井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

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井庭研 新規履修の追加募集について(防災、政策、経営、Webアプリ、映像)

井庭研「Creative Media Lab:創造社会を支える方法・道具をつくる」では、一部のプロジェクトで、追加募集を行います!

2月2日(土)にSFCで行われる「井庭研カンファレンス」に参加し、説明を受けた上で、下記の要領でエントリーをしてください。


【追加募集をするプロジェクトと欲しいメンバー】

(1) Survival Language Project(大地震で生きのびるためのパターン・ランゲージの作成)
→「防災」、特に個人や家族のレベルの防災対策・支援に関心がある人

(4) Policy Language Project(政策デザインのためのパターン・ランゲージの作成 & 新しい政策形成の仕組みづくり)
→「政策」についての勉強・研究をしてきた人

(5) Creative Management Project(企業・組織の創造性を高めるための仕組みづくり)
→「経営」についての勉強・研究をしてきた人、特に、「組織論」に興味がある人

(8) Diagnosis Systems Project(漸進的成長を支援するパターン診断システムの構築)
→ 「Webアプリ」の開発ができる「技術系」の人

(9) Pattern Filming Project(パターン・ランゲージに関する映像制作)
→「映像」の撮影・編集等の「技術・スキル」を持っている人

(A) ツッコミ・パターン プロジェクト(コミュニケーションを円滑にする"ツッコミ"のパターン・ランゲージの制作)
→「コミュニケーションの支援」に興味がある人、もしくは「お笑い」が好きな人


以下、追加募集があるプロジェクト紹介の抜粋です。(研究会全体についての説明等は、井庭研の研究会シラバスを必ずご覧ください。)


(1) Survival Language Project(大地震で生きのびるためのパターン・ランゲージの作成)
関東や東海での大地震が予想されているように、地震大国・日本ではこれからも大きな地震が起きることは間違いない。大地震はいつ起きるのかは事前には予測できず、突発的に起きる。しかも、起きたときにはその場で各自が意思決定をしなければ命の危険もある。そうであるにもかかわらず、日常生活のなかでは大地震への意識は徐々に薄れていき、備えも疎かになりがちである。そこで、本プロジェクトでは、大地震の際に生きのびることを支援するメディアとして、「大地震が起きる前の備え」、「起きたときにどうすべきか」、「発生後に何をすべきか」の知恵・教訓をパターン・ランゲージとして記述・制作する。そして、それがコミュニティ/社会に根付く「生きたランゲージ」となる仕組みづくりにも取り組みたい。過去の大地震から得られた教訓や知恵をイメージするためには、『地震イツモノート』(渥美 公秀 監修, 地震イツモプロジェクト 編)や『人が死なない防災』(片田 敏孝)などを読んでみてほしい。[2013年度からの新プロジェクト]

(4) Policy Language Project(政策デザインのためのパターン・ランゲージの作成 & 新しい政策形成の仕組みづくり)
これからの社会のあり方を考えるとき、政治システムだけに頼るのでは立ち行かないということが近年明らかになってきた。社会デザインのアイデアが枯渇している状況においては、「すべてを一部の人に任せて、承認だけする」というかたちではなく、自分たちでアイデアを出し、具体化し、政策にまとめていくことが必要となる。つまり、自分たちで自分たちの未来をデザインするためには、単に「要求する」のではなく「政策をつくる」まで行うことが求められるのである。しかし、政策をつくる上での様々な発想・思考については、共有されているわけではない。そこで、本プロジェクトでは、「社会の構造・仕組み」「政策」「政策形成プロセス」の観点から、政策デザインの秘訣をパターン・ランゲージとして記述する。この政策デザインのパターン・ランゲージを「政策言語」(policy language)と呼ぶことにしたい。そして、そのような政策言語の形成と活用を踏まえた政策立案プロセスを構想する。政策言語の考え方については、「竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(まとめ)」とその映像[前半, 後半]を見てみてほしい。[2013年度からの新プロジェクト]

(5) Creative Management Project(企業・組織の創造性を高めるための仕組みづくり)
企業・組織においては、メンバーが創造性を発揮してイノベーションを起すことが必要となっている。しかし、これまで「教え込む」かたちの制度・仕組みは整備されてきたが、創造性を高める制度・仕組みはほとんど実現されていない。本プロジェクトでは、企業・組織をより創造的な場とするために、その企業・組織のメンバーが自分たちのパターン・ランゲージをつくることで、その企業・組織における創造を支援するという仕組みを探究・提案する。また、実際に企業・組織においてファシリテーションを行い、企業・組織における新しい知の循環を支援する。このような取り組みに関連する話としては、「井庭崇氏×武田隆氏対談(前編):クリエイティブなコラボレーションの秘訣とは」「井庭崇氏×武田隆氏対談(後編):”誤解”が生み出すコラボレーションの秘密」、および(扱っている事例が古いが)「組織の課題はパターン・ランゲージで解決:SFC井庭崇研究室」で語っているので、それらを読んでほしい。[2012年度末からの新プロジェクト]

(8) Diagnosis Systems Project(漸進的成長を支援するパターン診断システムの構築)
建築における最初のパターン・ランゲージを提唱したクリストファー・アレグザンダーは、パターン・ランゲージを、少しずつ改良して成長させていく「漸進的成長」(piecemeal growth)のためのメディアだと捉えていた。彼のパターン・ランゲージの現実への応用を紹介している『オレゴン大学の実験』(クリストファー・アレグザンダー)では、「診断」と「修復」ということが強調された。本プロジェクトは、パターン・ランゲージを用いて自己診断をし、それを踏まえた漸進的成長を支援する情報システムの提案・開発を行う。扱うのは、井庭研パターン・ランゲージ3部作の「ラーニング・パターン」、「プレゼンテーション・パターン」、「コラボレーション・パターン」である。診断システムのイメージをつかむためには、「Generative Beauty 診断」(http://www.generativebeauty.jp のトップメニュー「Diagnosis」から辿れる)をやってみてほしい。[2012年度末からの新プロジェクト]

(9) Pattern Filming Project(パターン・ランゲージに関する映像制作)
創造を支援するメディアとして「パターン・ランゲージ」の方法は有力なものであるが、それについての解説・紹介は、これまで多くの場合専門書のなかでなされるだけであった。そのため、この新しい方法・道具の有用性・可能性を多くの人に理解してもらうのは難しく、その普及にも限界がある。そこで、パターン・ランゲージについて、その歴史と背景にある思想、さらには最近の新しい動きについてのドキュメンタリー映像を制作・公開する。具体的には、国内外の関係者へのインタビューを行い、それに英語・日本語の字幕をつけた上で公開していく。また、パターン・ランゲージの思想や世界観と合う映像をつくるために、メンバー自身、それらの深い理解をした上で、それを踏まえた表現を行う。パターン・ランゲージの歴史については『パターン、Wiki、XP:時を超えた創造の原則』(江渡浩一郎)や「パターンランゲージ 3.0:新しい対象 × 新しい使い方 × 新しい作り方」にわかりやすくまとめられているので、読んでみてほしい。また、担当教員(井庭)がつくった映像「Holistic Pattern Mining (Collaboration Patterns Project)」が公開されているので、こちらも見てみてほしい。[2012年度秋学期からのプロジェクト]

(A) ツッコミ・パターン プロジェクト(コミュニケーションを円滑にする"ツッコミ"のパターン・ランゲージの制作)
コミュニケーションを円滑にする"ツッコミ"のコツについてのパターン・ランゲージを制作します。お笑いが好きな人でも、コミュニケーションに興味がある人でも、大募集です。[2013年度からの新・自主プロジェクト]


【追加募集エントリー方法】

  • 研究会シラバスをしっかりと読み、2月2日(土)の井庭研カンファレンスに参加した上で、以下の情報を2月4日(月)までにメールで提出してください。

    エントリーメールの提出先: ilab-entry2012 [at] sfc.keio.ac.jp
    メールのサブジェクト(件名): 井庭研 履修希望(追加募集)
    以下の内容を書いたファイル(PDFもしくはWord)を、メールに添付してください。

    井庭研 履修希望
    (1) 氏名(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名, 顔写真*
     *写真はスナップ写真等で構いません。説明会や最終発表会の際にプロジェクトメンバーと個別に話すときに本人の特定が必要になるために提出してもらいます。
    (2) 自己紹介(適宜、写真や図などを入れてください)
    (3) 参加希望プロジェクト名
    (4) 志望理由、意気込み、自分が貢献できそうなこと・領域
    (5) 持っているスキル/得意なこと(グラフィックス・デザイン, 映像編集, 外国語, プログラミング, 音楽, スポーツなど, その他)
    (6) これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
    (7) これまでに履修した授業のなかで、お気に入りのもの(複数可)
    (8) これまでに所属した研究会(あれば)
    (9) 来学期、並行して所属する予定の研究会(あれば)
  • 井庭研だより | - | -

    2月2日(土)に、井庭研カンファレンスを開催します!

    2013年2月2日(土)に「井庭研カンファレンス」を開催します。

    今回は、今年度の研究発表と、来年度からのプロジェクト紹介を行います。

    また、現在制作中のパターン・ランゲージについてのドキュメンタリーのインタビュー映像の上映もあります。

    井庭研の活動や創造性の支援、パターン・ランゲージ等に興味がある方は、ぜひお越しください。

    来年度のプロジェクトに協力・コラボレーションしてくださる方も歓迎です。

    学内の学生はもちろんのこと、学外の一般の方の参加も歓迎です。(事前登録不要・無料)


    井庭研カンファレンス(2012年度秋学期)
    2013年2月2日(土)@ 大学院棟 τ11(タウ11)教室


    9:40- 開場
    10:00- 開会式

    10:05- 基調講演
    • 「クリエイティブ・メディアとしてのパターン・ランゲージ」(井庭 崇)

    10:30- 井庭研B2 研究発表(Part 1)
    • 「自分らしく生きる:人間行為にマスタープランはない」(仁科 里志)
    • 「イベントによるクリエイティブ思考の誘発」(青木 遊)

     ■ ドキュメンター・インタビュー映像上映(Part 1)

    11:40- 井庭研B2 研究発表(Part 2)
    • 「Pedagogical Patterns: A Pattern Language for Creative Learning」(瀬下 翔太, 小原 和也, 渋谷 岳史, 田下 光, 本田 卓也, 窪田 哲郎, 廣川 那佳)
    • 「Personal Culture Project:自生的な未来デザインのための仕組みづくり」(仲田 未佳)
    • 「Local Knowledge Patterns from Nepal: Pattern language for Fertile Living」(門谷 めぐみ)
    • 「Creating Generative Society by Fostering Social Entrepreneurship: A Need for Social Entrepreneurship Education and Change Making Patterns」(下向 依梨)

    (ランチ)※各自ご持参ください。

    13:30- 井庭研プロジェクト 成果報告
    • Collaboration Pattern Project
    • Generative Beauty Project

    14:10- 卒業プロジェクト研究発表
    • 「Creating a Generative Language for Living Lively and Beautiful: Lessons from the Generative Beauty Project」(荒尾 林子)
    • 「問題発見のためのパターン・ランゲージ:組織の未来を創造してきた経営者に学ぶ」(濱田 正大)
    • 「組織にパターン・ランゲージを活用する有用性:パターン・ランゲージ作成ワークショップを通して」(柳尾 庸介)
    • 「キャリアデザイン・パターンによる:創造的な「生き方」に向けた方法論探求」(小原 和也)


    15:20- 来年度の井庭研の新体制について

    15:25- コア・プロジェクト テーマ発表

    創造的な生き方 - Ways of Creative Living
    • Survival Language Project(大地震で生きのびるためのパターン・ランゲージの作成)
    • “good old future” Project(”なつかしい未来”をつくるためのパターン・ランゲージの作成)
    • Global Life Project(グローバルな時代の生き方のパターン・ランゲージの作成)

    創造的な社会のあり方 - Foundation for Creative Society
    • Policy Language Project(政策デザインのためのパターン・ランゲージと仕組みづくり)
    • Creative Management Project(企業・組織の創造性を高めるための仕組みづくり)
    • Creative Education Project(つくることによる学びの支援と仕組みづくり)

    漸進的成長の仕組み - Tools for Piecemeal Growth
    • Generative Beauty Project(いきいきとした美の発見を支援するシステムの開発)
    • Diagnosis Systems Project(漸進的成長を支援するパターン診断システムの構築)
    • Pattern Filming Project(パターン・ランゲージに関する映像制作)

    16:25- 自主プロジェクト テーマ発表
    • Change Making Project
    • Personal Culture Project
    • Career Design Pattern Project

    • Slow Fashion Pattern Project
    • Empathic Visual Design Pattern Project
    • Wedding Pattern Project

    • ツッコミ Pattern Project
    • Family Pattern Project
    • Produce Pattern Project

    ■ドキュメンター・インタビュー映像上映(Part 2)

    17:55- 閉会式
    18:30 終了

    ※発表順や時間は、変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

    ※昼食の時間が短いため、サンドイッチやお弁当などを事前に購入・準備し、ご持参ください。会場でお召し上がりいただけます。


    SFCまでの交通アクセス
    http://www.sfc.keio.ac.jp/maps.html

    SFC キャンパスマップ
    http://www.sfc.keio.ac.jp/about_sfc/campus_map.html
    ※大学院棟 τ館は、この地図の(11)です。

    問い合わせ
    ilab [at] sfc.keio.ac.jp
    井庭研だより | - | -

    書籍版『プレゼンテーション・パターン』が、いよいよ出版されます!

    井庭研のプレゼンテーション・パターンが、いよいよ書籍として出版されます!


    『プレゼンテーション・パターン :創造を誘発する表現のヒント』
    (井庭 崇 + 井庭研究室, 慶應義塾大学出版会, 2013年2月)


    四六判/並製/170頁
    ISBN:978-4-7664-1989-4
    (4-7664-1989-8)
    定価 1,470円

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    2013年2月3日頃から書店に出るということです。ぜひ、お手に取ってご覧いただければと思います。

    この本の帯に書いた紹介文は、こんな感じです。

    プレゼンテーションを、「伝達」だと思うことは、もうやめよう。

    本書が提唱する「創造的プレゼンテーション」とは、プレゼンを聴く人たちの思考を促進させ、想像力を豊かにし、新しい発見を誘発するきっかけをつくることです。

    このような捉え方をするとき、参考になるのは芸術家の表現行為です。たとえば、小説家や詩人は、読み手にイメージがひろがるような言葉を選びます。その言葉に触れた読み手は、頭のなかでそのイメージを自分なりに構築して、その世界を体験します。このことから、読み手もある種の創造活動を行っていると言われます。つまり、小説家や詩人は、読み手が自分なりのイメージを「 つくる」 ことを誘発していることになります。

    本書では、プレゼンテーションをこのような観点から捉え直します。プレゼンで見せるものや語ることは、「伝える」ためにあるのではなく、聴き手がその人なりの発見や発想を「つくる」ためにある。そう考えることによって、プレゼンは、誰にとってもワクワクするもの、創造的なものになりうるのです。


    【目次】
    『プレゼンテーション・パターン :創造を誘発する表現のヒント』

    プロローグ はじまりの物語
    プレゼンテーション・パターンの読み方
    プレゼンテーション・パターンの全体像

    CORE PATTERNS 創造的プレゼンテーション・パターンの本質
     
    Ⅰ 内容・表現に関するパターン
    Column パターン・ランゲージという方法

    Ⅱ 魅せ方に関するパターン
    Column プレゼンテーションを見るための「認識のメガネ」

    Ⅲ 振る舞いに関するパターン
    Column 創造社会におけるプレゼンテーション

    EXTREME PATTERNS 創造的プレゼンテーションの究極

    エピローグ はじまりの物語、再び
    プレゼンテーション・パターン一覧
    主な参考・引用文献


    【著者】
    井庭 崇(いば たかし)
    慶應義塾大学総合政策学部准教授
    1974年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、2003年同大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。博士(政策・メディア)。慶應義塾大学総合政策学部専任講師、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院 Center for Collective Intelligence 客員研究員等を経て、2010年より現職。著書に、『複雑系入門――知のフロンティアへの冒険』(共著、NTT出版、1998年)、『リアリティ・プラス 社会システム理論――不透明な社会を捉える知の技法』(編著、慶應義塾大学出版会、2011年)等。

    井庭研究室 プレゼンテーション・パターン プロジェクト
    坂本麻美、松村佳奈、荒尾林子、柳尾庸介、濱田正大、村松大輝、松本彩、原澤香織、下向依梨、中野えみり、仁科里志、野村愛、安浦沙絢、山口祐加


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    ● 慶應義塾大学出版会 | プレゼンテーション・パターン | 井庭崇 井庭研究室
    http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766419894/

    ● Amazon.co.jp プレゼンテーション・パターン: 創造を誘発する表現のヒント (パターン・ランゲージ・ブックス)
    http://www.amazon.co.jp/dp/4766419898/
    イベント・出版の告知と報告 | - | -

    井庭研究会シラバス(2013年度春学期)※1/8 更新

    Creative Media Lab:創造社会を支える方法・道具をつくる
    (防災、日本的方法、グローバルな生き方、政策、経営、教育、美の支援、診断システム、映像)
    Creative Media Lab: Designing Novel Methods and Tools for Creative Society
    井庭 崇: A型(木曜4・5限)


    【重要な日程】
    2013年1月15日(火)井庭研説明会(6限)@ λ23教室 ※どちらかの説明会に参加が必須
    2013年1月21日(月)井庭研説明会(6限)@ λ23教室 ※どちらかの説明会に参加が必須
    2013年1月26日(土):一次エントリー〆切
    2013年2月2日(土):最終発表会 @ 大学院棟τ12教室 ※参加必須
    2013年2月4日(月):最終エントリー〆切
    2013年2月上中旬:面接


    【目的・内容】
    本研究会では、「創造社会」(Creative Society)の実現を支える方法・道具(Creative Media)をつくり、新しい時代の基盤をつくることを目指します。創造社会とは、「あらゆる人々が、自分たちで自分たちの認識・モノ・仕組み、そして未来を創造する社会」のことです。創造社会の支援という大きなヴィジョンのもと、本研究会では、個別テーマごとにプロジェクトを組み、学生主導で研究活動を進めていきます。具体的には、創造を支援するための共通言語として「パターン・ランゲージ」を制作し、それを活用する実践活動を行うプロジェクトなどを立ち上げます。

    「創造社会」のイメージと、それを実現するための方法・道具づくりについては、『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著)の第2章(熊坂賢次×井庭崇 対談)で詳しく語っているので、そちらを読んでください。また、パターン・ランゲージについては、「パターン・ランゲージの考え方」、および、これまでに井庭研で制作してきた「ラーニング・パターン」「プレゼンテーション・パターン」「コラボレーション・パターン」を見てみてください。

    本研究会のプロジェクトには、井庭研のミッションとして取り組む「コア・プロジェクト」と、メンバーの問題意識から自発的・自律的に進める「自主プロジェクト」があります。所属するメンバーは、そのどちらか、もしくは両方に参加します。「コア・プロジェクト」と「自主プロジェクト」の内容・進め方については、井庭研説明会と最終発表会で行うので、履修希望者はそれらに必ず参加してください。

    2013年度は、次の3カテゴリーに分かれる9つの「コア・プロジェクト」を実施します。

    ■ 創造的な生き方 ——— Ways of Creative Living
    (1) Survival Language Project(大地震で生きのびるためのパターン・ランゲージの作成)
    (2) Local Knowledge Project(忘れられた日本的方法を未来に活かすためのパターン・ランゲージの作成)
    (3) Global Life Project(グローバルな時代の生き方のパターン・ランゲージの作成)

    ■ 創造的な社会のあり方 ——— Foundation for Creative Society
    (4) Policy Language Project(政策デザインのためのパターン・ランゲージの作成 & 新しい政策形成の仕組みづくり)
    (5) Creative Management Project(企業・組織の創造性を高めるための仕組みづくり)
    (6) Creative Education Project(つくることによる学びを支援するパターン・ランゲージの作成 & 新しい教育の仕組みづくり)

    ■ 漸進的成長の仕組み ——— Tools for Piecemeal Growth
    (7) Generative Beauty Project(いきいきとした美の発見を支援するシステムとワークショップの開発)
    (8) Diagnosis Systems Project(漸進的成長を支援するパターン診断システムの構築)
    (9) Pattern Filming Project(パターン・ランゲージに関する映像制作)

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    各コア・プロジェクトの概要は、以下のとおりです。

    ■ 創造的な生き方 ——— Ways of Creative Living

    (1) Survival Language Project(大地震で生きのびるためのパターン・ランゲージの作成)
    関東や東海での大地震が予想されているように、地震大国・日本ではこれからも大きな地震が起きることは間違いない。大地震はいつ起きるのかは事前には予測できず、突発的に起きる。しかも、起きたときにはその場で各自が意思決定をしなければ命の危険もある。そうであるにもかかわらず、日常生活のなかでは大地震への意識は徐々に薄れていき、備えも疎かになりがちである。そこで、本プロジェクトでは、大地震の際に生きのびることを支援するメディアとして、「大地震が起きる前の備え」、「起きたときにどうすべきか」、「発生後に何をすべきか」の知恵・教訓をパターン・ランゲージとして記述・制作する。そして、それがコミュニティ/社会に根付く「生きたランゲージ」となる仕組みづくりにも取り組みたい。過去の大地震から得られた教訓や知恵をイメージするためには、『地震イツモノート』(渥美 公秀 監修, 地震イツモプロジェクト 編)や『人が死なない防災』(片田 敏孝)などを読んでみてほしい。[2013年度からの新プロジェクト]

    (2) Local Knowledge Project(忘れられた日本的方法を未来に活かすためのパターン・ランゲージの作成)
    日本は近代化の過程で、自分たちが古来からもっていた方法(考え方、制度、仕組み、生活様式)を西洋型の方法に置き換えてきた。これにより確かに近代化は進んだが、日本らしさや日本なりの優れた方法も失うことになった。そのため、今後日本が自らの未来をつくる際には、日本の風土や日本人の感覚に合う方法を再度編み出していかなければならない。そのとき、単に過去に戻ることはできないが、白紙からつくるというのも非現実的な話である。そこで、本プロジェクトでは、かつて日本にあった方法のなかから現代に取り入れるとよいと思われるものをパターン・ランゲージとして記述し、自分たちの未来をつくる際の発想支援を行いたい。対象とするのは、近代化以前の日本、つまり縄文から江戸までである。日本的方法をイメージするために、『地球を聴く』(坂本龍一,竹村真一)や『日本という方法』(松岡正剛)を、忘れられた過去の知恵を未来に活かすという発想を理解するために『時を超えた建設の道』(アレグザンダー)を読んでみてほしい。[2013年度からの新プロジェクト]

    (3) Global Life Project(グローバルな時代の生き方のパターン・ランゲージの作成)
    現在、情報技術等の進展によって、世界のグローバル化は大きく進んでいる。すべてが均質になるということはないが、グローバル化の潮流のなかで、それぞれの国や地域、そこに住む人たちの意識に様々な影響がでていることは確かである。しかし、日本人の多くは依然としてこれまで同様の感覚で物事を捉え、行動していることが多く、世界のなかでの日本の位置づけも変わりつつある。そのような状況は、「グローバルな時代を生きる」=「海外で住む」もしくは「海外と取引をする仕事をする」という狭い捉え方をしていることが原因となっているように思われる。しかも、「グローバル」ということは単に国際的であるということではなく、本来は「地球レベルの」という意味で自然とのかかわりも含まれるはずである。そこで、本プロジェクトでは「グローバルな時代に生きる」とはどういうことかを探究し、それをパターン・ランゲージとしてまとめることで、これからの生き方のデザイン(ライフ・デザイン)を支援したい。日本の内向きな現状についての危機感については、『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著)の第1章(宮台真司×井庭崇 対談)で語られているので、そちらを読んでみてほしい。[2013年度からの新プロジェクト]


    ■ 創造的な社会のあり方 ——— Foundation for Creative Society

    (4) Policy Language Project(政策デザインのためのパターン・ランゲージの作成 & 新しい政策形成の仕組みづくり)
    これからの社会のあり方を考えるとき、政治システムだけに頼るのでは立ち行かないということが近年明らかになってきた。社会デザインのアイデアが枯渇している状況においては、「すべてを一部の人に任せて、承認だけする」というかたちではなく、自分たちでアイデアを出し、具体化し、政策にまとめていくことが必要となる。つまり、自分たちで自分たちの未来をデザインするためには、単に「要求する」のではなく「政策をつくる」まで行うことが求められるのである。しかし、政策をつくる上での様々な発想・思考については、共有されているわけではない。そこで、本プロジェクトでは、「社会の構造・仕組み」「政策」「政策形成プロセス」の観点から、政策デザインの秘訣をパターン・ランゲージとして記述する。この政策デザインのパターン・ランゲージを「政策言語」(policy language)と呼ぶことにしたい。そして、そのような政策言語の形成と活用を踏まえた政策立案プロセスを構想する。政策言語の考え方については、「竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(まとめ)」とその映像[前半, 後半]を見てみてほしい。[2013年度からの新プロジェクト]

    (5) Creative Management Project(企業・組織の創造性を高めるための仕組みづくり)
    企業・組織においては、メンバーが創造性を発揮してイノベーションを起すことが必要となっている。しかし、これまで「教え込む」かたちの制度・仕組みは整備されてきたが、創造性を高める制度・仕組みはほとんど実現されていない。本プロジェクトでは、企業・組織をより創造的な場とするために、その企業・組織のメンバーが自分たちのパターン・ランゲージをつくることで、その企業・組織における創造を支援するという仕組みを探究・提案する。また、実際に企業・組織においてファシリテーションを行い、企業・組織における新しい知の循環を支援する。このような取り組みに関連する話としては、「井庭崇氏×武田隆氏対談(前編):クリエイティブなコラボレーションの秘訣とは」「井庭崇氏×武田隆氏対談(後編):”誤解”が生み出すコラボレーションの秘密」、および(扱っている事例が古いが)「組織の課題はパターン・ランゲージで解決:SFC井庭崇研究室」で語っているので、それらを読んでほしい。[2012年度末からの新プロジェクト]

    (6) Creative Education Project(つくることによる学びを支援するパターン・ランゲージの作成 & 新しい教育の仕組みづくり)
    新しいアイデアを考え、それを実現し、新しい時代を切り拓く人が育つためには、創造性を育む教育が重要だと言われて久しい。しかし、これまでの教育では、主に「知識を教え込む」というかたちで学びを提供してきたため、そこからのシフトが難しいというのが現状である。その背景には、「クリエイティブ・ラーニング」(つくることによる学び)のための方法論の欠如と、それを実施できる教員の少なさ、そして、現在の教育制度の縛りなどの問題がある。そこで、本プロジェクトでは、「クリエイティブ・ラーニング」を促す教育とは何かを探究し、それを教育現場で行うための秘訣をパターン・ランゲージとして記述し、現場に導入・実践していく。クリエイティブ・ラーニングとその教育については、「『コラボレーションによる学び』の場づくり:実践知の言語化による活動と学びの支援」、および、「Pedagogical Patterns for Creative Learning」で論じているので、それらを読んでみてほしい。[2012年度秋学期からのプロジェクト]


    ■漸進的成長の仕組み ——— Tools for Piecemeal Growth

    (7) Generative Beauty Project(いきいきとした美の発見を支援するシステムとワークショップの開発)
    これまで井庭研で制作してきた「Generative Beauty Patterns」(いきいきと美しく生きるためのパターン・ランゲージ)を用いて、いきいきとした美の発見ツールによる女性の支援に取り組む。「Generative Beauty Patterns」は、女性が「いきいきと美しく生きる」ためのパターン・ランゲージである。本プロジェクトでは、「いきいきと美しく生きる」という質感の共有によって、さまざまな女性たちをつなげる新しいメディアの構築を目指し、新しいタイプのWebアプリとワークショップを開発する。そのような活動を通じて、創造的・持続的に「いきいきと美しく生きる」女性を支援する仕組みをつくっていく。「Generative Beauty Patterns」については、Webサイト、および、プレスリリースを読んでみてほしい。「WWD http://Japan.com | BEAUTY「カネボウが慶應大学と共同で「パターン・ランゲージ」を制作」など、新聞・雑誌・Web等でも取り上げれているので、それらも参照してほしい。[2012年度秋学期からのプロジェクト]

    (8) Diagnosis Systems Project(漸進的成長を支援するパターン診断システムの構築)
    建築における最初のパターン・ランゲージを提唱したクリストファー・アレグザンダーは、パターン・ランゲージを、少しずつ改良して成長させていく「漸進的成長」(piecemeal growth)のためのメディアだと捉えていた。彼のパターン・ランゲージの現実への応用を紹介している『オレゴン大学の実験』(クリストファー・アレグザンダー)では、「診断」と「修復」ということが強調された。本プロジェクトは、パターン・ランゲージを用いて自己診断をし、それを踏まえた漸進的成長を支援する情報システムの提案・開発を行う。扱うのは、井庭研パターン・ランゲージ3部作の「ラーニング・パターン」、「プレゼンテーション・パターン」、「コラボレーション・パターン」である。診断システムのイメージをつかむためには、「Generative Beauty 診断」(http://www.generativebeauty.jp のトップメニュー「Diagnosis」から辿れる)をやってみてほしい。[2012年度末からの新プロジェクト]

    (9) Pattern Filming Project(パターン・ランゲージに関する映像制作)
    創造を支援するメディアとして「パターン・ランゲージ」の方法は有力なものであるが、それについての解説・紹介は、これまで多くの場合専門書のなかでなされるだけであった。そのため、この新しい方法・道具の有用性・可能性を多くの人に理解してもらうのは難しく、その普及にも限界がある。そこで、パターン・ランゲージについて、その歴史と背景にある思想、さらには最近の新しい動きについてのドキュメンタリー映像を制作・公開する。具体的には、国内外の関係者へのインタビューを行い、それに英語・日本語の字幕をつけた上で公開していく。また、パターン・ランゲージの思想や世界観と合う映像をつくるために、メンバー自身、それらの深い理解をした上で、それを踏まえた表現を行う。パターン・ランゲージの歴史については『パターン、Wiki、XP:時を超えた創造の原則』(江渡浩一郎)や「パターンランゲージ 3.0:新しい対象 × 新しい使い方 × 新しい作り方」にわかりやすくまとめられているので、読んでみてほしい。また、担当教員(井庭)がつくった映像「Holistic Pattern Mining (Collaboration Patterns Project)」が公開されているので、こちらも見てみてほしい。[2012年度秋学期からのプロジェクト]


    このほか、継続生が立ち上げる「自主プロジェクト」もあります(詳しくは、井庭研説明会と最終発表会で紹介します)。新規生は、自分の興味・関心に合わせて上記の「コア・プロジェクト」、もしくは「自主プロジェクト」に参加することになります。

    2013年度からは、どのプロジェクトも井庭研メンバーだけではなく、井庭研外の方々と連携/コラボレーションしながら取り組んでいくという「セミ・オープン・コラボレーション」のスタイルで取り組んでいきます。このことは、2013年度からの井庭研究会の挑戦が、これまでの「自分たちでパターン・ランゲージをつくる」ことから「パターン・ランゲージをつくる人をつくる」へとシフトすることにも関係しています。今後は、井庭研究会のメンバーが専門家や現場の方々と連携/コラボレーションしながら、パターン・ランゲージをつくるという新しいフェーズへと入っていくのです。


    【受入予定人数】
    35名程度(新規受け入れは、新1〜3年生から10人程度の予定)。


    【履修条件】
  • 履修希望者は、2013年1月15日(火)6限と1月21日(月)6限に行われる「井庭研説明会」(のどちらか)に必ず参加してください(λ23教室で行います)。各プロジェクトの説明と、プロジェクトメンバーとの最初の顔合わせを行います。

  • また、2013年2月2日(土)に行われる「最終発表会」にも必ず出席してください。各プロジェクトの詳細の共有を行います(大学院棟τ12教室)。

  • プロジェクトを通年で進めるため、秋学期も必ず履修してください。

  • 研究に関連する概念・知識・スキルは授業で伝えるので、井庭担当科目でまだ履修していない科目がある場合には、研究会と並行して履修してください。2013年度春学期は、「社会システム理論」、「シミュレーション・デザイン」、「起業と経営」を担当します。


    【選考の日程と課題】
    2013年1月15日(火)井庭研説明会(6限)@ λ23教室 ※どちらかの説明会に参加必須
    2013年1月21日(月)井庭研説明会(6限)@ λ23教室 ※どちらかの説明会に参加必須
    2013年1月26日(土):一次エントリー〆切
    2013年2月2日(土):最終発表会 @ 大学院棟τ12教室 ※参加必須
    2013年2月4日(月):最終エントリー〆切
    2013年2月上中旬:面接

  • 本シラバスをしっかりと読んで内容を理解した上で、2013年1月15日(火)と1月21日(月)に開催される「井庭研説明会」(のどちらか)に必ず参加し、各プロジェクトの説明を受けてください。

  • その上で、以下の「一次エントリー」の情報を1月26日(土)までにメールで提出してください。「一次エントリー」をした人のみ、その先の選考プロセスに進むことができます。

    エントリーメールの提出先: ilab-entry2012 [at] sfc.keio.ac.jp
    メールのサブジェクト(件名): 井庭研 履修希望
    以下の内容を書いたファイル(PDFもしくはWord)を、メールに添付してください。

    井庭研 履修希望
    (1) 氏名(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名, 顔写真*
     *写真はスナップ写真等で構いません。説明会や最終発表会の際にプロジェクトメンバーと個別に話すときに本人の特定が必要になるために提出してもらいます。
    (2) 自己紹介(適宜、写真や図などを入れてください)
    (3) 参加希望プロジェクト名
    (4) 志望理由、意気込み、自分が貢献できそうなこと・領域
    (5) 持っているスキル/得意なこと(グラフィックス・デザイン, 映像編集, 外国語, プログラミング, 音楽, スポーツなど, その他)
    (6) これまでに履修した井庭担当の授業(あれば)
    (7) これまでに履修した授業のなかで、お気に入りのもの(複数可)
    (8) これまでに所属した研究会(あれば)
    (9) 来学期、並行して所属する予定の研究会(あれば)


  • 一次エントリー後、2013年2月2日(土)にSFCで開催される「最終発表会(+新規プロジェクト説明)」に必ず参加してください(大学院棟τ12教室)。そこで、プロジェクトの詳細の共有があります。

  • その後、2月4日(月)までに最終エントリーをメールで提出してください。最終エントリーについては、一次エントリー者に追って連絡をします。その後、2月上中旬に面接を行う予定です。


    【その他・留意点】
  • 履修希望者は、2013年1月15日(火)6限と1月21日(月)6限に行われる井庭研説明会と、2月2日(土)に一日かけて行われる最終発表会に必ず出席してください。そこで、各プロジェクトの説明と、プロジェクトメンバーとの顔合わせを行います(万が一これらに参加できないという場合には、選考プロセスで大きく不利になることをご了承ください)。

  • 自主プロジェクトのリーダーになるためには、1年以上井庭研に所属し、一定の条件を満たした場合に、担当教員と相談のうえ立ち上げることが求められます。まずは、プロジェクトに参加し、研究で必要となる知識やスキルを磨き、井庭研で求められる質のレベルを体感するようにしましょう。

  • 通年でプロジェクトを進めるため、原則として秋学期からの受け入れはしません(新1年生の例外を除く)。


    【授業スケジュール】
  • 毎週のゼミ(木曜4・5限)では、重要文献の輪読のほか、プロジェクトの進捗報告等を行います。

  • プロジェクトの集まりは、ゼミの時間以外に最低週2回は行ってください。


    【教材・参考文献】

    井庭研における重要文献の一覧は、こちら(井庭研 必読文献一覧) を見てください。約50冊が、「パターン・ランゲージ」と「創造理論」「システム理論」「社会論」のカテゴリに分かれています。井庭研在籍中の早い段階でこれらの文献をすべて読み、知識を身につけ、考えを深めてください。これらの文献を読んでいることが、「自主プロジェクト」の立ち上げや「卒業プロジェクト」の受け入れの際に求められます。


    【評価方法】
    プロジェクトの成果と積極性、貢献度、および輪読での活躍等から総合的に評価します。


    【問い合わせ】
    来学期の井庭研究会についての質問・連絡は、 ilab-entry2012 [at] sfc.keio.ac.jp までお願いします。

    ilab-orf2012.jpg
  • 井庭研だより | - | -

    今年は、本を書く一年にしたい。

    みなさん、あけましておめでとうございます。

    今年もどうぞよろしくお願いいたします。

    1年のスタートということで、今年の抱負を。



    今年の抱負は、ずばり「本を書く」です。

    書きたい=書くべき本を、どんどん書いて出します。

    今年書いて出したいと思っているのは、全部で6冊。

    本当はもっとあるのだけれど、現実的なチャレンジ・ラインということで。

    本の執筆を中心にして、1年の仕事と生活を設計します。



    そして、本を書く実践のなかで探究したいこともあります。

    深くて魅力的な「ことば」について、

    書くという「創造行為」について、

    そして、そのための「生活の仕方と環境づくり」について。



    今年もがんばります。

    どうぞよろしく! (^_^)

    2013年 元旦 井庭 崇
    このブログについて/近況 | - | -

    2012年を振り返る:成果発表・活動等一覧

    2012年もいよいよ終わりに近づいているので、恒例の「一年の振り返り」をしたい。

    今年を振り返ると、まず思い出すのが、とにかくパターン・ランゲージを書きまくったということ。

    僕が直接書くのに参加したものには、「コラボレーション・パターン」34パターン、「Generative Beauty Patterns」48パターン、「起業と経営パターン」36パターン、「パターンマイニング・パターン」11パターン、「パターンイラスト・パターン」7パターン、「パターンワークショップ・パターン」10パターンがあり、計146パターン!今年、パターンを書く力が上がったという実感があったが、これだけ書いていればやはり違うものだなぁと思う。

    これに加えて、後半に書き進めた書籍版『プレゼンテーション・パターン』の34パターンもあるから、もう一年中パターン・ランゲージを書いていたことになる。パターン・ランゲージ三昧の一年だった。

    パターン・ランゲージについての講演や発表、対談もたくさん行った。なかでも今年の目玉は、パターン・ランゲージの世界の中心であるPLoP国際学会(Conference on Pattern Languages of Programs)で招待講演をし、僕らがこれまでやってきたこと、考えてきたこと、そしてこれからやりたいことを語り、好評だったことだ。僕にとって「国際学会での招待講演」が初めてだったこともあり、とても印象深い経験だった。

    しかし、反省点もある。今年、本を1冊も出せなかったということだ。いろいろ執筆していたにも関わらず、他の活動でなかなか執筆時間がとれず、最終的にはそれらの出版が来年に持ち越しになってしまった。出版社を始め、関係者のみなさんにご迷惑をおかけしてしまった。このことについては猛省していて、来年は本の執筆を最優先に生活と活動計画を立て直すつもりだ。

    あと、今年の特徴としては、いろいろお声がけをいただいた結果、これまでになかったメディア・領域での展開があったこと。テレビのレギュラー出演や新聞書評、漫画コミックへの解説などもあれば、プレスリリース&記者会見をしたり、教職員バンドで歌ったり、ハーフマラソンに挑戦したりと、いろいろ活動の幅が広がった。そういう意味でもとても面白い一年だった。


    国際学会 招待講演

  • Takashi Iba, "Pattern Language 3.0: Writing Pattern Languages for Human Actions" (Invited Talk), the 19th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP2012), Arizona, USA, Oct., 2012 【Summary, Slide, Video 1, 2, 3, 4


    国際学会 ワークショップ

  • Takashi Iba, Eri Shimomukai, Sumire Nakamura, Taichi Isaku, and Ayano Tamefusa,"Dialogue Workshop using the Learning Patterns," the 19th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP2012), Arizona, USA, Oct., 2012 【Summary


    国際学会発表

  • Takashi Iba, "A Pattern Language for Designing Workshop to Introduce a Pattern Language," the 17th European Conference on Pattern Languages of Programs (EuroPLoP2012), Germany, July, 2012 【Paper

  • Takashi Iba, Aya Matsumoto, and Kaori Harasawa, "Presentation Patterns: A Pattern Language for Creative Presentations," the 17th European Conference on Pattern Languages of Programs (EuroPLoP2012), Germany, July, 2012【Paper

  • Eri Shimomukai, and Takashi Iba, "Social Entrepreneurship Patterns: A Pattern Language for Change-Making on Social Issues," the 17th European Conference on Pattern Languages of Programs (EuroPLoP2012), Germany, July, 2012【Paper

  • Takashi Iba, and Taichi Isaku, "Holistic Pattern-Mining Patterns: A Pattern Language for Pattern Mining on a Holistic Approach," the 19th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP2012), Arizona, USA, Oct., 2012 【Paper

  • Rinko Arao, Ayano Tamefusa, Megumi Kadotani, Kaori Harasawa, Shingo Sakai, Keishi Saruwatari, and Takashi Iba, "Generative Beauty Patterns: A Pattern Language for Living Lively and Beautiful," the 19th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP2012), Arizona, USA, Oct., 2012 【Paper

  • Kaori Harasawa, Rinko Arao, Takashi Iba, "A Pattern Language for Pattern Illustrating, " the 19th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP2012), Arizona, USA, Oct., 2012 【Paper

  • Eri Shimomukai, Sumire Nakamura, and Takashi Iba, "Change Making Patterns: A Pattern Language for Fostering Social Entrepreneurship," the 19th Conference on Pattern Languages of Programs (PLoP2012), Arizona, USA, Oct., 2012【Paper


    国内学会 招待講演

  • 井庭 崇,「時間発展のネットワーク分析:Wikipedia, Music & Chaos」, 電子情報通信学会 第3回情報ネットワーク科学研究会, 東京, 2012年5月 【Slide


    オリジナル冊子

  • 井庭 崇, 原澤 香織, 荒尾 林子, 『Presentation Patterns イラスト制作の軌跡』, Ver.α, 2012年2月 【Blog, PDF

  • Presentation Patterns Project, 『Presentation Patterns: A Pattern Language for Creative Presentations (Ver.0.60)』(英語版), 2012年7月

  • 井庭崇, 濱田正大, 松本彩, 『A Pattern Language for Entrepreneurship & Management: 「起業と経営」パターン2012』, 2012年7月 【Blog

  • Takashi Iba with Kaori Harawasa, Taichi Isaku, and Rinko Arao, 『Pattern Language 3.0: Pattern Languages for Human Actions & the Meta-Patterns』, 2012年10月


  • Generative Beauty Project, 『Generative Beauty Patterns』(英語版), 2012年10月

  • Generative Beauty Project, 『Generative Beauty Patterns』(日本語版), 2012年11月
 【Web, Blog

  • Collaboration Patterns Project, 『コラボレーション・パターン』, 2012年11月 【Web版, PDF


    講演&対談等

  • 井庭 崇, 「社会システム理論入門」, 朝日カルチャーセンター 新宿教室, 2012年1月-3月 【Web

  • 井庭 崇, 「創造社会の思想と方法」, 井庭研 2011年度最終発表会 基調講演, 2012年2月 【Slide

  • 井庭 崇, 「井庭 崇:自己紹介」, Diploma x KYOTO 2012, with 倉方俊輔, 安東陽子, 坂口恭平, 束芋, 2012年2月 【Slide

  • 井庭 崇, 「政策言語:政策デザインのパターン・ランゲージ向けて (Policy Language: A Pattern Language for Policy Design)」, RIETI Seminar2012, 経済産業研究所, 2012年3月 【Slide

  • 井庭 崇, 「創造による学び・成長 - Learning by Creation」, 第7回 ITS (Inquirers Team of Shonan) ミーティング with 今井 むつみ, 市川 力, 2011年4月 【Slide

  • 井庭 崇, 「パターン・ランゲージによる経験のマイニングと共有」, HCD-net (Human Centered Design Organization) フォーラム 基調講演+ワークショップ, 2012年5月 【Slide

  • 井庭 崇, 「人を魅力し、人を動かす「ことば」 をどう書くか」, 慶應義塾大学井庭研究室 2012年春学期研究発表会 基調講演, 2012年7月 【Slide

  • 井庭 崇, 「クリエイティブ・ラーニング:つくることによる学びとその支援」, 「慶應義塾の授業へ出かけよう!講義入門2012」, 2012年9月

  • 井庭 崇, 「幸せに楽しく働くエッセンス:いきいきとした人生/コミュニティを実現するパターン・ランゲージ」, SFC「而立の日」, 2012年9月 【Slide

  • 井庭 崇 × 増田 亨 × 市谷 聡啓, 「学び方を学ぶ 〜オブジェクト指向の設計と実装を学ぶ〜」, DevLOVE, 2012年9月

  • 井庭 崇 × 武田 隆, 「【井庭崇氏×武田隆氏対談】(前編)クリエイティブなコラボレーションの秘訣とは」, ダイヤモンド社 書籍オンライン「ソーシャルメディア進化論2012」, 2012年10月 【記事

  • 井庭 崇 × 武田 隆, 「【井庭崇氏×武田隆氏対談】(後編)”誤解”が生み出すコラボレーションの秘密」, ダイヤモンド社 書籍オンライン「ソーシャルメディア進化論2012」, 2012年10月 【記事

  • 武田 隆 × 井庭 崇, 「クリエイティブメディア進化論~ソーシャルメディアはつながる価値から新しい価値の創出へ~」, アカデミーヒルズ主催 六本木スクール, 2012年11月

  • 井庭 崇, 「プレゼンテーションデザインセミナー:創造的プレゼンテーションの秘訣」, 立命館大学 自己力向上支援プログラム, 2012年12月

  • 中埜 博 × 羽生田 栄一 × 井庭 崇 鼎談「パターン・ランゲージから The Nature of Orderへ」, 慶應義塾大学SFC, 2012年12月 【Slide, Video 1, 2

  • 井庭 崇, 「学びのパターン・ランゲージを用いた対話ワークショップ」, DevLOVE Conference 2012, 2012年12月 【Slide

  • 井庭崇 × 瀧本哲史, 「武器としてのコラボレーション」, 東京大学本郷キャンパス, 2012年12月 【Slide


    イベント展示

  • 井庭崇研究室, 「創造社会を支えるパターン・ランゲージ」, SFC Open Research Forum 2012, 六本木・東京ミッドタウン, 2012年11月

  • Generative Beauty Project, 「いきいきと美しくなるためのランゲージ - Generative Beauty Patterns」, SFC Open Research Forum 2012, 六本木・東京ミッドタウン, 2012年11月


    プレスリリース

  • 「慶應義塾大学とカネボウ化粧品の共同プロジェクトにより “いきいきと美しく生きる”ためのパターン・ランゲージを制作」, 2012年11月16日 【PDF


    記事・書籍等で紹介していただいたもの

  • Diploma x KYOTO'12 京都建築学生之会 編著, 『Diploma x KYOTO'12 京都建築学生之会合合同卒業設計展2012』, 総合資格, 2012年, pp.86-97

  • 「女性の生き方 法則化:カネボウと慶大、冊子に」, 日経産業新聞, 2012年11月19日, 18面

  • 「パターン・ランゲージ用い女性支援:カネボウ化粧品」, 化学工業, 化学工業日報, 2012年11月22日朝刊, 4面

  • 「カネボウ化粧品と慶大の共同プロジェクト:"いきいきと美しく生きる"ためのパターン・ランゲージを制作」, 『粧業界展望』, 2012年11月24日号, 10面

  • 「チームでのプロジェクトを成功させる秘訣34項目「コラボレーション・パターン」」, GIGAZINE, 2012年11月28日 【記事

  • 「The News:カネボウが慶応大学と共同で「パターン・ランゲージ」を制作」, 『WWD Japan Beauty』, Vol.1721, 12月6日号, p.5 【記事Web版

  • 「カネボウ化粧品&慶応義塾大学SFC研究所:女性が「いきいきと美しく生きる」ための支援ツールを共同開発」, 『国際商業』, 2013年1月号, Vol.46, No.536, pp.162-163

  • 『「心の時代」にモノを売る方法 変わりゆく消費者の欲求とビジネスの未来』(小阪 裕司, 角川oneテーマ21, 角川書店, 2012)pp.212-213

  • 「「プレゼンテーションデザインセミナー」を開催」, 立命館大学 PICK UP, 2012年12月 【記事


    映像

  • Holistic Pattern Mining (Collaboration Patterns Project) 【映像


    テレビ

  • NHK Eテレ「スーパープレゼンテーション」(with 伊藤譲一, Kylee), 2012年4月から9月までレギュラー出演 【Blog 1, 2, 3


    書評

  • 井庭 崇, 「【読書】バースト! アルバート=ラズロ・バラバシ著 人間の行動にひそむパターン」, 日本経済新聞, 2012年9月16日朝刊 【Web版


    漫画コミック内の解説

  • 「GOLGO 13 FILE The Report of CHAOS THEORY:ブラジルでチョウが羽ばたくとアメリカで嵐を引き起こす」, 『ゴルゴ13 [PSYCHOLOGY OF CROWD]』(さいとう・たかを, さいとう・プロ, My First BIG, 小学館, 2012), p.97-102


    担当授業

  • 「社会システム理論」(慶應義塾大学SFC 2012年度春学期)【Syllabus, Slide & Video

  • 「シミュレーションデザイン」(井庭 崇 & 古川園 智樹, 慶應義塾大学SFC 2012年度春学期)【Syllabus

  • 「起業と経営」(竹中平蔵 & 井庭 崇, 慶應義塾大学 G-SEC設置科目 2012年度春学期)【Blog 1, 2

  • 「概念構築(CB)」(井庭 崇 ほか, 慶應義塾大学大学院 政策メデイア研究科 2012年度春学期)

  • 「井庭研究会B1:パターン・ランゲージによる実践知の言語化プロジェクト (魅力があり、想像力をかきたて、人を動かすことばの探究:コラボレーション・パターン)」(慶應義塾大学SFC 2012年度春学期)【Syllabus

  • 「井庭研究会B2:創造社会の理論・方法・実践プロジェクト - Exploring Theories, Methods, and Practices for the Creative Society」(慶應義塾大学SFC 2012年度春学期)【Syllabus

  • 「パターンランゲージ」(慶應義塾大学SFC 2012年度秋学期)【Syllabus, Slide & Video

  • 「Complex System Theory:複雑系の数理(GIGA)」(慶應義塾大学SFC 2012年度秋学期)【Syllabus

  • 「井庭研究会B1:パターン・ランゲージによる実践知の言語化(魅力があり、想像力をかきたて、人を動かすことばの探究:コラボレーション・パターン)」(慶應義塾大学SFC 2012年度秋学期)【Syllabus

  • 「井庭研究会B2:創造社会の理論・方法・実践研究- Exploring Theories, Methods, and Practices for the Creative Society」(慶應義塾大学SFC 2012年度秋学期)【Syllabus


    大学授業内ワークショップ等

  • 井庭 崇, 学びの対話ワークショップ @「総合政策学の創造」(慶應義塾大学SFC 2012年度春学期), 2012年4月 ※ラーニング・パターンを用いた対話ワークショップ

  • 井庭 崇, 学びの対話ワークショップ @「環境情報学の創造」(慶應義塾大学SFC 2012年度春学期), 2012年6月 ※ラーニング・パターンを用いた対話ワークショップ

  • Takashi Iba with Eri Shimomukai, Mami Sakamoto, Experience Mining and Dialogues with Learning Patterns @「EXPLORING POLICY MANAGEMENT(総合政策学の創造)」(慶應義塾大学SFC 2011年度秋学期), 2012年10月 ※Learning Patterns(英語版)を用いた対話ワークショップ

  • Takashi Iba with Eri Shimomukai, Experience Mining and Dialogues with Learning Patterns @「EXPLORING ENVIRONMENT AND INFORMATION STUDIES(環境情報学の創造)」(慶應義塾大学SFC 2011年度秋学期), 2012年10月 ※Learning Patterns(英語版)を用いた対話ワークショップ

  • 井庭 崇, コラボレーションについての対話ワークショップ @「パターンランゲージ」(慶應義塾大学SFC 2012年度秋学期), 2012年12月 ※コラボレーション・パターンを用いた対話ワークショップ

  • 井庭 崇, 「いきいきと美しく生きる」ことについての対話ワークショップ @「パターンランゲージ」(慶應義塾大学SFC 2012年度秋学期), 2012年12月 ※Generative Beauty Patterns(日本語版)を用いた対話ワークショップ

  • Takashi Iba,Experience Mining and Dialogues with Learning Patterns @「Complex System Theory:複雑系の数理(GIGA)」(慶應義塾大学SFC 2012年度秋学期), 2012年11月 ※Learning Patterns(英語版)を用いた対話ワークショップ

  • Takashi Iba with Taichi Isaku, Ko Matsuzuka, Presentation Analysis Workshop with the Presentation Patterns @「Complex System Theory:複雑系の数理(GIGA)」(慶應義塾大学SFC 2012年度秋学期), 2012年12月 ※Presentation Patterns(英語版)を用いたプレゼン分析ワークショップ


    企業内ワークショップ

  • D社


    学会関係

  • 「第8回ネットワーク生態学シンポジウム」ローカル・オーガナイザー, 情報処理学会, 2012年3月


    音楽

  • 教職員バンド@SFC七夕祭(with 村井純学部長、国領二郎学部長、職員の方々), 2012年7月 【blog


    スポーツ

  • 軽井沢リゾートマラソン(一般ハーフ男子の部 21.0975km完走), 2012年10月 【Record
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    井庭研 必読文献一覧(2012年12月現在)

    「創造社会を支える方法・道具をつくる」研究活動を行う井庭研において、必読だと思う文献を選び、リストをつくりました。

    ほかにも重要な文献はたくさんあるのですが、特に重要だと思う約50冊を厳選したつもりです。文献は、【パターン・ランゲージ】と、【創造理論】【システム理論】【社会論】のカテゴリに分かれています。

    井庭研在籍中の早い段階でこれらの文献をすべて読み、知識を身につけ、考えを深めてもらい、これらの文献を読んで理解していることが、「自主プロジェクト」の立ち上げや「卒業プロジェクト」の受け入れに求められます。


    【パターン・ランゲージ】

      (パターン・ランゲージの歴史)
    • 『パターン、Wiki、XP:時を超えた創造の原則』(江渡浩一郎, 技術評論社, 2009)
    • 『クリストファー・アレグザンダー:建築の新しいパラダイムを求めて』(スティーブン・グラボー, 工作舎, 1989)
    • 「パターンランゲージ 3.0:新しい対象 × 新しい使い方 × 新しい作り方」(井庭 崇, 情報処理, Vol.52 No.9, 2011)
    • 「パターンの可能性:人文知とサイエンスの交差点」(井庭崇+江渡浩一郎+増田直紀+東浩紀+李明喜, 『思想地図β vol1』, 東浩紀 編, 合同会社コンテクチュアズ, 2010)

      (建築のパターン・ランゲージ)
    • 『時を超えた建設の道』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993)
    • 『パタン・ランゲージによる住宅の建設』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1991)※現在 絶版
    • 『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1984)

      (デザイン原理と方法論)
    • 『形の合成に関するノート』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1978)※現在 絶版
    • "A city is not tree" (Christopher Alexander, Architectural Forum 122 April, 1965) [ クリストファー・アレグザンダー, 「都市はツリーではない」]
    • 『オレゴン大学の実験』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 2000)※現在 絶版
    • 『まちづくりの新しい理論』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1989)

      (生と美の哲学)
    • 『The Nature of Order, BOOK ONE: The Phenomenon of Life』 (Christopher Alexander, The Center for Environmental Structure, 2002)
    • 『The Nature of Order, BOOK TWO: The Process of Creating Life』 (Christopher Alexander, The Center for Environmental Structure, 2003)
    • 『The Battle for the Life and Beauty of the Earth: A Struggle Between Two World-Systems』(Christopher Alexander, Oxford University Press, 2012)


    【創造理論】

      (創造性の理論的基礎)
    • 『創造性とは何か』(川喜田二郎, 詳伝社, 2010)
    • 『アブダクション:仮説と発見の論理』(米盛裕二, 勁草書房, 2007)
    • 『暗黙知の次元』(マイケル・ポランニー, ちくま学芸文庫, 筑摩書房, 2003)

      (創造の実際)
    • 『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです:村上春樹インタビュー集 1997-2011』(村上春樹, 文春文庫, 文藝春秋, 2011)
    • 『感動をつくれますか?』 (久石 譲, 角川oneテーマ21, 角川書店, 2006)
    • 『決断力』(羽生善治, 角川oneテーマ21, 角川書店, 2005)

      (創造支援の方法と道具)
    • 『発想法:創造性開発のために』(川喜田 二郎, 中公新書, 中央公論社, 1967
    • 『人を賢くする道具:ソフト・テクノロジーの心理学』(D.A.ノーマン, 新曜社, 1996)
    • 『マインドストーム:子供、コンピューター、そして強力なアイデア』(シーモア・パパート, 未来社, 1982)

      (創造の技術)
    • 『表現の技術:グッとくる映像にはルールがある』(高崎 卓馬, 電通, 2012)
    • 『名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方』(鈴木 康之, 日経ビジネス文庫, 日本経済新聞出版社, 2008)
    • 『芸術起業論』(村上隆, 幻冬社, 2006)

      (新しい創造)
    • 『シナリオ・プランニングの技法』(ピーター・シュワルツ, 東洋経済新報社, 2000)※現在 絶版
    • 『出現する未来』(ピーター・センゲ, C・オットー・シャーマー, ジョセフ・ジャウォースキー, ベティー・スー・フラワーズ, 講談社, 2006)
    • 『共生のデザイン:禅の発想が表現をひらく』(升野俊明,フィルムアート社,2011)


    【システム理論】

      (社会と創造のシステム理論)
    • 「自生的秩序の形成のための《メディア》デザイン──パターン・ランゲージは何をどのように支援するのか?」(井庭 崇, 『10+1 web site』, 2009年9月号) http://10plus1.jp/monthly/2009/09/post-2.php
    • 『【リアリティ・プラス】社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)
    • "An Autopoietic Systems Theory for Creativity" (Takashi Iba, Procedia - Social and Behavioral Sciences, Vol.2, Issue 4, 2010, pp.6610-6625) http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1877042810011298

      (生命のシステム理論)
    • 『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』(井庭崇, 福原義久, NTT出版, 1998)
    • 『オートポイエーシス:生命システムとはなにか』(H.R. マトゥラーナ, F.J. ヴァレラ, 国文社, 1991)

      (社会のシステム理論)
    • 『社会システム理論〈上〉』(ニクラス・ルーマン, 恒星社厚生閣, 1993)
    • 『システム理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈1〉』(ニクラス・ルーマン, 新泉社, 2007)
    • 『エコロジーのコミュニケーション:現代社会はエコロジーの危機に対応できるか?』(ニクラス・ルーマン, 新泉社, 2007)


    【社会論】

      (社会秩序の形成)
    • 『離脱・発言・忠誠:企業・組織・国家における衰退への反応』(A.O.ハーシュマン, ミネルヴァ書房, 2005)
    • 『法と立法と自由I:ルールと秩序(ハイエク全集 1-8 新版)』(F.A.ハイエク, 春秋社, 2007)
    • 『哲学論集(ハイエク全集 II-4)』(F.A.ハイエク, 春秋社, 2010)

      (情報社会)
    • 『情報社会学序説:ラストモダンの時代を生きる』(公文 俊平, NTT出版, 2004)
    • 『ウェブ×ソーシャル×アメリカ:〈全球時代〉の構想力』(池田純一, 講談社現代新書, 2011)
    • 『ised 情報社会の倫理と設計《設計篇》』(東 浩紀, 濱野 智史 編著, 河出書房新社, 2011)

      (人類社会の歴史的変化)
    • 『虫眼とアニ眼』(養老 孟司, 宮崎 駿, 新潮文庫, 新潮社, 2008)
    • 『声の文化と文字の文化』(ウォルター・J.オング,藤原書店,1991)
    • 『地球を聴く』(坂本龍一,竹村真一,日本経済新聞出版社,2012)

      (近代科学の先へ)
    • 『生きるとは、自分の物語をつくること』(小川洋子, 河合隼雄, 新潮文庫, 新潮社, 2011)
    • 『イメージの心理学』(河合隼雄, 青土社, 1991)
    • 『デカルトからベイトソンへ:世界の再魔術化』(モリス・バーマン, 国文社, 1989)

      (創造的な社会変革)
    • 『ハイ・コンセプト:「新しいこと」を考え出す人の時代』(ダニエル・ピンク, 三笠書房, 2006)
    • 『芸術と政治をめぐる対話(エンデ全集16)』(ミヒャエル・エンデ, 岩波書店, 2002)
    • 『独立国家のつくりかた』(坂口 恭平, 講談社現代新書, 講談社, 2012)
    井庭研だより | - | -

    生きのびるための「生きた言語」をつくる — 防災のパターン・ランゲージ

    大きな地震や津波が起きる日本において、生きのびるための「生きた言語」をつくる。そのことに「未来への使命感」をひしひしと感じている。

    生きのびるための「生きた言語」は、防災のパターン・ランゲージであり、新しい防災のためのメディアである。「サバイバル・パターン」(survival patterns)とでも言おうか。

    サバイバル・パターンでは、地震や津波にどのように備えたらいいのか、地震が起きた瞬間に何をすべきか、発生から数日何をすべきか、を覚えやすく思い出しやすいかたちで言語化する。「生きた言語」としてコミュニティの共通言語になるようにつくる。

    パターン・ランゲージは、外から大きな枠をはめるのではなく、今の自分のやり方をベースに拡張することを支援する。防災の支援でも、こうすべきという手引きをつくるよりも、そういう方が適用しやすいはずだ。みんな状況は多様だし、いっぺんにたくさん言われても、行動や習慣は一気には変えられないからだ。

    しかも、パターン・ランゲージでは、その小さな知恵に名前をつけ、頭に残り、「ことば」として使うことができるようにする。コミュニケーションに乗れば、また意識においてもリマインドされる。生きのびるための「生きた言語」をつくる。

    そして、パターン・ランゲージは、デザイン(問題発見・解決)を支援する。つまり、これをやりなさいと言われたことをするのではなく、自ら考えることを支援する。サバイバル・パターンがあれば、防災訓練も変わるはず。表面的な行為の練習ではなく、デザイン(問題発見・解決)の実践になることが予想される。

    このように、拡張支援の小さな単位と、デザイン(問題発見・解決)の支援、生きた言語をつくる、という3点において、防災のパターン・ランゲージは、従来の「防災の手引き」とは違う効果をもつというのが僕の仮説だ。

    仮説だから、やってみないとわからない。だから、研究としてやるしかない。僕がサバイバル・パターンを大学という立場から取り組むのは、そういう理由。

    これからも地震が起き続ける日本とそこに住む人のために、僕らの専門性から貢献できることがあるとしたら、それだと思っている。

    なので、このサバイバル・パターンづくりのヴィジョンに共感し参加してくれる人とは、いろんなかたちで連携してやっていければと考えている。
    パターン・ランゲージ | - | -

    パターン・ランゲージは、現状を肯定しながら少しずつ成長することを支援する

     パターン・ランゲージはマニュアルやハウツー本とどう違うのか、という質問をよく受けた。最近はあまり聞かれなくなってきたけれども、4、5年前はむしろこの質問しか来なかった。この質問には実はなかなかうまく答えられなかったのだけれども、最近、ようやく納得できる説明ができるようになってきた。

     僕らがパターン・ランゲージで目指しているのは、「これをこの手順でやるべし」というひとつの大きな枠にはめ込むことではなく、「いまの自分のやり方をベースとしながら少しずつ拡張・成長していくことの手助け」をすることだ。たくさんのパターンを含むパターン・ランゲージを前にしたときに、すべてのパターンを実践しなければならないという強迫観念を持たないようにしてほしいと思っている。

     パターンは、こうしなければならないというルールではなく、いまの自分らしいやり方を少しずつ拡張していくためのヒントだからだ。「大きな枠にはめ込んで自分を変える」のではなく、「自分を広げるために小さなヒントを取り入れていく」 ―― このニュアンスの違いを理解することが、パターン・ランゲージの意義を理解するためにには重要なのだ。だからこそ、抽象的な記述をするときによくあるような「少数の原則」や「大きなモデル」で提示するのではなく、「小さな単位の集合(ゆるやかにつながった体系)」でパターン・ランゲージはまとめられているのだ。現状を肯定しながら少しずつ成長・拡張することを支援するのにはこの方法しかない。

     これとも関係するが、その小さな単位にすべて「名前」がついていて、それらが共通言語になることが目指されているということが、パターン・ランゲージの大きな特徴である。つまり、各パターンは単にコツを記述・共有するためではなく、名前をつけて「ことば」として扱えるようにすることに本質がある。個々のパターン・ランゲージで目指している「いきいきとした全体」は、本来不可分なもの。それを要素分解して理解すると全体性は失われてしまう。なので、分解するのではなく、そのまま生け捕り、いろんな側面から読み解くための「ことば」をつくる。これがパターン・ランゲージをつくるということ。

     パターン・ランゲージは「ことば」であり、対象そのものではない。つまり、その「ことば」で記述したい対象=「いきいきとした全体」そのものではない。このことをごちゃまぜにして考えてしまうと、ことばで記述されたものをすべて組み合わせると「全体」をつくれると考えがちだが、それは間違いだ。

     クリストファー・アレグザンダーは、いきいきとした全体を言葉で説明することはできないから、それを「名づけ得ぬ質」(Quality Without A Name: QWAN)ととりあえず呼ぶことにした。パターンは「名づけ得ぬ質」そのものの「部分」ではない。パターンは、その質を指し示す記号に過ぎない。だから、パターン・ランゲージのパターンをいくら集めても、「いきいきとした全体」そのものにはならないのだ。パターンは、あくまでも「いきいきとした全体」にはどのような側面があるのか、という読み解き方/光の当て方にすぎない。パターン・ランゲージの意義は、「いきいきとした全体」を捉えるための手段がこれまでなく、それゆえコミュニケーションの俎上に載せることができなかった限界を克服し、それを可能にしたことだ。

     最近、僕らがパターンを書くときには、そのパターンが対象をうまく「記述」できているかだけでなく、そのパターンが「生成的」(generative)であるかを気にするようになった。今回のPLoP(パターン・ランゲージの国際学会)におけるRichard Gabriel や Jenny Quillienたちのアドバイスもその点だった。パターンが生成的(generative)であるというのは、ただの「記述」でしかないパターンが、その「いきいきとした全体」を生み出す/復元することができる力をもっているということだ。ただの記述では何も生じないが、生成力がある記述は、実際の生成につながりやすい。それでは、どうすればパターンが生成的(generative)になるのかと問われると、それはまだよくわかっていない、というのが現状だと思う。それを僕らも探究しているし、今後もつくりながら/教えながら、模索していくことになる。


     パターン・ランゲージの考え方って、全体を要素還元せずにそのまま理解しようとする「複雑系」や、「つくって理解する」という「構成的アプローチ」、社会をシステムとしてまるごと捉えようとするオートポイエーシスの「社会システム理論
    」などと近いと思いませんか? そのような類似性・同型性が、僕や井庭研がそれらの分野からパターン・ランゲージの分野へと行き着いた背景にあるのです。
    パターン・ランゲージ | - | -

    パターン・ランゲージのランゲージ性 — どういう意味で「言語」なのか?

    パターン・ランゲージは、なぜ「ランゲージ」(言語)と呼ばれるのかという質問をよく受ける。これにはいろんなレベルで答えることができる。

    まず、パターンという単位が、言語における要素(単語)であり、それらが互いに文法的・意味的につながり得る体系があり、使用時にはそれにもとづく結合がなされること。個々のパターンは、それが指し示す対象を表す記号になっている。

    パターン名は、そのパターンの内容を象徴するようなことばになっており、これを思考やコミュニケーションにおいて言葉として用いることができる。(僕らがよく開催しているパターン・ランゲージを用いた対話ワークショップを経験すると、この感覚はよくわかる。)

    パターン・ランゲージを、ルーマンの「社会システム理論」的に捉えると、コミュニケーションの創発とその連鎖という「ありそうになさ」を生じやすくするメディアであり、社会システムと心的システムを構造的カップリングさせる「言語」であるといえる。(詳しくは、井庭 編著『社会システム理論: 不透明な社会を捉える知の技法』に書いたので、そちらをご覧ください。)

    そして、パターン・ランゲージをつくる目的が、コミュニティの共通言語をつくることだというのもある。パターン・ランゲージは、共通言語として、コミュニティを支えたり、活性化させたりする。

    これらを総合して、パターン・ランゲージはランゲージ(言語)なのだと考えることができる。
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