井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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終わりと始まりの季節

春は新しい時代が始まる季節であり、ひとつの時代が終わる季節でもある。

この3月に卒業した井庭研卒業生は全部で9人。学部生が8人、修士が1人だ。大学のほとんどを井庭研で過ごした人、期間こそ短いが深くコミットした人、学部・修士の時代を通じて井庭研をつくってきた人など、研究会にかなりコミットをしてきたメンバーたち。Grad2008.jpg1年ほど前は、みんな頼りなくて「最高学年として大丈夫かなぁ?」と心配したもの。でも、不思議なもので、だんだん最高学年としての自覚がでてきて「腹をくくる」ことができた後は、ますます活躍して輝き、信頼のおける仕事・研究をこなすようになる。今回の卒業生たちも、そのようにして井庭研で花を咲かせてきた。

そんな卒業生たちを心からお祝いしたいと思い、僕は卒業関連のイベントにはできる限り出席する。教員の「仕事」としてではなく、純粋にお祝いにかけつけるために。そんなわけで、今年もテイクオフラリー、卒業式、修了式に参加した。

TakeOff1.jpgTakeOff2.jpgテイクオフラリーというのは、「SFCから飛び立つ(テイクオフする)人たちの集まり(ラリー)」という意味の、SFC独自の卒業パーティーだ。1期生が卒業したときから続いている伝統的なイベントで、僕も学部を卒業した時には実行委員として映像を制作したりした。当時はSFCで開催されていたが、ある時期から船上で行われるようになったのだが、今年は久しぶりに船から陸に戻っての開催となった。会場は、横浜みなとみらいの「アートグレイス・ポートサイドヴィラ」。よく結婚式で使われる会場で、雰囲気のいいところだ。パーティーの最後には、慶應の応援歌である「若き血」を、みんなで肩を組んで何度を歌った。

grad1-200.jpggrad2-200.jpg卒業式や修了式(修士の卒業式)は、日吉記念館で行われた。華やかな袴姿の人たちも多く、みんな晴れやかな笑顔をしていて、とても素敵な空間になる。卒業式の日はあいにくの雨模様だったが、会場はとても晴れやかな空気で詰まっていた。僕は一眼レフのカメラを片手に、井庭研卒業生たちの写真を撮る。パシャ。パシャ。そしてみんなで一緒に撮ってもらう。こんなふうにして、卒業式後の時間は素敵な記念の時間に変わっていく。(この日吉記念館は近々建て替えられるらしい。とてもシックで「深い」感じのする建物だけに残念だ。卒業式の重みは、この建物からもきていると思う。)

master.jpg大学の教員をやっていると、毎年春は複雑な気持ちになる。研究会を通じて大きく成長し、「ようやく一緒に研究や仕事ができるようになった」と思った瞬間、卒業してしまうからだ。僕が教え、学生が教わるという単純な関係性ではなく、まさに「半学半教」のかたちで一緒に考え試行錯誤をともにした「仲間」なのだ。「ようやくここからが面白いところなのに」と思いながら、毎年卒業生を見送る。その反面、卒業生たちが社会のいろいろなところで活躍すると思うと、それはそれでうれしい。

寂しさとうれしさ―――それが共存するから、春は複雑な気持ちに満ちている。別れと出会い、終わりと始まり。きっと僕だけでなく、日本中でいろんな人がその複雑な気持ちを抱えて新しい生活を初めているのだろう。そういう気持ちを味わいながら、新しいスタートをきることにしよう。
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井庭研(2008年度春学期)スタート!

2008SpSeminar200.jpg 2008年度春学期の井庭研究会がスタートした。今学期から、ゼミ生全員が火曜と金曜の両方のゼミに参加するという形式に変わった。火曜日は輪読、金曜日は研究レビューの日として、週2回集まる。以前からこの形式にしたかったので、ようやく実現したという感じだ。新規生は3人。全体としては、学部生が15人、修士が2人という構成だ。

今学期輪読する文献は、以下のとおり。これらの文献を読んで、「現代社会の捉え方」について学び、自らの研究の位置づけ・意義を魅力的に語れるようになることを目指す。また、井庭研の重要概念のひとつである「コミュニケーションの連鎖」とその支援について理解を深めるために、広義の「メディア」論を学んでいく。どれも井庭研のテーマにとってとても重要な本ばかり。来週から、週1冊ペースの「春の輪読マラソン」がスタートする。

【井庭研 2008年度春学期 輪読文献リスト】
● 「『創発社会』の到来とビジネス・パラダイムの転換」(井関 利明, 『創発するマーケティング』, DNP創発マーケティング研究会 編著, 日経BP企画, 2008, p.11~p.82)
● 「ディジタル・メディア時代における「知の原理」を探る: 知のStrategic Obscurantism」(井関 利明, 『メディアが変わる知が変わる』, 井上輝夫, 梅垣理郎 編, 有斐閣, 1998, p.3~p.40)
『ハイコンセプト:「新しいこと」を考え出す人の時代』(ダニエル・ピンク, 三笠書房, 2006)
『シュンペーターの経済観:レトリックの経済学』 (塩野谷 祐一, 岩波書店, 1998)
『リキッド・モダニティ:液状化する社会』(ジークムント・バウマン, 大月書店, 2001)
『社会学的想像力のために:歴史的特殊性の視点から』(伊奈 正人, 中村 好孝, 世界思想社, 2007)
『声の文化と文字の文化』(ウォルター・J. オング, 藤原書店, 1991)
『想像の共同体:ナショナリズムの起源と流行』(ベネディクト・アンダーソン, 定本版, 書籍工房早山, 2007)
『〈メディア〉の哲学:ルーマン社会システム論の射程と限界』(大黒 岳彦, NTT出版, 2006)
『動きが生命をつくる:生命と意識への構成論的アプローチ』(池上 高志, 青土社, 2007)
『世界が変わる現代物理学』(竹内 薫, ちくま新書, 2004)
● 「経済学から歴史学中心の社会科学へ」(金子邦彦, 安冨歩, 『経済学の現在2』, 吉田雅明 編, 日本経済評論社, 2005, p.97~p.126)
『社会を越える社会学:移動・環境・シチズンシップ』(ジョン・アーリ, 法政大学出版局, 2006)

Book-Izeki1.jpg Book-Izeki2.jpg Book-Pink.jpg Book-Shionoya.jpg Book-Bauman.jpg Book-Ina.jpg Book-Ong.jpg Book-Anderson.jpg Book-Daikoku.jpg Book-Ikegami.jpg  Book-Takeuchi.jpg  Book-Yoshida.jpg Book-Ali.jpg
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SFCにおける学びの真髄

新年度・新学期が始まった。新たな気持ちで、スタートしたいと思う。

4月に入ってまず最初にやったことは、キャンパス・ライフ・ガイダンス(CLG)において行った「新入生へのメッセージ」という講演だ。午前と午後の2回行ったので、総合政策学部と環境情報学部の新入生約900人に話したことになる。「SFCを 1万倍 楽しむ方法」と題した講演では、次のようなことを語った。

まず、SFCがか掲げる「研究プロジェクト中心」とはどういうことか。ここでいう「研究」とは、いわゆる学術研究だけでなく、創作や社会実践をも含む、広い概念であるということ。そして、SFCでの学びの真髄が、授業の履修が中心なのではなく、「研究」を絶えず行うという「研究プロジェクト中心」であるということ。僕の言葉でいうと、「アウトプットから始まる学び」ということだ。既存の知識を自分にインプットすることによって学ぶのではなく、自分からアウトプットしていくことによって学ぶということである。そのためには、主体性が求められる。「SFCはみんなを大人扱いします。」――― 1年生から自分の歩く道を考えながら決めていく、つまりセルフ・プロデュースが求められているのである。

このことをさらに考えるために、講演では3つのキーワードを掲げた。「創造」、「先端」、「方法」の3つだ。「創造」(innovation)とは、何かをつくったり実践したりするということ。アウトプットを生み出すということだ。「先端」(frontier)とは、最先端の領域・問題に取り組むということ。すでに誰かが行っていることをなぞっても意味がない。「車輪の再発明」ではなく、まだ誰も成し遂げていないことに取り組むことが重要だということ。「方法」(method)とは、「どのように取り組むのか」という方法を意識し、分野を超えて「方法」を探究し、他分野の方法を移転したり、新しい方法を生み出したりすることが重要だということ。SFCは既存のディシプリン(学問分野)に依存しているわけではないので、学問の間を自由に行き来し、「方法」をディシプリンから解放し、新しい分野に適用するということこそ、SFCの強みであり、取り組むべき課題だと僕は考える。取り組みたい問題に合わせて「方法」を適切に選択するという力、そして新しい「方法」をつくりだす力を養ってほしい。

WhatIsResearch「創造」、「先端」、「方法」というキーワードをつかって、「研究」を語ると左図のようになる。「研究」とは、「先端」領域において「創造」するということである。そして、それを実践するためには「方法」が必要なのであり、「方法」自体のイノベーションも求められる。実はこのような考えのもと、SFCの現行カリキュラムは、研究プロジェクトを中心に、「創造」支援系と「先端」支援系の授業を配置した構造になっている。

SFCcurriculum 「研究プロジェクト中心」≒「アウトプットから始まる学び」というのは、このような「研究」を、学部の後半からではなく、学部1年生から行うということである。その点において、SFCは明らかに他の大学・学部とは異なる学びのスタイルをとっている。1・2年生は一般教養でインプットして3・4年生からゼミに入り、卒論でアウトプットする、というスタイルではないのだ。入学したらすぐ「いまから」「いつでも」アウトプットする、というのがSFCのスタイルだ。これが「アウトプットから始まる学び」の真髄である。私の研究会では、学部2年生でも学会発表(国内外)を行う。それは、1年生から「研究」(先端領域における創造)に取り組んでいるからこそ可能となるのだ。

以上のことを、講演の最後に、聴いている1年生に引き寄せて「5W1H」で表現した。

今日から 【When】
SFCで 【Where】
君(たち)が 【Who】
先端的な研究を 【What】
個人的関心+社会的ニーズにもとづき 【Why】
新しい「方法」によって 【How】
行ってください。

これが、何よりも学生のみんなに伝えたいことなのだ。「いまから」「いつでも」アウトプットをしてほしい。そこからSFCでの学びが始まる。

「入学おめでとう! SFCで楽しみ、SFCを面白くしてください。」
「研究」と「学び」について | - | -

研究会の新規メンバー募集のポスターをつくりました!

井庭研究会 2008年度春学期の新規メンバー募集のポスターを作りました。ポスターの上方にある写真は、最近のお気に入りの一枚。研究会メンバーの一人が、研究会合宿のときに撮ってくれたものです。下の方にある写真たちは、去年の一年間の活動風景です。井庭研の活動がイメージできるように載せておきました。

井庭研では、いつも学期末になると来学期のメンバー募集ポスターをつくります。そして、研究棟にある掲示板に貼ります。実は、研究会のこういうポスターは、いつも学生ではなく僕がつくっているのです。秘密ですが(笑)。

こういう告知ポスターに、僕はこだわりと思い入れがあります。僕は新しいプロジェクトを始めるときはいつも、メンバー募集ポスターをつくってきました。学部時代から数えると、つくったポスターはゆうに30枚はあると思います。修士のころにやっていた伝説的な「複雑系勉強会」も、博士のときにやっていた「Boxed Economy Project」(現 PlatBox Project)も、このようなメンバー募集ポスターから始まりました。

何か新しい試みを始めるときは、「身近な人からではなく、広く募集する」という鉄則が、いつからか僕のなかにあるのです。というのは、あるテーマに興味がある人を探すときに、身近な人を母数としてしまうと、集まる人は必然的にごく少数に限られてしまいます。その結果、プロジェクトは小さなものになり、縮小傾向になりがちです。これでは、最初から成功を断念しているようなものです。なので、新しいことを始めるときには、必ず大きな母数に対して募集するということが重要だと思うのです。

そんなわけで、今回もポスターを作りました。いろんな人が来てくれることを期待しながら。

ilab08s-poster.jpg
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パターン・ランゲージの授業(1)

PatternLecture僕はいま、「パターンランゲージ」という授業を担当している。慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部(SFC)において、今年度から隔年開講されることになった科目である。今回のカリキュラムで新しくできた授業だ。

 この授業は、クリストファー・アレグザンダーが提唱した「パターン・ランゲージ」の考え方を学び、自らパターン・ランゲージを記述できるようになることを目的としている。パターン・ランゲージといっても、この授業では建築の構造を対象にしているわけではなく、この手法を他分野に応用することに主眼が置かれている。

 授業は、僕のレクチャーと演習、そしてグループワークで構成されており、履修者は約60人いる。この授業は、パターン・ランゲージについて教えるという点で非常に珍しい授業であるが、それだけでなくユニークな試みをいくつも行なっている。その試みについて、何回かに分けて紹介したいと思う。

 まずは、授業の全体像をつかんでもらうために、授業シラバスから、重要なところを抜粋しておく。



創造技法科目-デザインと情報スキル
「パターンランゲージ」

担当:井庭崇
単位:2単位
開講:火曜日3時限(週1コマ)

主題と目標/授業の手法
 この授業では、「創造性」(クリエイティビティ)の秘密に迫ります。ここでの基本的なスタンスは、創造性にはひらめきと感性が必要だが、同時に論理的な思考もまた不可欠だ、というものです。特に、継続的に創造性を発揮していくためには、感覚的側面と論理的側面の連携が重要となります。この授業では、創造性の感覚的側面については作家の方法論から学び、創造性の論理的側面については「パターンランゲージ」の思想・手法から学びます。
 この授業で注目する「パターンランゲージ」は、創造・実践のための言語というべきものです。かつて、建築家のクリストファー・アレグザンダーは、建物や街の形態に繰り返し現れる関係性をパターンとしてまとめました。そして、そのパターンランゲージを用いれば、住人たちが自分たちの住む建物の建設や街づくりに参加できるようになる、と考えました。その後、この考え方はソフトウェア開発の分野に応用され、成功を収めています。
 パターンランゲージを記述し、共有することの意義は、大きく分けて二つあります。一つは、熟練者の経験則を明文化しているので、初心者であってもよりよい方法で創造や実践ができるようになるということです。もう一つは、共通の語彙を提供することが出来るので、これまで直接指し示すことが出来なかった物事について言及できるようになるということです。組織においてもオープンなコミュニティにおいても、創造や実践のノウハウをどのように共有・継承していくのかということは、いまだ解決されていない重要な問題であり、そのための手法として「パターンランゲージ」は大きな可能性をもっているのです。
 この授業では、パターンランゲージの考え方を、創造的コラボレーションや社会デザイン、ものづくりなど、これまで適用されてこなかった分野に応用することを考えます。学期の後半には、実際に、グループワークによって新しいパターンランゲージの作成を試みます。そして、各グループが作成したパターンを持ち寄り、クラス全体でひとつの体系をつくりあげたいと思います。今年度のテーマは、「創造性を発揮する」ためのノウハウです。ひらめきという偶然的な出来事を誘発するための必然的なプロセスについて、一緒に考えていきましょう。

授業スケジュール
第1回:イントロダクション
第2回:パターンランゲージとその思想的背景
第3回:建築のパターンを探す
第4回:創造性について考える(1)
第5回:創造性について考える(2)
第6回:パターンランゲージの形式
第7回:パターンのブラッシュアップ
第8回:創造パターンのブラッシュアップ(1)
第9回:創造パターンのブラッシュアップ(2)
第10回:創造パターンのブラッシュアップ(3)
第11回:創造パターンカタログのレビュー
第12回:総括


パターン・ランゲージ | - | -

2008年が始まりました

back-sirokun.jpg あけましておめでとうございます!

 2008年が始まりましたね。
 新年になって何にびっくりしたかって、平成が20年になったことですよ。

時が経つのは早いなぁという感慨もあるけれど、
どちらかというと、うれしい気持ちがしています。

何がうれしいかというと、
「あれ? 今年って18年?19年?」
みたいな混乱をしなくて済むということ(笑)。

20という数字は、そのくらいのインパクトをもっています。
え? みんな混乱しないの? 僕だけ? みんな、すごいね。(笑)


昨年(平成19年 ← もう自信をもって言える!)から始まったこのブログ、たまにしか更新していませんが、それでも「三日坊主」の域は超えたということで、とりあえずはめでたいことです。ぱちぱち。

このブログでは、僕(井庭崇)が考えていることや活動報告、僕の研究や興味に関する情報などを書いていきたいと思います。

何を食べたとか、どこどこに行ったとか、友達と遊んだとか、そういうことを書く気はありません。そんなの読んでも面白くないですからね。芸能人が書くならともかく。

ということで、あくまでも、知的好奇心をくすぐるような話題を取り上げていきたいと思います。

コメントやトラックバックも、ぜひどうぞ。
(スパムを消すだけの毎日なんて!)

みなさん、今年もどうぞよろしく。
このブログについて/近況 | - | -

『2007 Concept Book』を発行しました。

井庭研究会では、井庭研の重要なコンセプト(概念)をまとめた冊子『2007 Concept Book』を制作・発行した。できるだけ多くの方に理解しやすいために、かなりわかりやすく書いたつもりだ。ぜひ、このコンセプトブックから新しい視点を見つけてもらえればと思う。

ConceptBook2007『2007 Concept Book』
Table of Contents

01 パターン・ランゲージ
02 コラボレーション
03 コミュニケーションの連鎖としての社会
04 インタラクションを活かした調査と実践
05 物語=世界をつくる
06 つくって動かして理解する
07 隠れた関係性の可視化
08 新しいシステム観
09 新しい市場分析手法
10 カオスの足あと
11 アウトプットから始まる学び

download ⇒ 『2007 Concept Book』(井庭研究会 編著, 2007)
[ PDF形式。4.9M byte。見開きを想定したデザインになっているので、印刷の際には両面印刷をして、表紙向かって左側の辺にホッチキスを数箇所とめるようにするとよいと思う。]

2007a-1-150.jpg『2007 Concept Book』制作は、編集係の学部生3人を中心として、研究会メンバー全員でコンテンツを作成した。編集デザインは今年は、Adobe InDesignを使用した。今年はとてもかわいいデザインで、とても気に入っている。
井庭研だより | - | -

2008年度春学期 井庭研究会シラバス公開

2008年度春学期の井庭研究会のシラバスを公開した。エントリー締切は、2008年1月26日(土)。ぜひ、先端的な研究に一緒に取り組む、志の高い人に来てほしい。

- 研究会1 「理論と実践の社会研究:社会システム理論を究める」
- 研究会2 「新しい思考の道具をつくる:プログラミング技術を活かした複雑系研究」

個人や組織の創造性、社会の多様性や偶発性、歴史性を踏まえた新しい社会科学と、そのための道具を構築する ―――― これが井庭研究会の目標です。複雑系やオートポイエーシスといった近年のシステム理論では、社会を「グニャグニャと変化する構成要素によって、絶えず生成されつづけるシステム」として捉えます。社会をそのようなシステムとして捉えると、従来とは異なるリアリティが得られ、また社会のデザインの仕方も変わってきます。井庭研究会では、さまざまな学問分野に固定化された「知」と「方法」を一度解放し、必要に応じて組み合わせていきながら、新しい時代の新しい社会科学の構築と、そのための方法・道具の開発に取り組みます。

2008年度春学期は、「新しい社会の捉え方の構築」、「隠れた関係性の可視化・解析」、「コミュニケーション・デザインの実践」、「パターン・ランゲージの作成」、「物語づくりの方法探究」、「複雑系のツール開発」をテーマとしたプロジェクトを行ないます。

IbaLaboratory
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ORF2007 トークセッション「新しい社会の捉え方」

2007年11月22日(木)に、Open Research Forum 2007 (ORF2007)のブックカフェにおいて、以下のトークセッションを行います。

bookcafe2トークセッション
「新しい社会の捉え方
 ~コミュニケーション・アイデンティティと現代~」
(井庭崇 + 国友美千留)
2007年11月22日 14:30~15:30
ORF2007ブックカフェ内

私たちは、流動的な現代社会を捉えるためには、従来のような主体概念に基づく把握から、「コミュニケーションの連鎖」によって把握するという視点への転換が必要だと考えています。このことは、コミュニティや組織、そして社会を、「存在するもの」(being)としてではなく、「絶えず生成されているもの」(becoming)―――しかも自分で自分を生成し続ける「自己生成的なもの」―――として捉えるということにつながります。

このトークセッションでは、ニクラス・ルーマンの社会システム理論にもとづく「コミュニケーションの連鎖」としての社会観について、お話したいと思います。その場を共有することでしか味わえないような体感的なトークセッションを予定しています。ふるってご参加ください。

Communication CommunicationSystem

SFC Open Research Forum 2007
「toward eXtremes: 未来創造塾の挑戦」


日時:2007年11月22日(木)  10:00~21:00
    2007年11月23日(金・祝)10:00~19:00
会場:六本木アカデミーヒルズ40(六本木ヒルズ森タワー40階)
   入場無料(お名刺をご持参ください)
主催:慶應義塾大学SFC研究所
HP:http://orf.sfc.keio.ac.jp/
イベント・出版の告知と報告 | - | -

ORF2007 「SFCブックカフェ:知の生態系を育てる」

2007年11月22日(木)・23日(金・祝)に六本木ヒルズで開催されるOpen Research Forum 2007 (ORF2007)において、「SFCブックカフェ:知の生態系を育てる」をオープンします。

bookshelf「SFCブックカフェ」には、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の教員・学生・卒業生が書いた「本」を一堂に集めて展示してあります。まずは、書架を辿りながら、SFCで取り扱っている研究分野の広がりと深さを味わってください。さらにこの空間には、「本」というメディアをキーとして、「知」の関係性と広がりを感じることができるシステムが組み込まれています。

複数の本をテーブルに置くことで、どの本が選ばれたかをシステムが認識し、大型タッチディスプレイ上で「知の生態系」が進化をしていくさまを見ることができます。また、手元のモニターでは、お選びいただいた本の内容に関連した、おすすめのブースや著書の紹介が表示されます。

bookcafeこれらは、既存の分類上は一見バラバラに見えるSFCの研究領域が、どのように「つながっているのか/つながる可能性があるのか」を発見するとともに、本やブース展示などの見えない関係性を「知の生態系」としてとらえなおし、参加者が本を手に取りテーブルへ置くことで、その生態系がダイナミックに育っていくことを実感するためのものです。システムはすべて、ICタグの技術、メディアデザインの技術、関係性を解析する技術など、SFCで日頃から研究されている技術と知恵の組み合わせで実現されています。

また、ブックカフェには時おりブックマスターが現れ、SFCの知のつながりについて解説が行われたり、研究者がリビングルームで語るようなトークセッションの時間帯があります。コーヒーを片手に、実空間の「本」を手に取り、ソファーでくつろぎながら「知の生態系」が包み込む場所と時間をお楽しみください。

電子タグの高度利活用(Auto-IDラボ+NTTCom)
実空間とシステムの融合(國領二郎研究室+田中浩也研究室+プラットフォームデザインラボ)
選択によるネットワーク形成(熊坂賢次研究室+井庭崇研究室)
可視化エンジンNautilus(脇田玲研究室)
トークセッション企画/関連ブログ(加藤文俊)

bookcafe-logo展示場所:40カフェ内の「ブックカフェ」スペース
展示日時:11月22日(木)、23日(金・祝)ともに終日
HomePage: http://bookcafe.sfc.keio.ac.jp/


SFC Open Research Forum 2007
「toward eXtremes: 未来創造塾の挑戦」


日時:2007年11月22日(木)  10:00~21:00
    2007年11月23日(金・祝)10:00~19:00
会場:六本木アカデミーヒルズ40(六本木ヒルズ森タワー40階)
   入場無料(お名刺をご持参ください)
主催:慶應義塾大学SFC研究所
HP:http://orf.sfc.keio.ac.jp/
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