井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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Lab Patterns「下の代を育てる機会」

「下の代を育てる機会」

教えることによる学び ――― その機会を、次こそ、いまの一番下の代にも。



[Context] 年度の後半に、次年度のプロジェクト計画を立てている。

  ▼ その状況において

[Problem] 新規メンバーを入れずに、継続メンバーだけで次年度のプロジェクトを遂行しようと考えてしまう。
 それは、もし新規メンバーが入るとなると、一から知識や経緯を説明しなければならなくなり、そのことが面倒、もしくはコストが高いと考えてしまうことから生じる。これに対して、継続メンバーとだけで今後まわすのであれば、すでに知識や経験を共有しているので、やりやすい。しかしながら、そのような判断は近視眼的である。
 来年度は継続メンバーでまわせるかもしれないが、その次の年や、次の次の年のことを考えると、適切な人数の新しいメンバーを加える必要があるだろう。また、現在一番下の代は、その下の代が入ってこなければ、今後も一番下の代のままである。それは、一番下の代にとって「教えることによる学び」(ラーニング・パターン)のチャンスが与えられない、ということである。
 多くの場合、プロジェクトのリーダーの代にとっては自分たちに下の代がいるため、この問題に気づきにくく、下の代は「自分たちはまだまだ」だと考え、自分たちの下に次の代を採ることを提案しにくい、という状況に陥っている。

  ▼ そこで

[Solution] 少人数でよいから、現在の一番下の代より下の代(もしくは同じ代)の新規メンバーを採用する。特に、リーダーや上の代がその重要性を認識し、決断する。
 そうすることで、一見するとコストが高く面倒なように思えても、プロジェクトの長期的な発展のために健全な状態をつくることができる。新しい代への育成・伝達のコストは、現在の一番下のメンバーの「教えることによる学び」による成長で回収すると考えるのがよいだろう。
 こうして新規メンバーを募集することで、プロジェクトのヴィジョンや意義を見直したり、確認し合うきっかけも生まれる。また、メンバー間で自然と生まれてしまいがちな「なあなあ」とした部分を直すことになり、継続メンバーにとっても気合いを入れ直すきっかけになる。
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Lab Patterns:よりよい研究室の運営のためのパターン・ランゲージ

日々考えたことや、実際に実践したこと、伝えたことなどをパターン・ランゲージとして書いていくということを以前からしたいと考えていた。

いわば、カジュアル・パターン・ライティングだ。

実際続くのかどうかわからないが、思いつくたびに、このブログに書いていこうと思う。

まずは、井庭研の運営にあたり、考えたこと・実践したこと・伝えたことをパターン・ランゲージ化していきたいと思う。

名づけて、「Lab Patterns:よりよい研究室の運営のためのパターン・ランゲージ」!


井庭研の環境・状況に対するパターンとして書くが、他の研究室や場にも通じるパターンはあると思われる。
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ドミニク・チェン× 井庭 崇 対談「創造のシステム」(2013年12月14日)

2013年12月14日(土)に、ドミニク・チェンさんと対談します。

SFC授業「複雑系の数理」の一環として行われますが、授業履修者以外の聴講も歓迎します!学外の方も含め、興味がある方はぜひご参加ください。

ドミニク・チェン× 井庭 崇 対談「創造のシステム」
2013年12月14日(土)13:00〜16:30(3・4限)

慶應義塾大学SFC 大学院棟 τ11教室

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ドミニク・チェン(Dominick Chen)
1981年、東京生まれ、フランス国籍。2003年カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業、2006年東京大学大学院学際情報学府修士課程修了、2013年同大学院博士課程修了(学府長賞受賞)。博士(学際情報学)。
2004年より日本におけるクリエイティブ・コモンズの立ち上げ活動に携わり、2007年7月よりNPO法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(現コモンスフィア)理事。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを採用した多数のプロジェクトの立案・企画・支援に従事してきた。
2008年4月に株式会社ディヴィデュアルをを共同設立、同年9月よりウェブ・コミュニティ『リグレト』の企画・運営・開発に携わる。タイピング記録ソフトウェア『TypeTrace』のウェブ版の提案で2008年度未踏IT人材発掘・育成事業スーパークリエータ認定(2009年5月)
著書・編著書に、『SITE/ZERO vol.3―情報生態論──いきるためのメディア』(メディアデザイン研究所、2008年)、『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック―クリエイティブ・コモンズによる創造の循環』(フィルムアート社、2012年)、『オープン化する創造の時代―著作権を拡張するクリエイティブ・コモンズの方法論』(カドカワ・ミニッツブック、2013年)、『インターネットを生命化する プロクロニズムの思想と実践』(青土社, 2013年)など。

井庭 崇(Takashi Iba)
1974年、神奈川生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、同大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。博士(政策・メディア)。千葉商科大学政策情報学部専任教員(助手)、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院 Center for Collective Intelligence 客員研究員等を経て、慶應義塾大学総合政策学部准教授。
1999年より、複雑系の視点から社会・経済シミュレーションを構築するための方法論とツール「PlatBox」を開発。2004年からは、ニクラス・ルーマンの社会システム理論や、複雑ネットワーク分析の研究に従事し、新しい社会・コミュニティ分析の研究に取り組んだ。2002年から、パターン・ランゲージの制作・研究を始め、2009年に「ラーニング・パターン」、2011年に「プレゼンテーション・パターン」、2012年に「コラボレーション・パターン」を発表した。また、パターン・ランゲージを用いた対話ワークショップなど、新しい活用方法を考案・実践している。
2013年9月に株式会社 創造社会研究所を設立、パターン・ランゲージを用いた創造性の支援のための商品・サービスの開発・提供に取り組む。
編著書・共著書に、『複雑系入門――知のフロンティアへの冒険』(NTT出版, 1998年)、『社会システム理論――不透明な社会を捉える知の技法[リアリティ・プラス]』(慶應義塾大学出版会, 2011年)、『プレゼンテーション・パターン――創造を誘発する表現のヒント[パターン・ランゲージ・ブックス]』(慶應義塾大学出版会, 2013年:2013年度グッドデザイン賞受賞)、『パターン・ランゲージ――創造的な未来をつくるための言語[リアリティ・プラス]』(慶應義塾大学出版会, 2013年)など。
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ORF2013で僕が登壇するセッション一覧

2013年11月22日(金)・23日(土・祝)に、東京ミッドタウンで開かれるORF(Open Research Forum)で、僕が登壇するセッションの一覧は、以下の通りです。


11月22日(金)

トーク・セッション「創造的プロジェクトを成功に導くパターンとメディア」
11月22日(金)13:00 ~ 14:30(4階 Room 3+4)
中埜 博 × 堀切 和典(富士ゼロックス)× 徳田 英幸 × 井庭 崇
セッションの紹介
Facebook Eventページ

著書トーク『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』
11月22日(金) 17:00 ~ 17:30(ホール B1F [openA])
井庭 崇 × 古川園 智樹 × 仲田 未佳(井庭研)× 瀬下 翔太(井庭研)
セッションの紹介


11月23日(土・祝)

トーク・セッション「高校生のためのSFC講座」
11月23日(土・祝)10:00 ~ 11:30(4階 Room 3+4)
井庭 崇 × 清水 唯一朗 × 森 さち子 × 植原 啓介 × 大木 聖子 × 高汐 一紀 × 内藤 泰宏
セッションの紹介

トーク・セッション「パターン・ランゲージを企業・経営にどう活かすか」
11月23日(土・祝)15:30-17:00(4階 Room 5)
井庭 崇 × 岩波 純生(DNP) × 亀田 和宏(DNP) × 小原 大樹(ウィルソン・ラーニング ワールドワイド) × 熊坂 賢次
セッションの紹介
Facebook Eventページ

すべて入場無料・事前登録不要です。当日会場でお会いしましょう!
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著書トーク『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』

2013年11月22日(金)に東京ミッドタウンで開かれるORF(Open Research Forum)において、著書『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』にまつわるトーク・セッションを行います。本の紹介をするとともに、それを踏まえて井庭研のメンバーと語り合います。


著書展示&トーク『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』
日時: 2013年11月22日(金) 17:00 ~ 17:30
場所: 東京ミッドタウン ホール B1F [openA]

   [ ORF(オープン・リサーチ・フォーラム)のひとつの企画 ]
入場: 無料 / 事前登録不要

井庭 崇  (総合政策学部 准教授)
古川園 智樹(環境情報学部 講師(非常勤) 井庭研メンバー)
仲田 未佳 (総合政策学部生 井庭研メンバー)
瀬下 翔太 (環境情報学部生 井庭研メンバー)

オープンなセッション会場で、「刺激的な内容」の「ゆるやかなトーク」をお楽しみください。

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【書籍情報】

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『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』
井庭崇 編著
中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一
リアリティ・プラス シリーズ
慶應義塾大学出版会, 2013年10月

出版社HP
Amazon
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今年のORFの井庭研ブースは、すごいよ!

2013年11月22日・23日に東京ミッドタウンで行われるORF(Open Research Forum)で、井庭研は、これまでにない全く新しい領域のパターン・ランゲージを9つ発表します!

テーマも多様ですが、表現についても新しいスタイルばかりで魅力的です。ぜひ見に来てください!

Survival Language(大地震で生きのびるためのパターン・ランゲージ)

Global Life Patterns(グローバルな時代における自分らしい生き方のデザインのためのパターン・ランゲージ)

A Pattern Language for a good old future(日本文化のマインド・方法をヒントに「古き良き未来」をつくるためのパターン・ランゲージ)


Personal Culture Patterns(自分らしさを育てていくためのパターン・ランゲージ)

Omotenashi Patterns(心地よさを生み出すためのパターン・ランゲージ)

Tsukkomi Patterns(日常会話を盛り上げてつなぐ秘訣のパターン・ランゲージ)


Creative Education Patterns(創造性を育む教育のためのパターン・ランゲージ)

Clothing Design Patterns(愛着のもてる服をつくるためのパターン・ランゲージ)

Wedding Patterns(自分たちらしい結婚式をつくるためのパターン・ランゲージ)


また、パターン・ランゲージを活用する新しいシステムやワークショップ、映像も初公開します!

The 4th Place(Generative Beauty Patternsをヒントに、自分を見つめ直し、自分をかたちづくるための新しいWebサービス)
ORFの初日にサービスを開始します。展示ブースでは、リアルな場でその体験ができます。

Generative Films(パターン・ランゲージの考え方や歴史についてのインタビュー映像)
ORFの初日にサイトの公開を始めます。展示ブースでは、ORF用に収録・編集した紹介映像を流します。

Collaboration Design Workshop(Collaboration Patternsを用いてよりよいチームづくりを行うためのワークショップ)
コラボレーション・パターンのカードを初公開!これを用いた次回ワークショップの告知もあります。

Pattern Diagnostic Systems(パターン・ランゲージを用いて自分の成長の把握と促進を支援するシステム)
現在開発中のシステムの概要を紹介します。


今年の井庭研はあまりにも幅広い分野の成果が生まれたので、ORF展示会場のすべての領域に、井庭研ブースを出展することにしました。そして、それらの井庭研ブースを巡るスタンプラリーを開催することにしました。この企画もぜひお楽しみください!
創造社会へのパスポート(井庭研スタンプラリー@ORF2013)

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「創造的プロジェクトを成功に導くパターンとメディア」(11月22日午後)

2013年11月22日(金)に東京ミッドタウンで開かれるORF(Open Research Forum)において、創造的なプロジェクトを成功させるためのメディアとしてのパターン・ランゲージの可能性について議論するセッションを行います。


「創造的プロジェクトを成功に導くパターンとメディア」
日時: 2013年11月22日(金) 13:00 ~ 14:30
場所: 東京ミッドタウン ホール&カンファレンス4階 Room 3+4

   [ ORF(オープン・リサーチ・フォーラム)のセッション企画 ]
入場: 無料 / 事前登録不要

中埜  博(C.E.S.T. 合同会社 代表)
堀切 和典(富士ゼロックス株式会社 お客様共創ラボラトリー マネジャー)
徳田 英幸(慶應義塾大学 政策・メディア研究科 委員長 / 環境情報学部 教授)
井庭  崇(慶應義塾大学 総合政策学部 准教授)


新しい分野へのチャレンジや創造的な成果が求められるプロジェクトを進める際には、新たな課題が次々と発生する。現状では、これらの課題に対してその場限りの解決策を行なっている場合が多く、プロジェクト間で解決策を共有したり、体系立てて整理し仕組化することはあまり行われていない。

このセッションでは、課題解決のための実践知を記述する手法であるパターン・ランゲージと、ユビキタスコンピューティングに代表される新しいコミュニケーション技術の接点を探ることで、創造的なプロジェクトを成功させるためのメディアの姿を議論する。

【参考】
● 「クリエイティブ・シフト - パターン・ランゲージによる創造的な組織づくり」(井庭 崇, エンタープライズ・ジン「ビズジェネ」連載)
連載トップ:http://enterprisezine.jp/article/corner/287/

●『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜 博, 江渡 浩一郎, 中西 泰人, 竹中 平蔵, 羽生田 栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)
出版社HP:http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766419870/
Amazon:http://www.amazon.co.jp/dp/4766419871/

●『プレゼンテーション・パターン: 創造を誘発する表現のヒント (パターン・ランゲージ・ブックス) 』(井庭崇+井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013)
出版社HP:http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766419894/
Amazon:http://www.amazon.co.jp/dp/4766419898/
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井庭崇×江渡浩一郎 対談「創造の連鎖を引き起こす!」@ゲンロンカフェ

『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』 の出版を記念して、対談イベントを行います。第一弾は、本書でも対談している江渡浩一郎さんと、ゲンロンカフェにて!

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井庭崇×江渡浩一郎 対談

「創造の連鎖を引き起こす!
 ―― パターン・ランゲージとニコニコ学会β」

2013年11月12日(火)
19:00 〜 20:30



『パターン・ランゲージ ―― 創造的な未来をつくるための言語』の出版を記念して、編著者・対談者の井庭崇と江渡浩一郎が、最新の話題を交えて大胆に語り合う! 結局のところパターン・ランゲージって何? どう役立つの? 新しいジャンルのパターン・ランゲージって? クリストファー・アレグザンダーの思想と「ニコニコ学会β」の関係は? いま最先端の世界では何が起きているのか?などなど。お楽しみに!

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申し込み好評につき、客席を大幅に増設したため、まだ席があります。お早めに!

前売分:2500円 (1ドリンク付き)
当日券:3000円 (1ドリンク付き)
ゲンロン友の会または学生証のご提示:2500円(1ドリンク付き)

チケット購入はこちらから→ http://peatix.com/event/20230
ゲンロンカフェの行き方→ http://genron-cafe.jp/about.html#access


RP2PL-PR-200.jpg本対談イベントは、2013年10月末に出版された『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』の出版記念イベントです。

事前に読んできた方も、これから読もうと思っている方も、どちらも楽しめる内容の対談にするつもりです。

当日、開演前の17:30から本書の読書会が予定されているそうです。

当日会場での書籍販売も予定しています。


『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語[リアリティ・プラス]』 (井庭崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)

出版社HP:http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766419870/
Amazon:http://www.amazon.co.jp/dp/4766419871/
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最新刊『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』出版!

ついに、出版されました!

『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語[リアリティ・プラス]』 (井庭崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)

パターン・ランゲージの歴史から最新の動向までを語った対談本です。序章の解説は本書のために書き下ろした「パターン・ランゲージ入門」です。

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応急処置的な社会から、創造的な社会へ

▼パターン・ランゲージは、建築家クリストファー・アレグザンダーが提唱した知識記述の方法である。アレグザンダーは、町や建物に繰り返し現れる関係性を「パターン」と呼び、それを「ランゲージ」(言語)として記述・共有する方法を考案した。彼が目指したのは、誰もがデザインのプロセスに参加できる方法だった。ある「状況」で生じる「問題」をどのように「解決」すればよいのかという「デザインの知」を記述したパターン・ランゲージは、創造的な未来をつくるための共通言語となる。

▼建築分野で考案され、ソフトウェア分野で大きく発展したパターン・ランゲージは、いま、あらゆる分野の創造を誘発する「クリエイティブ・メディア」として進化する。本書では気鋭の研究者・井庭崇が、中埜博、江渡浩一郎、中西泰人、竹中平蔵、羽生田栄一という各界のフロントランナーを迎え、「パターン・ランゲージ」の可能性について徹底討論。読者のリアリティに新たな知をプラスする!

▼「リアリティ・プラス」(Reality+)
「プラス」は何かを加えるという意味であるが、「リアリティ」には二重の意味を込めてある。第一に、読者がもっている物事の見方のレパートリーに、新しい要素――アカデミックな分野での最先端の知と方法――を加えることで、それまで抱いていたものとは異なる現実感(リアリティ)を得られるようになることを支援したい。第二に、本書で提示される知と方法を踏まえた仕組みや道具、制度、組織をつくることで、現実(リアリティ)を変える力をもつことを支援したい。このような思いが、「リアリティ・プラス」という名称に込められている。



『パターン・ランゲージ :創造的な未来をつくるための言語』 目次

プロローグ

序 章 創造的な未来をつくるための言語――パターン・ランゲージ入門(井庭 崇)
適応しながら成長する全体 / 「名づけえぬ質」を育む / いきいきとした町や建物を構成するパターン / パターンはデザインを支援する / パターンの言語化 / パターン・ランゲージの三つの世代とその特徴 / パターン・ランゲージ再考

第1章 建築におけるパターン・ランゲージの誕生(中埜 博 × 井庭 崇)
建築、コンピュータ、メタボリズム / 「意識の文化」と「無意識の文化」 / 重なり合いを含むセミラティス構造をどうつくるか / 言語とそれが生み出す質 / アレグザンダーのパターン・ランゲージのつくり方 / 語りとパターン・ランゲージ / パターン・ランゲージによって世界の捉え方が変わる / パターン・ランゲージの背後にある倫理観 / ひとつの美学を確立する

第2章 建築からソフトウェアへ――パターン・ランゲージの展開(江渡浩一郎 × 中西泰人 × 井庭 崇)
利用者参加型設計プロセスと増改築の方法 / ソフトウエア開発の分野での展開 / パターン・コミュニティ / 名づけえぬ質 / パターン・ランゲージをつくってわかったこと / パターン・ランゲージの新しい可能性 / 名づけることの重要性 / 身体化と守破離

第3章 政策言語=政策デザインのパターン・ランゲージをつくる(竹中平蔵 × 井庭 崇)
パターン・ランゲージと政策言語 / 政策言語のつくり方 / どのような政策がよい政策か / 政策に関わるそれぞれの主体 / 戦略は細部に宿る / どういう順番で政策を打ち出すのか / 「よい社会」のパターン / 現場を信じて現場に任せる / 日本のこれからの課題 / 政策言語の可能性

 付録 政策言語(プロトタイプ・バージョン0.1)(井庭 崇 × 竹中平蔵)
 社会のパターン / 政策のパターン / 政策形成のパターン

第4章 パターン・ランゲージとネイチャー・オブ・オーダー(中埜 博 × 羽生田栄一 × 井庭 崇)
パターン・ランゲージの進化――建築、ソフトウエア、人間行為 /パターン・ランゲージをめぐるそれぞれの経験 / パターン・ランゲージをつくる・使う / 語りのメディア・対話のメディアとしてのパターン・ランゲージ / 普遍的・間主観的・個別的なパターン・ランゲージ / 「センター」という重要概念 / 「いきいきとした質」を生み出一五の基本特性 / パターン・ランゲージの背後にある東洋のシステム理論 / AシステムとBシステムの戦い / 震災復興をめぐるAシステムとBシステム / アレグザンダーから日本へのメッセージ

エピローグ
文献案内
パターン名索引
事項索引
人名索引



出版社HP:http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766419870/
Amazon:http://www.amazon.co.jp/dp/4766419871/
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「パターン・ランゲージを企業・経営にどう活かすか」(11月23日午後)

2013年11月23日(土・祝)に、パターン・ランゲージの活用についてのトークセッションを行います。

パターン・ランゲージとは何かという基本から、実際の企業での活用事例までを紹介しながら、これからの可能性を語り合います。


「パターン・ランゲージを企業・経営にどう活かすか」
日時: 2013年11月23日(土・祝) 15:30-17:00
場所: 東京ミッドタウン ホール&カンファレンス4階 Room 5

   [ ORF(オープン・リサーチ・フォーラム)のセッション企画 ]
入場: 無料 / 事前登録不要

井庭  崇(慶應義塾大学総合政策学部 准教授)
岩波 純生(大日本印刷株式会社 研修部)
亀田 和宏(大日本印刷株式会社 ソーシャルイノベーション研究所 所長)
小原 大樹(ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社)
熊坂 賢次(慶應義塾大学環境情報学部 教授)

ORF2011Session420.jpg
(写真は2011年のORFセッションの模様)


組織を「創造的な体質」に変え、創造性が発揮される状態をつくるためにはどうしたらよいのでしょうか?

本セッションでは、組織を創造的な体質に変える「クリエイティブ・シフト」を実現するために、「パターン・ランゲージ」という知識記述の方法を導入・活用することについて検討します。

パターン・ランゲージとは、創造活動の実践知を記述・共有するための方法です。もともとは建築の分野で考案され、ソフトウェア開発の分野で大きく発展し、最近ではより広い範囲の創造的な人間活動の支援に用いられているものです。

慶應義塾大学SFC 井庭研究室では、これまで、創造的なコラボレーションや創造的な学びのパターン・ランゲージ等をつくってきました。それらがどのようなもので、組織の体質改善にどのように用いることができるのかを紹介します。

また、企業・組織内に蓄積している暗黙的な実践知を掘り起こし、パターン・ランゲージとして記述・共有するという「新しいタイプの研修」について、大日本印刷株式会社(DNP)を始めとする具体事例を紹介し、これからの展開可能性について話し合います。

企業や各種組織で組織運営や研修・教育を担っている方、組織文化の醸成に関心がある方、新しい方法論に興味がある方は、ぜひお越し下さい。


【参考】
● 「クリエイティブ・シフト - パターン・ランゲージによる創造的な組織づくり」(井庭 崇, エンタープライズ・ジン「ビズジェネ」連載)
連載トップ:http://enterprisezine.jp/article/corner/287/

●『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜 博, 江渡 浩一郎, 中西 泰人, 竹中 平蔵, 羽生田 栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)
出版社HP:http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766419870/
Amazon:http://www.amazon.co.jp/dp/4766419871/

●『プレゼンテーション・パターン: 創造を誘発する表現のヒント (パターン・ランゲージ・ブックス) 』(井庭崇+井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013)
出版社HP:http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766419894/
Amazon:http://www.amazon.co.jp/dp/4766419898/
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