井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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続・期待と幻滅と。



“教育しようなんて考えを、僕は捨てることにした。”


昨日、僕は、こう書いた。



心からそう思ったし、その気持ちは今日も変わらない。

もう何年も、そして特にこの半年、ずっと考えてきたことだ。

ずっと考えてはきたが、未だ実践には移せていないこと。



誤解してはいけないのは、それが意味するのは、

授業をちゃんとやらないとか、学生の面倒をみないとか、

そういうことではない、ということ。



「教え育てる」なんて考えを捨てる、と言っているのだ。

だからといって、ただ放任するというわけではない。

それではあまりにも無責任だろう。



今、僕が、大切だと考えているのは、

無理に相手を自分に合わさせないこと。

無理に自分を相手に合わせないこと。



異なる人間同士なのだから、異なるままでも仕方がない。

これが大前提。

しかし、異なるからこそ、コミュニケーションが必要だ。



言葉は、ほとんど何も運べないけれども、

それは、自分の世界の一部になり、相手の世界の一部になる。

人が変わるか変わらないかは、その人次第だ。



心のどこかで持っていたい、ほのかな期待は、

「教え育てた」結果の「良い」状態へのものではなく、

その人なりの成長があること。



ただそれだけの(おそらく本当は当然である)ことを、

僕はいまさら確信し、実践しようとしている(に過ぎない)。

でも、これがすごく難しいことなのさ。
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特別対談(中埜 博 × 井庭 崇) @SFC「パターンランゲージ」

来週2010年10月28日(木)の「パターンランゲージ」の授業では、建築家の中埜 博さんをお呼びして、クリストファー・アレグザンダーの思想やパターン・ランゲージに関する対談を行います。履修者以外の聴講も歓迎しますので、興味がある方はぜひお越し下さい。

「パターンランゲージ」特別対談2010 “The Nature of Order”
日時:2010年10月28日(木)4限(14:45〜16:15)
会場:慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)大学院棟 τ(タウ)11教室

中埜 博
カリフォルニア大学バークレー校環境設計学部建築学科大学院修了。環境構造センター在日代表として、クリストファー・アレグザンダーの日本での建設プロジェクト「盈進学園プロジェクト」に参加。現在、東京環境構造センター代表。著書に『パタンランゲージによる住まいづくり』井上書院、『パタンランゲージによる住宅の建設』監訳、建築作品多数。

井庭 崇
総合政策学部准教授。創造社会の実現に向けた「新しい方法をつくる」研究に取り組んでいる。創造性、複雑系、オートポイエーシス、パターン・ランゲージ、ネットワーク分析、シミュレーションの研究・教育に従事。 SFC発のパターン・ランゲージである「学習パターン」等を、研究会メンバーとともに制作。


なお、今回の対談を含む授業の全回が、SFC-GC(Global Campus)にて映像配信されています。直接会場に来ることができない方は、後日こちらの映像をごらんください(中継ではなく、数日後からの配信となります)。

SFC-GC 「パターンランゲージ」授業ページ
http://gc.sfc.keio.ac.jp/cgi/class/class_top.cgi?2010_25136

PL2010NakanoIbaPoster.jpg
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期待と幻滅と。


ときどき、僕はひどくがっかりする。

幻滅には、その前提に期待がある。

期待しなければ、幻滅はやってこない。


さて。


期待しない教育は可能だろうか?

期待がないから幻滅もない、教育。

そんなことを考える。


そして、気づく。


自分が教育業だと思っていること自体が、そもそも間違いなのだ。

教育しようなんて考えを、僕は捨てることにした。

なかなかシンプルになった。
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