井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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【告知】UXD initiative 研究会でのパターンランゲージ講演

来週、2011年8月26日(金) 18:30 ~20:30に、UXD initiative 研究会というところで、パターンランゲージに関する講演を行います。複雑系時代の知り合いの長谷川敦士さんにお誘いいただき、このような場でお話することになりました。UXDとは、ユーザー・エクスペリエンス・デザインのことです。

「ラーニング・パターン:経験を語るためのメディアの制作と導入」(井庭 崇)18:30~19:30

今回は、「学習パターン」を事例としながら、「パターンランゲージ3.0」の話をしたいと考えています。少ししか時間がとれないと思いますが、対話のミニワークショップもやってみたいと考えています。現在製作中の「プレゼンテーションパターン」についても少しだけ触れることができればと思っていますが、時間が厳しいかな。

僕の後に、安藤昌也氏(千葉工業大学)の講演があり、その後、ディスカッションがあります。

研究会の席は、本当にあっという間に埋まってしまったようですが、当日の模様はustreamで配信されるようです。詳しくは下記サイトをご覧ください(まだustについては情報は掲載されていませんが、そのうち載るでしょう)。

UXD3.jpg


UXD initiative 第3回研究会|UXDパターンランゲージ
http://uxd-initiative.blogspot.com/2011/08/uxd-initiative-uxd.html
イベント・出版の告知と報告 | - | -

英語での言い回しを学ぶ(CD付き表現集)

この夏、英語の口頭での言い回しをしっかり身につけたいと思い、いろいろ本を探してみたところ、いくつか良さそうな本を見つけた。

どれも付属のCDに言い回しがたくさん収録されているので、ずっと流して聴きまくるとよいと思う。実際に使えそうな表現ばかりで、自分が使う場面がすぐに思い浮かぶ。

  • 『プレゼンの英語:実践で役立つ表現1500』(有元 美津世, ジャパンタイムズ, 2011)
    ビジネスの例が多いけれども、国際学会で発表したり司会をしたりする研究者・技術者にとっても、かなり使える表現集だと思う。こういうことを言いたいのだ、まさに。

  • 『リアル英会話表現集』(川口 エレン, 旺文社, 2010)
    友人・知人との会話やパーティーなどで使えそうな表現がたくさん。こういうことをさらっと言いたいと、心から思う。日本語訳が日常的な言い方になっていて、かなりナチュラルなのも素敵。

  • 『ビジネス Quick English <ミーティング>』(ジャパンタイムズ 編, デイヴィッド・セイン 著, ジャパンタイムズ, 2008)
    ミーティングでの表現は、日本語だと自然と言えるものも、英語だとなかなか出てこない。帯のコピーに「大事な場面で発言する。」とあるが、まさにここぞというときに自分の意見を言ったり、議論の流れをつくったりするために学ぶべき表現だと感じる。

       


    僕もこれらの本を聴き(読み)始めた。いまのところの感想は、とっさに言いたいけれどもなかなか言えない表現というのがたくさんあって、とても勉強になる、ということ。

    口頭の言い回しの表現は、自分の興味・関心や専門の本を読んでいても身に付かないので、この手の本も併せて読んでいくと、学会発表などに必要な英語力がつきそうだと感じた。

    これをくり返し聞きながら、シャドーイングすれば、自然と口にでるようになるだろうか。試してみようと思う。
  • 英語漬け生活 | - | -

    井庭研B2(社会システム理論)2011年度 夏休みの宿題

    井庭研B2(社会システム理論)の2011年度 夏休みの宿題は、以下のとおり。


    社会システム理論を提唱した社会学者ニクラス・ルーマンの本『エコロジーのコミュニケーション』を読み、現代社会の特徴と問題点について理解し、自分のことばでレポートをまとめてください(日本語、もしくは英語)。

    ● まず、『エコロジーのコミュニケーション:現代社会はエコロジーの危機に対応できるか?』(ニクラス・ルーマン, 新泉社, 2007)を購入してください(借りるのではなく購入)。

    ※借りるのではなく購入することを強く推奨するのは、重要な文献を少しずつ集め、自分の本棚でその世界が徐々に広がっていくことが重要だと思うからです。そのことで、ある領域への意識を強化する環境をつくることができ、また、自らの学びを振り返りやすくすることができます。また、次に書くように、線を引きながら読むためにも、購入する必要があります。


    ● この本を読み、現代社会の特徴と問題点について理解してください。おすすめなのは、重要だと思うコトバやフレーズ、センテンスに、鉛筆で線を引くことです。これにより、再度読むときに、どこを重要だと思ったのかがよくわかるからです(レポートも書きやすくなります)。

    ルーマンの本は、難しい部分が多いですが、わからないところは飛ばしながら、とにかく前に進んで読むことが大切です。すべてを理解しようとは思わず、ざっと読む感じで読み進めてください。難しい部分などについては、秋学期のゼミのときに少しずつ解消していきましょう。(何がわからないのかもよくわからない、という状況に陥るかもしれません。でも、ルーマンを読むということはそういうことなので、自分の問題だと責めないように。)


    ● 夏休みの終わりまでに、以下の形式で、レポートを提出してください。
    現代社会の特徴と問題点について、および、この本を読んで考えたこと・感じたことを、自分のことばでレポートにまとめてください。自分の興味・関心や研究内容と絡めて書くのもよいでしょう。

    使用言語:日本語、もしくは英語
    分量  :3~5ページ(程度)
    ファイル:PDF形式:ファイル名に半角アルファベットで名前を入れる
    提出〆切:2011年9月24日(土)
    提出先 :井庭研ML
    メール件名:夏休みの宿題B2( 自分の名前 )


    【重要な補足】

    ●2011年春学期に僕の「社会システム理論」の授業を履修していない人は、SFC-GC (Global Campus) にアップされている授業映像を全回分、見ておいてください。秋学期の井庭研は、ここで話したことを前提として進めます。
    SFC-GC「社会システム理論」(担当:井庭崇, 2011年度春学期)
     

    ●個人研究をサポートする以下の重要文献についても、夏休みのうちに購入し、読める範囲で読んでおくことをおすすめします。個人研究の計画・遂行にかなり役立つと思います。
    『創造的論文の書き方』(伊丹敬之, 有斐閣, 2001)
    『「超」文章法』(野口悠紀雄, 中央公論新社, 2002)
    『考える技術・書く技術:問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(バーバラ・ミント, 新版, ダイヤモンド社, 1999) [ B. Minto, 『The Pyramid Principle: Logic in Writing and Thinking』, 3rd Revised ed, Financial Times Prentice Hall, 2008 ]
    井庭研だより | - | -

    井庭研B1(パターンプロジェクト)2011年度 夏休みの宿題

    井庭研B1(パターンプロジェクト)の2011年度 夏休みの宿題は、以下のとおり。


    パターンランゲージの考え方の生みの親である建築家クリストファー・アレグザンダーの本『The Oregon Experiment』を読み、彼がパターン・ランゲージで目指していたことが何だったのかを理解し、それをレポートにまとめてください(英語)。


    ● まず、『The Oregon Experiment』 (C. Alexander, et. al, Oxford University Press, 1975) を購入してください(借りるのではなく購入)。

    ※借りるのではなく購入することを強く推奨するのは、重要な文献を少しずつ集め、自分の本棚でその世界が徐々に広がっていくことが重要だと思うからです。そのことで、ある領域への意識を強化する環境をつくることができ、また、自らの学びを振り返りやすくすることができます。また、次に書くように、線を引きながら読むためにも、購入する必要があります。


    ● この本を読み、アレグザンダーがパターンランゲージをどのような意図でつくり、どのような実践をしたのかを理解してください。おすすめなのは、重要だと思うコトバやフレーズ、センテンスに、鉛筆で線を引くことです。これにより、再度読むときに、どこを重要だと思ったのかがよくわかるからです(レポートも書きやすくなります)。

    この本は英語で書かれていますが、かなり薄い本で、文字も大きいので、英語での読書に慣れていない人でも読み切ることができると思います。(この宿題は、英語で読み、英語で書く練習も兼ねています。)


    ● 夏休みの終わりまでに、以下の形式で、レポートを提出してください。
    アレグザンダーがパターン・ランゲージで目指していたことが何だったのか、また、この本を読んで考えたこと・感じたことなどを書いてください。

    使用言語:英語
    分量  :3ページ(程度)
    ファイル:PDF形式:ファイル名に半角アルファベットで名前を入れる
    提出〆切:2011年9月24日(土)
    提出先 :井庭研ML
    メール件名:夏休みの宿題B1( 自分の名前 )


    【重要な補足】

    ●上記の本で取り上げられているパターンランゲージは、以下の本にすべて掲載されています。現役メンバー(継続生)は、「春休みの宿題」ですでにこの本を購入し読んでいるので、秋学期からの新規メンバーも、購入して適宜参照するとよいと思います。

    - 『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』(クリストファー・アレグザンダー 他, 鹿島出版会, 1984)
    - 『A Pattern Language: Towns, Buildings, Construction』 (C. Alexander, S. Ishikawa, M. Silverstein, Oxford University Press, 1977)


    ●2010年秋学期に僕の「パターンランゲージ」の授業を履修していない人は、SFC-GC (Global Campus) にアップされている授業映像を全回分、見ておいてください。秋学期の井庭研は、ここで話したことを前提として進めます。
    SFC-GC「パターンランゲージ」(担当:井庭崇, 2010年度秋学期)
     

    ●2011年春学期の僕の「社会システム理論」の授業も、井庭研B1の内容や活動についての理解を深めます。未履修の人は、この春学期に行われた 市川×今村×井庭鼎談の回と、中原×井庭対談の回だけでよいので、SFC-GC (Global Campus) にアップされている映像を見ておいてください。来年は来年で新しい企画をするので、このメンバーでの鼎談・対談は今楽しんでください。
    SFC-GC「社会システム理論」(担当:井庭崇, 2011年度春学期)
     

    ●井庭研B1で行うコラボレーションは、以下の本で紹介されている方法や事例が近いので、こちらもおすすめです。

    - 『発想する会社! :世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』(トム・ケリー, ジョナサン・リットマン, 早川書房, 2002)
    - 『The Art of Innovation: Success Through Innovation the IDEO Way』 (Thomas Kelley, Jonathan Littman, Profile Business, 2002)
    井庭研だより | - | -

    2011年度春学期の対談・鼎談を振り返る

    2011年度春学期も、多くの対談・鼎談を行いました。

    対談・鼎談をしてくださったゲストの方々、また会場に来てくれた方々、準備スタッフのみなさん、どうもありがとうございました!

    ここで、今学期の対談・鼎談について、少しまとめを書いておきたいと思います。

    まず最初に、なぜ対談や鼎談という形式で行うのかという理由について触れておきたいと思います。ゲストの方に講演をしていただくというのではなく、僕との対談・鼎談という企画にしているのには、僕なりのこだわりがあるからです。

    それは第一に、オーディエンスに、「その場でしか見られないようなやり取りを見ていただきたい」ということです。ゲストで来ていただく方々は、いろいろなところで講演をしていることが多いと思います。なので、同じような機会を僕がわざわざ提供する必要はないと思っています。そこで、僕が提供する意味を考え、僕が対談・鼎談として絡むことで、ここでしか見ることができないようなものを提供したいと思っています。

    そして第二に、ゲストの方にも、僕が考えていることややっていることを紹介することで、「双方向のコミュニケーションの場にしたい」ということです。たいてい、ゲストスピーカーの方に講演をお願いする場合には、ゲストの方は会場の反応や質問くらいしか持ち帰るものがありません。そうではなく、僕の話もすることによって、ゲストの方を刺激し、さらなるコミュニケーションを誘発したいと思っています。その結果、ゲストの方には、そこで得た新しい認識や考えを持ち帰っていただくことができるかもしれません。

    このような理由から、僕は「対話」→「即興的コラボレーション」を基本とした 対談・鼎談を行うことにしているのです。どの対談・鼎談も、大まかなテーマを決めるだけで、「流れ」や「落としどころ」のようなものを、事前に打ち合わせで決めたりはしません。ぶっつけ本番です。そのことが、ゲストの方を不安にさせるようなので少々申し訳ないのですが、そういうやり方だからこそ「その場で生まれるコミュニケーションの連鎖」の臨場感が実現できると思うのです。

    求めているのは、予定調和ではなく、その場で生まれるという生成感なのです。

    そのような思いで企画し、実施した対談・鼎談(2011年度春学期)は、以下のとおりです。

    ■ 熊坂 賢次 × 諏訪 正樹 × 井庭 崇 鼎談「概念構築の方法論」

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    社会学者の熊坂 賢次さん(慶應義塾大学環境情報学部教授)と、認知科学者の諏訪 正樹さん(慶應義塾大学環境情報学部教授)と、自分たちの研究における概念構築の方法論とこだわりについて語り合いました。2011年5月10日(火)、SFC「概念構築 (CB)」にて。


    ■ 加藤 寛 × 井庭 崇 対談「総合政策学の「総合」と「政策」について語る」

    KatoIbaTalks.jpg

    加藤寛先生(慶應義塾大学総合政策学部 初代学部長、現在、慶應義塾大学名誉教授、嘉悦大学学長)と、総合政策学にまつわるコンセプトや考え方について語り合いました。2011年5月13日(金)、嘉悦大学にて。


    ■ 市川 力 × 今村 久美 × 井庭 崇 鼎談 「“自分”から始まる学びの場のデザイン」

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    市川 力さん(東京コミュニティスクール校長)と、今村 久美さん(NPOカタリバ代表理事)と、コミュニケーションの連鎖を誘発する「新しい学びの場づくり」について、自分たちの実践事例を交えて語り合いました。2011年5月21日(土)、SFC「社会システム理論」にて。
    鼎談映像 → SFC-GC (Global Campus) 「社会システム理論2011」


    ■ 江渡 浩一郎 × 中西 泰人 × 井庭 崇 鼎談「パターン・ランゲージの思想と展開」

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    江渡 浩一郎さん(産業技術総合研究所研究員/メディア・アーティスト)と、飛び込みで参加することになった中西 泰人さん(慶應義塾大学環境情報学部 准教授)と、パターンランゲージの背後にある思想やパターンランゲージのあり方などについて語り合いました。2011年5月23日(月)、SFC「井庭研究会B1」にて。


    ■ 武田 隆 × 井庭 崇 対談「ネットコミュニティによる新しいマーケティング」

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    武田 隆さん(エイベック研究所 代表取締役)と、インターネットの精神とその変遷、そして、コミュニティの育成と可能性について語り合いました。2011年5月24日(火)、SFC「井庭研究会B2」にて。


    ■ 相磯秀夫×井庭崇 対談 「テクノロジー・人間・社会の関係性とそのデザイン」

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    相磯秀夫先生(慶應義塾大学環境情報学部 初代学部長、現在、慶應義塾大学名誉教授)と、SFC創設時のイノベーションや、これからの大学に必要なことなどについて語り合いました。2011年6月18日(土)、SFC「シミュレーションデザイン」にて。


    ■ 中原 淳 × 井庭 崇 対談「学びと創造の場づくり」

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    中原淳さん(東京大学 大学総合教育研究センター 准教授)と、対話と学びを誘発する「場」のデザインについて、自分たちの実践例を交えながら、語り合いました。2011年7月9日(土)、SFC「社会システム理論」にて。
    対談映像 → SFC-GC (Global Campus) 「社会システム理論2011」
    イベント・出版の告知と報告 | - | -

    7月19日(火)6限に追加の井庭研説明会を開催します!

    2011年7月19日(火)6限に、追加の井庭研説明会を開催します!

    先週の説明会は5限に開催したため参加できなかったという声を何人からか聞きました。そこで、今週は6限に、追加の説明会を行います。井庭研会B1とB2の両方を説明します(内容的には先週の説明会の短縮版です)。

    先週参加した人でも、何か質問等があれば、その場に来てもらえれば、話が早いと思います。


    ■ 井庭崇研究会B1&B2説明会
    7月19日(火)6限(18:10〜) @ κ11教室


    ■井庭研B1
    パターン・ランゲージによる実践知の言語化プロジェクト
    (創造的なコラボレーション + 魅せるプレゼンテーションの探究)

    ■井庭研B2
    新しいシステム理論にもとづく社会研究
    (コミュニケーションの連鎖の分析とメディア構築)


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    井庭研 説明会ポスターをつくりました

    井庭研説明会のポスターをつくりました。

    Ilab2011Fall_MemberPoster420.jpg


    ■ 井庭崇研究会B1説明会 7月11日(月)5限 @ ε12教室
    パターン・ランゲージによる実践知の言語化プロジェクト
    (創造的なコラボレーション + 魅せるプレゼンテーションの探究)

    ■ 井庭崇研究会B2説明会 7月12日(火)5限 @ κ11教室
    新しいシステム理論にもとづく社会研究
    (コミュニケーションの連鎖の分析とメディア構築)
    井庭研だより | - | -

    無限と有限の組合せで何が生まれるか? ー 「ChaoticWalker」公開

    多様で複雑なカタチを生成できるソフトウェア「ChaoticWalker」を公開し始めました。ぜひ、ダウンロードして、遊んでみてください!

    http://www.chaoticwalk.org/
    このページから、簡単な登録後、実行ファイル(jarファイル)をダウンロードできます。Javaで書かれているので、基本的にはどのOSでもいけるはずです。

    このソフトウェアで体験できることは、次のことです。

    「無限」を生み出すカオスは、そのままでは不規則でかたちは生成できないのですが、それに数値の桁数を区切るという「有限性」の枠をはめることで、カタチが立ち現れる!

    こういう非常に興味深い現象を考察するためのツールなのです。

    とはいえ、まずは、難しいことは考えずに、実行してみて、いろんなかたちを生成してみてください。


    ChaoticWalker 0.80
    ChaoticWalker080_Screen420.jpg


    ChaoticWalker Lite 0.80
    ChaoticWalkerLite080_Screen420.jpg



    このソフトウェアは、2009年に僕がボストンにいるときにゼロから開発したものです。久しぶりに本格的にプログラミングをしました。そして、僕自身実際にこのツールを使って、研究をしました。

    パターン生成の可視化メカニズムは、2007年に井庭研の学生だった下西風澄くんが、廣瀬隼也くんとの議論のなかで考え出したものです。そしてそれを「カオスの足あと」と名づけ、探索的な分析が始まりました。その後、ふとしたことから、有効桁数がカタチに影響を与えていることに気づき、僕が「無限の可能性を生むカオスで有限性をコントロールする」ことに意義を見出し、それについての研究も始まりました。

    この研究は、非線形科学の学会で発表しただけでなく、コンピュータグラフィックスの世界最大のカンファレンス SIGGRAPHでも発表しました。下西くんの興味が、アートとサイエンスをつなぐということだったのも大きく影響しているでしょう。このようなコラボレーションによって、このソフトゥエアの背後にある可視化手法がつくられ、探究されてきました。

    実際に探索してみるとわかりますが、そこにはとても魅力的な世界が広がっています。ぜひ、いろいろ値を変えて、カタチを生成してみてください。有効な桁数 digitを5〜9くらいに、コントロール・パラメータ a を約3.7 〜 4.0にすると(カオスの領域)、面白いカタチが生成されやすいでしょう。


    このツールをつかって生成した画像は、下記の論文でも多数取り上げています。興味があれば、こちらもみてみてください。とてもワクワクしますよ!

    Iba, T. & Shimonishi, K. (2011), "The Origin of Diversity: Thinking with Chaotic Walk," in Unifying Themes in Complex Systems Volume VIII: Proceedings of the Eighth International Conference on Complex Systems, New England Complex Systems Institute Series on Complexity (Sayama, H., Minai, A. A., Braha, D. and Bar-Yam, Y. eds., NECSI Knowledge Press, 2011), pp.447-461.
    複雑系科学 | - | -

    井庭研 夏の特別研究プロジェクト2011 シラバス

    下記の通り、夏の「特別研究プロジェクト」(井庭)を開催します。これは、夏休み中の正規の授業として開講されます(2単位)。参加希望の人は、メールにて連絡をください。

    「 新しいシステム理論にもとづく社会研究【特別編】」(井庭 崇)

     本特別研究プロジェクトでは、社会学者ニクラス・ルーマンの「社会システム理論」(Social Systems Theory)の理解を深めるため、『社会の芸術』を読み込みます。ルーマンの社会システム理論では、社会を「コミュニケーション」という出来事の生成・連鎖の視点で捉えます。そして、本来は生起しにくい社会的秩序が、いかにして生じ得るのかを考察します。この理論は、政治、経済、法、科学、教育、芸術、宗教、マスメディア、社会運動、組織、愛など、様々な社会現象の理解に用いられています。
     本プロジェクトでは、『社会の芸術』の日本語訳と英語訳の両方を読み、理論の内容理解だけでなく、社会システム理論にもとづく社会研究を英語で書くための力も身につけます。

    『社会の芸術』(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2004)
    第1章 知覚とコミュニケーション―形式の再生産について
    第2章 ファースト・オーダーの観察とセカンド・オーダーの観察
    第3章 メディアと形式
    第4章 芸術の機能と芸術システムの分出
    第5章 自己組織化―コード化とプログラム化
    第6章 進化
    第7章 自己記述

    『Art as a Social System』(N. Luhmann, Stanford University Press, 2000)
    Chapter 1. Perception and communication: the reproduction of forms
    Chapter 2. Observation of the first and of the second order
    Chapter 3. Medium and form
    Chapter 4. The function of art and the differentiation of the art system
    Chapter 5. Self-organization: coding and programming
    Chapter 6. Evolution
    Chapter 7. Self-description


    【実施期間】
    2011年 9月1日~3日、5日、13日、14日

    【実施場所】
    SFC

    【参加条件】
    「社会システム理論」の授業を履修済み、もしくは、プロジェクト開始前までに、SFC-GCで「社会システム理論」の映像を見て自習していること。

    【評価方法】
    文献読解・議論における積極性・貢献度、文献読解のまとめのレポート、および研究関連の諸活動から総合的に評価します。

    【問い合わせ・連絡先】
    ilab-entry2011 [at] sfc.keio.ac.jp

    【参考文献】
    ・『社会システム理論』〈上〉 〈下〉(ニクラス・ルーマン, 恒星社厚生閣, 1995)
    ・『Social Systems』(N. Luhmann, Stanford University Press, 1996)
    ・『社会の社会』〈1〉 〈2〉(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2009)
    ・『システム理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈1〉』(ニクラス ルーマン, 新泉社, 2007)
    ・『社会理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈2〉』(ニクラス ルーマン, 新泉社, 2009)

    Ilab2_2011s.jpg
    井庭研だより | - | -

    井庭研 説明会(2011年秋学期履修希望者向け)を開催します!

    下記の日程で、来学期履修希望者向けの「井庭研 説明会」を開催します。担当教員と現役メンバーが、研究会のテーマや進め方などを説明します。井庭研に参加したいと思っている人も、何をやっているのか興味がある人も、研究会選択を迷っている人も、ぜひ来てください!


    ■ 井庭崇研究会B1説明会 7月11日(月)5限 @ ε12教室
    パターン・ランゲージによる実践知の言語化プロジェクト
    (創造的なコラボレーション + 魅せるプレゼンテーションの探究)

    ■ 井庭崇研究会B2説明会 7月12日(火)5限 @ κ11教室
    新しいシステム理論にもとづく社会研究
    (コミュニケーションの連鎖の分析とメディア構築)


    Ilab1Image2011fallSq200.jpg Ilab2_2011fall200.jpg
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