の創造」について、システム理論で捉え直すという新しい道を拓いた。


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井庭 崇, 「パターン・ランゲージによる無我の創造のメカニズム:オートポイエーシスのシステム理論による理解」, 7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs(AsianPLoP2018) , 2018

論文PDF: http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/papers/AsianPLoP2018_EgolessCreationWWS.pdf

この論文に興味を持っていただいた方は、ぜひ、3月1・2日に早稲田大学で開催される国際学会AsianPLoP 2018 (7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs)にお越しください。そこでライターズ・ワークショップという場が設けられ、この論文について語り合う時間があります。ぜひ、事前登録の上、ご参加ください。
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