井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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井庭研 雪山合宿2008

金曜から日曜にかけて、井庭研メンバーと雪山合宿に行ってきた。スキー&スノボのお楽しみ合宿だ。例年だと、10月にORF準備のための研究会合宿をやるのだが、今年はそういう作業は大学で(半分泊まり込むようなかたちで)取り組むことにし、合宿では交流をメインに据えようということになった。そんなわけで、先週の金曜日は、ゼミ後に、横浜/東京に集合し、夜行バスで白馬五竜へと向かった。

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ゲレンデの雪の状況は、まだ12月頭ということもあって、正直あまりよくはなかった。山の上の方以外は滑走禁止になっていて、滑走可能だったのはコース全体の3割程度。ところどころにアイスバーンもあって、ズズズーーーッと横滑りして、何度も怖い思いをした。

さらに悪いことに、初日は、雪が降るは風は吹くはの過酷な天候。リフトに乗っているときは特に、顔についた雪に体温を奪われた。滑るのはあっという間で、リフトに乗っている時間の方が長いので、どんどん身体は冷えていく。こういうときはいつも、「人間って変な生き物だなぁ」と思う。寒けりゃ、行ったり来たりなんてやめりゃいいのにって(笑)。ま、そうはいっても、気持ちよく滑ると、ついまたリフトに乗って滑りたくなっちゃうんだけどね。

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こんな感じで初日は大変だったのだが、2日目は打って変わって快晴となった。景色がとてもきれいで、爽快な気分で滑ることができた。完全に雪化粧している山々も、下界に見える町の風景も、冷たく澄みわたった空気ごしに見ると、心が洗われるような綺麗さだった。

今回一緒に行ったメンバーは、意外にもスキーヤーが多かった。12人のうち4人がスノーボーダーで、残りはスキーヤー。スキーヤーは初心者が多かったが、スノーボーダーは、みんなうまくて感心した。僕はスノーボードは両足を固定されるのと、左右対称ではないので好きではない。うまく滑っている人を見るのは楽しいけれど、自分でやってみたいとは思わない。一度やって、もう二度とやらないと心に決めた。あんなの怖すぎる。

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僕は、スキーとスノーブレード(ファンスキー)をやった。2008ilab_ski11.jpgスノーブレードというのは、普通のスキーの板の半分くらいの長さの板を使う特殊なスキー。ブーツは普通のスキーのものを使うが、ストックは使わず、スノーボードのように身体を使って滑る。ローラーブレードに近い感覚で滑ることができるので、ローラーブレード好きな僕としては、かなり楽しめるスキーなのだ。ストックも持たないし、板も短いので動きやすく、自由度が高いのも魅力だ。

思い返せば、僕は8年ぶりのスキー。もう滑れなくなっているのではないかと心配したが、不思議なことに身体は覚えているものだ。しょっぱなから、8年のブランクを感じない滑りができたと思う。スノーボーダーたちと行った中級コースも、十分楽しめたし。

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今回、スキーが初めてという人や、子供の頃にやった以来初めてという人が多かったが、最後には、みんなうまく滑れるようになっていた。スノーボーダーもスキーヤーも一緒に滑ることができたし、みんなの普段とは違う顔も見ることができた。今回の合宿で、ORFに向けて根詰めて取り組んだ疲れを、うまく解放できたのではないだろうか。

さて、心機一転、秋学期の後半戦、がんばろう!
井庭研だより | - | -

ネットワーク可視化ツールの紹介:基本操作編

今回は、ネットワーク可視化ツール「Cytoscape」の基本操作について解説する。取り上げるのは、データの準備、データの読み込み、ネットワークのレイアウト変更、ネットワークの画像出力、セッションの保存、という一連の作業。画像もたくさん載せるので、かなりわかりやすいはず!

■データの準備

まず、可視化したいネットワークのデータを用意する。「ネットワーク」を可視化したいので、どの「ノード」(node)とどの「ノード」が「リンク」(link)で結ばれているのかを、個別に指定しなければならない。また、ネットワーク分析においては、個々のリンクの重み(強度)が重要になることがあるので、そのような情報も盛り込む必要がある。

Cytoscapeで読み込めるデータの形式にはいろいろあるが、僕らは普段、次のような形式でデータを用意している。どのノードとどのノードをリンクでつなげるのかということと、そのリンクの重みがどのくらいか、ということを、ずらっと書いていくのだ。テキストフォーマットとしては、カンマ区切りのcsv(comma separated value)形式だ。

リンク元のノード名,リンク先のノード名,リンクの重み
リンク元のノード名,リンク先のノード名,リンクの重み
リンク元のノード名,リンク先のノード名,リンクの重み

リンクに「向き」がある「有向グラフ」(directed graph)の場合には、1列目のノードから、2列目のノードへとリンクが張られる。リンクに「向き」がない「無向グラフ」(undirected graph)の場合には、1列目と2列目の順番は意味をもたない。

なお、実データを用いるときには、ノード名の一部に半角のカンマ「,」が入っていないかを確認しよう。データを読み込んだ時に、誤った区切り方で読み込まれてしまうので、事前のデータクリーニングが重要となる。

※なお、カンマが区切りの記号なので、ノード名に空白が入っていても問題はない。ただし、空白の数や全角・半角が違うと、別の名前だと判断されるので、同一のノード名にしたい場合には、それらは統一する必要がある。

今回の説明で使用するサンプルデータ(sampledata.csv)は、次のようになっている。このデータは、井庭研究会のメーリングリストにおける投稿の連鎖のデータだ。ある一定期間に、誰が誰の投稿にリプライをしたのかを調べ、上記の形式に直したものだ。1列目の人の投稿に対し、2列目の人がリプライしたということを示している。最後の数字は、期間中にそのような組み合わせが何回あったのかを表している。

Angela,Chuck,1
Angela,Hammer,1
Angela,Hana,1
  ・
  ・
  ・
Hammer,Hana,2
Hammer,Ryo,6
Hammer,Taka,4
  ・
  ・
  ・
Tomo,Chuck,1
Tomo,Miu,1
Tomo,Ryo,2

以下で、説明を読みながら実際に試してみる場合には、まず、サンプルデータ(sampledata.csv)を保存しておこう(右クリックで「名前をつけてリンク先を保存」)。


■データの読み込み

Cytoscapeを立ち上げ、起動画面が終わるのを待つ。[File]メニューから、[Import]→[Network from Table (Text /MS Excel)]を選ぶと、「Import Network and Edge Attributes from Table」ウインドウが表示される。

Cyto_Data_FileImport.jpg

「Select File(s)」ボタンをクリックし、用意したデータファイルを選択する。ここでは、sampledata.csvを選ぶ。

次に、カンマ区切りのデータを読み込むという設定にするため、ウィンドウの真ん中にある「Advanced」パネルの「Show Text File Import Options」のチェックし、設定パネルを開く。「Delimiter」のところを「Comma」だけになるようにする(チェックが入っている「Tab」と「Space」のチェックははずす)。「Comma」だけになっていることを確認したら、「Show Text File Import Options」のチェックをはずし、設定パネルを閉じる。

Cyto_Data_ShowText.jpg

今度は、どの列がどのようなデータなのかを、「Interaction Definition」パネルで指定する。ここでは、「Source Interaction」を「column 1」、「Interaction Type」を「column 3」、「Target Interaction」を「column 2」と設定する。左下の「Preview」領域で、正しく指定されていることを確認する。

Cyto_Data_InteractionSelect.jpg

そして、右下の「Import」ボタンを押すと、データの読み込みが始まる。「Loading Network and Edge Attributes」ウィンドウが立ち上がり、読み込み状況が表示される。小さなデータであれば、あっという間に終わるが、非常に大規模なデータの場合には、この読み込みに数時間から1日かかることもある。読み込みが終わると、「Close」ボタンが押せるようになっているので、それを押して、「Loading Network and Edge Attributes」ウィンドウを閉じる。

Cyto_Vis_ScreenLayout1.jpg


■ネットワークのレイアウト変更

データの読み込みが終わると、画面中央にネットワークが可視化されているはずだ。最初に開いたときには、ノードが縦横に整列して配置されていると思う。ここで、ネットワークのレイアウトの変更をしてみよう。

ネットワークのレイアウトの変更は、[Layout]メニューで行うことができる。ネットワークをどのような観点で見たいかによって選択する。[Layout]メニューには、「yFiles」、「Cytoscape Layouts」、「JGraph Layouts」があるが、ここでは、[Cytoscape Layout]→[Edge-weighted Spring Embedded]→[unweighted]を選んでみよう。

Cyto_Vis_LayoutSelect.jpg

これで、リンクのつながり方を反映した配置になったと思う。

Cyto_Vis_ScreenLayout2.jpg


Cyto_Vis_LayoutScale.jpg見た目の基本的な調整としては、スケールを変える、という方法がある。[Layout]メニューから、[Scale]を選ぶと、左下にスケールパネルが開く。そこでスケールを変更することができる。


Cyto_Vis_ScalePanel.jpg

また、上方のツールバーにある「(1:1)の虫眼鏡」を選ぶと、ネットワークの全体像が表示されるように調整してくれる。ネットワーク図のノードをドラッグすると、個々のノードの位置を変えることもできる。

Cyto_Vis_JustFit.jpg

色や形などについての詳細な設定については、今度書くことにするとして、次に、ここで可視化したネットワーク図の画像出力を行うことにしたい。


■ネットワークの画像出力

ネットワーク図を画像として出力するには、[File]メニューから、[Export]→[Network View as Graphics] を選ぶ。

Cyto_Export_FileExport.jpg

立ち上がった「Export Network View as Graphics」ウィンドウで、「Choose」ボタンを押し、出力場所とファイル名を指定する。

Cyto_Export_Setting230.jpg出力形式にいは、PDF形式、SVG形式、EPS形式、JPEG形式、PNG形式、BMP形式が指定できる。最初の3つの形式(PDF、SVG、EPS)は、ドロー系の画像として保存される。つまり、ネットワーク図が線の情報として記録されるので、Adobe Illustrator等のドロー系ソフトで編集することができるようになる。論文などで図を使用する場合には、こちらの形式にするのがよいだろう。僕らも普段、PDF形式で出力して、Adobe Illustratorで編集・調整をしている。

後半の3つの形式(JPEG、PNG、BMP)は、ペイント系の画像として保存される。研究の途中段階で、ネットワークの全体像をとりあえず記録したり、メンバーと共有したりするときには、便利かもしれない。


■セッションの保存

最後に、セッションの保存をする。ここでいうセッションの保存というのは、ネットワーク「図」の保存ではなく、ネットワークデータや見た目の設定などを含んだセッション全体を保存するという意味だ。Cytoscapeを閉じたあと、また次のときに、現在の状態から作業を続けるために必要となる。

Cyto_Save_FileSave.jpgセッションの保存は、[File]メニューの[Save as ...]で行う。一度、保存場所とファイル名を指定してあれば、[Save]だけでよい。Cytoscapeのセッションは、「~.cys」ファイルとして保存される。

次に読み込むときには、[File]メニューの[Open]で開くか、「~.cys」ファイルをダブルクリックすることで、保存したセッションを読み込むことができる。


以上が、Cytoscapeの基本的な操作だ。次回は、ネットワークの描画についての、より詳細な設定について解説することにしたい。
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ネットワーク可視化ツールの紹介:インストール編

僕らが普段、ネットワークの可視化・分析に使っているソフトウェアを紹介することにしたい。バイオインフォマティックスの分野で開発された「Cytoscape」(サイトスケープ)と、そのプラグインの「NetworkAnalyzer」の組み合わせだ。オープンソース・ソフトウェアなので、無料で利用できる。

Cytoscape (http://cytoscape.org/)
    Cytoscapeは、比較的わかりやすいユーザーインターフェースで操作でき、大規模なネットワークも可視化できる魅力的なツールだ。また、多くのプラグインが開発されている点も、このコミュニティが活発であることがわかる。Cytoscapeで可視化したネットワークは、ベクター画像をPDF形式で出力することができる。僕らの研究では、Cytoscapeで出力したPDFを、Adobe Illustratorで編集している。

NetworkAnalyzer (http://med.bioinf.mpi-inf.mpg.de/networkanalyzer/)
    NetworkAnalyzerは、Cytoscape用のプラグインで、Max Planck Institute for Informaticsが開発したもの。ネットワークの直径や平均近傍数、最小経路長、クラスタリング係数などを算出してくれるネットワーク分析ツールだ。また、いろいろな分布なども表示してくれる。分析結果を画像やテキストとして保存できるのでとても便利。僕らの研究でも、このツールは重宝している。


■Cytoscapeのダウンロードとインストール
※この記事の執筆現在、Cytoscapeの最新バージョンは 2.6.1なので、以下は、そのバージョンについて書くことにする。また、Windowsへのインストールについて説明する(バージョンやOSが変わっても、基本的には同じ手順だと思う)。

cytoscape_site230.jpgまず、Cytoscapeのホームページ(http://cytoscape.org/)に行く。このサイトから、ソフトウェアのダンロードのほか、各種プラグインや関連ドキュメントなども入手できる。

サイト内に「Download Cytoscape」という項目があるので、そこからダウンロードページ飛ぶ。ユーザー登録のページのあと、ダウンロードのリンクがあるページ行く。自分が使っているOSに該当するもの(Windows / Mac / Linux)を選んで、インストールファイルをダウンロードする。

cytoscape_install230.jpgダウンロードしたファイル(exe)を実行すると、インストーラ―が立ち上がるので、ライセンスの承認やインストール先を指定して、インストールする。いま指定した場所に(デフォルトでは、CドライブのProgram Filesの中)に、cytoscapeのフォルダができる。

cytoscape_screen230.jpgそのなかのCytoscape.exeを実行(ダブルクリック)すると、起動画面が出た後に、Cytoscapeのメインウィンドウが立ち上がる。特にエラーも出なければ、正常にインストールが完了したことになる。立ち上がることを確認したら、ウィンドウを閉じて終了させる。


■NetworkAnalyzerのダウンロードとインストール
NetworkAnalyzerのページは、Cytoscapeのホームページ(http://cytoscape.org/)から辿ることができる。
ページの上方にある「Plugins」をクリックすると、プラグインのページに飛ぶ(http://chianti.ucsd.edu/cyto_web/plugins/index.php)。そのなかの「Analysis -- Used for analyzing existing networks」の[+]をクリックすると、その項目の詳細が展開される。そのなかの「NetworkAnalyzer」のところに、NetworkAnalyzerのホームページ(http://med.bioinf.mpi-inf.mpg.de/networkanalyzer/)へのリンクがある。

netana_site230.jpg左のメニューの「Software」の「Download」をクリックすると、NetworkAnalyzerのダウンロードページに行く(http://med.bioinf.mpi-inf.mpg.de/netanalyzer/download.php)。

そこで、NetworkAnalyzerプラグインのユーザー登録をして、ダウンロードページからダウンロードする。ダウンロードした圧縮ファイルを解凍するときの注意としては、その階層に内容が展開されてしまうので、フォルダをつくり、そこに入れて解凍する方がよい。

解凍してでてきた二十数個のjarファイルをすべて、先ほどインストールしたCytoscapeフォルダの「plugins」フォルダに入れる。これでプラグインの設定は完了だ。

cytoscape_plugin230.jpg再度、Cytoscape.exeを実行(ダブルクリック)し、Cytoscapeのメインウィンドウの上部にあるメニューにある「Plugins」のなかに「Network Analysis」の項目があれば、プラグインのインストール完了だ。

これらのツールの具体的な使い方については、別途書きたいと思う。
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