井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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【春休みの宿題】研究会B2(社会システム理論)

春学期からの研究活動の準備として、春休み中に、以下の(1)(2)を各自やっておいてください。※(1)についてはレポート提出あり。


(1)ルーマンの『システム理論入門』を読み、社会システム理論の考え方を知り、自分の研究との関係を考える。

『システム理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈1〉』(ニクラス ルーマン, 新泉社, 2007)を購入し、二度読む。ルーマンの理論は、相互に複雑に関係する概念で構成されているので、一度全体を概観した後もう一度読むことが大切。二度目は理解度が変わるはずです。講義録なのでルーマンの他の著作よりはわかりやすいとはいえ、理論や文章はやはり難解なので、すべての箇所を理解しようと思わなくていいし、自信を喪失しないこと。

一回目は、わからないところは飛ばしてよいので、どんどん読み進める。ただし、どのようなキーワードがあるかは意識しながら読む。重要だと思う箇所に線を引くなどして、印をつけていく。

二度目は、自分の研究に関係がありそうな部分(あるいは、使えると思う部分)を中心に読む。→ その部分、つまり、自分の研究に関係がありそうな概念をレポートにまとめる。


(2)『創造的論文の書き方』を読み、テーマの詰め方と、研究の育て方を学ぶ。

来学期の個人研究では、自分の研究を自分で進めていく必要がある。そのための考え方とコツを学ぶため、『創造的論文の書き方』(伊丹敬之, 有斐閣, 2001)を購入し、読む。重要だと思う箇所に線を引くなどして、印をつけていく。

この読書によって、自分の研究のテーマを詰め、どのように研究の論理を構築していくのかのイメージを固める。→ 今回は特に提出しないが、4月のゼミで研究テーマ・計画発表を行なう。


【春休みの宿題レポートの提出】

提出〆切:2011年 4月5日(火)
提出先 :井庭研履修予定者ML
ファイル:PDF形式:ファイル名に半角アルファベットで名前を入れる
メール件名:春休みの宿題B2( 自分の名前 )


【補足】

●来学期読む輪読文献『社会の社会』を、春休みのうちに各自購入しておいてください。(余裕があるなら、興味があるところだけでも読んでおくと、学期中が楽になるでしょう。)

『社会の社会』〈1〉(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2009)
『社会の社会』〈2〉(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2009)


●個人研究をサポートする以下の重要文献についても、春休みのうちに各自購入し、読める範囲で読んでおくことをおすすめします。個人研究を進める計画・遂行にかなり役立ちます。

『創造の方法学』(高根 正昭, 講談社, 1979)
『考える技術・書く技術:問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(バーバラ・ミント, 新版, ダイヤモンド社, 1999) [ B. Minto,
The Pyramid Principle: Logic in Writing and Thinking, 3rd Revised ed, Financial Times Prentice Hall, 2008 ]
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【春休みの宿題】研究会B1(パターン・ランゲージ)

春学期からの研究活動の準備として、春休み中に、以下の(1)(2)を各自やっておいてください。※(1)(2)ともにレポート提出あり。


(1)アレグザンダーの本『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』を読み、パターン・ランゲージの書き方について学ぶ。

『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』(クリストファー・アレグザンダー 他, 鹿島出版会, 1984)、もしくは、その原著の『A Pattern Language: Towns, Buildings, Construction』 (C. Alexander, S. Ishikawa, M. Silverstein, Oxford University Press, 1977) を購入し、以下の手順で読んで、レポートを作成する。

まず、「あるパターン・ランゲージ」(邦訳 p.ix〜xiii / 原著 p.ix〜xvii)を読み、パターン・ランゲージの書き方についてのポイントをまとめる(これをレポートの最初に書く)。

次に、「町」(邦訳 p.3〜5 / 原著 p.3〜7)、「建物」(邦訳 p.243〜p.245 / 原著 p.463〜p.466)、「施行」(邦訳 p.495〜497 / 原著 p.935〜938)を読み、全体像をつかむ。

そして、(すべてを読まなくてよいので)パラパラと見て、自分が面白そうだと思うパターンを3つ選ぶ。

その3つのパターンを、形式も真似してそっくりになるように書き写す。そっくりというのは、内容だけでなく、形式も真似るという意味。文字のボールド(太字)、センタリング、スペース、マークなども、ほぼ同じになるように心がける。写真や図もスキャン(あるいは簡単なやり方としては、デジカメで撮るなど)して載せる。(邦訳の二段組みや一行の文字数などは、真似しなくてよい。)

この課題の出題意図は、パターンの書き方/形式について、しっかり意識してもらうこと。単なる読む立場としてでなく、書き手の立場からパターンに接してほしいということ。なので、上述の「あるパターン・ランゲージ」に書かれていた形式の説明との対応関係を確認しながら、書き写してほしい。→ この3パターンの引用記述を、レポートに収録する。


(2)「魅力的」で「優れている」と思うプレゼンテーションを集めて、分析する。

来学期に取り組むパターン・ランゲージ作成のテーマは(広義の)「プレゼンテーション」。そこで、自分がよいと思う(広義の)「プレゼンテーション」を集め、そのどの点がよいのかを分析してまとめてください。

具体的には、「TED: Ideas worth spreading」( http://www.ted.com/ )など、講演=口頭プレゼンテーションの映像のなかから3つ、「魅力的」で「優れている」と思うプレゼンテーションを探して選ぶ。TEDでなくても、YouTubeやiTunesUなどの映像でも構いません。ただし、学期始めにみんなで見るので、長くない方がよい(30分以内)。

選んだ3つのプレゼンテーションについて、そのどこが「魅力的」なのか、またどのような点で「優れている」のかを分析してレポートにまとめる。講演タイトル、講演者、映像URLも明記する。

さらに、講演=口頭プレゼンテーション以外の、広い意味での「プレゼンテーション」=表現で、魅力的なもの、優れたものがあれば、それも加えて紹介してほしい。広告、ポスター、データの可視化、サイエンティフィック・ヴィジュアライゼーションなど、どのような表現でも構いません。


【春休みの宿題レポートの提出】

提出〆切:2011年 4月5日(火)
提出先 :井庭研履修予定者ML
ファイル:PDF形式:ファイル名に半角アルファベットで名前を入れる
メール件名:春休みの宿題B1( 自分の名前 )


【補足】

●2010年秋学期に僕の「パターンランゲージ」の授業を履修していない人は、SFC-GC (Global Campus) にアップされている授業映像を全回分、見ておいてください。ここで話したことを前提として研究会を始めます。

SFC-GC「パターンランゲージ」(担当:井庭崇, 2010年度秋学期)
http://gc.sfc.keio.ac.jp/cgi/class/class_top.cgi?2010_25136


●パターン・ランゲージ作成のプロジェクトでは、創造的なコラボレーションの技法をいろいろ駆使します。そのプロセスやコツについて書いてある次の本も購入し、春休みから春学期末までに読むことをおすすめします。

『発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』(トム・ケリー, ジョナサン・リットマン, 早川書房, 2002)
(原著:『The Art of Innovation: Success Through Innovation the IDEO Way』, Thomas Kelley, Jonathan Littman, Profile Business, 2002)
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井庭研究会 2010年度最終発表会【最終案内】

明日1月29日(土)に開催する「井庭研究会 2010年度最終発表会」の最終案内です。

★ キーノート・スピーチ(基調講演)のみ、USTREAMで映像配信します。
→ 井庭研チャンネル http://www.ustream.tv/channel/井庭研

★ 本発表会の公式twitterハッシュタグが決まりました。
#ilab2011

★ 開場時間の10時から、コーヒーとお菓子を用意しております。
早く到着された方は会場で談話等、お楽しみください。


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井庭研究会 2010年度最終発表会
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日時:2011年1月29日(土)
時間:10:00開場、10:30開始~17:00終了
会場:慶應義塾大学SFC 大学院棟 τ 11(タウ11)


■ 開場→コーヒーサービス(10:00~10:30)

■ 開会式(10:30~10:40)
 ・開会の辞(井庭 崇)

■ キーノート(10:40~11:30)
 ・「リアリティの把握と参加:デカルト的パラダイムを超えて」(井庭 崇)
   ※ USTREAM配信( http://www.ustream.tv/channel/井庭研

  ー小休憩 ー

■ プロジェクト発表(11:40~12:40)
 ・「カテゴリからみたWikipediaの編集者の記事選択」(馬塲 孝通, 村松 大輝)
 ・「Characteristics behind Productive Collaboration in Wikipedia: Concerning Japanese, English, and Vietnamese Articles」(Natsumi Yostumoto, Ko Matsuzuka, Bui Hong Ha)
 ・「パターン・ランゲージを学ぶためのカードゲームの提案:学習パターンを事例として」(坂本 麻美, 藤井 俊輔, 河野 裕介)

  ー 昼休み ー

■ リフレッシュセッション(13:40~14:10)
 ・学習パターンカードゲーム

   ー小休憩ー

■ 修論発表(14:15~15:45)
 ・「成長するネットコミュニティにおける参加パターンの分析:料理レシピサイトを事例に」(加藤 剛)
 ・「書籍販売における定常的パターンの形成原理」(北山 雄樹)
 ・「育児にひそむ問題発見・問題解決:語りのメディアとしてのパターン・ランゲージ」(中條 紀子)

  ー小休憩ー

■ 修士発表(15:55~16:20)
 ・「集合知パターン試論:戦略策定におけるweb上の集合知活用に向けて」(清水 たくみ)

■卒論発表(16:20~16:45)
 ・「Evolving Collaboration Networks in Japanese Wikipedia」(Natsumi Yotsumoto)

■ 閉会式(16:45~17:00)
 ・閉会の辞(井庭 崇)

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【会場案内】

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC) 大学院棟 τ11

キャンパスまでのアクセス → http://www.sfc.keio.ac.jp/maps.html
※小田急線 湘南台駅からバス、もしくは、JR辻堂駅からバスとなります。

キャンパスマップ → http://www.sfc.keio.ac.jp/about_sfc/campus_map.html
※ 大学院棟は、キャンパスマップの (11) です。

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井庭研究会 2010年度最終発表会 プログラム

来週土曜日(1月29日)に開催する「井庭研究会 2010年度最終発表会」のプログラムが確定しました。

学内外の方はどなたでも聴講できます。資料準備等の関係で、事前に ilab [atmark] sfc.keio.ac.jp にメールでご連絡いただければと思います。

井庭研最終発表会として初の試みですが、僕が最近考えている最先端の話を紹介する「キーノート」(基調講演)をやることにしました。こちらもお楽しみに。


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井庭研究会 2010年度最終発表会
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日時:2011年1月29日(土)
時間:10:00開場、10:30開始~17:00終了
会場:慶應義塾大学SFC 大学院棟 τ 11(タウ11)


【プログラム】

■ 開会式(10:30~10:40)
 ・開会の辞(井庭 崇)

■ キーノート(10:40~11:30)
 ・「リアリティの把握と参加:デカルト的パラダイムを超えて」(井庭 崇)

  ー小休憩 ー

■ プロジェクト発表(11:40~12:40)
 ・「カテゴリからみたWikipediaの編集者の記事選択」(馬塲 孝通, 村松 大輝)
 ・「Characteristics behind Productive Collaboration in Wikipedia: Concerning Japanese, English, and Vietnamese Articles」(Natsumi Yostumoto, Bui Hong Ha, Ko Matsuzuka)
 ・「パターン・ランゲージを学ぶためのカードゲームの提案」(坂本 麻美, 藤井 俊輔, 河野 裕介)

  ー 昼休み ー

■ リフレッシュセッション(13:40~14:10)
 ・学習パターンカードゲーム

   ー小休憩ー

■ 修論発表(14:15~15:45)
 ・「成長するネットコミュニティにおける参加パターンの分析:料理レシピサイトを事例に」(加藤 剛)
 ・「書籍販売における定常的パターンの形成原理」(北山 雄樹)
 ・「育児にひそむ問題発見・問題解決:語りのメディアとしてのパターン・ランゲージ」(中條 紀子)

  ー小休憩ー

■ 修士発表(15:55~16:20)
 ・「集合知パターン試論:戦略策定におけるweb上の集合知活用に向けて」(清水 たくみ)

■卒論発表(16:20~16:45)
 ・「Evolving Collaboration Networks in Japanese Wikipedia」(Natsumi Yotsumoto)

■ 閉会式(16:45~17:00)
 ・閉会の辞(井庭 崇)

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【会場案内】

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC) 大学院棟 τ11

キャンパスまでのアクセス → http://www.sfc.keio.ac.jp/maps.html
キャンパスマップ → http://www.sfc.keio.ac.jp/about_sfc/campus_map.html
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井庭研B2(社会システム理論)は、どういう人に来てほしいのか

前回の井庭研B1に引き続き、井庭研B2にどのような人に来てほしいのかについて書きたい。


井庭研B2「新しいシステム理論にもとづく社会研究」
(コミュニケーションの連鎖の分析とメディア構築)

この研究会では、ニクラス・ルーマンの社会システム理論をみんなで学びながら、各人の問題意識にもとづく個人研究を行なう。

この井庭研B2では、各人がもっている問題意識がとても大切だ。この問題意識から始まる個人研究を育てるのが、この研究会の場である。ここが、まず、前回の井庭研B1とは大きく異なる点だ。

だから、現実世界の何かに対して具体的な問題意識をもっていない人は、この研究会には向かない。「研究への情熱」をもてるテーマを持っていなければ、これから始まる大変で苦しい研究活動をやりきることなどできないからだ。

「これはおかしい、なんとかしたい」というような現状に対する強烈な怒り、あるいは「これをなんとかして、もっともっとうまくいくようにしたい」という対象への強い愛がなければだめだなのだ。「コミュニケーションに興味がある」とか「ルーマンの理論を勉強したい」とかいうような動機では、乗り切れない。

だから、最も大切なのは、具体的な問題意識=研究会で取り組みたいテーマがあるかどうかなのである。エントリーではそこを見るし、春学期の最初から(あるいは春休み中から)そのテーマで勉強・研究を始めてもらうことになる。


この各人のテーマを研究しながら、井庭研2では、共通フレームとして「社会システム理論」の理解を深める。

各人の問題意識にもとづいて個人研究を進める際、どうやって考えればいいのかという「型」が必要になるだろう。考えるための「方法」や「枠組み」といってもいい。しかも、これまでの研究でやられてきたものとは異なるアプローチがしたい。そのような新しい発想の型として、ニクラス・ルーマンの社会システム理論を学ぶ。

ニクラス・ルーマンの社会システム理論については、僕が毎年春学期に「社会システム理論」という授業で解説している。この授業を取ったことがある人は、さらにその知識を深めるということになる。もしまだ履修していないのであれば、来学期、同時並行で履修してもらう。

あらかじめ言っておくが、ルーマンの理論は、とても難解だ。「これまでに出会ったことがないような難しさ」と聞いてイメージするものの10倍以上難しい。現実の複雑さの原理を捉えるために、理論そのものの複雑さが従来の理論よりも劇的に増しているからだ。しかも、そのシステム理論が、想像力をフルに求められるような、新しいシステム理論にもとづいている。だから、生半可な努力では、理解することができない。

このような超難解な理論であるからこそ、逆にその発想を身につけてしまえば、他の人とは異なる見方で物事を見ることができるという旨味もある。このような超難解な理論にめげずにアタックし続けるためにも、上に書いたような「研究への情熱」が持てるような問題意識が不可欠なのだ。


このように、井庭研2では、個人研究の遂行と、ルーマン理論の理解という二兎を追う。二兎を追うわけだから、それだけの覚悟が必要だ。SFCらしい新しいアプローチで研究を始めたい人も、他の研究会で取り組んできたアプローチに限界を感じている人も歓迎だ。ぜひ、知的なことにハングリーで、ガッツのある人に来てほしい。

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井庭研B1(パターン・ランゲージ)は、どういう人に来てほしいのか

来週の土曜日1月22日エントリー〆切で、来学期の井庭研の履修希望者を募っている。これまで、シラバスも公開し、昨日説明会も行なった(詳しくは、井庭研B1シラバス井庭研B2シラバス説明会の映像配信のエントリを参照)。

そういう媒体・場で一生懸命伝えようとしても、研究会での活動について、なかなかイメージできないかもしれない。そこで、シラバスに書くような“公式”なコトバではなく、ざっくばらんなコトバで、どういう人に来てほしいのかを書きたいと思う。

まずは、パターン・ランゲージをつくる井庭研B1の方から。


井庭研B1「パターン・ランゲージによる実践知の言語化プロジェクト」
(魅力があり、想像力をかきたて、人を動かす「ことば」の探究)

この研究会では、履修者全員でひとつのアウトプットに向かって、パターン制作プロジェクトに取り組む。10人くらいでやる「グループワーク」というわけだ。

この研究会の最大の特徴は、僕がかなりコミットするということ。プロジェクトリーダーとしてファシリテートするし、一緒につくる作業にも参加する。僕も本気で取り組むので、その意味では大変だろうけど、やりがいはあると思う。教員とガチでグループワークするというのは、なかなかできない体験だと思う。

過去にこの手のプロジェクトを経験した井庭研の先輩たちは、こういうプロジェクトに参加したときが一番成長した、と語っている。結局、プロジェクトの文脈のなかで、授業などでは伝えることができない「とても大切なこと」をたくさん語り、議論することになる。もちろん、僕からだけでなく、他のプロジェクトメンバーからも学ぶことも多い。

そんな本気のプロジェクトに、自分は参加できるのだろうか?

そう思うかもしれない。しかし、このプロジェクトが面白いのは、共通の前提知識やスキルが特にないということ。パターン・ランゲージの知識は、SFC-GC(グローバルキャンパス)で映像が公開されている僕の授業「パターンランゲージ」で4月までに身につけてもらうとして、それ以外に何か特別なスキルが必要なわけではない(でも特殊なスキルを持っていたり、センスがいい人も大歓迎!)。

だから、シラバスに書いてあるテーマ・内容をすべて理解できなくても、どこか感覚的にビビッときたなら、この研究会への参加を考えていいのだと思う。


でも、ひとつだけ、とても大切なことがある。

やると決めたら、とことんこだわり抜いて、やりきること。

これに尽きる。

すべての研究や創造と同じように、実践知をパターン・ランゲージとして記述する活動も、99%は地味な作業だ。その地味で大変な作業にへこたれず、さらにもっとクオリティを上げるんだ!というこだわりを持ち続ける。そういうことができる人に来てほしい。

映画監督の宮崎駿さんがよく言う。映画をつくるというのは、一見きらびやかに見えるけれども、実際にはものすごく地味な作業の連続。「映画をつくっている」はずが、「映画につくらされている」という感覚をもつのが常だ、という。

何かものをつくるとか、探究するというのは、まさにそういうことなんだと思う。やり始めたらそれ自体が運動性をもち、つくり手は全てをコントロールしているというよりは、コントロールを奪われ、まるでつくらされているような感覚に至る。ここまで感じられたら本物だ。「こうあるべきだ」とか「どう考えても、この方向に行かざるを得ない」という創造的な流れを掴んでいるということだからだ。


それでは、そんな地味で大変なプロジェクトワークの後には、何があるのか?

このプロジェクトの成果は「つくっておしまい」ではなく、学内外でいろいろなかたちで活用していく。自分たちがやった成果に対して来年度のうちにフィードバックを体感できるのも魅力のひとつだろう。


以上の文章を読んで、こういうプロジェクトに参加したい!と思った人は、井庭研B1シラバスの内容をもう一度よく読んで、エントリーしてほしい。

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井庭研 研究発表カンファレンス(2010年度秋学期)

1月29日(土)に、今年度の井庭研 研究発表カンファレンスを開催します。

後輩にコメント/アドバイスをいただけるOB・OGのみなさん、井庭研に興味がある在校生のみなさん、井庭研の研究に興味がある学外のみなさん、ぜひお越し下さい。

井庭研 研究発表カンファレンス(2010年度秋学期)
2011年1月29日(土) 10時〜17時(予定)
慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス) 【アクセス】
大学院棟 τ11(タウ11) 【キャンパスマップ】

当日の飛び入りも歓迎ですが、(資料印刷の)人数把握のため、事前にご連絡をいただければ幸いです。→ iba [atmark] sfc.keio.ac.jp


発表タイトル(仮)の一覧 (発表の順番は後日追って告知します)


【キーノート】

●「リアリティの把握と参加:デカルト的パラダイムを超えて」(井庭)


【修論発表】

●「成長するネットコミュニティにおける参加パターンの分析:料理レシピサイトを事例に」(加藤)

●「書籍販売における定常的パターンの形成原理」(北山)

●「育児にひそむ問題発見・問題解決:語りのメディアとしてのパターン・ランゲージ」(中條)


【卒論発表】

●「Evolving Collaboration Networks in Japanese Wikipedia」(Yotsumoto)


【修士発表】

●「集合知パターン試論:戦略策定におけるweb上の集合知活用に向けて」(清水)


【プロジェクト発表】

●「パターン・ランゲージを学ぶためのカードゲームの提案」(坂本, 藤井, 河野)

●「Characteristics behind Productive Collaboration in Wikipedia: Concerning Japanese, English, and Vietnamese Articles」(Yostumoto, Bui, Matsuzuka)

●「カテゴリからみたWikipediaの編集者の記事選択」(馬塲, 村松)
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井庭研説明会(2011年度春学期 新規履修者対象)の映像配信

今日、井庭研説明会(2011年度春学期 新規履修者対象)を開催しました。

その模様を、ustreamで映像配信&アーカイブしました。
http://www.ustream.tv/channel/井庭研

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井庭研に興味がある人は、説明会映像と下記のシラバスをご覧ください。

■井庭研究会B1(2011年春学期)シラバス
「パターン・ランゲージによる実践知の言語化プロジェクト」
(魅力があり、想像力をかきたて、人を動かす「ことば」の探究)

■井庭崇研究会B2(火曜5限)
「新しいシステム理論にもとづく社会研究」
(コミュニケーションの連鎖の分析とメディア構築)
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井庭研説明会(2011年度春学期 新規履修者対象)のポスター

井庭研説明会(2011年度春学期 新規履修者対象)のポスターをつくりました。

今回は僕がつくりました(前回はゼミ生が作成)。

できるだけシンプルなデザインを心がけて。


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井庭研究会B2(2011年春学期)シラバス

井庭崇研究会B2(火曜5限)

新しいシステム理論にもとづく社会研究
(コミュニケーションの連鎖の分析とメディア構築)


【Important Dates】

2011年
1月13日(木) 5限 井庭研説明会
1月22日(土) エントリー〆切
1月27・28日(木・金) 面接
1月29日(土) 井庭研最終発表会(2010年度)


【目的・内容】

自分たちで自分たちの未来をデザインする―――― 社会が複雑化し多様化するなかで、いかにしてそれを実現するのか。これは現代社会が抱えている根本的な課題です。自己革新的な社会においては、自らヴィジョンを創造し、それを具現化する仕組みをデザインし、実践することが求められます。本研究会では、新しいシステム理論にもとづき、秩序形成の原理と、新しい仕組みのデザイン/実践の方法を探究します。

本研究会は、「新しいシステム理論の探究」「個人研究」の二本柱で構成されます。

「新しいシステム理論の探究」では、ニクラス・ルーマンの「社会システム理論」(Social Systems Theory)に関する文献を読み込み、理解を深めます。この理論では、社会を「コミュニケーション」という出来事の生成・連鎖の視点で捉えます。そして、本来は生起しにくい社会的秩序が、いかにして生じ得るのかを考察します(より具体的に言うと、コミュニケーションの生成・連鎖を下支えしている「メディア」は何かを特定し、その働きを理解します)。この理論はこれまでにも、政治、経済、法、科学、教育、芸術、宗教、マスメディア、社会運動、組織、愛など、様々な社会現象の理解に用いられており、多様な社会現象を統一的な視点で理解し、比較検討できることがわかっています。

「個人研究」では、各自の問題意識にもとづく研究に取り組みます。つまり、自分がどうしても取り組みたいテーマ、「研究への情熱」が持てるテーマについて、システム理論にもとづいて分析・考察し、新しい仕組みの提案・実践に取り組みます。このほか必要に応じて複雑系(Complex Systems)の諸理論や研究方法(ネットワーク分析やモデリング・シミュレーション)を取り入れるなど、社会研究方法の革新にも取り組みます。

本研究会の参加者としては、これまで自分が取り組んできた研究対象を新しい視点で捉え直したい人、またはSFCらしい新しいアプローチで研究を始めたい人を歓迎します。どちらの場合でも、自分が取り組むテーマに対する「しっかりとした問題意識」と「研究遂行への強い意志」を求めます。

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【授業スケジュール】

ゼミは、火曜5限を予定しています。
毎週のゼミでは、「輪読」と「個人研究レビュー」を行います。

● 輪読では、ニクラス・ルーマンの「社会システム理論」に関する文献を読み込み、理論の理解を深めます。
● 個人研究レビューでは、各自の問題意識にもとづく個人研究の進捗状況を報告し、互いにコメント/アドバイスをし合います。


【履修条件】

● 個人研究で取り組みたいテーマが明確になっていること(具体的なイシューに落とし込めていること)。
● 個人研究によって付加価値のあるアウトプットを生み出す強い意志があること。
● 知的コミュニティとしての研究会を、自分たちでつくっていく意志があること。


【その他の留意点】

● 研究会に参加するメンバーはそれぞれ異なる研究対象領域をもつことになるので、各自の研究テーマそのものに関する知識(例えば、経営がテーマの場合、経営の理論や事例など)は自分で身につけてもらいます。
● ゼミの時間は延長することがあります。また、ゼミ後に議論・交流のための食事会を開催します。ゼミの時間の後には他の予定を入れないようにしてください。
● 井庭研究会B1との同時履修や、他の研究会との同時履修も歓迎します。
● 履修希望者は、1月29日(土)に開催される井庭研最終発表会(2010年度)に参加してください。


【予定受け入れ人数】

10人程度


【エントリー課題】

本シラバスをしっかりと読んで内容を理解した上で、以下のエントリー情報を1月22日(土)までにメールで提出してください。

エントリーメールの提出先: ilab-entry2011 [at] sfc.keio.ac.jp
メールのサブジェクト(件名): 井庭研究会B2 履修希望

以下の内容を書いた文書ファイル(WordもしくはPDFファイル)を、メールに添付してください。

井庭研究会B2 履修希望
(1) 氏名(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名
(2) 問題意識と研究テーマ(社会のどの部分に問題を感じ、どのように解決したいと考えているのか?)
(3) 来学期、並行して所属する予定の研究会
(4) これまでに所属した研究会
(5) これまでに履修した授業のなかで、お気に入りのもの(複数可)
(6) これまでに履修した担当教員(井庭)の授業
(7) その他の自己紹介(やっていること、興味があること、将来の方向性、自己アピールなど)

※ (2)は、A4用紙で1枚程度でまとめてください。
※ (2)と(7)では、図や写真を用いて構いません。

以上のエントリー情報にもとづき、面接を行ないます。


【評価方法】

日頃の文献読解・議論における積極性・貢献度、個人研究の成果、および研究会関連の諸活動から総合的に評価します。


【関連科目】

30080:社会システム理論
14160:シミュレーションデザイン
30120:ネットワーク分析
30070:現代社会理論
30090:社会構造分析
30100:社会関係分析


【関連プロジェクト】

井庭研究会B1:パターン・ランゲージによる実践知の言語化プロジェクト (魅力があり、想像力をかきたて、人を動かす「ことば」の探究)
● 大学院プロジェクト:インターリアリティ


【研究会ホームページ】

http://ilab.sfc.keio.ac.jp/


【問い合わせ・連絡先】

ilab-entry2011 [at] sfc.keio.ac.jp


【参考文献】

●『社会システム理論』〈上〉 〈下〉(ニクラス・ルーマン, 恒星社厚生閣, 1995) [ N. Luhmann, Social Systems, Stanford University Press, 1996 ]
●『社会の社会』〈1〉 〈2〉(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2009)
●『社会の科学』〈1〉 〈2〉(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2009)
●『社会の経済』(ニクラス ルーマン, 文眞堂, 1991)
●『社会の法』〈1〉 〈2〉(ニクラス・ルーマン, 法政大学出版局, 2003) [ N. Luhmann, Law as a Social System, Oxford University Press, 2008 ]
●『社会の芸術』(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2004) [ N. Luhmann, Art as a Social System, Stanford University Press, 2000 ]
●『社会の教育システム』(ニクラス ルーマン, 東京大学出版会, 2004)
●『マスメディアのリアリティ』(ニクラス・ルーマン, 木鐸社, 2005) [ N. Luhmann, The Reality of the Mass Media, Stanford University Press, 2000 ]
●『エコロジーのコミュニケーション:現代社会はエコロジーの危機に対応できるか?』(ニクラス・ルーマン, 新泉社, 2007)[ N. Luhmann, Ecological Communication, University Of Chicago Press, 1989 ]
●『情熱としての愛:親密さのコード化』(ニクラス・ルーマン, 木鐸社, 2005)[ N. Luhmann, Love as Passion: The Codification of Intimacy, Stanford University Press, 1998 ]
●『福祉国家における政治理論』(ニクラス・ルーマン, 勁草書房, 2007)
[ N. Luhmann, Political Theory in the Welfare State, Walter De Gruyter Inc, 1990 ]
●『信頼:社会的な複雑性の縮減メカニズム』(ニクラス ルーマン, 勁草書房, 1990) [ N. Luhmann, Trust and Power, Wiley, 1979 ]
●『権力』(ニクラス・ルーマン, 勁草書房, 1986) [ N. Luhmann, Trust and Power, Wiley, 1979 ]
●『宗教社会学:宗教の機能』(ニクラス・ルーマン, 新泉社, 1999)[ N. Luhmann, Religious Dogmatics and the Evolution of Societies, Edwin Mellen Press, 1984 ]
●『近代の観察』(ニクラス・ルーマン, 法政大学出版局, 2003)[ N. Luhmann, Observations on Modernity, Stanford University Press, 1998 ]
●『ポストヒューマンの人間論:後期ルーマン論集』(ニクラス ルーマン, 東京大学出版会, 2007)
●『システム理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈1〉』(ニクラス ルーマン, 新泉社 (2007)[ N. Luhmann, Introduction to Systems Theory, Polity, 2011 ]
●『社会理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈2〉』(ニクラス ルーマン, 新泉社, 2009)
●『批判理論と社会システム理論:ハーバーマス=ルーマン論争』(ユルゲン・ハーバーマス, ニクラス・ルーマン, 木鐸社, 1984)

●『オートポイエーシス:生命システムとはなにか』(H.R.マトゥラーナ, F.J.ヴァレラ, 国文社, 1991) [ H. R. Maturana, F. J. Varela, Autopoiesis and Cognition: The Realization of the Living, Springer, 1980 ]
●『知恵の樹:生きている世界はどのようにして生まれるのか』(ウンベルト・マトゥラーナ, フランシスコ・バレーラ, 筑摩書房, 1997) [ H. R. Maturana, F. J. Varela, Tree of Knowledge: The Biological Roots of Human Understanding, Shambhala, 1987/1992 ]

●『社会学的想像力』(ミルズ, 新装版, 紀伊国屋書店, 1995) [ C. W. Mills, The Sociological Imagination, Oxford University Press, 2000 ]
●『ised 情報社会の倫理と設計:設計篇』(東 浩紀, 濱野 智史 編, 河出書房新社, 2010)

●『創造的論文の書き方』(伊丹敬之, 有斐閣, 2001)
●『創造の方法学』(高根 正昭, 講談社, 1979)
●『考える技術・書く技術:問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(バーバラ・ミント, 新版, ダイヤモンド社, 1999) [ B. Minto, The Pyramid Principle: Logic in Writing and Thinking, 3rd Revised ed, Financial Times Prentice Hall, 2008 ]
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