井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

<< May 2012 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

パターン・ランゲージのつくり方:部分展開と全体構築の2つのアプローチ

僕の経験からすると、パターン・ランゲージのつくり方には、大きく分けて二つのアプローチがある。ひとつは、いくつかのパターンから書き始めるというもの(部分展開アプローチ)。もうひとつは、全体像を明らかにしてから個々のパターンを書くというもの(全体構築アプローチ)である。

TwoApproachs.jpg


いくつかのパターンから書き始める部分展開アプローチのメリットは、1つのパターンを書くことからでも始められること。つまり、それほど時間がかからずに、少数のパターンができあがるので、それを利用することもできるようになる。

部分展開アプローチのデメリットは、各パターンが「全体」のなかでどの位置を占めるのかがわからないまま、パターンを書かなければならなくなる点。全体像が見えていないので、どのような粒度や抽象度で書けばよいのかが定かではなく、最終的に一貫性や整合性がとれなくなる可能性もでてくる。

PartsApproach.jpg


全体像を明らかにしてから個々のパターンを書く全体構築アプローチのメリットは、全体像がつかめるので、個々のパターンの役割や関係性を意識して書くことができるようになる。また、他のパターンと粒度や抽象度を合わせることができるので、全体として一貫性や整合性のとれたランゲージになる。

全体構築アプローチのデメリットは、かなり大掛かりなプロジェクトになるということ。パターンを書く前に、ブレインストーミングやKJ法など、全体像をつくるためにかなりの時間を費やすことになる。また、パターンの候補も一気に数十個(僕らの経験則だと50個前後)が得られるので、書くのも大変になる。

OverallApproach.jpg


このように、部分展開アプローチにも全体構築アプローチにも、メリットとデメリットがある。そのため、パターン・ランゲージをつくるときには、自分の目的やスケジュール、リソースなどを考えて、アプローチを選ぶとよい。

例えば、そのコミュニティ内で、すぐに使えるように、実践知(視点/発想/こだわり)を「共有」したいということであれば、部分展開アプローチがよいだろう。なぜなら、体系立っていることよりも、共有できることの方が大切だからである。

これに対して、ある分野での実践において、多くの人がうまくいかず悩んでいる状況から抜け出すことを支援したいということであれば、苦労をしてでも全体構築アプローチで、しっかりとつくり込むことには意味があるだろう。なぜかというと、そのような状況を抜け出すためには、数個のtipsを知るだけではどうにもならず、ランゲージ全体によって考えることを支援しなければ効果がでないからである。


このような考えから、井庭研ではこれまで、全体構築アプローチによって「ラーニング・パターン」と「プレゼンテーション・パターン」をつくってきた。「コラボレーション・パターン」もこのアプローチでつくっている(パターン・マイニングの活動映像:Brain Storming 編 / Visual Mapping 編)。

他方、クリエイティブ・ラーニングのための教授法パターンや、第二言語によるライティング・パターン、パターン・ランゲージ制作にまつわるパターンなどは、部分展開アプローチでつくっている。少しでも早くその実践知を共有したいと考えているからである。

しかも、実際問題として、同じチーム内で全体構築アプローチのプロジェクトを、複数同時並行で進めることは難しい。ひとつひとつが、かなりの時間と労力と気合いを必要とするからだ。


いま井庭研では、二つの全体構築アプローチのプロジェクトが並行して進んでいる(Collaboration Patterns Project と Generative Beauty Project)。それぞれ10〜15人のメンバーで構成され、メンバーの8割が重なっている。工夫している点としては、時期をずらして始めていること。片方のプロジェクトの後半と、もう一方のプロジェクトの前半が重なるように。

Collaboration Patterns Project
CollaborationPatternsProject.jpg


Generative Beauty Project
GenerativeBeautyProject2.jpg



こうすれば、KJ法ばかりやっているとか、パターン・ライティングばかりやっているということを避けることができる。二つのプロジェクトを進めていても、KJ法とパターン・ライティングはまったく違うアクティビティであり、違う頭の使い方をするので、なんとかなっている。

そうすると、もうこれ以上は、全体構築アプローチのプロジェクトをまわすことはできない。なので、そういう現実的な制約からも、残りのパターン・ランゲージ制作プロジェクトは、部分展開アプローチで進めることになる。


以上が、パターン・ランゲージ制作について、制作するパターンとそれがつくる全体の関係に注目したアプローチについてのまとめである。
パターン・ランゲージ | - | -

コラボレーション・パターン プロジェクト活動映像#2

創造的なコラボレーションのパターン・ランゲージである「コラボレーション・パターン」(Collaboration Patterns)の制作活動映像の第二弾をつくった。

第一弾のパターン・マイニングのためのブレイン・ストーミングに引き続き、今回はブレインストーミングで出た「コラボレーション」のコツ/こだわりを、KJ法で体系化した。4日間で計20時間の活動を、映像では1000倍速で一気に駆け抜けます。

短い時間で一気に見るからこそ捉えられるものがあります。ぜひご覧ください!

Visual Mapping for Making a New Pattern Language for Creative Collaborations (Collaboration Patterns Project #2)
Recorded by Collaboration Patterns Project, Edited by Takashi Iba.
http://vimeo.com/42780071

vimeo2.jpg
コラボレーション・パターン | - | -

「構造とつながり」(第二言語によるライティング・パターン)

「第二言語によるライティング・パターン」(Second Language Writing Patterns: A Pattern Language for Writing in a Second Language)プロトタイプ Ver. 0.1のなかのパターンのひとつ。


「構造とつながり」

複数の文が集まってパラグラフ(段落)となる。
パラグラフのメッセージを示すために、個々の文がある。


Context: 複数の文からなる文章を書いた。

Problem: 相互に関係が読み取れない文が並んでいるだけのバラバラな文章になってしまっている。これは、母語で書いたものを訳したときや、第二言語で書き下ろしたときになりやすい。母語で書く場合には、自然と身についている文章力のおかげで、本来はプツプツ切れてしまっている文章の流れが、それなりのつながりをもって書かれているように見えてしまう。しかし、それを他の言語に翻訳しようとすると、本来の切れている状態が露呈することになる。また、第二言語で書き下ろした場合には、個々の文を書くことに一生懸命になってしまい、文と文の関係性にまで意識が及ばないことが多い。

Solution: 一度、ひとまとまりの文を書いたら、それらの文が属するパラグラフ(段落)の構造と、個々の文のつながりを再考する。文は単体で存在しているわけではなく、他の文とともにパラグラフのなかに存在しているおり、逆に、パラグラフで言いたいこと(キー)を支えるために、そこに文が存在している。そこで、一度部分(文)が出来上がった段階で全体(パラグラフ)を見直し、その関係性を再考することが不可欠である。パラグラフの構造とは、例えば、あるテーマについての3つの具体例を示すパラグラフの場合には、単に3つの具体例の文を並べるのではなく、まず冒頭でそのテーマの具体例に「○○」「△△」「××」という3つがあることを述べ、その後にそれぞれを説明する文をもってくる。このようにパラグラフ全体における文の関係を考えるわけである。その上で、個々の文と文の「つながり」は、必要な箇所に適切な「接続詞」を用いて明示する。文と文の間の流れが切れていないかのチェックは、一度頭のなかを白紙に戻して、文章を上から順に読んでいくとよい。口に出して読んでみると、より効果的である。なお、パラグラフをどのように構成すればよいのかについては、『考える技術・書く技術:問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(バーバラ・ミント, 新版, ダイヤモンド社, 1999)第I部が詳しく、おすすめである。

Consequence: 論理的で読みやすい文章になる。ただし、構造化を徹底してやりすぎると、文章としての魅力が損なわれる場合もある。そのため、全体として論理的にまとめられていることを前提として、一部が崩れていてもよし、とすることもある。
ライティング・パターン | - | -

「その言語で考え直す」(第二言語によるライティング・パターン)

「第二言語によるライティング・パターン」(Second Language Writing Patterns: A Pattern Language for Writing in a Second Language)プロトタイプ Ver. 0.1のなかのパターンのひとつ。


「その言語で考え直す」

言葉の置き換えではなく、内容の考え直し。


Context: 自分が深く慣れ親しんでいるわけではない第二言語で、文章を書いている。

Problem: 母語で考えたものを第二言語に翻訳するかたちで書くと、第二言語の文章が理解できない/困難なものになってしまう。それは、言語によって省略の度合いや、曖昧さの許容度が異なるからである。特に日本語は、省略が多く、曖昧なままでも意味がとりやすいため、それをベースにして他の言語に訳すと、そのままでは意味をなさないということが多い。

Solution: 母語で考えた文章を第二言語に翻訳するのではなく、言いたいことの意味・内容を第二言語で考え直し、それを第二言語で表現するようにする。つまり、二つの言語間での「言葉の置き換え」ではなく、執筆する言語で「内容の考え直し」をして、その内容を書くということである。

Consequence: 第二言語で読んだときに、意味が通る、より自然な文章になる。
ライティング・パターン | - | -

「その言語でのニュアンス」(第二言語によるライティング・パターン)

「第二言語によるライティング・パターン」(Second Language Writing Patterns: A Pattern Language for Writing in a Second Language)プロトタイプ Ver. 0.1のなかのパターンのひとつ。


「その言語でのニュアンス」

対応する言葉を充てるのではなく、その言語でのニュアンスを踏まえた言葉を選ぶ。


Context: 自分が深く慣れ親しんでいるわけではない第二言語で、文章を書いている。

Problem: 個々の部分では、自分が言いたいことに対応する言葉が一応使われているが、その言語でのニュアンスからするとズレた奇妙な文章になってしまう。こういうことが起きやすいのは、たいてい、母語の言葉に対応する第二言語の言葉を、辞書で調べて書いたときである。それが奇妙な文章になってしまうのは、第二言語におけるニュアンスを踏まえない言葉の選び方をしてしまうからである。言語をつなぐ辞典(例えば、和英辞典や英和辞典)で書かれているのは、意味を極端にシンプル化して対応関係を示してくれているにすぎない、と考えた方がよい。

Solution: 第二言語だけで書かれている辞典(例えば、英英辞典)を用いて、使う言葉のニュアンスを理解して、より適切な言葉を選ぶようにする。そのような辞典では、言葉の意味をその言語の別の言葉で「説明」してくれている。つまり、第二言語のなかでの言葉の意味的ネットワークを示してくれている。その関係性をつかむことが、第二言語での言葉のニュアンスを学ぶことにつながる。複数の辞典に目を通すと、より効果的である。

Consequence: 第二言語でのニュアンスを踏まえた、より自然な文章になる。また、その言語で考えるための概念のネットワークを自分のなかにもち、それを成長させることができる。
ライティング・パターン | - | -

「学びながら書く」(第二言語によるライティング・パターン)

「第二言語によるライティング・パターン」(Second Language Writing Patterns: A Pattern Language for Writing in a Second Language)プロトタイプ Ver. 0.1のなかのパターンのひとつ。


「学びながら書く」

文章を書いているときこそが、表現のストックを溜めるチャンスである。


Context: 自分が深く慣れ親しんでいるわけではない第二言語(外国語)で、文章を書いている。

Problem: いま書こうとしていることを、どのように表現すればよいのかわからず、なかなか筆が進まない。それは、第二言語でどのような言葉で表現するのが適切なのかや、どのような言い回しがよく用いられているのかについての知識が欠けていることに原因がある。

Solution: 自分で文章を書いているときにこそ、その言語で書かれていて、かつ、自分が書く内容・分野に近い本/Webページに目を通して、適切な単語やよく使われている言い回しを学ぶ。そのとき、著者独特の言い回しを中和するため、著者が異なる複数の文献に目を通すようにするとよい。「学んでから」書くのではなく、「学びながら」書くという点が重要なので、最初から最後までいつも表現のストックを溜めながら書き進めるようにする。現段階で表現ストックが少ないことを悔やむのではなく、「目的がはっきりしている分、効率的に学ぶことができる」と前向きに考えよう。

Consequence: 読めば読むほど、その分野・内容での言葉の使い方をつかむことができ、その言語における自然な文章に近づいていくだろう。ただし、表現を学ぶことを楽しみすぎて、書く手がながく止まることがないように注意しよう。また、ひとつの文献から長めのフレーズをそのままコピーしてしまうと「盗用」になってしまうので、注意が必要である。その意味でも、複数の文献から学ぶということが大切である。
ライティング・パターン | - | -

第二言語によるライティング・パターン

最近、学生と英語でパターン・ランゲージや論文を書いているときに、英語でのライティングについてアドバイスしたり、自分で重要性を再認識したりしたコツを、パターン・ランゲージの形式でまとめてみた。


第二言語によるライティング・パターン
Second Language Writing Patterns: A Pattern Language for Writing in a Second Language

プロトタイプ Ver.0.1(井庭 崇, 2012年5月17日)


これは、第二言語(母語ではない言語、外国語)での文章執筆のコツを、パターン・ランゲージの形式でまとめたものである。それぞれのコツは、どのような状況(Context)、どのような問題(Problem)が生じやすく、うまくできている人はどうやっているのか(Solution)、そして、その結果どうなるのか(Consequence)という項目で、ひとつのパターンとしてまとめられている。

これらのパターンは、文章を書くためのパターンとして書かれているが、別の面から見ると、第二言語習得のためのパターンでもある。その意味で、以下に示すのは、「第二言語によるライティングを通したクリエイティブ・ラーニング」のパターン・ランゲージだということもできるだろう。

今回は、次の4つのパターンのプロトタイプ Ver.0.1を書いたので紹介したい。

「学びながら書く」

「その言語でのニュアンス」

「その言語で考え直す」

「構造とつながり」
ライティング・パターン | - | -

KJ法のコツ(パターン・マイニングのための収束思考)

井庭研では、パターン・ランゲージをつくる際に、自分たちのこだわりをブレインストーミングによってたくさん出したあと、KJ法によってまとめていく。そのときのコツがあるので、以下に書き出してみたい。

KJ法では、まず、大きなテーブルの上に、模造紙敷き詰める。複数枚の模造紙をテープでつなげて広い平面をつくる。この紙面の広さが、思考の可能性の広さだと考えた方がよい。なので、なるべく広くとりたい。

そして、その上に、アイデア(パターン・マイニングの場合には、取り組んでいるテーマに対するこだわり・コツ)を付箋に書いたものをランダムに貼っていく。この付箋は、その前の段階のブレインストーミングで書かれたものである。

模造紙の上に、貼ってみて、適度に空白のスペースがある方がよい。(ただし、実際問題として、かなり多くの付箋がある場合には、空白がつくりにくい場合もある。次のコラボレーション・パターン プロジェクトでの写真のように。)

cpp-kj1.jpg


僕らはKJ法は、いつも、立って行っている。座ってしまうと、遠くの付箋が見えない上に、気持ちが落ち着いてしまって、取り組みの姿勢がスタティックになってしまう。立っていれば、テーブルの違う位置に移動して、違う角度から見たりすることもしやすい。

あとは、話し合いや思考を促すような、音楽をかける。音楽に思考を占領されないように、ノリがよくてあまりみんなが知らない曲の方がよい。


KJ法では、付箋に書かれた意味を考え、その意味が近い付箋同士を近づけて再配置する。ぺたぺたと付箋を張り替えるのである。

複数人でKJ法をやる場合には、他の人に、どの付箋とどの付箋がどういう意味で近いと思うのか、を表明し、話し合う。このことで、付箋の意味の再確認ができ、かつ、全員が付箋間の距離についてのイメージが、少しずつわかってくるようになる。

cpp-kj2.jpg


パターン・マイニングのKJ法では、ひとつの付箋にはひとつのこだわりが書かれているので、付箋間の距離はこだわり間の距離ということになる。だから、付箋と付箋を近づけるというのは、こだわりとこだわりが近いということを確認するということ。

KJ0.jpg


KJ法をやるときに、一番気をつけなければならないのは、既存の枠組みに当てはめて配置するのではだめだということ。つい、「○○系」とか「○○的」と言って近づけたくなるのだけど、この言葉が出たら危険。当てはめる枠組みを想定して、そこれに所属させようとしている証拠。

KJ法の最初の段階(最初と言ってもここが一番ながい)では、まとまりは見ず、あくまでも二つの付箋の近さという観点で考える。すでに近づけたAとBにCを近づけるときには、Cと「AとBのまとまり」との距離を考えるのではなく、「CとA」の距離と「CとB」の距離を考える。

KJ1.jpg


この「二者間の距離を積み上げていく」意識はとても重要。これを強く意識してやらないと、あっという間に、形成しつつあるまとまりに、他の付箋を吸着する作業になってしまう。これでは、真に「付箋(こだわり)間の距離」を考えることにはならず、KJ法としては失敗となる。

そして、KJ法では、一度近づいたものもまた離れたり、一度まとまったものもまたばらけたりすることが頻繁に起こる、ということを十分理解することも大切。そうしないと一度考えたことにずっと囚われることになってしまう。すべてが一時的で流動的でありながら、徐々に組織化がなされていく。

なので、中盤でまとまりが認識できるようになってきたとき、早くペンや鉛筆で囲ってしまいたくなる衝動にかられるのだが、そこはぐっと堪えたいところ。まとまりを丸で囲ってしまうと、心理的に安心してしまって、もうそこは不動のものとなってしまう。この安心感も、KJ法の敵である。

まだ場所が定まっていない付箋を、一度場外に出してもよいか、という質問も受ける(場が複雑で読み取りにくいという理由)。僕の答えはNO。すべての付箋は、その空間上に置くべき。変なところに置いてあるのであれば、それが違和感や気持ち(居心地)の悪さを生み、早く動かそうという気持ちを生む。

この「混沌」とした状態からはじめ、「混沌」としたものと徹底的につきあうというのが大切だと思っている。それが川喜田二郎さんの言う「その混沌のなかから、“何とかしなければならない”という意思が生まれてくる」ということだと思っている。

cpp-kj3.jpg


もうひとつ、付箋を場外に出してはいけない理由は、まだ誰とも近づいていない付箋同士が近づく可能性もあるからだ。場外に出してしまうと、場外に出したものをなかのまとまりに吸着させていく、という作業になりやすい。これは、先ほど書いたようにまずい。

KJ法を進めていくと、すべての付箋はそれが置かれている位置との関係が、ほのかに記憶に残っているもの。トランプの「神経衰弱」やカルタの場合と同様。だから、「あ、似たようなのが、あっちにあった!」というようなことになる。なので、他の人に黙って、勝手に付箋の場所を変えてはならない。

井庭研でやっているなかで、定番となったのは、いろんな色の付箋を使うということ。そうすると、大量の付箋のなかから探すときに、「黄色の付箋だった」というように、色をキーにして探しやすくなる。実際、みんな、言われなくても、自然と色を覚えている。

KJ2.jpg


あとは、実際に探すときのキーになっているのは、字の特徴や書かれた雰囲気。「○○の書いた汚い字のやつ」とか「大きく○○と強調されている付箋」というように、そういう情報も、ほのかな記憶として、KJ法の作業を後押ししてくれる。

パターン・マイニングの中盤以降は、まとまりを囲っていく。そうすることで、落ち着かせる。その段階にいくまでは、妥協せず、とことん話し合いながら、配置換えを繰り返す。ここを急いではいけない。井庭研のコラボレーション・パターン プロジェクトでは、ここまでに11時間かけた。

次回は、この囲ったまとまりを、その台紙になってる模造紙ごと切って、まとまりの浮遊物をつくり、今度は、それらのまとまり間の距離について考えていく。普通なら、そういう関係性も付箋を貼り直してやるのだけれども、数百枚の付箋があると、実際問題としてかなり難しい。そこで、そうすることに。

パターン・マイニングのKJ法の目的は、一つには、ローカルな距離の考察からボトムアップで全体を組織化していくということがあるが、もう一つ重要な目的がある。それは、パターンの粒度をあわせるということ。このKJ法が終わると、小さなまとまりを1つの「パターンの種」として捉える。

こだわりを出していったブレインストーミングでは、具体的なものもあれば抽象的なものもあり、細かい話もあれば大きな話もある。それをそのままパターンにすると、バラバラなレベルのものができてしまう。なので、KJ法で、それらの粒度や抽象度をあわせる、ということを行っている。

なので、パターン・マイニングのKJ法では、徐々に全体像をつくりながらも、部分の粒度や抽象度を合わせていく、という二兎を追っていることになる。ここがまた時間のかかるところであり、後半戦が大変な理由でもある。

以上が、パターン・マイニングにおけるKJ法で重要なことである。
「創造性」の探究 | - | -

コラボレーション・パターン プロジェクト活動映像#1

現在、井庭研では、創造的なコラボレーションのパターン・ランゲージ「コラボレーション・パターン」(Collaboration Patterns)を制作しています(→ 井庭研B1シラバス)。

そのパターン・ランゲージ制作の活動風景を、映像としてまとめて、公開していきます。

第一弾は、パターン・マイニングのためのブレイン・ストーミングの回。
コラボレーションにおける重要なこだわりについて、とにかくたくさん挙げていきます。テーブルの上が徐々に埋まっていく感じを、映像で追体験してみてください。


Vimeo "Brain Storming for Making a New Pattern Language for Creative Collaborations (Collaboration Patterns Project #1)"
Recorded by Collaboration Patterns Project, Edited by Takashi Iba.
http://vimeo.com/41613781

vimeo1.jpg


これまで、井庭研でのパターン・ランゲージ制作は、事後的に講演・ブログ等で紹介してきましたが、今回は、制作途中の段階からどんどん紹介していきます。

また、これまでは、写真で活動の紹介をしていましたが、今回は動画です。とてもよく雰囲気がでていると思うので、ぜひ、ご覧ください。
コラボレーション・パターン | - | -

井庭研 英語ブログ「Creative Systems Lab.」スタート!

この春から、井庭研の英語ブログ「Creative Systems Lab.」がスタートしました!

今学期のメインライターは、下向 依梨、伊作 太一、中村 菫、松塚 耕、そして僕。

井庭研の活動や研究内容、そして、「社会システム理論」と「シミュレーションデザイン」の授業等について、写真付きで紹介していきます。

ぜひご覧ください!

Creative Systems Lab.
http://creativesystemslab.blogspot.jp/

CreativeSystemsLabBlog.jpg
井庭研だより | - | -
CATEGORIES
NEW ENTRIES
RECOMMEND
ARCHIVES
PROFILE
OTHER