2018.01.21 Sunday
22:25 | posted by
井庭 崇
来週末1月27日(土)に、井庭研の2017年度最終発表会「多様なスタイル、これからの創造性」を実施します!今年度のプロジェクトの紹介とともに、卒業発表や修論発表もあります。今回はセミクローズドな会で、SFC生のみなさん、もしくは、僕や井庭研と関係するみなさんはご参加いただけます。その方々は、下記フォームより申し込みの上、ぜひお越しください。
【井庭研究室】 2017年度最終発表会受付フォーム
https://goo.gl/3a9425
【日時 Date and Time】
2018年1月27日(土) 10:00 - 18:00 ※09:40開場
January 27, 2018 (Sat.) 10:00 - 18:00 ※ doors open at 09:40
【開催場所 Site】
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス 大学院棟 τ12(タウ12)教室
Keio University Shonan Fujisawa Campus, building τ12
【参加費 Fee】
無料 ※昼食をご持参ください
Free ※Please bring your lunch.
【概要】
「多様なスタイル、これからの創造性」
今回のカンファレンスは、「多様なスタイル、これからの創造性」をテーマに、2017年度に活動してきた共同研究プロジェクトの成果や、この春に井庭研から卒業する学部4年生/大学院生による卒業プロジェクト/ 修士論文の発表を行います。
今年度の井庭研は、「多様性」や「創造的な混沌」をテーマに研究を進めてきました。「スタイルの多様性」という扱う研究テーマの多様性はもちろん、1つのプロジェクトでも多様な方法論(パターン・ランゲージ、ファン・ランゲージ、スタイル・ランゲージ、コンセプト・ランゲージ)でアプローチしたり、アウトプットの形式(冊子、カード、しおり、ウェブ・アプリケーション)も多様に展開しています。また、研究活動の進め方も多様なものばかり。
今回のカンファレンスは、このような今年の井庭研の「多様性」が感じられるようなプログラムになっています。発表内容はもちろんのこと、発表スタイルも様々です。
途中入退室も可能なので、学内のみまさんはご自由に、また、井庭研に関わりのある方は、ぜひお越しください!
【プログラム】
当日のプログラムはスケジュールは以下を予定しています。
(09:40 開場)
10:00 《Opening Session》
10:20 《Session01:修士研究発表》(プレゼンテーション)
・「ゆるいまちづくり:おしゃべり・発見・連帯」(木村 紀彦)
・「気づきと創造を支援する手描きを用いた議論プロセス可視化の応用手法開発」(坂間 菜未乃)
10:50 休憩
10:55 《Session02:ilab-B》(ブースセッション)
・「バンドマンにおける強烈音楽体験(SEM)の探索的研究」(Marino Kinoshita )
・「Pattern Language for Creating Your Own Children’s Story」(Nur Nameerah Mohd Fadzil )
・「Habits for Success and Happiness Patterns」(Jeet Qi Tan)
・「Styles of Living Alone (一人暮らしスタイルランゲージ)」(Aimi Burgoyne )
・「障がい者がいきいきと暮らす・働くための場作り」(鳥羽 和輝)
11:40 《Workshop01》(発想ワークショップ)
・「家族を育むスタイル・ランゲージ 〜より良い家族の暮らしをつくるワークショップ〜」(with 花王)
12:40 ランチブレイク
13:20 《Focus Group》
・「次世代のおもてなしをデザインするクリエティブ・ランゲージ」 (プレゼンテーション)(with UDS)
(プロジェクト紹介後に、グループに分かれてディスカッション)
・A:「パターン・アプリ〜パターン・ランゲージをより身近にするプラットフォーム〜」
・B:「主任保育者の役割を可視化する試み 〜園組織におけるミドルリーダーとは〜 」(with 東京大学Cedep )
14:20 休憩
14:25 《Workshop02》(ライターズ・ワークショップ)
(プロジェクト紹介後に、グループに分かれてワークショップ)
・A:「Life with reading Patterns Writers Workshop」(with 有隣堂)
・B:「料理教室のスタイル・ランゲージ」 (with Cookpad)
15:15 コーヒーブレイク
15:35 《Session05:卒業発表》(プレゼンテーション)
・「旅のことばからはじまるストーリー」(金子 智紀)*1
・「言の葉とあそぶ」(尾郷 彩葉)*2
・「つくり方をつくる」(石田 剛)*3
・「パターンにとらわれたくないけれど」(森 遥香)*4
16:35 休憩
16:40 《Session06:修士論文発表》(プレゼンテーション)
・「つながりをもたらす対話の実践支援 : オープンダイアローグ・パターンの作成と活用」(長井 雅史)
17:05 《Closing Session》
(終了後、写真撮影や歓談)
18:00 終了
(卒業発表者の紹介)
*1 金子 智紀(ばるさん): 旅のことば、親子パターン、パターン・マイニング・パターン、パターン活用パターン、家族を育むスタイル・ランゲージの作成メンバー
*2 尾郷 彩葉(いろは):SFCカルチャー・ランゲージ、教育プログラムデザインパターン、日々の世界のつくりかた、読書のクリエイティブ・ランゲージ「Life with Reading」の作成メンバー
*3 石田 剛(いっしー):プロジェクト・デザイン・パターン、オープンダイアローグ・パターン、読書のクリエイティブ・ランゲージ「Life with Reading」の作成メンバー
*4 森 遥香(はるもり):プロジェクト・デザイン・パターン、創造社会ヴィジョン方法論、パターンアプリ「Patterns We Live By」などの作成メンバー
2018.01.06 Saturday
19:16 | posted by
井庭 崇
井庭研Aシラバス(2018年度春学期)
Natural & Creative Living Lab - 未来をつくる言葉をつくる
[ 教育 / コミュニティ / 自然 / これからの創造的な生き方 / 海外との連携 ]
2018年1月11日(木)4・5限:井庭研プロジェクト見学会@o408研究室
2018年1月11日(木)6限:井庭研説明会@o408研究室
2018年1月19日(金):エントリー〆切
2018年1月23日(火):面接
【研究テーマ】
井庭研では、情報社会の次に来るこれからの社会を「
創造社会」(
Creative Society)と考え、創造的で豊かな生き方を実践・支援するための研究を行なっています。
井庭研で 「
創造的」(
creative) というとき、それは「
発見の連鎖」をつないでいくということを意味しています。日常的な創造性でも、専門的な創造性でも、小さな発見が次々と生じているような状態を「創造的」だと捉えます。そのような「発見の連鎖」が起きている状況では、つくり手も想定していなかったような展開が生まれ、その経験を通してつくり手は変化・成長します。つくることは探究することであり、学ぶこと、そして変化することなのです。
このような創造的な活動がいろいろな分野で起きやすくなるための支援の研究が、井庭研で取り組んでいることです。<具体的にどのようなテーマの研究を行うのかは毎年変わりますが、2018年度に取り組みたいと思っているのは、
「教育」、
「コミュニティ」、
「自然」、
「これからの生き方」、
「海外との連携」といった大テーマのもと、以下のプロジェクトに取り組む予定です。
- アカデミック・ライティング・パターンの作成
- 生物多様性保全の活動のパターン・ランゲージの作成
- (SFCの)授業のスタイル・ランゲージの作成
- 高齢社会における住まい・暮らしのパターン・ランゲージの作成(福祉業界のイノベーターである銀木犀・下河原忠道さん、あおいけあ加藤忠相さんたちから学ばせてもらい研究)
- 地域・街の楽しみ方のスタイル・ランゲージの作成
- 香港・台湾での「旅のことば」パターンの展開
- パターン・アプリ(システム)の開発
- 教育・学びへのパターン・ランゲージ活用の仕組みづくり
- パターン・コンサルタント/コンシェルジュの探究と実践
- ゆるいまちづくり(鯖江市JK課などから学びパターン・ランゲージ作成・展開)
- 創造性を誘発するジェネラティブ・グラフックの探究とそのパターン・ランゲージ作成(ファシリテーション・グラフィックスやグラフィックレコーディングから学び、展開)
井庭研では、
一人ひとりがもっているナチュラルな創造性(
Natural Creativity)の力を信じ、それがより発揮されることを目指しています。かつて、作家のミヒャエル・エンデは、「創造的であるというのは、要するに、人間的であるということにほかならない。」と語りました。井庭研ではさらに、創造的であることは人間的であり、そしてそれは自然(ナチュラル)なことである、と考えています。人為的・作為的な創造行為ではなく、より自然のあり方・かたちに近い創造性のあり方と生き方を探究しています。
【アプローチ】
そのような未来に向けての転換・変化のためには、
思想と
理論、
方法論と
道具を駆使していく必要があります。井庭研究室では、「プラグマティズム」などの思想とともに、「システム理論」や「創造性」、「学び」の理論等を踏まえながら、日常的な創造的活動を支援する「
クリエイティブ・ランゲージ」とという「メディア」をつくり、その方法論を開発することで、創造的で豊かな生き方ができる社会へのシフトを目指します。
現在、井庭研がつくっている「
クリエイティブ・ランゲージ」 には、1.「パターン・ランゲージ」、2「スタイル・ランゲージ」、3.「ファン・ランゲージ」、4.「フューチャー・ランゲージ」、5.「コンセプト・ランゲージ」などがあります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
1.
パターン・ランゲージ(Pattern Language) は、物事の秘訣や経験則、コツを言語化して共有する方法です。もともとは、建築やソフトウェアのデザイン(設計)の知を言語化する方法として考案・発展してきたものですが、井庭研では人間行為の経験則を言語化する方法として応用してきました。学び、プレゼンテーション、コラボレーション、企画、料理、暮らしのデザインなど、井庭研ではこれまでに30種類以上の領域で1000パターン以上をつくってきました。パターン・ランゲージの使い方については、「対話」のメディアとして用いるということを提案し、実践してきました。いろいろな実践領域のパターン・ランゲージをつくるということは、新しい分野を始める支援をするということで、ソフトな社会インフラをつくっている、と言うことができます。
2.
スタイル・ランゲージ(Style Language) では、その対象における「スタイル」(あり方)について言語化します。それは、ある方向に収斂させようとするためではなく、多様性を保持・増長させるためにつくります。様々なスタイルを表す言葉をつくることで、自らのスタイルを語りやすくなるとともに、自分では思いつかないようなスタイルを知ることができるようになります。また、多様なスタイルが言葉になっていることで、同じようなスタイルを求めている人同士のマッチングも可能になります。スタイル・ランゲージは今年度の研究のなかでつくっていく新しい形式のランゲージです。
3.
ファン・ランゲージ(Fun Language) は、物事の楽しみ方の言語化です。新しく物事に取り組むということは、なかなか腰が重いものです。それをうまくできるようになるまでは、その本来の面白みは味わうことができません。でも、ちょっとした楽しみ方を知ることで、楽しく実践することができるようになります。どのような楽しみ方をしている人がいるのか、ということを端的な言葉にまとめ、共有することを可能にするのが、ファン・ランゲージです。例えば、 Cooking Fun Languageをつくって、料理の楽しみ方を言語化しました。ファン・ランゲージは、パターン・ランゲージのように「うまくやること」の支援ではなく、「楽しむための発想」を支援します。理にかなって調和を生むデザインというよりは、気持ち、感情、心が動くことで、いきいきとした状態を生み出すのです。
4.
フューチャー・ランゲージ(Future Language) は、未来のヴィジョンを言語化する方法です。コミュニティや組織の未来像、あるいは、これからつくる場やイベントなどのアイデアを出し、それらを語るための言葉をつくります。パターン・ランゲージは何かを生み出すために「どうするとよいのか」を考える支援する方法ですが、それによって何を生み出すかは、各自の具体化に任されています。フューチャー・ランゲージでは、どんな未来をつくるかを、複数人・多人数で協働的に話し合い、明示化して共有することができます。フューチャー・ランゲージによって、協働的な未来づくりが支援されます。
5.
コンセプト・ランゲージ(Concept Language) は、理念や考えを言語化する方法です。組織やコミュニティ、社会に対して共有したい理念・考えがあり、そのままでは伝わりにくい場合に、相互にゆるやかにつながった小さな単位の言葉にすることで、共有しやすくします。コンセプト・ランゲージは、パターン・ランゲージと同じ形式で記述され、使い方も似ています。しかしパターン・ランゲージは、これまでに実践され、良いとわかっている成功事例に潜む共通パターンを言語化するのに対して、コンセプト・ランゲージはこれまでに実践されているとは限りません。新しい環境やテクノロジー、新しい組織体制など、これまでと前提条件が異なる状況で、大切なことを共有したいというときに、コンセプト・ランゲージが有効です。
このように井庭研には、 自発性と個性を重視しながらポジティブな変化を促す ための方法が揃っています。デザイン・行為のパターン・ランゲージ、多様なあり方のスタイル・ランゲージ、楽しみ方のファン・ランゲージ、未来ヴィジョンづくりのフューチャー・ランゲージ、理念・考えの浸透のコンセプト・ランゲージ、 - これらのクリエイティブ・ランゲージの作成に加えて、 ワークショップ を設計・実施したり、日常の環境に埋め込むための 新しいメディアのデザイン なども行うことで、よりナチュラルでクリエイティブな生き方を支援し、そのための社会の変化を促すことに取り組んでいきます。
【運営方針】
各自どれかひとつのプロジェクトに参加し、研究に取り組みます。それ以外に、
20%ルールとして、20%くらいの時間は、自分の好きなようにテーマを設定した研究も取り組みます(Googleで行われているように)。この個人企画を論文にしたり、井庭研の主力プロジェクトに育つこともあり得ます。研究テーマの立ち上げというのは難しく大変なものなので、いきなり個人研究として始めるのではなく、研究とは何かをプロジェクトで仲間とともに取り組みながら学ぶことができるようになっているのと、各人の興味や問題意識も大切にしようということから、このような仕組みにしています。
井庭研の大きな特徴として、
学部生でも自分たちの研究成果を論文にまとめ、国際学会で数多く発表しているということがあります。例えば、2017年は、計27本の論文を書き、それをドイツ、アメリカ、オーストリア、カナダで開催された国際学会で発表してきました。そのほとんどの論文は、学部 2年生~4年生によって書かれています( →
2017年 発表論文リスト )。2018年度はドイツ、中国、アメリカで国際学会発表を行う予定です。このように学部生のうちから、学術的な海外のコミュニティを経験できるというのも、井庭研の特徴・魅力のひとつです。
また、研究成果を書籍として出版することもあります(
→2017年 書籍出版リスト )。井庭研では、そのくらい本格的に研究・実践に取り組んでいます。まさに、井庭研がSFC生活の中心となるような活動量です。そういう本格的な研究・実践に一緒に取り組みたいという人を募集します。
【あらかじめ読んでおいてほしい必読文献】
井庭研の研究をさらに理解するために、
『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』 (井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016)や
『パターン・ランゲージ: 創造的な未来をつくるための言語』 (井庭 崇 編著, 中埜 博, 江渡 浩一郎, 中西 泰人, 竹中 平蔵, 羽生田 栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)は読んでおいてください。
『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』 (井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)の第2章(熊坂さんとの対談)も、井庭研で大切にしていることを知ることができるので、ぜひ読んでみてください。
【履修条件】
知的な好奇心と、創造への情熱を持っている多様な人を募集します。
井庭研での研究に積極的かつ徹底的に取り組もうという気持ちがあること。
研究だけでなく、「コミュニティとしての井庭研」を一緒につくっていく意志があること。
【その他・留意事項】
井庭研では、たくさん本を読みます。難しいものもたくさん読みます。それは、知識を身につけるというだけでなく、考え方の型を知り、考える力をつけるためでもあります。さらに、他のメンバーとの共通認識を持ち、共通言語で話すことができるようになるためでもあります。創造の基盤となるのです。
井庭研では、たくさん話して、たくさん手を動かします。文献を読んで考えるということはたくさんやりますが、それだけでは足りません。他のメンバーと議論し、ともに考え、一緒につくっていく、ということによって、一人ひとりの限界を超えることができます。こうして、ようやく《世界を変える力》をもつものをつくることができるのです。
2018年度秋学期と2019年度春学期は、井庭は、在外研究機関で海外に行ってしまうため、研究会は継続しますが、遠隔での指導となります。あらかじめ、承知しておいてください。(そのため、2018年度秋学期と2019年度春学期の新規募集は行わない予定です。興味がある人は、この機会にエントリーしてください。)
【授業スケジュール】
井庭研では、どっぷりと浸かって日々一緒に活動に取り組むことが大切だと考えています。大学生活の・時間割上の一部の時間を井庭研の活動に当てるというよりは、 井庭研が大学生活のベースになる ということです。井庭研に入るということは、SFCでの「ホーム」ができるということもあるのです。創造的な活動とその社会的な変革は、毎週数時間集まって作業するというだけでは成り立ちません。いつも、どこにいても考え、アンテナを張り、必要なときに必要なだけ手を動かすことが不可欠です。そのため、自分の生活の一部を埋めるような感覚ではなく、生活の全体に重なり、日々の土台となるようなイメージをもってもらえればと思います。
そのなかでも、全員で集まって活動する時間も、しっかりとります。各自が準備をしたり勉強したりする時間とは別に、みんなで集まって話し合ったり、作業を進める時間が必要だからです。井庭研では、 水曜の3限から夜までと、木曜の4限から夜までの時間は、メンバー全員で集まって活動する 《まとまった時間》 としています。これらの時間は、授業や他の予定を入れないようにしてください。
【評価方法】
研究・実践活動への貢献度、および研究室に関する諸活動から総合的に評価します。
【エントリー課題】
1月19日(金)までに、指定の内容を書いたメールを提出してください。1月23日(火)に面接を行う予定です。
エントリーメールの提出先: ilab-entry[at]sfc.keio.ac.jp ([at]を@に変えてください)
メールのサブジェクト(件名): 井庭研A(2018春) 履修希望
以下の内容を書いたファイル(PDF、Word、もしくはPages)を、メールに添付してください。
井庭研A(2018春) 履修希望
1. 氏名(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名, 顔写真 (写真はスナップ写真等で構いません)
2. 自己紹介(イメージしやすいように、適宜、写真や絵などを入れてください)
3. 井庭研の志望理由と意気込み(どのテーマのプロジェクトに参加してみたいか)
4. 日頃の問題意識と興味・関心(プロジェクトに限らず自由にできるとしたら、どういうことに取り組んでみたいか)
5. 持っているスキル/得意なこと(グラフィックス・デザイン, 映像編集, 外国語, プログラミング, 音楽, その他)
6. これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
7. これまでに履修した授業のなかで、お気に入りのもの(複数可)
8. これまでに所属した研究会と、来学期、並行して所属することを考えている研究会(あれば)
【教材・参考文献】
2016年度からの継続メンバーは、これまでに以下の本を読んでいます。これらの本も含め、いろいろと読んでいくことになります。
『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』 (井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016)
『パターン・ランゲージ: 創造的な未来をつくるための言語』 (井庭 崇 編著, 中埜 博, 江渡 浩一郎, 中西 泰人, 竹中 平蔵, 羽生田 栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)
『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)
『時を超えた建設の道』 (クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993)
『クリストファー・アレグザンダー:建築の新しいパラダイムを求めて』(スティーブン・グラボー, 工作舎, 1989)
『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー:建築の美学と世界の本質 ― 生命の現象』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 2013)
『ニクラス・ルーマン入門:社会システム理論とは何か』(クリスティアン・ボルフ, 新泉社, 2014)
『創造性とは何か』 (川喜田二郎, 詳伝社新書, 詳伝社, 2010)
『オープンダイアローグとは何か』 (斎藤環 著+訳, 医学書院, 2015)
『プラグマティズム入門』 (伊藤 邦武, ちくま新書, 筑摩書房, 2016)
『ヴィゴツキー入門』 (柴田 義松, 子どもの未来社, 2006)
『感動をつくれますか?』 (久石 譲, 角川oneテーマ21, 角川書店, 2006)
『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです:村上春樹インタビュー集 1997-2011』 (村上春樹, 文春文庫,文藝春秋, 2011)
『グラウンデッド・セオリー・アプローチ(改訂版):理論を生みだすまで』 (戈木クレイグヒル滋子, 新曜社, 2016)
『創造的論文の書き方』 (伊丹 敬之, 有斐閣, 2001)
『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』 (井庭崇, 井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013)
『旅のことば:認知症とともによりよく生きるためのヒント』 (井庭 崇, 岡田 誠 編著, 慶應義塾大学 井庭崇研究室, 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ, 丸善出版, 2015)
ほか
2017.12.26 Tuesday
10:24 | posted by
井庭 崇
2017年、僕らは、国際ジャーナル論文1本、海外での基調講演・招待講演 3本, 国際学会論文27本、海外でのワークショップ 5本を発表・実施しました。井庭研のメンバーとクリエイティブシフトのメンバーと、共同研究させていただいたみなさんと学会を運営されたみなさんに感謝です。
Journal Articles
Takashi Iba, Haruka Mori, and Ayaka Yoshikawa, “A Pattern Language for Designing Innovative Projects: Project Design Patterns,” International Journal of Entrepreneurship and Small Business, 2017, in printing (accepted in June 2017)
Keynote / Invited Talk
Takashi Iba, “Pattern Languages as New Tools for Learning in the Creative Society,” Symposium on the Future of Learning, Vienna, Austria, 2017
Takashi Iba, “Words for a Journey: A Pattern Language for Living Well with Dementia" in Gerontech and Innovation Expo cum Summit, Hong Kong, 2017
Takashi Iba, “Generations of Pattern Language: Architecture, Software, and Human Actions,” MiniPLoP 2017, Programming 2017 conference, Brussels, Belgium, 2017
Conference Papers
Takashi Iba, Ayaka Yoshikawa, Konomi Munakata, “Methodology and Philosophy of Pattern Mining: Learning from Jiro Kawakita, a Creative Anthropologist in Japan,” 24th Conference on Pattern Languages of Programs 2017 (PLoP2017), Vancouver, Canada, 2017
Takashi Iba, Ayaka Yoshikawa, Hitomi Shimizu, “Fun Language: Sharing the “Fun” to Motivate People to Do Daily Activities,” 24th Conference on Pattern Languages of Programs 2017 (PLoP2017), Vancouver, Canada, 2017
Tsuyoshi Ishida, Masafumi Nagai, Takashi Iba, “How Wholeness of a Pattern Language is Created ? : A case study on creation process of Open Dialogue Patterns,” 24th Conference on Pattern Languages of Programs 2017 (PLoP2017), Vancouver, Canada, 2017
Aimi Burgoyne, Takashi Iba, “Motivating Self-Improvement: Methods to Stay Motivated” 24th Conference on Pattern Languages of Programs 2017 (PLoP2017), Vancouver, Canada, 2017
Takashi Iba, Ayaka Yoshikawa, “What Occurs in Egoless Creation with Pattern Languages,” Pursuit of Pattern Languages for Societal Change conference 2017 (PURPLSOC2017), Krems, Austria, 2017
Takashi Iba, Yoshihiro Utsunomiya, “Active Learning Patterns for Teachers,” Pursuit of Pattern Languages for Societal Change conference 2017 (PURPLSOC2017), Krems, Austria, 2017
Takashi Iba, Tomoko Kubo, “Life Transition Patterns: A Pattern Language for Shaping Your Future,” Pursuit of Pattern Languages for Societal Change conference 2017 (PURPLSOC2017), Krems, Austria, 2017
Takashi Iba, Mayu Ueno, Ayaka Yoshikawa, “Pattern Song: Auditory Expression For Pattern Languages,” Pursuit of Pattern Languages for Societal Change conference 2017 (PURPLSOC2017), Krems, Austria, 2017
Hitomi Shimizu, Ayaka Yoshikawa, Takashi Iba, “Cooking Fun Language: Sharing the Hidden Fun of Cooking,” Pursuit of Pattern Languages for Societal Change conference 2017 (PURPLSOC2017), Krems, Austria, 2017
Norihiko Kimura, Yujin Wakashin, Takashi Iba, “Patterns for Community Innovation by Empowering Indifferent People: Practice of Sabae City Office JK-section,” Pursuit of Pattern Languages for Societal Change conference 2017 (PURPLSOC2017), Krems, Austria, 2017
Ayaka Yoshikawa, Hitomi Shimizu, Takashi Iba, “Cook-That-Dish Patterns for Tacos: A Tool for Collaborative Cooking,” Pursuit of Pattern Languages for Societal Change conference 2017 (PURPLSOC2017), Krems, Austria, 2017
Iroha Ogo, Takashi Iba, Kimie Itou, Seiko Miyakawa, “Ways of Everyday World-Making:
Living well with Working and Parenting,” Pursuit of Pattern Languages for Societal Change conference 2017 (PURPLSOC2017), Krems, Austria, 2017
Kazuo Takiguchi, Naohiro Kitamura, Makoto Okada, Takashi Iba, “Welfare Pattern Languages by a Local Government,” Pursuit of Pattern Languages for Societal Change conference 2017 (PURPLSOC2017), Krems, Austria, 2017
Tomoki Kaneko, Takashi Iba, “Patterns for Utilizing Patterns towards Dementia-Friendly Communities,” Pursuit of Pattern Languages for Societal Change conference 2017 (PURPLSOC2017), Krems, Austria, 2017
Takashi Iba, “Peer Learning via Dialogue with a Pattern Language,” in the 7th International Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs17), 2017
Takashi Iba, Masafumi Nagai, Tsuyoshi Ishida, “Open Dialogue as Coupling of Psychic, Social, and Creative Systems,” in the 7th International Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs17), 2017
Masafumi Nagai, Takashi Iba, “Consideration of the Possibilities of Open Dialogue Patterns: through Creating and Performing the Learning Program of Dialogue,” in the 7th International Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs17), 2017
Norihiko Kimura, Haruka Mori, Yuzuki Oka, Wataru Murakami, Rio Nitta, Takashi Iba, “A Method of Generating Societal Vision based on Social Systems Theory,” in the 7th International Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs17), 2017
Namino Sakama, Haruka Mori, Takashi Iba, “Creative Systems Analysis of Design Thinking Process,” in the 7th International Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs17), 2017
Konomi Munakata, Shuichiro Ando, Takashi Iba, “How to improve ideas by writing stories,” in the 7th International Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs17), 2017
Masafumi Nagai, Reiko Asano, Misa Eguchi, Takashi Iba, “Basic Patterns for Dialogical Meeting: Open Dialogue Patterns, Part II” EuroPLoP’17 Proceedings of the 22nd European Conference on Pattern Languages of Programs, 2017
Takashi Iba, Makoto Okada, Tomoki Kaneko, “Words for a Journey: Collaboration Toward Dementia Friendly Society" 32nd International Conference of Alzheimer’s Disease International (ADI2017), 2017
Kikuko Ota, Yuriko Mashida, and Takashi Iba, "Application of "Words for a Journey" to Education in an Undergraduate Nursing Program," 32nd International Conference of Alzheimer’s Disease International (ADI2017), 2017
Tomoki Kaneko, Takashi Iba, and Makoto Okada, "Realizing Dementia Friendly Communities with Words for a Journey," 32nd International Conference of Alzheimer’s Disease International (ADI2017), 2017
Takashi Iba, Masafumi Nagai, Reiko Asano, Tsuyoshi Ishida, Misa Eguchi, and Airi Matsumiya, “Open Dialogue Patterns: A Pattern Language for Collaborative Problem Dissolving,” the travelling pattern conference (VikingPLoP 2017), 2017
Takashi Iba, Heizo Takenaka, “Policy Language: A Pattern Language for Designing Public Policy,” 6th Asian Conference on Pattern Languages of Programs (AsianPLoP 2017), 2017
Yuma Akado, Takashi Iba, “The Creation of Style in Generator: An Investigation Through Behavioral Properties,” 6th Asian Conference on Pattern Languages of Programs (AsianPLoP 2017), 2017
Wokshops
Konomi Munakata,Ayaka Yoshikawa,Haruka Mori, Tomoaki Kaneko, Takashi, Iba, “Pattern Mining Workshop: Practice of Clustering with KJ Method”, Pursuit of Pattern Languages for Societal Change conference 2017 (PURPLSOC2017), Krems, Austria, 2017
Ayaka Yoshikawa, Konomi Munakata, Haruka Mori, Hitomi Shimizu, Tomoki Kaneko, Akiko Kumasaki, Taichi Isaku, Takashi Iba, “Pattern Mining Workshop: How to Find Patterns from Experiences,” Symposium on the Future of Learning, Vienna, Austria, 2017
Haruka Mori, Norihiko Kimura, Takashi Iba, “Generating Societal Vision based on the Social Systems Theory,” in the 7th International Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs17), 2017
Joseph Yoder, Takashi Iba, “Pattern Mining Workshop,” MiniPLoP 2017, Programming 2017 conference, Brussels, Belgium, 2017
Joseph Yoder, Takashi Iba, “Workshop for pattern mining,” 6th Asian Conference on Pattern Languages of Programs (AsianPLoP 2017), 2017
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2017.09.15 Friday
16:41 | posted by
井庭 崇
今年の秋学期も、「ワークショップデザイン」を開講します。2014年から開講され、今回4年目となるこの授業は、座学的なレクチャーはほとんどなく、履修者たちの活動がベースで展開されるきわめて実践的な授業で、履修者からも好評のものです。
授業は2コマ連続(3時間)で7週間で一気に駆け抜けます。履修者はグループを組み、オリジナルなワークショップをデザインし、他の履修者に対して実際に実施します。その体験を履修者全員で振り返りながら、ワークショップの設計と実施についての実践知を学んでいきます。
学ぶ内容・素材が、学び手たちの活動から生まれるという意味で、まさに「創造的な学び」であり、オートポイエティックな仕組みの授業です。
来年度は開講されず、次回開講は再来年もしくはその翌年になる予定なので、興味がある人は今年履修してください。
ワークショップデザイン【学期後半】
2017年度秋学期(学期後半)火曜日3・4時限
担当:井庭 崇
【主題と目標/授業の手法など】
「対話による学び」や「つくることによる学び」の場をどのようにつくればよいのでしょうか? 本講義では、その場のひとつのかたちとして「ワークショップ」(workshop)の可能性を考えます。
現在、いろいろな種類のワークショップが開かれていますが、それらのワークショップの背後にはどのような設計意図や工夫があるのでしょうか? また、自分たちがワークショップをつくるときには、何をどのように考えればよいのでしょうか? そして、ワークショップのファシリテーションにおいては、何に気をつければよいのでしょうか?
これらのことを考え・学ぶために、授業と並行して、ワークショップを考案・設計するグループワークを行います。授業の後半では、他の履修者を対象に、自分たちの考案・設計したワークショップを実施します。これにより、「ワークショップデザイン」の感覚・スキルを実践的に高めたいと思います。最終的には、履修者ひとりひとりがつかんだワークショップ・デザインの秘訣を、パターン・ランゲージの形式でまとめ、自分たちの実践につなげる準備を行うことにします。
【授業計画】
第1回 イントロダクション
授業の内容、進め方について理解します。
第2回 ワークショプ体験と設計意図
ワークショップを実際に体験し、その設計意図について考えます。
第3回 ワークショップ・デザイン論 #1
ワークショップのつくり方について学びます。
第4回 ワークショップ・デザイン論 #2
ワークショップをより効果的にするための考え方について学びます。
第5回 ワークショップ実践 #1
グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。
第6回 振り返り・ディスカッション #1
実施したワークショップについて振り返り、議論します。
第7回 ワークショップ実践 #2
グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。
第8回 振り返り・ディスカッション #2
実施したワークショップについて振り返り、議論します。
第9回 ワークショップ実践 #3
グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。
第10回 振り返り・ディスカッション #3
実施したワークショップについて振り返り、議論します。
第11回 ワークショップ実践 #4
グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。
第12回 振り返り・ディスカッション #4
実施したワークショップについて振り返り、議論します。
第13回 ワークショップ実践 #5
グループで考案・設計したワークショップを、他の履修者を対象に実施します。
第14回 振り返り・ディスカッション #5
実施したワークショップについて振り返り、議論します。
その他
グループワーク, 宿題, レポート
【提出課題・試験・成績評価の方法など】
成績評価は、グループワークへの貢献、授業中の演習・議論への参加、宿題、期末レポートから総合的に評価します。
【履修上の注意】
授業時間外にグループワークの活動をすることが求められます。
【教材・参考文献】
『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』 (井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016年)
『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(井庭 崇 編著, 中埜博, 江渡浩一郎, 中西泰人, 竹中平蔵, 羽生田栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)
『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』(井庭崇, 井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013)
『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー:建築の美学と世界の本質 ― 生命の現象』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 2013)
2017.07.08 Saturday
16:46 | posted by
井庭 崇
井庭研Aシラバス(2017年度秋学期)
Natural & Creative Living Lab - より自然で創造的に生きる社会へ
2017年7月12日(水)6限:説明会@o408研究室
2017年7月23日(日):エントリー〆切
2017年7月26日(水)・27日(木):面接
【研究テーマ】
井庭研では、情報社会の次に来るこれからの社会を「
創造社会」(
Creative Society)と考え、創造的で豊かな生き方を実践・支援するための研究を行なっています。
井庭研で 「
創造的」(
creative) というとき、それは「
発見の連鎖」をつないでいくということを意味しています。日常的な創造性でも、専門的な創造性でも、小さな発見が次々と生じているような状態を「創造的」だと捉えます。そのような「発見の連鎖」が起きている状況では、つくり手も想定していなかったような展開が生まれ、その経験を通してつくり手は変化・成長します。つくることは探究することであり、学ぶこと、そして変化することなのです。
このような創造的な活動がいろいろな分野で起きやすくなるための支援の研究が、井庭研で取り組んでいることです。具体的にどのようなテーマの研究を行うのかは毎年変わりますが、2017年度に取り組んでいるのは、「これからの読書の楽しみ方」、「家族・親子関係の多様なかたち」、「料理の学びのスタイル」、「これからのおもてなし」、「ゆるい創発型のまちづくり」、「介護分野のイノベーターたちの考え方」等です。
井庭研では、
一人ひとりがもっているナチュラルな創造性(
Natural Creativity)の力を信じ、それがより発揮されることを目指しています。かつて、作家のミヒャエル・エンデは、「創造的であるというのは、要するに、人間的であるということにほかならない。」と語りました。井庭研ではさらに、創造的であることは人間的であり、そしてそれは自然(ナチュラル)なことである、と考えています。人為的・作為的な創造行為ではなく、より自然のあり方・かたちに近い創造性のあり方と生き方を探究しています。
【アプローチ】
そのような未来に向けての転換・変化のためには、
思想と
理論、
方法論と
道具を駆使していく必要があります。井庭研究室では、「プラグマティズム」などの思想とともに、「システム理論」や「創造性」、「学び」の理論等を踏まえながら、「パターン・ランゲージ」をはじめとする方法論を開発し、さまざまな「メディア」を用いて道具をつくることで、創造的で豊かな生き方ができる社会へのシフトを目指します。
現在、井庭研が用いている方法論 には、1.「パターン・ランゲージ」、2.「ファン・ランゲージ」、3.「スタイル・ランゲージ」、4.「コミュニティ・ランゲージ」、5.「フューチャー・ランゲージ」、6.「コンセプト・ランゲージ」などがあります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
1.
パターン・ランゲージ(Pattern Language) は、物事の秘訣や経験則、コツを言語化して共有する方法です。もともとは、建築やソフトウェアのデザイン(設計)の知を言語化する方法として考案・発展してきたものですが、井庭研では人間行為の経験則を言語化する方法として応用してきました。学び、プレゼンテーション、コラボレーション、企画、料理、暮らしのデザインなど、井庭研ではこれまでに30種類以上の領域で1000パターン以上をつくってきました。パターン・ランゲージの使い方については、「対話」のメディアとして用いるということを提案し、実践してきました。いろいろな実践領域のパターン・ランゲージをつくるということは、新しい分野を始める支援をするということで、ソフトな社会インフラをつくっている、と言うことができます。
2.
ファン・ランゲージ(Fun Language) は、物事の楽しみ方の言語化です。新しく物事に取り組むということは、なかなか腰が重いものです。それをうまくできるようになるまでは、その本来の面白みは味わうことができません。でも、ちょっとした楽しみ方を知ることで、楽しく実践することができるようになります。どのような楽しみ方をしている人がいるのか、ということを端的な言葉にまとめ、共有することを可能にするのが、ファン・ランゲージです。例えば、「料理の楽しみ方」を Cooking Fun Languageをつくって、料理の楽しみ方を言語化しました。ファン・ランゲージは、パターン・ランゲージのように「うまくやること」の支援ではなく、「楽しむための発想」を支援します。理にかなって調和を生むデザインというよりは、気持ち、感情、心が動くことで、いきいきとした状態を生み出すのです。
3.
スタイル・ランゲージ(Style Language) では、その対象における「スタイル」(あり方)について言語化します。それは、ある方向に収斂させようとするためではなく、多様性を保持・増長させるためにつくります。様々なスタイルを表す言葉をつくることで、自らのスタイルを語りやすくなるとともに、自分では思いつかないようなスタイルを知ることができるようになります。また、多様なスタイルが言葉になっていることで、同じようなスタイルを求めている人同士のマッチングも可能になります。スタイル・ランゲージは今年度の研究のなかでつくっていく新しい形式のランゲージです。
4.
コミュニティ・ランゲージ(Community Language) では、「そのコミュニティらしさ」を言語化します。自分たちが何を大切にしているのか、自分たちらしさは何によって構成されているのかを言葉にします。 コミュニティ・ランゲージでは、具体的すぎない「適度な抽象化」をした言葉で「自分たちらしさ」を把握することで、これまでの具体的な事例に囚われずに、自分たちらしく「新しさ」を取り入れる支援をします。「自分たちらしさ」を持ちながらも、具体的なレベルでは新しいことを実現できるのです。それにより、多くの企業や学校、自治体が、自分たちらしく新しいことを始めることを支援します。
5.
フューチャー・ランゲージ(Future Language) は、未来のヴィジョンを言語化する方法です。コミュニティや組織の未来像、あるいは、これからつくる場やイベントなどのアイデアを出し、それらを語るための言葉をつくります。パターン・ランゲージは何かを生み出すために「どうするとよいのか」を考える支援する方法ですが、それによって何を生み出すかは、各自の具体化に任されています。フューチャー・ランゲージでは、どんな未来をつくるかを、複数人・多人数で協働的に話し合い、明示化して共有することができます。フューチャー・ランゲージによって、協働的な未来づくりが支援されます。
6.
コンセプト・ランゲージ(Concept Language) は、理念や考えを言語化する方法です。組織やコミュニティ、社会に対して共有したい理念・考えがあり、そのままでは伝わりにくい場合に、相互にゆるやかにつながった小さな単位の言葉にすることで、共有しやすくします。コンセプト・ランゲージは、パターン・ランゲージと同じ形式で記述され、使い方も似ています。しかしパターン・ランゲージは、これまでに実践され、良いとわかっている成功事例に潜む共通パターンを言語化するのに対して、コンセプト・ランゲージはこれまでに実践されているとは限りません。新しい環境やテクノロジー、新しい組織体制など、これまでと前提条件が異なる状況で、大切なことを共有したいというときに、コンセプト・ランゲージが有効です。
このように井庭研には、 自発性と個性を重視しながらポジティブな変化を促す ための方法が揃っています。デザイン・行為のパターン・ランゲージ、楽しみ方のファン・ランゲージ、多様性のスタイル・ランゲージ、自分たちらしさのコミュニティ・ランゲージ、未来ヴィジョンづくりのフューチャー・ランゲージ、理念・考えの浸透のコンセプト・ランゲージ、 - これらに加えて、 ワークショップ を設計・実施したり、日常の環境に埋め込むための 新しいメディアのデザイン なども行うことで、よりナチュラルでクリエイティブな生き方を支援し、そのための社会の変化を促すことに取り組んでいきます。
【運営方針】
2017年春学期から、
井庭研メンバー全員ですべての研究を行うという体制になりました。 縦割りの「プロジェクト」がいくつも並行して動くというスタイルをとらず、
井庭研全体がひとつの大きなチームになり、いろいろな研究に取り組むということです(
20数人での大規模なグループワークのイメージです)。
つまり、井庭研に入ると、上述の具体的テーマのなかのどれかを選ぶというのではなく、すべての研究に取り組むことになります。研究のなかには、あるテーマのパターン・ランゲージをつくるというものもあれば、ファン・ランゲージをつくるものもあります。また、あるパターン・ランゲージを現場に導入するという実践もあれば、理論や思想を深める研究や、新しいメディア表現に挑戦するということもあります。そういった多様な研究に全員が関わり、刺激し合い、一緒にいろいろな経験を積んでいきます。
井庭研の大きな特徴として、
学部生でも自分たちの研究成果を論文にまとめ、国際学会で数多く発表しているということがあります。例えば、2016年は、計26本の論文を書き、それを台湾、イタリア、ドイツ、アメリカで開催された国際学会で発表してきました。そのほとんどの論文は、学部 2年生~4年生によって書かれています( →
2016年 発表論文リスト )。2017年度はドイツ、アメリカ、オーストリア、カナダで国際学会発表を行うことになっています。
また、研究成果を書籍として出版することもあります(
→2016年 書籍出版リスト )。井庭研では、そのくらい本格的に研究・実践に取り組んでいます。まさに、井庭研がSFC生活の中心となるような活動量です。そういう本格的な研究・実践に一緒に取り組みたいという人を募集します。
2017年度は、花王株式会社、クックパッド株式会社、UDS株式会社、株式会社 有隣堂 等と共同研究を行なっており、実際に世の中への変化を生み出す研究に取り組んでいます。
【あらかじめ読んでおいてほしい必読文献】
井庭研の研究をさらに理解するために、
『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』 (井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016)や
『パターン・ランゲージ: 創造的な未来をつくるための言語』 (井庭 崇 編著, 中埜 博, 江渡 浩一郎, 中西 泰人, 竹中 平蔵, 羽生田 栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)は読んでおいてください。
『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』 (井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)の第2章(熊坂さんとの対談)も、井庭研で大切にしていることを知ることができるので、ぜひ読んでみてください。
【履修条件】
井庭研をファースト・プライオリティにおいて活動できること。
井庭研での研究に積極的かつ徹底的に取り組む覚悟があること。
研究だけでなく、「コミュニティとしての井庭研」を一緒につくっていく意志があること。
【その他・留意事項】
井庭研では、たくさん本を読みます。難しいものもたくさん読みます。それは、知識を身につけるというだけでなく、考え方の型を知り、考える力をつけるためでもあります。さらに、他のメンバーとの共通認識を持ち、共通言語で話すことができるようになるためでもあります。創造の基盤となるのです。
井庭研では、たくさん話して、たくさん手を動かします。文献を読んで考えるということはたくさんやりますが、それだけでは足りません。他のメンバーと議論し、ともに考え、一緒につくっていく、ということによって、一人ひとりの限界を超えることができます。こうして、ようやく《世界を変える力》をもつものをつくることができるのです。
【授業スケジュール】
井庭研では、どっぷりと浸かって日々一緒に活動に取り組むことが大切だと考えています。大学生活の・時間割上の一部の時間を井庭研の活動に当てるというよりは、 井庭研が大学生活のベースになる ということです。井庭研に入るということは、SFCでの「ホーム」ができるということもあるのです。創造的な活動とその社会的な変革は、毎週数時間集まって作業するというだけでは成り立ちません。いつも、どこにいても考え、アンテナを張り、必要なときに必要なだけ手を動かすことが不可欠です。そのため、自分の生活の一部を埋めるような感覚ではなく、生活の全体に重なり、日々の土台となるようなイメージをもってもらえればと思います。
そのなかでも、全員で集まって活動する時間も、しっかりとります。各自が準備をしたり勉強したりする時間とは別に、みんなで集まって話し合ったり、作業を進める時間が必要だからです。井庭研では、 水曜の3限から夜までと、木曜の4限から夜までの時間は、メンバー全員で集まって活動する 《まとまった時間》 としています。これらの時間は、授業や他の予定を入れないようにしてください。
【評価方法】
研究・実践活動への貢献度、および研究室に関する諸活動から総合的に評価します。
【エントリー課題】
7月23日(日)までに、指定の内容を書いたメールを提出してください。7月26日(水)もしくは27日(木)に面接を行う予定です。
エントリーメールの提出先: ilab-entry[at]sfc.keio.ac.jp ([at]を@に変えてください)
メールのサブジェクト(件名): 井庭研A(2017秋) 履修希望
以下の内容を書いたファイル(PDF、Word、もしくはPages)を、メールに添付してください。
井庭研A(2017秋) 履修希望
1. 氏名(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名, 顔写真 (写真はスナップ写真等で構いません)
2. 自己紹介(イメージしやすいように、適宜、写真や絵などを入れてください)
3. 日頃の問題意識と興味・関心
4. 井庭研の志望理由と意気込み
5. 持っているスキル/得意なこと(グラフィックス・デザイン, 映像編集, 外国語, プログラミング, 音楽, その他)
6. これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
7. これまでに履修した授業のなかで、お気に入りのもの(複数可)
8. これまでに所属した研究会と、来学期、並行して所属することを考えている研究会(あれば)
【教材・参考文献】
2016年度からの継続メンバーは、最近、以下の本を読んでいます。これらの本も含め、いろいろと読んでいくことになります。
『プロジェクト・デザイン・パターン:企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32』 (井庭 崇 , 梶原 文生, 翔泳社, 2016)
『パターン・ランゲージ: 創造的な未来をつくるための言語』 (井庭 崇 編著, 中埜 博, 江渡 浩一郎, 中西 泰人, 竹中 平蔵, 羽生田 栄一, 慶應義塾大学出版会, 2013)
『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)
『時を超えた建設の道』 (クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993)
『創造性とは何か』 (川喜田二郎, 詳伝社新書, 詳伝社, 2010)
『オープンダイアローグとは何か』 (斎藤環 著+訳, 医学書院, 2015)
『プラグマティズム入門』 (伊藤 邦武, ちくま新書, 筑摩書房, 2016)
『ヴィゴツキー入門』 (柴田 義松, 子どもの未来社, 2006)
『感動をつくれますか?』 (久石 譲, 角川oneテーマ21, 角川書店, 2006)
『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです:村上春樹インタビュー集 1997-2011』 (村上春樹, 文春文庫,文藝春秋, 2011)
『グラウンデッド・セオリー・アプローチ(改訂版):理論を生みだすまで』 (戈木クレイグヒル滋子, 新曜社, 2016)
『創造的論文の書き方』 (伊丹 敬之, 有斐閣, 2001)
『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』 (井庭崇, 井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013)
『旅のことば:認知症とともによりよく生きるためのヒント』 (井庭 崇, 岡田 誠 編著, 慶應義塾大学 井庭崇研究室, 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ, 丸善出版, 2015)
他の重要論文には、例えば、以下のようなものがあります。
『オレゴン大学の実験』(クリストファー・アレグザンダー他, 鹿島出版会, 1977)
『パタン・ランゲージによる住宅の生産』(クリストファー・アレグザンダー他, 鹿島出版会, 2013)
『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』(クリストファー・アレグザンダー他, 鹿島出版会, 1984)
『まちづくりの新しい理論』(クリストファー・アレグザンダー他, 鹿島出版会, 1989)
『形の合成に関するノート/都市はツリーではない』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 2013)
『パターン、Wiki、XP:時を超えた創造の原則』(江渡浩一郎, 技術評論社, 2009)
クリストファー・アレグザンダー:建築の新しいパラダイムを求めて』(スティーブン・グラボー, 工作舎, 1989)
『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー:建築の美学と世界の本質 ― 生命の現象』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 2013)
『The Nature of Order, Book 2: The Process of Creating Life』(Christopher Alexander, The Center for Environmental Structure, 2003)
『The Battle for the Life and Beauty of the Earth: A Struggle Between Two World-Systems』(Christopher Alexander, Oxford University Press, 2012)
『Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン』(Mary Lynn Manns, Linda Rising, 丸善出版, 2014)
『オープンダイアローグ』(ヤーコ・セイックラ, トム・エーリク・アーンキル, 日本評論社, 2016)
『協働するナラティヴ:グーリシャンとアンダーソンによる論文「言語システムとしてのヒューマンシステム』(ハーレーン・アンダーソン, ハロルド・グーリシャン, 野村 直樹, 遠見書房, 2013)
『ナラティヴ・セラピー:社会構成主義の実践』(S・マクナミー, K・J・ガーゲン 編, 遠見書房, 2014)
『リフレクティング:会話についての会話という方法』(矢原隆行, ナカニシヤ出版, 2016)
『アブダクション:仮説と発見の論理』(米盛裕二, 勁草書房, 2007)
『発想法:創造性開発のために』(川喜田 二郎, 中公新書, 中央公論社, 1967)
『シナリオ・プランニングの技法』(ピーター・シュワルツ, 東洋経済新報社, 2000)
『源泉:知を創造するリーダーシップ』(ジョセフ・ジャウォースキー, 英治出版, 2013)
『U理論:過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』(C・オットー・シャーマー, 英治出版, 2010)
『職業としての小説家』(村上 春樹, 新潮社, 2016)
『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹, 文春文庫, 2010)
『ものがたりの余白:エンデが最後に話したこと』(ミヒャエル・エンデ, 岩波書店, 2009)
『出発点:1979~1996』(宮崎 駿, スタジオジブリ, 1996)
『風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡』(宮崎 駿, 文藝春秋, 2013)
『天才たちの日課:クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』(メイソン・カリー, フィルムアート社, 2014)
『偉大なアイディアの生まれた場所:シンキング・プレイス』(ジャック・フレミング, キャロライン・フレミング, 清流出版, 2011)
『生きるとは、自分の物語をつくること』(小川洋子, 河合隼雄, 新潮文庫, 新潮社, 2011)
『イメージの心理学』(河合隼雄, 青土社, 1991)
『決断力』(羽生善治, 角川oneテーマ21, 角川書店, 2005)
『未来を創るこころ』(石川 忠雄, 慶應義塾大学出版会, 1998)
『科学の未来』(フリーマン・ダイソン, みすず書房, 2005)の第2章「科学」
『社会科学をひらく』(イマニュエル・ウォーラーステイン+グルベンキアン委員会, 藤原書店, 1996)
『考える技術・書く技術:問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(バーバラ・ミント, ダイヤモンド社, 1999)
『離脱・発言・忠誠:企業・組織・国家における衰退への反応』(A.O.ハーシュマン, ミネルヴァ書房, 2005)
『人間性と行為』(J.デューイ, 人間の科学社, 1995)
『プラグマティズム古典集成』(チャールズ・サンダース・パース, ウィリアム・ジェイムズ, ジョン・デューイ, 作品社, 2014)
『デカルトからベイトソンへ:世界の再魔術化』(モリス・バーマン, 国文社, 1989)
『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』(井庭 崇, 福原 義久, NTT出版, 1998)
『オートポイエーシス:生命システムとはなにか』(H.R. マトゥラーナ, F.J. ヴァレラ, 国文社, 1991)『社会システム理論〈上〉〈下〉』(ニクラス・ルーマン, 恒星社厚生閣, 1993/1995)
『社会の社会〈1〉〈2〉』(ニクラス・ルーマン, 法政大学出版局, 2009)
『エコロジーのコミュニケーション:現代社会はエコロジーの危機に対応できるか?』(ニクラス・ルーマン, 新泉社, 2007)
『システム理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈1〉』(ニクラス・ルーマン, 新泉社, 2007)
『ニクラス・ルーマン入門:社会システム理論とは何か』(クリスティアン・ボルフ, 新泉社, 2014)
『法と立法と自由I:ルールと秩序(ハイエク全集 1-8 新版)』(F.A.ハイエク, 春秋社, 2007)
『コミュニティ・オブ・プラクティス:ナレッジ社会の新たな知識形態の実践』(エティエンヌ・ウェンガー, リチャード・マクダーモット, ウィリアム・M・スナイダー, 翔泳社, 2002)
『全員経営:自律分散イノベーション企業 成功の本質』(野中 郁次郎, 勝見 明, 日本経済新聞出版社, 2015)
『凡才の集団は孤高の天才に勝る:「グループ・ジーニアス」が生み出すものすごいアイデア』(キース・ソーヤー, ダイヤモンド社, 2009)
『マインドストーム:子供、コンピューター、そして強力なアイデア』 (シーモア・パパート, 未来社, 1982)
『楽しみの社会学』(M.チクセントミハイ, 新思索社, 改題新装版, 2000)
『フロー体験:喜びの現象学』(M.チクセントミハイ, 世界思想社, 1996)
『フロー体験入門:楽しみと創造の心理学』(M.チクセントミハイ, 世界思想社, 2010)
『声の文化と文字の文化』(ウォルター・J.オング,藤原書店,1991)
『ハイ・コンセプト:「新しいこと」を考え出す人の時代』(ダニエル・ピンク, 三笠書房, 2006)
『「心の時代」にモノを売る方法:変わりゆく消費者の欲求とビジネスの未来』(小阪 裕司, 角川書店, 2012)
『虫眼とアニ眼』(養老 孟司, 宮崎 駿, 新潮文庫, 新潮社, 2008)
『芸術と政治をめぐる対話(エンデ全集16)』(ミヒャエル・エンデ, 岩波書店, 2002)
『独立国家のつくりかた』(坂口 恭平, 講談社現代新書, 講談社, 2012)
『FAMILY GYPSY:家族で世界一周しながら綴った旅ノート』(高橋歩, A-Works, 2013)
『レトリックと人生』(ジョージ・レイコフ, マーク・ジョンソン, 大修館書店, 1986)
『「身体」を忘れた日本人』(養老孟司, C.W.ニコル, 山と渓谷社, 2015)
『惑星の風景:中沢新一対談集』(中沢新一, 青土社, 2014)
『ナチュラル・ナビゲーション:道具を使わずに旅をする方法』(トリスタン・グーリー, 紀伊國屋書店, 2013)
ほか
2017.06.20 Tuesday
23:51 | posted by
井庭 崇
SFCを創設した方々のSFCについての熱い言葉を振り返ると、その当時のコンセプトはまだまだ古びていないし、かつ、僕らにはもっともっとやるべきことがあると感じる。そのなかでも僕がいまでもパワーをもらい刺激を受ける言葉たちを紹介したい。
(『総合政策学部』設置の要旨と構成)「ここでいう”総合”は単なる既存知識の寄せ集めということではなくて、政策が本来もつべき性質としての総合という意味であり、『政策学』はその意味での新しい学問体系の確立を目指すものである。」(慶應義塾年鑑・別冊, 大学教育委員会, 1995)
「今日の社会科学の大半は、一九世紀思想の産物である。…要するに、個々のいわゆる学問分野が着々と制度化されていく過程は、前世紀にはじまったことであって、それ以降のことにすぎないのである。…学問分野の個別化を抑制し、理論と方法論を刷新するためには大学システムの再編成が急務である。」(加藤寛, 『教育改革論』, 1996)
「知の再編成:…藤沢キャンパスでは…近代西欧が生み出した、「観照の知」、「分析の知」にあえて挑戦し、主体と客体が互いに変化する中で、問題を発見し、解決し、デザインする、「行動の知」を追求するのである。」(加藤 寛, 『慶應湘南藤沢キャンパスの挑戦』, 1992)
「価値前提なき社会科学は空虚である」(加藤 寛, 中村 まづる, 『総合政策学への招待』, 1994)
「政策判断は、総合的視点なくしては分析し判断することは不可能である。近代科学から排除されていた価値前提を復権させることが、政策の総合的判断を可能にするのである。」(加藤 寛, 1994)
「SFC開設の背景としては、そうするとこれから21 世紀をつくっていくのを慶應の中につくり出さなけりゃいけない。さまざまな難問がある。で、しかもそこで要請され期待される新しい知と⽅法は何なんだろう? 従来の個別科学ではない。…湘南藤沢キャンパスは、⼈間として、⽇本⼈として、21世紀・22世紀に向かって、今までとは違うかたちで⾃⼰の存在の証を⽴てるのはどうしたらよいかってことなんです。これが新しい知と⽅法の創造なんです。これをしようとしている。」(井関 利明, 授業講演, 2008)
「だから、やっぱり、藤沢みたいなところのもともとの考え方は、従来の考え方とは違うんだよ、ね。古い学問やるんなら三田に来てやったらいい。だけど、あそこでは新しいメソドロジーで学問を展開しようという野心があったんだな。」(石川 忠雄, 映像「SFCキャンパス革命」, 2000)
「未来からの留学生」 「ミネルヴァの梟(ふくろう)」(加藤 寛, 1990, 1994)
「(SFC創設の)2年後くらいあとにその結果を見て、ちょっと失敗だったかなと思った。というのは、ものすごく成功したんですね。『我々の考えはかなり先進的だから、わかるまで5年はかかる』と思っていました。ところが、ものすごく評判がよくなって、『こんなにも早わかりされるコンセプトは安かったな』 『もう少し長めでよかった』と思った」(高橋 潤二郎, 授業講演, 2009)
(政策・メディア研究科の創設時 1994)「新大学院構想委員会に期待された基本的な目標は、『今後の変化する社会において、「社会変革と自己変革を連動させることのできる競争力のある個人」を生み出す』ことは、いかにして可能なのか、そしてそれを保証する制度としての新大学院とは何かを追求することだった。」(孫福 弘, 小島 朋之, 熊坂 賢次 編著, 『未来を創る大学』, 2004)
「SFCは、そこで実践されることが研究であれ教育であれ、つねに「先端性」にいさぎよく徹することこそ、SFCの使命であると確信しています。「実験する精神」で未知の領域に果敢に挑戦することにこそ、SFCの使命があると思います。またかつてのように、あらゆる意味で境界が明確であった二〇世紀的社会では、学問的なディシプリンに典型的にみられるように、分化と統合という方法が妥当有効であったのでしょう。しかし、今すでに展開されつつあるすべての境界が曖昧なネットワーク環境にあっては、新しい方法への模索が開始されなければならないはずです。ここでは先端性と表裏の関係として、融合という方法が価値あるものだと思います。」(SFC21世紀グランドデザイン素案 (2002) by 小島 朋之, 熊坂 賢次, 徳田 英幸,『未来を創る大学』, 2004所収)
「SFCっていうのは、実に遠⼤なる⼀つの計画と願いのもとにつくられたんだよ。あの時代の背景の中でね。混迷する時代の中で。混乱と混迷は今なお続いています。だから、その意味での新しい学問をつくり、新しい学部をつくり、新しい⼤学をつくるための条件が失われたとは思わない。」(井関 利明, 2008)
「SFCはこれからも、『未来を創る大学』として挑戦し続ける。」(『未来を創る大学』, 2004)
References
加藤 寛, 『慶應湘南藤沢キャンパスの挑戦:きみたちは未来からの留学生』, 東洋経済新報社, 1992
加藤 寛, 中村 まづる, 『総合政策学への招待』, 有斐閣, 1994
慶應義塾年鑑・別冊 自己点検・評価 検討結果報告書, 「慶應義塾大学における改革とそれを推進した組織について」, 大学教育委員会, 1995
孫福 弘, 小島 朋之, 熊坂 賢次, 『未来を創る大学:慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)挑戦の軌跡』, 慶應義塾大学出版会, 2004