井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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『思想地図β』が出版されました。ぜひ多くの人に読んでほしい。

東浩紀さんたちの『思想地図β vol.1』が出版され、著者献本が届きました。ありがとうございます!

単に編集に責任をもつというだけでなく、自ら出版社も立ち上げ、本が完成して出版されるところまできたというのは、本当にすごい。相当に強い意志を感じるし、その創刊号に参加させてもらえたことを光栄に思う。

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僕が出たのは特集のひとつ、パターン座談会。

特集第二部 パターン・サイエンス
「パターンの可能性――人文知とサイエンスの交差点」
 井庭崇+江渡浩一郎+増田直紀+東浩紀+李明喜


この座談会は、まず人選がユニーク。「学習パターン」など、新しい領域で実際にパターン・ランゲージを作成してきた井庭。著書『パターン、Wiki、XP』のなかで、ソフトウェア分野におけるアレグザンダー思想の影響について論じた江渡さん。複雑ネットワークの研究者である増田さん。pingpongプロジェクトのデザイナー李さん。そして、司会として東さん。普通じゃないでしょう?(笑)

特集の扉にも書かれているように、この対談は「『パタン・ランゲージ』のクリストファー・アレグザンダーの現代的評価を巡り真っ向からぶつかりあい、各々のパターンへの取り組みの違いが鮮明になるなど、大変スリリングなものとなった」。実際、まさにこのような衝突によって、それぞれがどこにこだわっているのかが明示的に語られた貴重な対談である。

僕も、勢い余って「ネットワーク科学からパターン・ランゲージ2.0をつくるのではなく、アレグザンダーのコンセプトからネットワーク科学2.0が導かれる必要がある」などと吼えている!(笑)

なにはともあれ、パターン・ランゲージやクリストファー・アレグザンダーに興味がある人にも、ネットワーク科学の新しい方向性に興味がある人にも、人文と科学の間を考えたい人にも、ぜひ読んでほしい。

そして、パターン・ランゲージにおける「パターン」と、サイエンスにおける「パターン」の指し示すもの/意味のミッシング・リンクは何かを考えてほしい。この対談は、まさにその出発点になるのだと思う。


もちろん、この本、僕らが出た座談会以外のところも読みどころ満載。どれだけすごいかは目次(http://contectures.jp/shisouchizu-beta/)を見て確認していただきたい。


編集長であり発行人である東浩紀は、巻頭言でこう語る。

「ぼくは本誌を、いままで思想や批評に、そして言論一般に関心を抱かなかった人々にこそ、手にとってほしいと願っている。」

ぜひ多くの人に読んでほしい、と僕も願う。


『思想地図β vol.1』(合同会社コンテクチュアズ, 2010年12月出版)
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