井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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アマルティア・センのケイパビリティ・アプローチとパターン・ランゲージ

アマルティア・センとの再会

アマルティア・センの著作は、15年ほど前に初めて読んでからというもの(当時の僕は新しい経済学の潮流と方法論についての研究をしていた)、研究のなかで様々なかたちでセンに再会し、3年おきぐらいに再読している。今回のきっかけは、ヒラリー・パトナムの文献を読んでいるときであった。

最近、パターン・ランゲージ3.0をプラグマティズムの考え方と結びつけて考えたいと思い、その手の文献を読み漁っている。そして、ヒラリー・パトナムの『事実/価値二分法の崩壊』を読んでいるときに、再びセンに出会った。

この本では、現在の私たちの思考・思想の奥に根付いている事実と価値の二分法、つまり「事実の認識は客観的であるが、価値判断は主観的なものである」という考え方に異議を唱えている。パトナムいわく「事実の知識は価値の知識を前提する」というわけである。

その著作の冒頭からアマルティア・センが登場する。パトナムは、センのケイパビリティ(潜在能力)アプローチについて、「そのアプローチの核心にあるのは、開発経済学の問題と倫理学理論の問題を別々にしておくことは断じてできないのだ、という認識である」とし、2つの章でセンを取り上げている。

アレグザンダーの思想を、そしてパターン・ランゲージ3.0を、プラグマティズムと結びつけて考える理由はいくつかあるが、事実と価値の問題を別のものとして区別するのではなく、相互に浸透関係にあるものと看做すということが、パターン・ランゲージが目指すところを理解する上で重要だからである。

プラグマティズムとの関係の話は別の機会にするとして、そんな経緯でアマルティア・センのケイパビリティ(潜在能力)と、この本で再び再会したのだ。

実は2年前、ネパールにおける豊かさについての考え方をパターン形式でまとめた学生が井庭研にいたので、その研究にアドバイスをするときに、センのケイパビリティの考え方を紹介した。そのときにもパターン・ランゲージとの関係の可能性をアツく語ったが、それは開発経済学におけるパターン・ランゲージの役割という限定的な話としてだった。

今回のセンとの再会は、僕にとっての思考の飛躍につながった。開発経済的なパターンとケイパビリティ・アプローチの関係ではなく、パターン・ランゲージ3.0(人間行為のパターン・ランゲージ)とケイパビリティ・アプローチとの関係が見えてきたのだ。


アマルティア・センのケイパビリティ(潜在能力)アプローチ

アマルティア・センは、開発(発展)というものを、所得や富の増加させることではなく、人々が享受する自由を増大させることであると捉えた。富の蓄積は自由を拡大する手段としては重要ではあるが、それ自体は目的ではなく、また唯一の手段でもないからである。

このような捉え方で貧困と開発の問題を考えるために、センは「ケイパビリティ」(潜在能力:capability)という考え方を導入した。ケイパビリティ(潜在能力)とは、ある人が価値を見出し選択できる「機能」の集合のことであり、その人に何ができるかという可能性を表している。

ここでいう「機能」とは、「ある状態になること」や「何かをすること」を指しており、例えば、充分な栄養を得られること、健康状態にあること、回避し得る病気に悩まされていないこと、早死にしないことといった基本的なことから、自尊心をもてることや社会生活に参加できることなどが考えられる。

センは『正義のアイデア』のなかで、「我々の暮らしを評価する上で、現実の生活スタイルだけでなく、様々な生活スタイルから実際に選択可能な自由についても関心を持つ理由がある」といい、「我々の暮らしの性質を決定することができるという自由」に目を向けることの重要性を説いている。

センは「所得と富は、人の優位性を判断するには不適切な指標であるということは、アリストテレスの『ニコマコス倫理学』でもはっきりと論じられている」と指摘した上で、「富は、それ自身、我々が価値を認めるものではない。また、我々の富を基礎として、我々がどんな暮らしを達成しているかを示す良い指標でもない。」とした。そうではなく、「彼らが享受することのできるケイパビリティ全体を見る必要がある」のである。

「ケイパビリティ・アプローチの焦点は、最終的に実際に行ったことだけにあるのではなく、実際に行うことのできること(実際にその機会を利用するしないにかかわらず)にある」のである。

「功利主義的伝統では、すべての評価を、『効用』という同質的な量に変換し、厳密に一つのものとして『数えること』(多いのか、少ないのか)で、安心感をもたらしてきたが、一方で、多くの異なる『良いものの組み合わせ』を『評価すること』(この組み合わせは、より価値があるかないのか)の取り扱い難さに対して疑念を生み出してきた。」とセンは言う。しかし、「我々にとって価値があると考える理由のあるすべてのものを一つの同質な量に還元することはできない」のである。

ケイパビリティとは「我々が価値を認める理由のあるものという観点から、互いに比較し判断することのできる諸機能の様々な組み合わせを達成する能力のことである」。つまり、個々の機能を達成する能力というよりも、「価値のある諸機能の【組み合わせ】を達成する能力」に関心があるのである。


ケイパビリティ(潜在能力)アプローチとパターン・ランゲージ3.0

アマルティア・センのいう「ケイパビリティは、機能によって定義されていて、とりわけ、ある人が選択しうるすべての機能の組み合わせの情報を含んでいる」のであり、可能なすべての機能の組み合わせに着目することで初めて、「何かを【すること】と、それをする【自由】とを区別する」ことができるのである。

センの提唱するケイパビリティ・アプローチは、その言葉が示すように「アプローチ」にすぎない。その機能に何を入れるべきかという具体性や、それをどのように活かすべきかということについては限定をしていない。つまり、それらの点については開かれているのである。

僕はここに、パターン・ランゲージ3.0との接合の可能性があると見ている。各種のパターン・ランゲージのなかのパターンを、選択可能な機能として捉えることができるのではないか、ということである。

パターン・ランゲージを 「ある人が価値を見出し選択できる『機能』の集合のことであり、その人に何ができるかという可能性」として捉えるのである。そのことが、その人の「自由」を捉えることになり、また「自由」を支援する可能性へとつながるのではなかろうか。

パターン・ランゲージは、一見すると「何かを【すること】」を支援しているように見えながら、実は「それをする【自由】」を支援していると言えるのではないか。

センの考えのアナロジーで教育について考えるならば、経済における所得や富、効用に還元した定量化というのは、テストで測られるような知識量や、一元的な成績づけというものに対応しているように思われる。

これに対して、ケイパビリティ=パターン・ランゲージのアプローチでは、各自が価値があるとすること(機能=パターン)をどれだけ実現可能かということに注目する。実行した結果の良し悪しではなく、潜在的に可能なことの拡大で評価されるということである。

例えば、添付したグラフは井庭研の4年生たちの3年前(赤)と現在(青)のラーニング・パターンの経験度の違いをグラフ化したものである。仮に40パターンすべてが各自にとって価値があると仮定すると、3年前より現在の方が豊かで自由があると言うことができる。

ラーニング・パターンでは、具体的な状況のなかで「こういう学び方をしなさい」と強制しているわけではなく、「こういう学び方も可能である」ということを示すことで、「それをする自由」を支援していると言える。

もちろん、パターン・ランゲージは、ラーニングについてのものだけではないので、例えば、プレゼンテーションやコラボレーション、いきいきと美しく生きる、自分らしく生きるなど、いろいろなものがあるので、それらはつくられるたびにケイパビリティの選択肢の幅を広げていることになる。

また、各自の価値判断によって機能の組み合わせが異なって構わないということは、国や地域によってパターンの集合が異なる(一部重なりながらもそれぞれ違う要素を含む)ことが許容されるということである。この点も、パターン・ランゲージの考え方と整合的である。

以上のように、パターン・ランゲージを、アマルティア・センの言うケイパビリティ・アプローチに照らして捉えてみることで、単に行為を支援するということに留まらず、豊かさや福祉(well-being)につながる新しい支援の方法であると捉え直すことができるだろう。


再びヒラリー・パトナムのアマルティア・センの評価

アマルティア・センの『正義のアイデア』から、再び今日の出発点であったヒラリー・パトナムの『事実/価値二分法の崩壊』に戻ると、パトナムは「センの意味での『潜在能力』とは単に価値ある機能なのではありません。それは、価値ある機能を享受する【自由】なのです」と端的かつ適切にまとめている。

そして、パトナムは、ケイパビリティ・アプローチについて「このアプローチが実際に行うことは、どのような機能がわれわれの文化や他の文化の善き生活という概念の一部を構成するかを考えるよう、そして種々のそのような機能を達成するためのどれだけの自由を、種々の状況における種々の人間集団が現実に持っているかを調査するよう、われわれに促すことなのです。」という。

そして、そのアプローチが求めるのは、二〇世紀を通じて行われてきた「『倫理学』と『経済学』と『政治学』とを区画することをやめ」ることなのである。

事実/価値の二分法を超えるということについて、パトナムはより明示的に次のように指摘する。「センと彼の仲間や追随者たちが潜在能力について語るときに使用する語句―『価値ある機能』『個人が然るべき【理由があって】価値があると見なす機能』『十分に食物が与えられていること』『【早】死』『自尊心』『共同体生活に参加できること』―のほとんどいずれもが、絡み合った語句」であるという。絡み合ったというのは、事実と価値が絡み合っているという意味である。

そして、そのようなセンの立脚点を「価値づけと事実を『確かめる』こととは相互依存的活動であると主張する立脚点」だというわけである。

パターン・ランゲージがいかなる意味で、価値と事実の二元論では捉えられないことをしようとしているのか、ということについては、また次のときに書いてみたいと思う。


パターン・ランゲージ | - | -

【映像公開】小阪裕司×井庭崇対談「創造社会論:商い」

創造社会論」の三人目のゲストは、小阪裕司さん(オラクルひと・しくみ研究所代表/ワクワク系マーケティング実践会主宰)でした。

町の商店やスーパーが客の心をつかんで感動を呼び、売り上げが劇的に伸び、仕事の楽しみを再発見したりするなんてことが、どうして可能なの?

それが全国各地って本当?

いわゆる「ふつうの人」がどうしたらそんなにクリエイティブなモードへ変化できるの?

千数百社からなる実践コミュニティをどうやって運営・サポートしているの?

そんな直球の質問をお聞きしながら、「心の時代」にものを売るとはどういうことなのかについて考えました。

かなり面白い対談でした!


創造社会論 第5回(映像&スライド)
http://gc.sfc.keio.ac.jp/cgi/flv/flv_play_gc.cgi?2014_38368+05+1

創造社会論 第6回(映像)
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創造社会論 | - | -

【映像公開】中川敬文×井庭崇対談「創造社会論:空間」

創造社会論」の二人目のゲストは、中川敬文さん(UDS株式会社 代表取締役社長)でした。中川さんのUDS株式会社が手がけたコーポラティブ・ハウスやユニークなホテル、コワーキング・スペースなどの事例を交え、主体的な行動とゆるやかなつながりを誘発する場づくりについてお話をお聞きしました。

複数の機能を重ね合わせるということ、企画・設計だけでなく運営やイベント開催までをも含めて引き受けること、そして、それを集客やビジネスにきちんとつなげていくこと。中川さんの「フライング気質」でスピード感のある行動の背後にある考え方とは? とても重要で興味深い対談でした!

創造社会論 第3回(映像&スライド)
http://gc.sfc.keio.ac.jp/cgi/flv/flv_play_gc.cgi?2014_38368+03+1

創造社会論 第4回(映像)
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Link
Serendipity:創造社会論【空間】@慶応SFC「WHYを問う」
(中川さんのブログ)
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【映像公開】水野大二郎×井庭崇対談「創造社会論:デザイン」

慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)で2014年春学期に僕が担当している新規科目「創造社会論」では、各界で創造的な活動をされている方々をゲストとしてお呼びし、対話しながら創造・実践の秘訣をパターン・ランゲージにまとめるという授業をしています。

この授業では、対談の映像をすべて無料で一般公開しています。SFC-GC(Global Campus)というサイトで公開されているので(創造社会論2014)、興味があるテーマの回をぜひご覧ください。

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初回のゲストは、水野大二郎さん(慶應義塾大学環境情報学部専任講師)でした。

水野さんの取り組んでいるDESIGN EASTやファッション、FABなどの事例紹介を交えながら、創造を誘発する場やコミュニティのつくり方や、創造的な社会における生き方や働き方、デザインの研究・実践について語り合いました。創造社会についてのイメージを膨らませるとともに、高度な話もできて、とても刺激的な対談でした!

創造社会論 第1回(映像&スライド)
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創造社会論 第2回(映像)
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Photos

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SFC授業シラバス「創造社会論」(2014年度春学期前半)

2014年度からスタートする新カリキュラムで、新しく「創造社会論」(2014年度春学期前半, 水曜1・2限:井庭 崇)という新設科目を担当します。この授業では、各界で創造的な活動をされている方々をゲストとしてお呼びし、対話しながら創造・実践の秘訣をパターン・ランゲージにまとめていきます。

この科目は「4学期制科目」です。週2コマ行い、春学期の前半(4・5月)の7週間で一気に集中的に学ぶことになります。

なお、2014年度から履修者選抜が初回授業よりも前に行われるので、注意してください。


■主題と目標/授業の手法など
これからの社会は、どのような社会になるのだろうか?本講義では、これからの社会を、人々が自分たちで自分たちのモノや仕組みを創造する「創造社会」(Creative Society)であるという想定から出発する。創造社会では、誰もが様々な分野・領域で「つくる」ことをごく当たり前に行うようになる。そして何よりも、「つくる」ということが、生活・人生の豊かさや幸せを象徴するようになると思われる。

かつてインターネットの登場によって始まった「情報社会」では、生活が変わり、組織が変わり、社会が変わった。同様に、「創造社会」の到来でも、生活・組織・社会のあり方が大きく変わることになるだろう。そこで、その変化とはどのようなものなのか、そして、それらの変化は何をもたらすのかを考えることは、これからの未来に向かうための重要な準備となる。

本講義では、創造社会へとつながる創造・実践に取り組んでいる方々をゲストにお招きし、対話を深めることで、創造社会の未来像を描いていく。今年度取り上げる「デザイン」「空間」「商い」「教育」「地域」「文化」「生き方」のそれぞれのテーマについて、創造・実践の秘訣をパターンの形式でまとめ、自分たちの実践につなげるための準備を行う。

今年度の各回のテーマとゲストスピーカーは、以下の通りです。

【デザイン】水野 大二郎さん(慶應義塾大学環境情報学部専任講師)
【空間】中川 敬文さん(UDS株式会社 代表取締役社長)
【商い】小阪 裕司さん(オラクルひと・しくみ研究所代表 / ワクワク系マーケティング実践会主宰)
【教育】市川 力さん(東京コミュニティスクール 校長)
【地域】飯盛 義徳さん(慶應義塾大学総合政策学部准教授 / 特定非営利活動法人鳳雛塾ファウンダー)
【文化】ドミニク・チェンさん(株式会社ディヴィデュアル / コモンスフィア理事)
【生き方】四角 大輔さん(Lake Edge Nomad Inc.代表)

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■授業計画
第1回 デザインのかたち(1) [4/9]
「創造社会」とはどのような社会なのだろうか? 人々が創造性を発揮するためには、どのような仕掛け・道具立てが必要だろうか? 今回は、ファッションデザインを始め、社会的包摂/市民参加型のデザインの研究・実践を行っている水野 大二郎さん(慶應義塾大学環境情報学部専任講師)をゲストにお招きして、これからの「デザインのかたち」について語り合います。

2回 デザインのかたち(2) [4/9]
ゲストとの対話を通じて、創造社会に向かうための創造・実践の秘訣を掘り起こし、それをパターン形式でまとめていきます。

第3回 創造的な空間をつくる(1) [4/16]
創造を誘発する空間とはどのような空間だろうか? またそのような空間をつくるためには、どうすればよいのだろうか? 今回は、エデュテインメント・タウン「キッザニア東京」やクリエイターをターゲットにした複合型ホテル「CLASKA」などを手がけている株式会社UDS(都市デザインシステム)代表取締役社長の中川 敬文さんをゲストにお招きして、これからの「空間づくり」について語り合います。

第4回 創造的な空間をつくる(2) [4/16]
ゲストとの対話を通じて、創造社会に向かうための創造・実践の秘訣を掘り起こし、それをパターン形式でまとめていきます。

第5回 創造的な商いをつくる(1) [4/23]
創造社会では、ビジネス/商売はどう変わるのだろうか?特に個々の店が創造性を発揮するようになるためには、どうすればよいのだろうか? 今回は、「感性」や「ワクワク」を重視しながら、数多くのお店を創造的に生まれ変わらせてきた小阪 裕司さん(オラクルひと・しくみ研究所代表 / ワクワク系マーケティング実践会主宰)をお招きして、「創造的な商い」および「商いの創造」について語り合います。

第6回 創造的な商いをつくる(2) [4/23]
ゲストとの対話を通じて、創造社会に向かうための創造・実践の秘訣を掘り起こし、それをパターン形式でまとめていきます。

第7回 創造的な教育をつくる(1) [5/7]
創造性が重視される社会においては、教育はどのように変わるべきだろうか? そして、従来の知識伝達型の教育とは異なる、創造的な教育とはどのようなものだろうか? 今回は、小学生たちが創造的なプロジェクトを実践している東京コミュニティスクールの校長 市川 力さんをお招きして、「創造性を養う教育」について語り合います。

第8回 創造的な教育をつくる(2) [5/7]
ゲストとの対話を通じて、創造社会に向かうための創造・実践の秘訣を掘り起こし、それをパターン形式でまとめていきます。

第9回 創造的な地域をつくる(1) [5/14]
地域が創造的になるためには、どうすればよいのか? 今回は、日本各地で地域を元気にしている飯盛 義徳さん(慶應義塾大学総合政策学部准教授 / 特定非営利活動法人鳳雛塾ファウンダー)をゲストにお招きして、「創造的な地域づくり」について語り合います。

第10回 創造的な地域をつくる(2) [5/14]
ゲストとの対話を通じて、創造社会に向かうための創造・実践の秘訣を掘り起こし、それをパターン形式でまとめていきます。

第11回 創造的な文化をつくる(1) [5/21]
インターネットの登場によって、創造的な活動・展開はどのように変化したのだろうか? そして、これからの社会においては、創造に関する文化はどのようなものになるのだろうか? 今回は、日本におけるクリエイティブ・コモンズの立ち上げに参加し、フリーカルチャーについての研究・実践をしているドミニク・チェンさん(株式会社ディヴィデュアル / コモンスフィア理事)をお招きして、「創造的な文化」について語り合います。

第12回 創造的な文化をつくる(2) [5/21]
ゲストとの対話を通じて、創造社会に向かうための創造・実践の秘訣を掘り起こし、それをパターン形式でまとめていきます。

第13回 創造的な生き方(1) [5/28]
創造的に生きるとはどういうことか? 誰もが創造性を発揮する社会とはどのような社会なのか?今回は、音楽プロデューサーとして数々のヒット作を生み出しながら、ある時その生活をやめ、ニュージーランドと東京を行き来する「自分なりの生き方」を始めた四角 大輔さん(Lake Edge Nomad Inc.代表)をゲストにお招きして、「自分で自分の生き方をつくる」ことについて語り合います。

第14回 創造的な生き方(2) [5/28]
ゲストとの対話を通じて、創造社会に向かうための創造・実践の秘訣を掘り起こし、それをパターン形式でまとめていきます。

その他
課題・レポート


■提出課題・試験・成績評価の方法など
成績評価は、授業中の議論への参加、宿題、期末レポートから総合的に評価します。

■履修上の注意
  • この科目は、春学期の前半(4・5月)に週2コマ開講する科目です。
  • この授業では、知識伝達型の講義は行いません。教員とゲストスピーカーによる対談を聴きながら、重要だと思うことを自らつかみ取ることが求められます。

    ■履修者制限
    履修人数を制限する。
    受入学生数(予定):約 90 人
    選抜方法:課題提出による選抜
    課題内容:以下の質問に答え、志望理由について書いて提出してください。 なぜこの授業に参加したいと考えるのか? また、自分のこれからとどのように関係すると考えているのか?
    エントリー〆切日時:2014年4月5日(土)15:00
    履修許可者発表日時:2014年4月7日(月)15:00


    ■教材・参考文献
    教材・参考文献は以下の通りです。

    • 『創造性とは何か』(川喜田二郎, 詳伝社新書, 詳伝社, 2010)
    • 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)
    • 『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)
    • 『ハイ・コンセプト:「新しいこと」を考え出す人の時代』(ダニエル・ピンク, 三笠書房, 2006)
    • 『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』(井庭崇, 井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013)
    • 『パタン・ランゲージによる住宅の生産』(クリストファー・アレグザンダー他, 鹿島出版会, 2013)
    • 『パターン、Wiki、XP:時を超えた創造の原則』(江渡 浩一郎, 技術評論社, 2009)
    • 『x‐DESIGN:未来をプロトタイピングするために』(山中 俊治, 脇田 玲, 田中 浩也 編著, 慶應義塾大学出版会 2013)
    • 『FabLife:デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」』(田中浩也, オライリージャパン , 2012)
    • 『FABに何が可能か:「つくりながら生きる」21世紀の野生の思考』(田中浩也, 門田和雄 編著, フィルムアート社, 2013)
    • 『探究する力』(市川 力, 知の探究社, 2009)
    • 『「お店」は変えずに「悦び」を変えろ!』(小阪裕司, フォレスト出版, 2013)
    • 『「心の時代」にモノを売る方法:変わりゆく消費者の欲求とビジネスの未来』(小阪裕司, 角川oneテーマ21, 角川書店, 2012)
    • 『価値創造の思考法』(小阪裕司, 東洋経済新報社, 2012)
    • 『「ありがとう」と言われる商い』(小阪裕司, 商業界, 2010)
    • 『社会イノベータ (ケース・ブックIV)』(飯盛 義徳, 慶應義塾大学出版会, 2009)
    • 『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック:クリエイティブ・コモンズによる創造の循環』(ドミニク・チェン, フィルムアート社, 2012)
    • 『インターネットを生命化する プロクロニズムの思想と実践』(ドミニク・チェン, 青土社, 2013)
    • 『自由であり続けるために:20代で捨てるべき50のこと』(四角大輔, サンクチュアリ出版, 2012)
    • 『やらなくてもいい、できなくてもいい。』(四角大輔, サンマーク出版, 2010)
  • 授業関連 | - | -

    SFC授業シラバス「ワークショップデザイン」(2014年度春学期前半)

    2014年度からスタートする新カリキュラムで、新しく「ワークショップデザイン」(2014年度春学期前半, 月曜2・3限:井庭 崇)という新設科目を担当します。この授業では、ワークショップをどのようにデザインすればよいかを考え、実際に他の履修者を対象にワークショップを仕掛けます。

    この科目は「4学期制科目」です。週2コマ行い、春学期の前半(4・5月)の7週間で一気に集中的に学ぶことになります。

    なお、2014年度から履修者選抜が初回授業よりも前に行われるので、注意してください。


    ■主題と目標/授業の手法など

    「対話による学び」や「つくることによる学び」の場をどのようにつくればよいのでしょうか? 本講義では、その場のひとつのかたちとして「ワークショップ」(workshop)の可能性を考えます。

    現在、いろいろな種類のワークショップが開かれていますが、それらのワークショップの背後にはどのような設計意図や工夫があるのでしょうか? また、自分たちがワークショップをつくるときには、何をどのように考えればよいのでしょうか? そして、ワークショップのファシリテーションにおいては、何に気をつければよいのでしょうか?

    これらのことを考え・学ぶために、授業と並行して、ワークショップを考案・設計するグループワークを行います。授業の後半では、他の履修者を対象に、自分たちの考案・設計したワークショップを実施します。これにより、「ワークショップデザイン」の感覚・スキルを実践的に高めたいと思います。

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    ■授業計画
    第1回 イントロダクション (4/7)
    授業の内容、進め方について説明します。

    第2回 ワークショプと設計意図 (4/7)
    ワークショップを実際に体験し、その設計意図について考えます。

    第3回 ゲスト・ファシリテーターによるワークショップ実践 (4/14)
    社会問題の解決に関心のある学生に向けた教育プログラム「Changemakers Learning Camp」や、異色の「恋のパターン・ランゲージ ワークショップ」など国内外でワークショップを実践している下向 依梨さんにお越しいただき、ワークショップを開催していただきます。

    第4回 ゲスト・ファシリテーターによるワークショップ解説 (4/14)
    ワークショップの設計とその意図について、ゲストの下向 依梨さんにお話しいただきます。

    第5回 ワークショップの設計 (4/21)
    ワークショップの内容や進め方をどのように考えればよいのか、また、より効果を高めたり楽しめたりするための工夫について考えます。

    第6回 振り返りと評価の設計 (4/21)
    ワークショップでの学びを確実なものにするための「振り返り」(reflection)と「評価」について考えます。

    第7回 プロトタイプ・ワークショップの実践(1) (4/28)
    グループで考えてきたワークショップを試しに実施してみます。

    第8回 プロトタイプ・ワークショップの実践(2) (4/28)
    実施したワークショップの反応や感触から、自分たちのワークショップの内容・構成を再検討します。

    第9回 ワークショップ・ファシリテーション実践(1) (5/12)
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第10回 ワークショップ・ファシリテーション実践(2) (5/12)
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第11回 ワークショップ・ファシリテーション実践(3) (5/19)
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第12回 ワークショップ・ファシリテーション実践(4) (5/19)
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第13回 ワークショップ・ファシリテーション実践(5) (5/26)
    グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。

    第14回 振り返りと総括 (5/26)
    この授業での活動と学びを振り返り、総括を行います。

    その他
    グループワーク, 課題・レポート


    ■提出課題・試験・成績評価の方法など
    成績評価は、授業中の演習・議論への参加、宿題、期末レポートから総合的に評価します。

    ■履修上の注意
    授業時間外にグループワークの活動をすることが求められます。

    ■履修者制限
    履修人数を制限する。
    受入学生数(予定):約 90 人
    選抜方法:課題提出による選抜(SFC-SFS)
    課題内容:以下の質問に答え、志望理由について書いて提出してください。 なぜこの授業に参加したいと考えるのか? また、自分のこれからとどのように関係すると考えているのか?
    エントリー〆切日時:2014年4月3日(木)15:00
    履修許可者発表日時:2014年4月4日(金)15:00


    ■教材・参考文献
    教材・参考文献は以下の通りです。この他の文献については、適宜、授業中に指示します。

    • 『創造性とは何か』(川喜田二郎, 詳伝社新書, 詳伝社, 2010)
    • 『発想する会社!:世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』(トム・ケリー, ジョナサン・リットマン, 早川書房, 2002)
    • 『ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ』(デヴィッド・ボーム, 英治出版, 2007)
    • 『知がめぐり、人がつながる場のデザイン:働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ』(中原 淳, 英治出版, 2011)
    • 『「未来の学び」をデザインする:空間・活動・共同体』(美馬 のゆり, 山内 祐平, 東京大学出版会, 2005)
    • 『MAKE SPACE メイク・スペース:スタンフォード大学dスクールが実践する創造性を最大化する「場」のつくり方』(スコット・ドーリー, スコット・ウィットフト, 阪急コミュニケーションズ, 2012)
    • 『シナリオ・プランニング:戦略的思考と意思決定』(キース・ヴァン・デル・ハイデン, ダイヤモンド社, 1998)
    • 『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)
    • 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)
    • 『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』(井庭崇, 井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013)
    • 『人を賢くする道具:ソフト・テクノロジーの心理学』(D.A.ノーマン, 新曜社, 1996)
    • 『アブダクション:仮説と発見の論理』(米盛裕二, 勁草書房, 2007)
    授業関連 | - | -

    井庭研 必読文献の読破状況の調査・分析(2014年1月時点)

    井庭研では、井庭研での研究活動に関係が深い書籍を50冊選び、在学中に読んでもらうことにしています(その50冊のリストは、「井庭研 必読文献リスト(2014年1月更新版)」にあります)。

    2014年1月時点での39名の読破状況を調べ、まとめてみました。


    グラフ:各人の読破冊数[クリックで拡大]
    TheNumberOfReadBooks430.jpg


    これを見るとわかるように、50冊を読破した人は3人だけでした。40冊台が5人なので、間もなく50冊完了するでしょう。

    これを学年別に見ると、以下のようになります。全体的としては、学年が上であるほど読んでいる冊数は多い傾向にありますが、個々に見ると、学年が下でも上の学年の人よりも多く読んでいる人もいます。学年内でみると、どの学年でも最高と最低の差が20冊ほどあります。これはひとえに、日々自分で読み進めているかどうかの違いでしょう。(約1年前にアナウンスをしたため、まだ移行期の段階なので、4年生でも50冊読破できていない人が多くいます。)


    グラフ:学年別 読破状況[クリックで拡大]
    ByGrade430.jpg


    SFCでは1年生から4年生まで好きなタイミングで研究会に入ることができます(学期ごとに研究会を変えることもできます)。そのため、学年が上であることが、そのまま井庭研歴が長いということにはなりません。井庭研に所属する年数が長いほど必読文献を読む機会・時間も増えるので、所属年数別にも出してみました。


    グラフ:井庭研 所属年数別 読破状況[クリックで拡大]
    ByYears430.jpg


    こちらも全体的な傾向としては、やはり所属年数が多い方が読んでいる冊数も多くなっています。注目すべきは、ここ半年しか在籍していない人が20冊程度は読み進めていることです。このペースでいけば1年半で50冊を達成できるでしょう。

    最後に、どの本がどのくらい読まれているのかをまとめてみました。やはり上位に来るのは、研究会の輪読や僕の授業の教科書が多いという印象です。


    グラフ:文献別 読破人数[クリックで拡大]
    ReadBooks430.jpg


    文献を読むことだけが重要なのではありませんが、これらの本と対話し、そのなかで考えることは、これからの研究活動の基盤となります。ぜひ各自がんばって、読み進めてほしいと思います。
    井庭研だより | - | -

    サバイバル・ランゲージを用いた防災デザイン・ワークショップ(3月5日)

    2014年3月5日(水)17:00-18:30に東京・国立情報学研究所(学術総合センター)にて、「サバイバル・ランゲージを用いた防災デザイン・ワークショップ」を開催します。

    このワークショップは、AsianPLoP 2014(第3回プログラムのパターンランゲージ・アジア会議)の一環として行われます。初日の昼間は、参加費無料で一般向けのセッションやワークショップが開催されます。ぜひご参加ください!


    「サバイバル・ランゲージを用いた防災デザイン・ワークショップ」
    古川園智樹, 井庭崇(慶應義塾大学SFC)
    2014年3月5日(水)17:00-18:30
    東京・国立情報学研究所(学術総合センター)

    本ワークショップでは、防災のためのパターン・ランゲージである「サバイバル・ランゲージ」を用いて、地震への備えや地震発生時のよりよい行動について考え、語り合います。サバイバル・ランゲージには、日常生活における「備えのデザイン」、地震発生時の「緊急行動のデザイン」、および地震発生後の行動のための「地震直後のデザイン」について考え、実践するための方法が記述されています。それらのパターンを用いて、自分たちの経験を振り返り、今後につなげる対話を行います。
    本ワークショップでは、パターン・ランゲージを「語りのメディア」として用います。パターン・ランゲージを用いることで、普段は話題になりにくいテーマについて深く語り合うことができることを体験していただければと思います。

    AsianPLoP 2014(第3回プログラムのパターンランゲージ・アジア会議)
    2014年3月5-8日, 東京・国立情報学研究所(学術総合センター)
    http://patterns-wg.fuka.info.waseda.ac.jp/asianplop/japanese.html


    "Disaster Prevention Workshop with the Survival Language"
    Tomoki Furukawaono, Takashi Iba (Keio University)
    March 5th, Wed, 2014, 17:00-18:30
    National Institute of Informatics (NII), Tokyo, Japan

    This workshop provides an opportunity for you to reflect on your experiences and to design your preparation in their daily lives by using the the Survival Language, a pattern language to support survival when a catastrophic earthquake occurs. The Survival Language intends to design one’s immediate actions when an earthquake occurs, because it is critical to accumulate one’s knowledge and combine them in such circumstances. Another intention is to constantly remind one about the significance of earthquake preparation, because one’s awareness of catastrophic earthquakes that seldom occur tends to gradually fade.
    Through the workshop, you should realize that pattern languages can be used as media for people to talk about their experiences, even if such pattern languages are from domains where people hardly talk about their experiences. This usage of pattern language as a medium for narratives suggests a new possibility for introducing pattern languages into your community.

    AsianPLoP 2014: 3rd Asian Conference on Pattern Languages of Programs
    March 5-8, 2014, Tokyo, Japan
    http://patterns-wg.fuka.info.waseda.ac.jp/asianplop/
    イベント・出版の告知と報告 | - | -

    落ち着いて深める10年

    
ついに40代に突入した。

    この前まで、自分が40代になるなんて想像もつかなかったけれども、

    ついにその時がやってきた。

    ひとつの節目なので、これから10年間のことを考えている。


    これまでは「若さ」に頼って、バタバタとかなり激しく邁進してきたけれども、

    これからは「落ち着いて深める」ということを大切にしたいと思う。

    深いところまで考える時間、深く潜ってつくる時間、絆を深める時間、

    そういう時間を大切にする10年にしたい。


    今日からモードを変えます。

    これまでよりも引き蘢ることになるでしょう。

    みなさん、これからもよろしくお願いします。


    井庭 崇
    2014年2月17日
    このブログについて/近況 | - | -

    井庭研究会シラバス(2014年度春学期)※追加募集版

    Creative Media Lab:創造社会を支える方法・道具をつくる
    Creative Media Lab: Designing Novel Methods and Tools for Creative Society
    井庭 崇: A型(木曜4・5限を予定)

    【重要な日程】
    2014年1月31日(金):次年度 研究計画発表会
             ※新規履修希望者(追加募集者を含む)は参加してください。
    2014年1月31日(金):追加募集エントリー〆切
    2014年2月4・6日(火・木):面接

    ilab2013fall423.jpg


    【目的・内容】
    本研究会では、「創造社会」(Creative Society)の実現を支える方法・道具(Creative Media)をつくり、新しい時代の基盤をつくることを目指します。創造社会とは、「人々が、自分たちで自分たちのモノや仕組みを創造する社会」のことです。創造社会の支援という大きなヴィジョンのもと、本研究会では、個別テーマごとにプロジェクトを組み、学生主導で研究活動を進めていきます。具体的には、創造を支援するための共通言語として「パターン・ランゲージ」を制作し、それを活用する実践活動を行うプロジェクトなどに取り組みます。

    「創造社会」のイメージと、それを実現・支援するための方法である「パターン・ランゲージ」については、論文「創造社会を支えるメディアとしての パターン・ランゲージ」(PDF)、および書籍『パターン・ランゲージ: 創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜 博, 江渡 浩一郎, 中西 泰人, 竹中 平蔵, 羽生田 栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)を参照してください。

    また、パターン・ランゲージの具体例については、「パターン・ランゲージの考え方」、および、これまでに井庭研で制作してきた「ラーニング・パターン」「プレゼンテーション・パターン」「コラボレーション・パターン」を見てみてください。プレゼンテーション・パターンは、『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』(井庭 崇 + 井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013: 2013年度グッドデザイン賞受賞)として出版もされています。

    CCC.jpg


    井庭研究室では、以下の5つのプロジェクトで、2014年度の新規メンバーの追加募集をします(各プロジェクトの概要は後述します)。

    ● Survival Language
    大地震で生きのびるためのパターン・ランゲージの制作、および新しい防災教育の実施

    ● Future Language
    未来ヴィジョンの言語化と創造的コラボレーションを実現するための支援

    ● Generative Films & Magazine
    パターン・コミュニティの創造の軌跡を辿る映像・雑誌の制作

    ● Creative Learning
    創造的な学びを実現するためのパターン・ランゲージの制作

    ● good old future
    日本らしい「古き良き未来」をつくることの支援


    Ilab2013-420.jpg


    プロジェクトの概要は、以下のとおりです。

    ● Survival Language(大地震で生きのびるためのパターン・ランゲージの制作、および新しい防災教育の実施)
    地震への備えや地震発生時のよりよい行動について考え、コミュニケーションをはかり、実践するための新しいタイプの防災支援ツールとして、「サバイバル・ランゲージ」と呼ぶパターン・ランゲージを制作しています。防災の実践的な知恵を「小さな単位」 にまとめ、それに覚えやすい名前をつけることにより、ひとつひとつの知恵を自分の生活に取り入れたり、語り合ったりしやすくなります。また、地震発生時においても、迅速な意思決定や行動ができるように、印象に残りやすい言葉やイラストにしています。なお、本プロジェクトは、井庭崇研究室・大木聖子研究室の共同研究プロジェクトです。
    プロジェクトの概要(Survival Language)
    サバイバル・ランゲージ(Survival Language)
    [プレスリリース]慶應義塾大学 井庭崇研究室・大木聖子研究室 防災のパターン・ランゲージ「サバイバル・ランゲージ」を制作

    ● Future Language(未来ヴィジョンの言語化と創造的コラボレーションを実現するための支援)
    「複数人によるコラボレーションで未来ヴィジョンをつくり、実現する方法」を探究しながら、実際に学外でも実践活動を行っていきます。探究の成果は日々パターン・ランゲージとして記述・更新し、共同研究/コラボレーターの企業・地域・学校とともに実践していきます。キーワードは、「未来共創」「コラボレーション」「パターン・ランゲージ」「フューチャー・ランゲージ」です。
    プロジェクトの概要(Future Language)
    未来ヴィジョンをブレイクダウンして言語化する「フューチャー・ランゲージ」
    コラボレーション・パターン:創造的コラボレーションのためのパターン・ランゲージ

    ● Generative Films & Magazine(パターン・コミュニティの創造の軌跡を辿る映像・雑誌の制作)
    パターン・ランゲージやそのコミュニティに関する「雑誌」をつくるプロジェクトです。映像連動型の月刊誌「Generative Magazine」(仮)で、4月創刊号で月刊、そして、ORFで特集号を目指します。創造社会を支援するための手段であるパターン・ランゲージの方法・分野が、いかにしてつくられてきたのかを、関係者の語り(証言・思い)によって明らかにし、それをまとめた雑誌・映像を編集・制作します。またその雑誌のなかで、井庭研のプロジェクトや、それ以外のパターン・ランゲージ関係のプロジェクトやイベントを紹介するコーナーをつくったり、エディターがおすすめのパターンを紹介というコーナーなどもやりたいと思っています。パターン・ランゲージや創造性、コミュニティ・ビルディングに興味がある人で、雑誌の執筆や編集、映像の撮影や編集で腕を発揮したい人を歓迎します。
    プロジェクトの概要(Generative Films & Magazine)
    Generative Films
    [プレスリリース]慶應義塾大学 井庭崇研究室 パターン・ランゲージの考え方と歴史を紹介するドキュメンタリー映像サイトを開設

    ● Creative Learning(創造的な学びを実現するためのパターン・ランゲージの制作)
    創造性を育むことができる「つくることによる学び」やそのような力を育む教育のあり方について探究します。来年度は、小学生が使える「ラーニング・パターン」をつくったり、高校生や大学生と一緒にプロジェクト型の活動を行っているNPOとの共同研究など、創造的なプロジェクト活動での学びをよりよくする方法のパターン・ランゲージを作成していきます。教育や人材育成など、年齢や場を問わず、「人が学んでいく」ということに関心があり、使命感を持って積極的に活動してくれる人を歓迎します。
    プロジェクトの概要(Creative Learning)
    ラーニング・パターン:創造的な学びのためのパターン・ランゲージ
    Creative Education Patterns:つくる教育のためのパターン・ランゲージ

    ● good old future(日本らしい「古き良き未来」をつくることの支援)
    欧米の手法を取り入れることにより成長してきた近代日本。これまでのようにお手本を見つけそのやり方をただ真似るのではなく、自分たちで自分たちの未来を生み出せるような手法を考え、実行していくことが必要ではないでしょうか。そのために私たちは、現代まで時を超え継承されてきた日本文化の質を探り、その質に内在する合理的な理由を”ことば”にし、未来の社会をつくるための仕組みづくりにその”ことば”を活用して取り組みます。私たちはこのような未来像を「古き良き未来」(good old future)と呼び、その実現に向けた研究活動を行っています。
    プロジェクトの概要(good old future)
    good old future patterns


    【受入予定人数】
    新規 8〜10名程度


    【履修条件】
  • 追加募集の応募者は、2014年1月31日(金)に行われる「次年度 研究計画発表会」(τ11教室)に参加し、プロジェクト内容を確認するとともに、プロジェクトメンバーと話すようにしてください。

  • 面接を2014年2月4・6日(火・木)に行う予定です。


    【選考の日程と課題】
    2014年1月31日(金):次年度 研究計画発表会
             ※新規履修希望者(追加募集者を含む)は参加してください。
    2014年1月31日(金):追加募集エントリー〆切
    2014年2月4・6日:面接


    エントリーメールの提出先: ilab-entry [at] sfc.keio.ac.jp
    メールのサブジェクト(件名): 井庭研2014春 履修希望(追加募集)

    以下の内容を書いたファイル(PDFもしくはWord)を、メールに添付してください。

    井庭研2014春 履修希望(追加募集)
    (1) 氏名(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名, 顔写真*
     *写真はスナップ写真等で構いません。説明会で個別に話した内容など、本人を特定する必要がある場合があります。
    (2) 自己紹介(適宜、写真や図などを入れてください)
    (3) 参加希望プロジェクト名
    (4) 志望理由、意気込み、自分が貢献できそうなこと・領域
    (5) 持っているスキル/得意なこと(グラフィックス・デザイン, 映像編集, 外国語, プログラミング, 音楽, スポーツなど, その他)
    (6) これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
    (7) これまでに履修した授業のなかで、お気に入りのもの(複数可)
    (8) これまでに所属した研究会(あれば)
    (9) 来学期、並行して所属することを考えている研究会(あれば)


    【授業スケジュール】
  • 毎週のゼミ(木曜4・5限)では、重要文献の輪読のほか、プロジェクトの進捗報告等を行います。
  • プロジェクトは、それぞれ、ゼミの時間以外に最低週2回以上集まって活動をします。


    【教材・参考文献】
    井庭研における重要文献の一覧は、こちら(井庭研 必読文献一覧) を見てください。井庭研在籍中の早い段階でこれらの文献をすべて読み、知識を身につけ、考えを深めてください。これらの文献を読んでいることが、「卒業プロジェクト」の受け入れ(3年生の終わり)に求められます。


    【評価方法】
    プロジェクトの成果と積極性、貢献度、および輪読での活躍等から総合的に評価します。


    【問い合わせ】
    来学期の井庭研究会についての質問・連絡は、 ilab-entry [at] sfc.keio.ac.jp までお願いします。


    【ホームページ】
    http://ilab.sfc.keio.ac.jp/
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