井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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プレパタ作成物語 第2話(5月22日:KJ法 練習)

5月22日(日)の井庭研B1のゼミの時間は、KJ法の練習。

この日は日曜日なのだけど、SFCでは月曜扱いだった日。(震災の影響で5月始まりになったことのしわ寄せで、日曜日に平日の授業が割り当てられた。)


今回は、前の週にブレインストーミングで出した「面白いもの・こと」を、KJ法でまとめていく。

KJ法というのは、アイデアの距離を、平面上の距離で表して、アイデアの関係性を紡いでいくという空間的収束方法。川喜田 二郎(Kawakita Jiro)さんが提唱した手法なので、KJ法といわれている。

詳しくは、古典的名著である『発想法:創造性開発のために』(川喜田 二郎, 中公新書136, 中央公論社, 1967)を読んでみてほしい。

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ペタペタと付箋の張り替えをしながら、ボトムアップに考えていく。

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とにかく、付箋を何度も何度も張り替えていく。

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この段階ですでに窓の外が暗い。ゼミは16時半から始まるが、いつも夜まで続く。

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まとまりがわかりやすくなるように、線で囲って概念の「地図」を描いていく。

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何時間もずっと立ちながら作業していたので、少し座って考えてみたり。

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こんな感じで、みんなで収束思考をする。

このKJ法、実は、きちんと正しくボトムアップに考えるというのが、なかなか難しい。

でも、そこをきちんとやらなければ、KJ法をやる意味はない。

今回のKJ法の結果はパターン・ランゲージの作成とは直接ないが、今後必要となるKJ法の正しいやり方と感覚をつかむためには不可欠な練習なのだ。

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しかも、きちんと正しくボトムアップにまとめていくと、相当時間がかかる。

最初は、「どうすんの……こんなのまとまるわけないよ……」という絶望的な気持ちになるものだが、経験を積めば「辛抱強く続けていけば必ずまとまる」という確信を持てるようになる。

今回の練習は、その「小さな成功体験」を得るためでもある。

結果は、無事、まとめることができた。めでたしめでたし。

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この瞬間だけが、ほんと楽しい。(残り、99.9%はつらいのです。)

結局、KJ法にかかった時間は、4時間半。


この日の成果は、せっかくなので、研究室の壁にしばらく貼っておいた。

わずか2週間前に出会ったばかりのメンバーで生み出した最初の成果。

それを「壁に貼る」というのがとても重要。次週以降、この紙が目に入ることで、すぐに「自信」を取り戻すことができるから。

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そしてゼミ後は、みんなでご飯。この日は、ラーメン。長後の「能登山」。

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最後はいつも、ご飯を食べておしゃべりをして幸せな気持ちで解散するのがいい。井庭研スタイル。
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プレパタ作成物語 第1話(5月16日:ブレスト練習)

2011年度春学期最初の井庭研は、自己紹介をしたり、進め方を説明したりして、あとは井庭研B1・B2合同の懇親会をやった。

井庭研では、この最初の段階で、井庭研ならではのニックネームを全員につける。しかも、これまで言われてきたような普通の呼び名ではなく、ちょっと変な(面白い)名前をつける。その方が、名字で呼んだりするよりも、打ち解けやすくなるからだ。


そして迎えた第2回目(5月16日)。

この日は、発散思考の方法である「プレインストーミング」の練習。

僕がファシリテートするときの定番である「面白いもの・こと」を挙げていくブレインストーミングをした。「面白さ」は多義的なんで、いろんなものが出てくるし、なんてったて話が盛り上がる。

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とはいえ、まだ出会って1週間しかたっていないので、みんなまだまだよそよそしい。

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そこで、予定通りプロジェクトの作業を早々に切り上げて、みんなで一緒においしいものを食べにいく。このときは、湘南台の焼き肉屋「ざんまい」。

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そして、恒例のカラオケ。歌って、踊って、大笑いして。歌いたくない人は歌わなくてぜんぜん構わない。歌わない学生曰く、「井庭研のカラオケだけは歌わなくても楽しい」らしい。

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とにかくこの段階では、一気に仲良くなることが第一優先。議論やつらい作業をともにやるには、まずはお互いの心の障壁を取り払わないとね。
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プレパタ作成物語、はじまりはじまり。

井庭研ではこれまで、いろいろなパターン・ランゲージを作成してきた。

その紹介をするといつも、その作成プロセスを知りたいという方が結構いる。

そこで、最新の「プレゼンテーション・パターン」(Presentation Patterns、
通称 プレパタ)がどのようにつくられたのかを、徒然なるままに書いてみようと思う。

具体的には、いつどんなふうに何をやったのか、というのを時系列で追っていくことにしたい。


プレゼンテーション・パターンの作成は、今年の2011年5月から11月までの7ヶ月間、井庭研究会(B1)で行われた(プレゼンテーション・パターン プロジェクト)。

その意味で、プレゼンテーション・パターンの作成の歴史は、今年度の井庭研(B1)の歴史でもある。なので、あるひとつのパターン・ランゲージがどのようにつくれらたのかということだけでなく、SFCにおけるあるひとつの研究会の風景を垣間みることにもなるだろう。


以下が、2011度春学期の井庭研のB1とB2のシラバス。


このB1のシラバスを見てエントリーし、面接・選抜の末に履修許可となった7人の学部生が、プレゼンテーション・パターン プロジェクトの初期メンバーとなった。

今年度は、震災の影響で、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)は5月からスタートしたので、物語は、5月から始まることになる。
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