井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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プレパタ作成物語 第6話(6月27日:「パターンの種」づくり 1日目)

2011年6月27日(月)のゼミの時間から、前の週までのKJ法で得られた結果をもとに、「パターンの種」をつくるという作業が始まった。ただし、この回と次の回は、僕が国際学会出張で不在にしていたため、学生メンバーのみで行った。

今回は、どうやるかも含めてかなり悩んだようである。ログの冒頭には、次のような状況が描かれている。引用しよう。

各パターンのソリューションを考える
…とはいいつつどうすればいいか、いきづまる。
この際、やり方を自分達で決めてしまおうか!
学習パターンの冊子を参照してみる。
時差を感じる。先生ボストンだー!
とりあえずやってみよう。
机にポストイットの内容を貼って案出し。

その上で、「わくわくさせる」について話し合ったようだ。しかし、その後、次のようなことが記されている。

なんだかうまくいかないのでやり方変える!!
→まとめの言葉(ポストイットの集合体)をホワイトボードに書いて、やりやすそうなものからやってみる。全部で43個(+細かいもの5つ)結構多い!!
具体的な行動があるものほうがやりやすい。

そして、さらに、「やり方を変えよう!それぞれがいくつかのsolutionを考える!それからみなで出そう!」ということに。

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こうして、一人ひとつずつ担当し、「終わりが始まり」、「環境チェック」、「メリハリ」、「自信感」、「話し方の基本」、「イメージしやすく」が話し合われた。

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それぞれのパターンのSolution案は、次のようになった。

「終わりが始まり」= 意識して聞き手の反応や質問から新しい視点を得て、次に活かす
「環境チェック」= プレゼン流れを止めないために会場の設備を事前にチェックする
「メリハリ」= 抑揚のある話し方をして重要な点をわかりやすくする
「自信感」= 自信のある態度でプレゼンの見栄えがぐんと変わる
「話し方の基本」= まずはここから!!話し方の基本を忘れずに
「イメージしやすく」= 聞き手にとってイメージしやすい工夫をする


この日の夕食は、レストラン「アローム」の出前弁当。BGMは、Lady GAGAとパラレルワールドだったそうだ。

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こうしてこの日が終わり、次の週に全パターンのSolutionをつくるということを目指して、「全パターンのSolutionを考えてくる」のと、「付箋の位置が適切かどうかをチェックしてくる」ということが、次週までの宿題となった。


出張先の米国ボストンでログを読んだ僕は、次のようなメールを送った。

井庭です。

ログ、ありがとう。

twtitterとあわせて、状況が目に浮かびました。
おつかれさま!

このフェーズは、どうすればいいのか不透明なのと、
生みの苦しみとが両方あって、とても苦しいフェーズだよね。
まだ明確な方法論がない領域なのだ。

なので、そんな日に僕が参加できず、ごめんね。m(_ _)m
プロジェクトの一参加者として。


でも。逆に、今日、僕がそこにいなくてよかったな、
とも思いました。

みんなとても苦しかっただろうけれども、僕がいたら、
なんとなく僕が流れをつくったりして、その結果、
自分たちのやっていることに自覚的でないまま、
前に進んでしまったかもしれない。

僕なしで、自分たちで「切り拓く」感じ、少しつかんで
もらえたんじゃないかな。

フロンティアを切り拓くってのは、いつも、そういう
地べたを這い回るような、ベタな努力です。
さらっとクールにかっこよく、なんて感じではない。
どうやればいいのかということも不透明だし、それを
模索するのが、まさに生みの苦しみです。
(その結果は、スカッとするよ。そこは希望をもって!^^)


研究会の宿題というのも、ここで慣れてください。

パターン・ランゲージを書くというのは、いつも、
こういう宿題が伴います。

この各自の宿題 + 研究会でのライターズワークショップ
という感じで進めるので、ようやく、宿題ができる
段階になったということは、喜ばしいことです。

ようやく、ここまで来た。
やっと、来れた。


各自がフルに思考を回転させ、会ったときには、コミュニケーション
の連鎖をフルに回転させ、そのなかで、創造を、クリエイティブな
プロセスをみんなで回していくんです。

苦しみましょう!
楽しみましょう!


ちょっと遠いところからのメールでした。

おつかれさま! & ありがとう!

井庭 崇
プレゼンテーション・パターン作成物語 | - | -

プレパタ作成物語 第5話(6月20日:KJ法 2回目)

2011年6月20日(月)のゼミは、前の週に引き続き、プレゼンテーション・パターンのKJ法。

「プレゼンテーションで大切なこと・こだわり」について書かれたたくさんの付箋を、似ているもの同士を近づけ、ボトムアップにまとまりをつくり、全体の体系化をしていくのだ。

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前回から1週間経っているので、個々の付箋に書いてある内容の意味を忘れていたり、なぜそれらが近くに配置してあるのかという理由がわからなくなっていたりした。そこで、まずはそれらの確認から始まった。

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少しずつ思い出しながら、付箋を移動し、まとまりをつくっていく。

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KJ法の前半では、二枚の付箋同士の関係だけで移動をするが、後半では、できてきた「まとまり」を徐々に意識していくことになる。

しかし、このまとまりを意識するというのを、早い段階でやってはならない。それをしてしまうと、すでに自分のなかにあったカテゴリーに個々の要素を集めて分類するだけになってしまうからだ。それでは、トップダウンになってしまう。

なので、できる限り、付箋に書いてあることに誠実に向き合うことが大切だ。「そこに書かれていること」の奥にある意味に耳を傾ける、と言ってもいいかもしれない。

このミクロの視点からマクロの視点への移行のタイミングがなかなか難しい。

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先に進みたい気持ちをぐっと押さえながら、丹念に個々の付箋間の関係を見ていく。「個々にみていく」といっても、なにしろ200枚以上の付箋があるのだから、実際の作業には膨大な時間がかかる。

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そして、ようやくすべての付箋が意味の近いもの同士が近くにまとまっているという状態に到達した。ひとまず一段落。すでに外は暗く、時計は8時を指している。

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少しのあいだ喜びを噛みしめ、すぐに次の段階に入る。次は、「まとまり」同士の関係性を考えて、「まとまり」の配置換えを行うという段階である。

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この「まとまり」の移動は、複数枚の付箋を同時に動かすことになるので、みんなで協力しながら行う。ときには、民族大移動のように、たくさんの付箋が一気に移動することもある。移動先のスペースを確保するため、その周辺のまとまりを動かしたりと、結構ダイナミックな配置換えが必要となる。

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ようやく全体に秩序ができ始めてきた。さすがに体力的にも思考的にも疲れてきた。

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ここまでくれば、あとは「まとまり」がわかりやすいように囲って、その「まとまり」にラベルをつけていく。

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このときに使うのは、太いマジック。今後の方向性を決めるまとまりなので、しっかりした線で書くのがよい。ちなみに、付箋に字を書くのは水性サインペン。ペンにもこだわりをもって使い分けている。

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どんどん囲って、それぞれのまとまりに名前をつけていく。この名前の付け方も、厳密にやるとなかなか難しい。その「まとまり」の中身を端的に表すことばを新たに考えたり、その「まとまり」を代表するような付箋のことばを使ったりして、まとまりに名前をつけていく。

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最後の仕上げとして、すべての付箋をセロテープでとめる。何度もつけたりはがしたりしているので、粘着部分が弱くなっているからだ。ずっと流動的だったものをここで固定するという、心理的な意味もある。

そして、模造紙の余白に全体のタイトルをつけたりして、完成となる。

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こうして、自分たちなりの「プレゼンテーションで大切なこと・こだわり」をまとめた全体像=地図ができあがる。時計は10時過ぎを指している。今日始めてから5時間半、前回から合わせると11時間かかったKJ法がようやく終った。

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この「プレゼンテーションで大切なこと・こだわり」の地図は、研究室の壁一面を使って貼っておいた。これを、今後パターン・ランゲージを書く際に何度も参照することになる。

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これが、僕らのブレインストーミングからKJ法までを経て、得られた成果。これを各自、デジカメや携帯カメラで撮影し、いつでも参照できるようにして、パターン・ランゲージを書いていくことになる。

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↑クリックで拡大(1.5M)


片付けをした後は、湘南台デニーズで遅い夕飯。夜11時くらいに入れるお店で、飲み屋でないところといえば、ファミレスくらいしかない。

それでも、最後はおいしいものを食べてほっこりして、おしゃべりをしてリラックスして帰る。これが大切。おつかれさまでした〜。

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プレゼンテーション・パターン作成物語 | - | -

プレパタ作成物語 第4話(6月13日:KJ法 1回目)

2011年6月13日のゼミでは、まず最初に僕が、井庭研がつくっているような新しいタイプのパターン・ランゲージの特徴と位置づけについての解説をした。

これが後に、解説論文「パターンランゲージ 3.0:新しい対象 × 新しい使い方 × 新しい作り方」(井庭 崇, 情報処理, Vol.52 No.9, 2011)としてまとめられる「パターン・ランゲージ3.0」のアイデアの初期バージョンである。

僕は日頃、新しく考えたことを、まず井庭研メンバーに話し、フィードバックをもらいながら、それを洗練させていく。今回もまさにそういうプロセスを経て、考えを煮詰めていった。

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そんな話を30分くらいした後、プレゼンテーション・パターン制作に入った。

この日にやったのは、前の週にブレインストーミングで出した「プレゼンテーションにおける大切なこと・こだわり」を体系化してまとめる「KJ法」である。

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机を2つを並べ、そこに4枚の模造紙をひろげる。その上に、すべての付箋をでたらめに置いていく。この状態からスタートする。

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いつもに比べ、付箋の数がかなり多い。この無秩序な状態を眺めていると、本当に絶望的な気持ちになる。(下の写真は、2つ上の写真から2時間が経過したときの風景。全体的には、ほとんど変化がないことがわかるだろう。これをやっている本人たちは、本当に苦しい時間を過ごしている。)

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それでも、付箋ひとつひとつの意味を再確認しながら、少しずつ配置を変えていくしか、前に進む道はない。

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「これはどういう意味だっけ?」とか「これとこれは近いと思うんだけど、どうだろう?」というような会話をしながら、意味が近い付箋同士を近づけていく。

しかし、どうも空間が狭すぎるということがわかってきた。こんなに混み合っていては、どれとどれがまとまりなのかがわかりにくい。そこで、机をもう1つ足して、模造紙を2枚追加した。これで広くなって、余裕ができた。

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狭い空間に詰め込まれていた付箋が広く散ったことで、だいぶ作業がやりやすくなった。

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どんどん付箋は動くが、依然として秩序は感じられず、まだまだ先は長い。しかし、辛抱強く続けていく。

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みんな、だんだん身を乗り出してくる。それだけノってきたということだ。BGMは、Lady GaGa。

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少しずつではあるが、まとまりができ始める。ようやくこの段階。

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僕も参加者のひとりとして、KJ法に参加している。

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こうして、最初の無秩序な状態とは明らかに異なる、あちこちにまとまりがあるような全体になっていく。

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しかし、結局この日は、最後までまとまらなかった。まとまりはでき始めていたが、それらはまだあやふやで、無秩序な部分も残っていたし、まとまり同士の関係性もまだ考えられていなかったからだ。

終了したのは、夜10時半。つまり、この日、5時間半もKJ法に取り組んでいたことになる。終った後は、さすがにみんなげっそり。。。


ログ係のメールに、この日の雰囲気が書かれているので、一部紹介。

先週の「魅力的なプレゼン」でブレストしたものをKJ法でまとめていく。
先週こんなに出したのか?と思うくらい多くの要素がでていた。

実際に机の上に並べると膨大な量で、はじめはかなりとまどった。

でも、最初から完璧にくっつけようとするのではなく、それとなく近いものでもいいから、行動を起こさないと、場がかなり硬直状態に陥ることがわかった。

また、ブレストをしたのが1週間前なので、ポストイットに書いてある内容だけではわからない部分も多く、その解明にかなり時間を割いた気がする。

永遠とKJ法。

今日は終わることができず、来週に持ち越し。

「本気のKJ法はかなり疲れる」と井庭先生のメールにあったが本当だった。

来週もがんばりましょう。


この日は、食べやすい夕食(サンドイッチなど)を各自持って来て、作業の合間に食べるというスタイルでやったのだが、あまりよくないことがわかった。げっそりしたまま帰ることになるからだ。やはり、ゼミの後の食事は欠かせないということを痛感した。この日以降は、遅くなっても必ずみんなで食べに行くことに。


そして、僕といえば、次の日の井庭研B2でも、「パターン・ランゲージ3.0」のアイディアを(より洗練されたバージョンで)紹介した。こうやって、少しずつ詰めていくのだ。まさに、ラーニング・パターンでいう「『はなす』ことでわかる」である。

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プレパタ作成物語 第3話(6月6日:ブレインストーミング)

ブレインストーミングとKJ法の練習も終わり、2011年6月6日のゼミでは、「プレゼンテーションで大切なこと」をテーマにしたブレインストーミング(以下、ブレスト)を行った。

この日は、ブレストを屋外でやることにした。教室にいるよりも外にいる方が気持ちよい季節だったからだ。そこで、SFC(湘南藤沢キャンパス)にある「鴨池」に集まり、芝生の上でブレストを始めた。

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発散思考は開放的な空間でやるのがよいと、SFCの同僚の中西さんの本『アイデアキャンプ:創造する時代の働き方』(中西 泰人, 岩嵜 博論, 佐藤 益大, NTT出版, 2011)にも書いてあった。同感だ。

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メンバーは全員、春休みの課題で、TED talk等から好きなプレゼンテーションを選び、それがどのように優れているのかを分析している。そんな経験も踏まえて、「よいプレゼンテーションを実現するには、何が不可欠か」ということを考えていった。

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僕らは「プレゼンテーション」というものを広く捉えることにした。パワーポイントを用いたプレゼンテーションだけでなく、ダンスや演劇、音楽の演奏なども含めて、広義のプレゼンテーション/パフォーマンスをイメージして、「大切」だと思うことや「こだわり」のポイントを挙げていった。

このような広義の定義にすることで、パワーポイント・プレゼンテーションの経験が少ないメンバー(彼らは学部生なので)にもいろいろな経験が蓄積されているし、最終的につくるパターン・ランゲージも広い領域をカバーできるようになるだろう。そう考えた。

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夕方になり、少し肌寒くなってきたので、場所を変えて続けることにした。今度は、大学院棟の2階のオープンスペース。ここは屋内ではあるが、開放的な空間なのだ。

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さらに、プレゼンテーションにおける「大切」な点や「こだわり」の点をあげていく。「新しく加わった後輩に伝えるとしたら、何を伝えるか」というイメージで、なるべく本質的に重要な要素を挙げていこうとした。

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今回のこのブレストの結果をもとにパターン・ランゲージがつくられるので、とにかくいろいろな側面から考え、たくさんの「大切」・「こだわり」を出していく。後半戦は、なかなか出にくくなり、苦しくなってくる。

そこで、屋上でしばしの休憩。夕日がきれいだった。新鮮な空気も吸って、頭をリフレッシュさせる。

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最後のもう一押し。「これで、すべて出し切った」というところまで、粘り強く出していく。陽が落ち、あたりも暗くなっきた。

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こうして、プレゼンテーション・パターンの素が大量に生み出された。

ゼミの後はやはり、おいしいものを食べに行って、おしゃべりをして、たくさん笑って、疲れた頭と身体を癒す。この日は、長後の中華料理「万里城」。

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プレゼンテーション・パターン作成物語 | - | -

井庭研 12月の公開企画の予定一覧

今年もあと1ヶ月ですね。

2011年12月の井庭研の公開企画は、以下のとおりです。


12月5日(月)5限〜 井庭研B1 特別対談「建築とコミュニケーションのパターン・ランゲージ」(中埜 博 × 井庭 崇)@ ε11 教室

12月6日(火)1限 研究会紹介 @「総合政策学の創造」(英語)

12月6日(火)5限 井庭研B2 オープン・ゼミ 「『社会システム理論【リアリティ・プラス】』を読む! — 前半」

12月19日(月)6限 井庭研説明会(B1&B2:2012年度新規履修希望者向け) @ ε11 教室

12月20日(火)5限 井庭研B2 オープン・ゼミ 「『社会システム理論【リアリティ・プラス】』を読む! — 後半」 @ ι12教室
井庭研だより | - | -

プレパタ作成物語 第2話(5月22日:KJ法 練習)

5月22日(日)の井庭研B1のゼミの時間は、KJ法の練習。

この日は日曜日なのだけど、SFCでは月曜扱いだった日。(震災の影響で5月始まりになったことのしわ寄せで、日曜日に平日の授業が割り当てられた。)


今回は、前の週にブレインストーミングで出した「面白いもの・こと」を、KJ法でまとめていく。

KJ法というのは、アイデアの距離を、平面上の距離で表して、アイデアの関係性を紡いでいくという空間的収束方法。川喜田 二郎(Kawakita Jiro)さんが提唱した手法なので、KJ法といわれている。

詳しくは、古典的名著である『発想法:創造性開発のために』(川喜田 二郎, 中公新書136, 中央公論社, 1967)を読んでみてほしい。

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ペタペタと付箋の張り替えをしながら、ボトムアップに考えていく。

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とにかく、付箋を何度も何度も張り替えていく。

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この段階ですでに窓の外が暗い。ゼミは16時半から始まるが、いつも夜まで続く。

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まとまりがわかりやすくなるように、線で囲って概念の「地図」を描いていく。

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何時間もずっと立ちながら作業していたので、少し座って考えてみたり。

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こんな感じで、みんなで収束思考をする。

このKJ法、実は、きちんと正しくボトムアップに考えるというのが、なかなか難しい。

でも、そこをきちんとやらなければ、KJ法をやる意味はない。

今回のKJ法の結果はパターン・ランゲージの作成とは直接ないが、今後必要となるKJ法の正しいやり方と感覚をつかむためには不可欠な練習なのだ。

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しかも、きちんと正しくボトムアップにまとめていくと、相当時間がかかる。

最初は、「どうすんの……こんなのまとまるわけないよ……」という絶望的な気持ちになるものだが、経験を積めば「辛抱強く続けていけば必ずまとまる」という確信を持てるようになる。

今回の練習は、その「小さな成功体験」を得るためでもある。

結果は、無事、まとめることができた。めでたしめでたし。

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この瞬間だけが、ほんと楽しい。(残り、99.9%はつらいのです。)

結局、KJ法にかかった時間は、4時間半。


この日の成果は、せっかくなので、研究室の壁にしばらく貼っておいた。

わずか2週間前に出会ったばかりのメンバーで生み出した最初の成果。

それを「壁に貼る」というのがとても重要。次週以降、この紙が目に入ることで、すぐに「自信」を取り戻すことができるから。

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そしてゼミ後は、みんなでご飯。この日は、ラーメン。長後の「能登山」。

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最後はいつも、ご飯を食べておしゃべりをして幸せな気持ちで解散するのがいい。井庭研スタイル。
プレゼンテーション・パターン作成物語 | - | -

プレパタ作成物語 第1話(5月16日:ブレスト練習)

2011年度春学期最初の井庭研は、自己紹介をしたり、進め方を説明したりして、あとは井庭研B1・B2合同の懇親会をやった。

井庭研では、この最初の段階で、井庭研ならではのニックネームを全員につける。しかも、これまで言われてきたような普通の呼び名ではなく、ちょっと変な(面白い)名前をつける。その方が、名字で呼んだりするよりも、打ち解けやすくなるからだ。


そして迎えた第2回目(5月16日)。

この日は、発散思考の方法である「プレインストーミング」の練習。

僕がファシリテートするときの定番である「面白いもの・こと」を挙げていくブレインストーミングをした。「面白さ」は多義的なんで、いろんなものが出てくるし、なんてったて話が盛り上がる。

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とはいえ、まだ出会って1週間しかたっていないので、みんなまだまだよそよそしい。

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そこで、予定通りプロジェクトの作業を早々に切り上げて、みんなで一緒においしいものを食べにいく。このときは、湘南台の焼き肉屋「ざんまい」。

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そして、恒例のカラオケ。歌って、踊って、大笑いして。歌いたくない人は歌わなくてぜんぜん構わない。歌わない学生曰く、「井庭研のカラオケだけは歌わなくても楽しい」らしい。

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とにかくこの段階では、一気に仲良くなることが第一優先。議論やつらい作業をともにやるには、まずはお互いの心の障壁を取り払わないとね。
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プレパタ作成物語、はじまりはじまり。

井庭研ではこれまで、いろいろなパターン・ランゲージを作成してきた。

その紹介をするといつも、その作成プロセスを知りたいという方が結構いる。

そこで、最新の「プレゼンテーション・パターン」(Presentation Patterns、
通称 プレパタ)がどのようにつくられたのかを、徒然なるままに書いてみようと思う。

具体的には、いつどんなふうに何をやったのか、というのを時系列で追っていくことにしたい。


プレゼンテーション・パターンの作成は、今年の2011年5月から11月までの7ヶ月間、井庭研究会(B1)で行われた(プレゼンテーション・パターン プロジェクト)。

その意味で、プレゼンテーション・パターンの作成の歴史は、今年度の井庭研(B1)の歴史でもある。なので、あるひとつのパターン・ランゲージがどのようにつくれらたのかということだけでなく、SFCにおけるあるひとつの研究会の風景を垣間みることにもなるだろう。


以下が、2011度春学期の井庭研のB1とB2のシラバス。


このB1のシラバスを見てエントリーし、面接・選抜の末に履修許可となった7人の学部生が、プレゼンテーション・パターン プロジェクトの初期メンバーとなった。

今年度は、震災の影響で、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)は5月からスタートしたので、物語は、5月から始まることになる。
プレゼンテーション・パターン作成物語 | - | -

プレゼンテーション・パターン プロジェクト

「プレゼンテーション・パターン」を制作した、プレゼンテーション・パターン プロジェクト(Presentation Patterns Project)を紹介したいと思います。

プレゼンテーション・パターンは、井庭 崇(慶應義塾大学 総合政策学部准教授)をリーダーとして、総合政策学部・環境情報学部に所属する学部1~4年生、坂本 麻美、松村 佳奈、荒尾 林子、柳尾 庸介、濱田 正大、村松 大輝、松本 彩、下向 依梨、中野 えみり、仁科 里志、野村 愛、安浦 沙絢、原澤 香織、山口 祐加によって制作されました。プレゼンテーション・パターンは、SFC井庭研の学部生14人と僕でつくりました。

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このプロジェクトは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の井庭崇研究室のプロジェクトとして、2011年5月より始まりました(2011年度春学期 研究会シラバス 参照)。春からのメンバーは、坂本麻美、松村佳奈、荒尾林子、柳尾庸介、濱田正大、村松大輝、松本彩と僕の計8人です。この段階で、プレゼンテーション・パターンの種ができています。

秋(2011年度秋学期 研究会シラバス 参照)からは、春からのメンバーに加え、下向依梨、中野えみり、仁科里志、野村愛、安浦沙絢、原澤香織、山口祐加も加わりました。継続メンバーと新規メンバーで力をあわせ、パターンの内容と記述の洗練を重ね、今回のバージョンが完成しました。

冊子のイラストも編集も、すべてプロジェクトメンバーが行っています。

イラストは、井庭 崇、原澤 香織、荒尾 林子が担当し、手描きから始めて、最後にはAdobe Illustratorで清書しています。

冊子の編集は、中野 えみり、門谷 めぐみ、濱田 正大、井庭 崇が担当しました(門谷は、井庭研の別プロジェクトのメンバーですが、冊子の編集に参加しました)。冊子は、Adobe InDesignで制作しています。Presentation Patternsのロゴは、村松 大輝が作成し、井庭 崇が表紙デザインをしています。

このプロジェクトが井庭研の学部生で構成されているという話はすでにしましたが、学年構成は、1年生2人、2年生6人、3年生4人、4年生2人となっています(SFCでは学部1年生から研究会(研究室、ゼミ)に所属できるので1、2年生もメンバーにいるのです)。

プレゼンテーション・パターンの感想やコメントを、ぜひプロジェクト・メンバーにいただければと思います。メールにて、 presentpatterns [at] sfc.keio.ac.jp までお願いいたします。

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プレゼンテーション・パターン | - | -

プレゼンテーション・パターン(Presentation Patterns)の紹介

あらゆる分野・領域でイノベーションが求められている現在、自分の考えや新しいアイデアについてプレゼンテーションすることが、ますます重要になっています。そこで求められているプレゼンテーションというのは、単なる「伝達」ではなく、そのこと自体が新しい「創造」であるような「創造的プレゼンテーション」(Creative Presentations)ではないでしょうか。

創造的プレゼンテーションは、聞き手が自身の経験・知識を混ぜ合わせた新しい認識や発見をつくることを誘発し、次なる行動を生み出すことで、未来をつくリ出します。そのような創造的プレゼンテーションは、一体どのように実現できるのでしょうか?

img359_PresentationPatterns230.jpg井庭研プレゼンテーションパターン プロジェクトでは、創造的プレゼンテーションのデザインの秘訣を「プレゼンテーション・パターン」というかたちにまとめました。ここには、プレゼンテーション・デザインの視点や方法が34個収録されています。

ホームページでは冊子のPDFを公開しているほか、twitterでもプレゼンテーション・パターンを発信しています。ぜひ、プレゼンテーション・パターンをみなさんのプレゼンテーション・デザインに活かしてみませんか。


■ プレゼンテーション・パターンの全体像

冊子『Presentation Patterns』には、プレゼンテーション・パターンが全部で34個収録されています。

中心には「創造的プレゼンテーション」(No.0) があり、それに続いて、創造的プレゼンテーションの本質である「メインメッセージ」(No.1)、「心に響くプレゼント」(No.2)、「成功のイメージ」(No.3)が続きます。

その後のパターンは、大きく分けて3 つのまとまりに分かれています。第一のまとまりは No.4 からNo.12 までの「内容・表現」に関するパターン、第二のまとまりはNo.13 からNo.21 までの「魅せ方」に関するパターン、第三のまとまりは No.22 からNo.30 までの「振る舞い」に関するパターンです。
 
そして最後に、「独自性の追求」(No.31)、「魅せ方の美学」(No.32)、「生き方の創造」(No.33) という3 パターンで締めくくられます。
 
これらのパターンが相互に関係し合うことで、創造的プレゼンテーションのデザインを支えます。

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↑プレゼンテーション・パターンの全体像(クリックで拡大)



■ プレゼンテーション・パターンの読み方

個々のプレゼンテーション・パターンは、ある一定の形式で記述されています。ここでは、パターンがどのような形式で記述されているのかについて説明しておくことにします。

各パターンの左ページには、そのパターンの内容をつかむための概要が書かれています。上から順にみていくと、「パターン番号」、「パターン名(日本語)」、「パターン名(英語)」、「導入文」、「イラスト」、「引用文」となります。

まずページの左上に書いてあるのが、各パターンにつけられた「パターン番号」(Pattern Number)です。それに続くのが、日本語と英語の「パターン名」(Pattern Name) です。パターン名は、パターンの内容を適切に表し、かつ魅力的で覚えやすいようにつけられています。

その次に来る「導入文」(Introductory Sentence)、「イラスト」(Illustration)、および「引用文」(Quotes) は、そのパターンの内容を生き生きとイメージできるようにするためのものです。

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各パターンの右ページには、そのパターンの詳細、つまり学びのコツの詳細が書かれています。上から順にみていくと、「状況」、「問題」、「フォース」、「解決」、「アクション」、「結果」となります。

まず最初に、そのパターンをどのようなときに使うのかという「状況」(Context)が書かれています。

区切りを示す「▼ その状況において」の後、その状況において生じやすい「問題」(Problem)が、太字で書かれています。その下には、その問題の解決を困難にしている原因が「フォース」(Forces)として示されています。フォースとは、物事や人間についての変えることができない力や法則性のことです。問題の解決が困難なのは、これらの諸力をすべて解決しなければならないからです。

そして、区切りを示す「▼ そこで」の後、その問題に対する「解決」(Solution)の考え方が、太字で書かれています。「解決」は抽象的に書かれており、それを具体的なレベルに落とすとどうなるかが、「アクション」(Actions)の部分に書かれています。

再び区切りを示す「▼ その結果」が来た後、このパターンを適用したときの予想される「結果」(Consequences) が書かれています。

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ぜひ、「プレゼンテーション・パターン」ホームページから冊子のPDFをダウンロードし、実際に内容をみてみてください。詳しくはこちら。→ 「プレゼンテーション・パターンのホームページ&twitter bot」
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